※2023年1月13日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
最近のドライブレコーダー市場の傾向は、2018年から始まった夜間特化のSTARVISの流れを引き継ぎながら、これと組み合わせる形で高解像度化・マルチカメラ化・360°カメラ化が進んでいます。
ここ2年位で500~800万画素の高解像度STARVISのセンサーを搭載したハイエンドなモデルも出てきていますが、ドラレコに関しては高解像度化デメリットが大きいので「高解像度」=「必ずしも正義ではない」という事を押さえておきましょう。
高解像度ドラレコのメリット
ドラレコにおける高解像度センサーのメリットは、「走行中・駐車中を問わずにナンバー認識精度が高くなる」の1点に尽きます。
走行中の状況証拠の認識であれば、200万画素/フルハイビジョンで全く問題がありませんので、ドラレコの実用性を考える上ではナンバー認識精度の向上のみが高解像度センサーのメリットになります。
※趣味として景色撮影に使いたい場合には、精細感の高い映像が撮影できるメリットもありますが、景色撮影を考えるならまずは解像度よりもフレームレートを上げたいところです。
高解像度ドラレコのデメリット
これはこの記事の主題でもありますが、高解像度センサーにはメリットばかりではなく、以下のようなデメリットも存在します…ハッキリ言ってデメリットの方が大きいです。
夜間の影像が暗くなる
まず初めに高解像度センサーの最大の弱点ですが、低解像度に比べると光を取り込む能力が落ちる為に夜間の映像が暗くなります。
カメラを分解してみると分かりますが、イメージセンサーはレンズの根本にあるこのような板状のパーツです。
分かり易い例え方をすると、イメージセンサーは人間の目で言うところの水晶体から入った映像を映し出す「網膜」の役割を果たしています。
このイメージセンサーのサイズが大きければ大きいほど、光をたくさん受け取る事が出来るようになりますので、画質の面においては「デカさは正義」になり易い訳ですが、ドラレコに巨大なセンサーを搭載すると、筐体も巨大サイズになってしまいます(笑)
なのでドラレコに搭載されているセンサーサイズは、通常の場合1/2.5インチ~1/3.0インチくらいの幅に収まっている訳です。(2022年以降に供給されている、SONYの一部のドラレコ用センサーは大型化している)
…、でこの限られた面積の全てが受光面積になるのか?というとそうではなく、画素(ピクセル)ごとに仕切りがあり、この仕切りの部分は光を受け取る事が出来ません。
仮に上の9画素と同じサイズで4倍の解像度の36画素のセンサーを作った場合、この様に受光面積が減ってしまいます。
なので、同じ条件で画素数だけを増やすと映像は暗くなってしまいます。
高解像度は白飛び・黒潰れし易くなる
カメラの光を取り込んで映像化する能力は人間の目ほど高性能ではない部分があり、特に画面内に極端に明るい部分と極端に暗い部分が存在する場合…
この様に明るい部分は白く飛び、暗い部分は黒く潰れてしまいます。
それをこのようにHDR・WDR補正のようにソフトウェアで補正をかけて見やすく調整している訳です。
前述の理由から高解像度のセンサーは暗くなりがちですので、露出を上げたりなど、映像を明るくする調整が入る事が多いですが、そうすと明るい部分が白飛びし易くなり、これを修正する為に精度の高いチューニングが要求されるだけでなく、解像度が上がる事でそのチューニングに必要なチップセットのスペックも上がります。
大容量のmicroSDカードが必要になる
フルハイビジョン200万画素の1カメラドライブレコーダーの録画データサイズは、6GB程度が一般的ですが、解像度が上がると必要な容量も比例して上がります。
400万画素であれば12GB、800万画素になると24GBという具合ですね。
最近は高解像度の弱点を克服している製品もある
これまでに高解像度ドラレコのデメリットばかりを述べて来ましたが、2022年後半にSONYのドラレコ用途を強く意識した新型のSTARVIS 2センサーを採用した製品も出回り始めています。
例えば、4KモデルのVIOFO「A139 Pro」などがこれに当たりますが、この製品ではSONYのSTARVIS 2対応の大型センサーを採用する事で、従来は高解像度モデルの弱点とされて来た夜間の明るさの面で大幅な改善が見られました。
これから2.5K以上の高解像度ドラレコを購入するなら、イメージセンサーの表記に着目し、2.5KならIMX675、4KモデルならIMX678を搭載している製品を選びましょう。
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