※2023年3月14日更新~2023年向けに内容を見直しました。
こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
この記事では2021年から2022年に掛けての実機テスト結果を踏まえて、2023年向けにユピテルのレーダー探知機のラインナップ、おすすめの製品とその理由について解説します。
レーダー探知機の王道メーカー、ユピテル
ユピテルはレーダー探知機3社の中では最もインターフェイスや細かい機能・性能面が洗練された王道を行くメーカーです。
この王道とは性能やシェアがNo.1であるという事ではなく、変化球を使わずに正攻法でレーダー探知機としてあるべき機能や使い勝手を追求し、ブラッシュアップして来たというニュアンスで使っています。
なぜ「ユピテルのレーダー探知機が一番優れている」と言わずに、このような曖昧な表現を使ってるかというと、本来レーダー探知機求められる最大の要素であろう「取締り回避能力」が他社品に比べて高いとは言えないからです。
「取締り回避能力」が高いとは言えないけれども、私が王道と考えるユピテルのレーダー探知機の具体的な特徴を挙げてみましょう。
なお、この特徴はあくまでも他社と比較の上での相対評価で、一部体感的なものを含みます。
・ほとんどの機種が静電式タッチパネル採用であり、それを前提にインターフェイスが刷新されている為に操作性に優れる
・過去にポータブルナビも生産していた関係で、フルマップ表示や警報アイコンが非常に見やすい
・警報音声を数種類から選ぶ事が出来る上、他社のように素っ気ないものではなく遊び心が感じられる
・他社製品よりも薄型で液晶のベゼル部分も少なく、コンパクトでスタイリッシュである
これらの特徴を強引にまとめると、快適性と趣味性が高いと言えようかと思います。
ただし、ユピテルのレーダー探知機には他社にはない大きなデメリットがあります。
それは年間5,000円近くのGPSデータ更新費用を要求される点です。
まず、この点が絶対に許容できない方にはブリッツ、セルスターの製品をおすすめします。
レーダー探知機業界の2023年の情勢
まず初めに2023年のレーダー探知機市場の情勢ですが、1月の段階ではこれと言って新しい話題はなく、各社とも2022年モデルまでのマイナーチェンジモデルを販売して行くのだろうと予測しています。
各社のレーダー探知機の機能面は、2021年以降ほとんど変化していませんので、まずは2021年の流れを押さえておく必要があります。
2021~2022年に掛けて、レーダー探知機市場に大きな影響を及ぼすトピックが4つありました。
コムテックによる従来の常識を破ったKバンド誤報対策の実装
2017年からユピテル・コムテックの2社は、従来とは異なるKバンド24.15GHzのレーダー波で取締りを行う、スウェーデンのセンシス「SSS」「MSSS」という小型オービスのでレーダー波の探知に対応する製品の販売を開始しました。(セルスターはかなり遅れて2021年から対応)
これは一見喜ばしい事に思えましたが、この24.15GHzの周波数は、自販機の動体検知レーダーや、マツダ車の後方センサーなどに使われているなどの事情から、都心部や市街地では大量の誤報がセットになってついて来る…という悩ましい事態に陥りました。

それまでKバンド受信に対応した製品を販売していたユピテル・コムテックの2社は、受信感度の調整などで対策を行ってきましたが、使われている周波数が同じという事で根本的な解決には至りませんでした。
ところが2021年に突如コムテックがKバンドの誤報を高精度で切り分け出来る「ZERO 709/809LV」という2つの製品を発売した事で一気に情勢が変わりました。

Kバンドの誤報機能により「ZERO 709/809LV」では、従来機と比べて誤報が1/10程度に減った事から、私は2021年のレーダー探知機は「ZERO 709/809LV」の一択と言う表現をしていました。(それまでは総合力が高いユピテル製品をおすすめする事が多かった)
コムテックの電波法違反からのリコール&修理対応
上述のような情勢から、2021年のレーダー探知機市場は久々に「ズバリこれがおすすめ!」と表現できる、珍しい状況になっていたのですが、突然のコムテックレーダー探知機の電波法違反によるリコール報道から状況は一変しました。

