こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
LaBoon!!には継続的に新規の中華ドラレコメーカーからのレビュー依頼が入ってくるのですが、最近ではよほど興味をそそられるような製品でない限り、新規メーカーさんのレビュー案件は受けていません。
このような状況下で、最近依頼が来た中華ドラレコメーカーのスマートミラーのうち、4K+WiFi対応と言う、私の気を引くような製品があったのですが、価格帯とハードウェア構成を考慮するなど、何かを偽装してそうな印象を受けました。
そこで、この製品と全く同じではありませんが、最近の中国工場がセールスしているスマートミラーについて、仕入れ価格とスペックをチェックしてみました。
4K+2.5KのWiFi対応スマートミラーだと?
まずは、こちらのAlibabaで、Shenzhen Huibai Trading Co., Ltd.が掲載しているこのスマートラーを見て下さい。
■H8カーカメラダッシュカムフロントリア4K2KバックミラーGPSWIFIカーブラックボックス付き
この製品の主な仕様はこちらの通りとなっています。
ミラー型のドラレコは、箱型の製品と比べると廃熱の問題なのか?録画スペックを抑えた製品が多いのですが、この製品は前後カメラを合わせると約1200万画素の録画を行う仕様とされています。
現時点では、品質重視の日本メーカーでは、ミラー型ではなく箱型の製品ですら、4K+FHDの1000万画素相当が限界です。(ユピテルのY-4K)
因みに4Kのフロントカメラは30fpsではなく、23fpsと負荷を落としています。
VANTRUEのX4S、VIOFOのA129 Proなどは、4K/30fps+FHD/30fpsの録画モードがありますが、これらは私が見る限りではハードウェアの限界近いところまで負荷を掛けている印象です。
Hisilicon 3556v200は4K録画には非対応
そもそもこの製品に使われている「Hisilicon 3556v200」は、2688×1600の430万画素相当までのエンコードにしか対応していません。
2カメラの場合には、2688×1600/30fps+1024×576/30fps、つまり500万画素相当/30fpsのエンコードが限界とされています。
このハードウェアスペックでは、フロント3840×2160+リア2560×1440の1200画素相当のエンコードを行う事は明らかに無理がある事が分かります。
このように工場段階の仕様がかなり怪しい事になっていますが、今後日本のamazonなどでこのような製品が出てくる可能性は大きいと考えています。
因みにイメージセンサーがIMX415と表記されていますが、こちらも怪しいと思っています。
日本で4KとかSONYセンサーとか謳っている1万円台前半の製品は怪しさ全開
日本のamazonでも、IMX415で4K録画を謳っている1万円台前半の製品も多いですが、今回ご紹介した製品の仕入れ原価を見て頂くと、それが如何にあり得ない価格かが分かると思います。
日本のamazonでスマートミラーを販売する業者は、1000個単位で仕入れていると事が多い様に見受けられますが、この製品の場合1000個の仕入れ単価は76.5$です。
1ドル130円で計算すると約1万円ですが、日本の通関を通る時に10%程度の輸入消費税が掛かりますし、輸送量などまで含めると輸入原価は11,500円くらいになると思います。
これをamazonのフルフィルメントセンターを使って販売した場合、売価の10数パーセントが手数料としてamazonに取られます。
従って13,500~14,000円で販売してようやく赤字にならない程度です。
以下に中華メーカーであっても、このようなEC販売やサポート対応が出来るスタッフの上海や深圳の人件費は日本と変わらないか、それ以上になっていますので、20,000円くらいで売らないと割に合わないのではないかと思います。
サポート対応をしっかりやりたいなら、もっと高く売りたいことろで、VANTRUEの売価を見ると「まぁ、それくらい取らないとやっていけないよね?」的なところに落ち着いています。
このような工場側の背景を見ると、あまりにも安い商品はそれなりの仕様で、サポート対応もそれなりだろうと言う事が分かりますね。
因みにWiFi対応の製品を日本で使用する為には技適認証が必要ですので、もっと高くなります。
怪しい中華メーカーはそんなの一切お構いなしですが。(そもそもそんな法令知らんと言うスタンス)
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