こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
ここ数年のドライブレコーダーのカメラ性能の進化は目を見張るものがあり、3年前の製品と比べると圧倒的に画質が向上しているものが増えていますが、一方で同じくカメラを使用したカーエレクトロニクスのバックカメラは過去数年間で各社ともほとんど開発リソースを投入していない事から、一昔前の塩スペックの製品が継続販売されていました。
ところが、2019年に入り突如としてこの流れに変化が見られ、ケンウッドやパナソニックなどの大手カーナビメーカーはドライブレコーダーで主流になっているHDR補正に対応したバックカメラを市場に投入し始めています。
ケンウッドの製品は自社カーナビ専用の100万画素、パナソニックは汎用の30万画素モデルですので、いずれパナソニック製品のレビューを…と考えていたのですが、今回はちょうど良くMAXWINから発売されているHDR対応の200万画素の動体検知警報付き汎用バックカメラ「CAM21」のレビューの依頼を頂きました。
「CAM21」のスペック
「CAM21」のカメラスペックは以下の通りです。
バックカメラとしての視野角は標準よりも広めの水平140°、イメージセンサーにはSONYの200万画素のSTARVIS対応センサーが採用されています。
STARVISセンサーのHDR補正は最近のスマートミラー型ドラレコの主流となっており、昼夜の良好な視界の確保が期待出来ます。
なお、イメージセンサーの画素数は207万ですが、カーナビ側はアナログのRCA出力ですので34万画素程度になります。
動体検知による近接警報
また、「CAM21」にはHDR対応以外にも「動体検知による歩行者などの近接警報」を行うという大きな特徴があります。
※時速5km以下でバック時に身長80cm以上の人間を検知可能との事
精度に関しては実機を試してみないと分かりませんが、コーナーセンサーとは異なり、動体のみを検知して警報を発する仕組みのようです。
デザインとセット内容
※動画レビューはこちら。
「CAM21」のセット内容はこちらの通りです。
①カメラ本体+50cmケーブル
②スピーカー50cmケーブル
③RCAケーブル6.5m
④スピーカー
⑤取付部品
⑥取扱説明書
カメラ部分はバックカメラとしてはかなり大き目です。
因みに今回画質の比較を行ったデータシステムの「MVC811」と比べるとこれくらいの差があります。
ステー部分のボルトは六角レンチで緩めるタイプですが、レンチは付属していませんでしたので、別途用意する必要があります。
MAXWINさんに確認したところ、レンチの適合は2.5mm角との事でした。
このサイズのレンチが左右で計2本必要になります。
カメラから伸びているケーブルは50cmと短めですので、車種によっては接続部分が車外に出てしまう事もあるかも知れません。
カメラをスピーカー中継ケーブルに接続し、その先をさらにRCAケーブルに繋ぎます。
バック信号はフロント、リアのどちらからも取れるように赤線がケーブルの前後に生えています。
スピーカー部分には警報音量のOFF/LOW/HIGHのスイッチがあり、HIGHの状態で動体を検知するとかなりの大音響で警報が鳴り響きます。
なお、ギアをリバースに入れて映像がカーナビに表示されるまでには2~3秒のタイムラグがあり、やや遅めの起動となります。
「CAM21」の画質の比較
今回はデータシステムの「MVC811」と画質を比較する為に、ランエボ10のナンバー上に仮留めした後、最後にはリアスポ下に「CAM21」を設置しています。
なお、カーナビの画面をカメラで撮影した場合、撮影側カメラの露出調整機能が働いたりダイナミックレンジの限界を超えて白飛びが強く出てしまうので、パソコンでバックカメラの映像をキャプチャリングした上で比較を行っています。
視野角について
「CAM21」の視野角は水平140°と表記されていますが、水平180°の「MVC811」と比べるとやや狭いものの、バックカメラ全体の中では広めの視野角と言えます。
昼間の画質
「CAM21」はHDR対応という事で白飛びには強いと予測していましたが、実際はそうでもなくむしろ「MVC811」の方が白飛びに強いという結果でした。
HDR対応と謳われているので、同じく「IMX307」を使用したHDR対応スマートミラーの各種製品と似たような見え方を予測していましたが、ちょっと違う感じです。