コムテックのレーダー探知機のうち、最近数年間に間に発売されている製品30万台は、電波法の基準を満たさず、CS放送の受信を妨害する恐れがある為、コムテックはこれらの製品を回収・修理する対応をとりました。
そして修理後には別人になっていた
LaBoon!!では、テスト用に購入した「ZERO 709LV」の修理完了後に、読者からの要望でKバンドの受信テストを行いましたが、以前は平均で300m手前から警報していた北本市のセンシスSSSでの警報距離は、30m未満と、修理前の1/10以下に低下している事が判明。

この時点では、今まで「ZERO 709/809LV」をおすすめして来た経緯もありまたので、みんカラから状況の報告・確認を依頼したものの、返信はなしのつぶて。
仕方がないので症状を伝えた上で点検を依頼しましたが、良・不良を判断する為の探知距離の基準などは教えて貰えず、「正常品」として返されました。
これにより、Kバンドの探知距離は30m未満が仕様の基準範囲であると解釈せざるを得なくなりました。
修理後の性能が、製品の最大の差別化ポイントを打ち消すような落ち方をしている点で、修理対応は最悪、それに対するサポート対応も最悪でした。
そしてコムテックは、なぜかレーダー探知機市場から撤退。
2022年には、ブリッツが新たにコムテックのOEM品と見られる製品で市場に参入しています。
ブリッツ製品のレビューは以下記事を参照して下さい。

2023年モデルではユピテル製品をおすすめするのか?
さて、ようやく記事タイトルの本題に入りますが、2021年の半ばまではコムテック一強からの自滅で、後半はユピテル製品を消極的におすすめせざるを得ない状況でした。
それまでコムテック製品をおすすめていた理由は、Kバンド誤報切り分け機能の実装に伴う誤報の大幅低減と、Kバンドの感度を最大限まで上げる事が出来るようになった事で、Kバンドの受信距離が伸びた点の2つです。
私はユピテルが2022年モデルで、コムテック方式のKバンド誤報切り分け機能を実装する事を期待していたのですが、残念ながらそれは実現せず、2022年モデルではレーザー探知の視野角を広げる、と言う機能のみが実装されました。
一方で前述のブリッツ2022年モデルでは、コムテック製品と同様にKバンド誤報切り分け機能がサポートされている上に、Kバンドの探知距離は100m弱まで回復していました。
これはユピテルの製品と比べると短い距離であり、必要充分な探知距離とは言い難いものではありますが、ユピテル製品の誤報も相当に多く、従ってユピテル製品がおすすすめ!とも言い難い状況です。
少なくとも私はコムテックOEMと見受けられるブリッツの製品は好きではありませんが、ユピテル製品の誤報の多さにも辟易していますので、消去法でブリッツ製品を選びます。

誤報が多少多くても良いやって方は、ユピテル製品を購入されると良いでしょう。
※仮にユピテルがコムテック方式のKバンド誤報対策を実装してくるようであれば、全力でユピテル製品を推しますが、この想いはたぶんメーカーには届かないでしょう・・・私には利害関係はないので、積極的に届けるつもりも全くないですけど(笑)
2022~2023年モデルはレーザー探知モデルとしては第四世代
2019年春にレーザーを探知出来るレーダー探知機が各社から発売されて以降、概ね年次でレーザー受信部の改善が行われていますが、ユピテルの2022年モデルはレーザー探知モデルとしては第四世代に当たり、メーカー基準では順当に探知能力がアップしているとされています。(2022年モデルには第三世代と第四世代が混在)
最新の第四世代では、2021~2022年モデルの第三世代と比べて、直線での探知距離は変わらないものの、水平方向の探知範囲が、従来の40°から60°まで広がったとの事です。
2022年モデルには、年始に発売された第三世代と、春以降に発売された第四世代が混在しており、ややこしい事になっていますが、型番で分けるとこのようになります。
探知距離以外の世代間の機能差
前述のリストに、第四世代廉価、第四世代SAKURA GAMESの2つの系統が出て来ており、第四世代には3系統のモデルが存在していますが、これらの製品はレーザー探知機構は同等ですが、次のような違いがあります。
※SAKURA GAMESは、以下の記事を参照

レーザー探知距離の世代間の差
次にユピテルのレーザー探知距離の世代間の差ですが
となっています。

従って私としては四世代にこだわる必要はなく、第三世代以降の製品中から価格を見ながら選べばよいと考えています。
まとめ
以上、ユピテルのレーダー探知機のおすすめモデルについて解説しました。
誤報が気にならない方はセパレートタイプの「LS710」辺りがおすすめです。
ユピテルの型番設定は複雑すぎてユーザー目線では100%ない
ユピテルの製品は従前から専門店・量販店・通販店・自社通販の4つの販路ごとに同一製品で別型番が割り当てられていますが、これは小売りやマーケティングを経験した事がある私には、わざと売り上げを落とすような施策に見えます。
モノを売る為には、モノがどんなものであるか、全く説明が不要である事が理想ですし、それがブランドの構築にも繋がります。
逆に説明が必要なモノほど、ユーザーを購買行動に導く為に説明を重ねなければなりませんし、その説明過程で離脱してしまう可能性もあります。
ユピテルが型番を分けている理由は、それぞれの販路の取引先の利益率を確保する為であろうことは想像に難くありませんが、これは全く以ってユーザー目線ではなく、売る側の都合です。
通販サイトや専門店では、必要な粗利率だけでなくサービス内容も異なり、それを理解した上でユーザーは販路を選んでいる筈です。
昔と違って型番を変えても、ネットで調べればある程度の事は分かりますし、もはやユピテルの製品を購入する場合には、ネットでの販路ごとの型番、価格を調べる手順が必須となっています。
こんな面倒な事をユーザーに強いるよりも、型番を統一して販売者のサポート力、ブランド力、販売力で差別化させた方が良いのではないでしょうか?
コメント
新車に乗り換えで、レーダー探知機も新しく購入しようと思い、こちらのサイトを拝見して勉強させてもらいました。大変ためになる情報に感銘しております。
セルスター製品がネット販売で、かなり安くなっており、購入を考えましたが、今ひとつオススメではないようなので、ユピテルかブリッツにしようと思ってます。
ユピテルの1000シリーズ、もしくはセパレートタイプ。
それとブリッツのTL311R、TS401Rでかなり迷っております。
臣さまに背中を押していただきたく思います。
迷惑でなければヨロシクお願いします。
ラストカー様
ユピテルはKバンドの誤報対策がないのでブリッツが良いですよ。
早速のコメントありがとうございます!
これで迷わずブリッツ製品を購入しよう思います。
これからも当サイトをチェックして知識を高めたいと思います。
ありがとうございました。
ラストカー様
また何かございましたらご相談ください。
YUPITERUから「受信範囲拡大により業界で初めて新レーダー波 移動オービスMSSSに対応した新レーザー&レーダー探知機を発売します。」というアナウンスが出ました。
https://www.yupiteru.co.jp/corp/news/230320.html
teru_qq様
確か、従前よりMSSSは周波数の調整が可能との事でしたが、技適認証は24.15Ghzで受けていしたので、日本での運用は24.15Ghzのみと認識していました。
https://www.tele.soumu.go.jp/giteki/SearchServlet?pageID=jk01&NUM=&NAM=%82rensys%81%40%82sraffic%81%40%82%60%82a&FOM=&PC=&YAR_FROM=&MON_FROM=&DAY_FROM=&YAR_TO=&MON_TO=&DAY_TO=&RAD=00-00-00-00&TEC=1&TEC=2&TEC=3&TEC=4&TEC=5&TEC=6&TEC=7&SK=0&DC=0&SC=1&as_fid=b5d9cda81541a4265527dd96da99acac45974e42#searchlist
実際の運用では24.15GHz以外の周波数も使われていたのかも知れないですね。
ユピテルの今回の発表は受信帯域を広げたと言う事かと思います。