【G840S旧以外がHDR対応】
ただ、「MVC811」自体がバックカメラとしてはかなり白飛びに強い方なので、「CAM21」は一般的なバックカメラと比べると白飛びに弱いという事もないと思います。(あくまでもHDRという前提に対してはやや肩透かし?という感じ)
夜間の画質
「CAM21」は昼間はそこそこ白飛びが出ていますが、どうやら夜間特化のチューニングらしく「MVC811」と比べると抜群の明るさでした。
「MVC811」の方は色数を落として白黒に近い状態で明るさを確保しており、全体的にぼんやりした見え方になっていますが、「CAM21」はイメージセンサーが夜間撮影に特化したSTARVIS対応の「IMX307」である為、夜間の暗い場所でも周囲が明るくハッキリと映っています。
こちらの画像は街灯のない場所でポジションとナンバー灯、バックランプのみが点灯している状態での撮影ですが、iPhone 7の録画機能ではこのような明るさになります。
なお、HDRらしいヘッドライトの防眩効果は認められず明るさ全開の特性ですが、バックカメラとしての運用を考えた場合にはこのように後続車のヘッドライトの直撃を受けるようなシチュエーションはほとんどないと考えられます。
動体検知警報について
「CAM21」はカメラ起動中に動体を検知すると、画面への警告表示と合わせて大音量の警報が鳴ります。
検知範囲は広く警報のレスポンスも速い印象で、画面の範囲内に動体が入るか入らないかのタイミングで警報が鳴り始めます。
警報音はかなり大きいので、静かなHV車などでも歩行者が気が付かないという事はまずないと思います。
離れた位置を車が横切った時に誤報が出る事もありますが、バック時の安全面を考えた場合には実用性は高い機能だと感じました。
取付けについて
取付けについてはスピーカーケーブルの存在以外は一般的なバックカメラと変わりませんが、気になった点、バックカメラ取付の際にやっておいた方があとあと便利になる作業について解説します。
カメラからの伸びているケーブルが短い
通常のバックカメラは、カメラ側のケーブルの長さに余裕を持たせて3~4mあるものが多いですが、「CAM21」は50cmしかありません。
これの何が問題なのかというと、車種によっては接続部が車外に露出してしまう可能性があります。
因みに今回は最終的にデータシステムの「MVC811」との入れ替えを行っていますが、ランエボ10の場合にはナンバー上にカメラを取り付けた場合、ケーブルはこのような長い経路で引き上げる事になります。
前に付いていた「MVC811」の場合には、この部分のケーブルが4mあったので特に問題はありませんでしたが、今回取り付けた「CAM21」については50cm、さらにスピーカーケーブルも50cmと短い為に、この経路ではスピーカーも車外に露出する事になります。
最終的にはカメラをリアスポ下につける為に、リアスポとトランクに穴あけして配線を車内に引き込みましたので接続部とスピーカーの露出は避けられましたが、車種によってはかなり工夫が必要なケースもあるかも知れません。
機種変更の事も考えておくと良いかも?
バックカメラは電子製品ですのでいつかは壊れます。
壊れた時にカーナビを引き出して配線を挿し直すのも面倒なので、このようなRCA延長ケーブルをカーナビ裏に挿し込んでおくと、故障や次回の交換の作業が楽になるでしょう。
因みに今回取り付けたランエボには、2年前のバックカメラ交換時に延長ケーブルを仕込んであります。
「CAM21」の総評
「CAM21」の評価をまとめると以下の通りとなります。
①視野角はバックカメラとしてはやや広めの水平140°で充分な広さ
②昼間の白飛びにはそれほど強くはなく標準クラス
③夜間は超絶明るい、ただしヘッドライトの防眩能力は標準クラス
私が今まで使用してきたバックカメラの中では最も高画質で、道路や障害物の境界線がはっきり見えますので、今まで使ってきたバックカメラが普通の製品なら違いが体感し易いのではないかと思います。
特に夜間の視認性に特化していますので、自宅や月極駐車場が薄暗い人におすすめの製品です。
今まで使ってきた6種類のバックカメラと比べてもこの製品が一番見易いです…間違いなく。
パナソニックのHDRモデルがどの程度の見え方なのかが気になるところでもありますね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント