半年くらい前にドラレコ用の駐車監視バッテリーのテスト案件として本記事でご紹介していたikeepの製品ですが、多少の仕様の変更を加えつつ、7月31日より正式販売される事になりました。

■ ikeep公式サイト

現在、基本バージョンの「EN6000」のみの正式販売となっており、「EN12000」については8月中の販売開始予定との事。

「EN6000」「EN12000」の特徴

ドラレコの駐車監視用のバッテリーとしては、最近MEDIKさんの「UPS300/400/500」についてご紹介したばかりですが、「EN6000」「EN12000」の特徴は容量の大きさだけではなく、その充電時間の短さとなります。

大体のドラレコの駆動時間と本製品への充電時間の目安ですが、2カメラドラレコであれば18~24時間程度の駐車監視に対して必要となる充電時間は50分間です。

片道25分の通勤路であれば、出勤時に9~12時間分、帰路で9~12時間分の電力が蓄えられる計算です。

もちろん、全く車に乗らない場合には充電されませんので、駐車監視をする前には少しは車を動かす必要があるのですが、その時間が他の製品に比べると圧倒的に短くて済む、と言うのが「EN6000」「EN12000」の差別化ポイントになりますね。

「EN6000」「EN12000」のスペック

「EN6000」「EN12000」のスペックは以下の表の通りとなります。

「EN6000」が基本バージョン、「EN12000」が2倍容量の上位モデルとなり、超絶38~70時間の連続駐車監視を可能としています。(充電時間は2倍の100分掛かります)

容量が大きいのでそこそこサイズも大きくなりますが、サイズ感や製品の動作概要については以下の動画を見て頂くと分かり易いと思います。

「EN6000」「EN12000」の使い方

「EN6000」「EN12000」のは所定の方法で設置を行う事で、通常の車のバッテリーから電源を貰っている状態と同じようにドラレコの駐車監視が使えるようになります。

エンジンやHV・EVシステムをONにすると、通常と同じく常時録画モードで録画されます。

ドラレコ側の駐車監視モードの設定がONになっている状態であれば、エンジンやシステムOFFで駐車監視モードになります。

「EN6000」「EN12000」の取付方法

そもそも現物が手元にないので、プロトタイプのサンプルでの説明になりますが、こちらのプロトタイプは「EN6000」よりも大きく「EN12000」よりも小さいものとなります。

正面にはドラレコに接続する出力側、車側に接続する入力側に当たる端子があり、中央には入力電圧・電流が表示されています。(この辺りの仕様は同じだそうです)

 

①ドラレコへの出力はACC・常時・アースとの3芯ケーブル(長さ2m)

ドラレコ専用の駐車監視ケーブルとキボシ接続を行います。

②車両側との接続についてもACC・常時・アースの3芯となります。(長さ2m)

写真ではキボシ処理をしてありますが、初期段階ではマイナスのリング端子しか付いておらず、赤と黄色は切りっぱなしの状態です。

③車両側は黄色を常時系統のヒューズ、またはバッテリーの+端子に接続します。

※車種によってはバッテリーに直接接続した方が充電が速くなる事があるそう

赤線はACCのヒューズに接続します。

バッテリーに直接に接続する場合

入力側のケーブルをバッテリーに直接接続する場合には、黄色線の先端にリング状のキボシ端子を使います。(クワ型でも良さそうですけど念の為)

【以下、黄色線を延長していますので写真は赤いです】

こんな感じでバッテリーの+と-端子に黄色と黒のケーブルを接続します。

黒は車体の金属部分ならどこに接続してもOKです。

室内置きのバッテリーの場合には配線処理は簡単ですが、室外置きでバッテリー直での接続をする場合には車内への引き込みの難易度が高くなりので、専門業者にお願いした方が良いと思います。

赤線については車のヒューズボックスのACC系統に接続します。

この線に流れる電流の大きさは知れてますので、シガーソケットなどのヒューズに接続しても問題ないでしょう。

車両ヒューズに接続する場合

黄色線を車両ヒューズに接続する場合には、少々注意が必要です。

この黄色い線には8.0A以上の大きな電流が流れるので容量が小さいヒューズから電源を取るとヒューズが切れる可能性があるからです。(大きい電流用なのでケーブルが太い)

メーカー推奨は「15A以上の常時電源ヒューズから電源を取る」となっており、こちらのような電源取り出しケーブルのどちらかを使用します。

どちらでも構わないと思いますが、エーモンの黄色い線はヒューズボックス側は15A/20Aのヒューズ、ガジェット側は10Aのヒューズ管が入ったものになりますので、充電流が10Aを超えたらヒューズ管が切れます。(仕様上はMAX8~9A程度だそう)

そう考えるとこのような差し替えタイプで20Aのヒューズから電源を取った方が安心のような気がしますね。

これらのヒューズを使って常時電流が流れている系統から電源を引きます。

設置場所は助手席下辺りが良いと思います。

「EN6000」「EN12000」の動作の仕組み

こちらは詳しく「EN6000」「EN12000」の動作について知りたい方向けの説明です。

取付を業者に依頼する場合には理解していなくても問題はありませんが、本製品はエンジンやHVシステムがオフであっても、ACCがONであれば急速充電を受け付けます。

ACCがONの状態とは、ブレーキを踏まないで起動ボタンを押した状態、またはキータイプならキーを1回段階だけ捻った状態であり、これは車の発電機が回っていない状態です。

発電機が回らない状態でも車のバッテリーから「EN6000」「EN12000」に急速充電されます。

従って「EN6000」「EN12000」が腹ペコの状態ではACCだけをONにする状態にはせず、必ずエンジン・HVシステムもONにしましょう!

さもないと車のバッテリーの寿命が縮む恐れがあります。

ACCがオフ/オンでの動作

ACCオフでの「EN6000」「EN12000」の動作は以下の通りとなります。

①ACC信号が切れると黄色線の回路も自動的に遮断され、バッテリーと車両は回路が切り離された状態になる

②ドラレコ側の接続はACC系統が遮断され、常時系統のみから給電されて駐車監視モードに入ります。

③3芯ケーブルのドラレコはACCと常時の両方が通電している状態から、ACCがオフになると駐車監視モードに入ります。

※ACCと常時を同時に切断しても駐車監視に入りました。

ACCがONになると、車から「EN6000」「EN12000」への充電が開始され、ドライブレコーダーにはパススルー給電が行われて常時録画モードになります。

「EN6000」「EN12000」にはスイッチ類はありません

「EN6000」「EN12000」には、ドラレコ側への電流を制御するスイッチはありませんので、駐車監視をOFFにしたい場合はドラレコ側で以下のいずれかの操作が必要です。

①ドラレコの電源ボタン・スイッチで電源オフ

②ドラレコ側の電源ケーブルを抜く

③駐車監視を一時オフにする

手元で電源を管理したい場合には、ドラレコとバッテリーの間にスイッチなどを噛ませると良いでしょう。

スイッチの噛ませ方

スイッチを噛ませて手元で電源を管理したい場合には、以下のような1.0A以上の電流が流せるタイプのものを選びます。

おそらく…専門店で取り付けを頼むのであれば説明しなくても分かると思うのですが、3芯ケーブルのドラレコは黄色の常時電源線で電源のON/OFFを管理していますので、このスイッチをドラレコの黄色のケーブルに割り込ませます。

①「EN6000」「EN12000」の白とスイッチの赤を接続

②「EN6000」「EN12000」の赤とドラレコケーブルの赤を接続

③「EN6000」「EN12000」の黒とスイッチの黒、ドラレコケーブルの黒をY字に接続

④スイッチの黄色とドラレコケーブルの黄色を接続

図にするとこんな感じになります。

なお、このスイッチのケーブルは短めなので、配線を延長して、スパイラルチューブなどでグルグル巻きにすると車内で目立たなく出来そうです。(キボシではなくはんだ付けが良さそうですけど)

シガープラグタイプのドラレコにも使える

「EN6000」「EN12000」は以下のようなシガーソケットを使用する事でシガープラグタイプのドラレコにも使用可能です。

以下のように赤線(ACC)は接続せず、常時(+)とアース(-)のみを接続します。

①ソケット+線と「EN6000」「EN12000」の白線を接続

②ソケット-線と「EN6000」「EN12000」の黒線を接続

シガープラグタイプのドラレコは電源ボタンの長押しで電源の管理をするもの、スイッチそのものがない物が多いので、先程のスイッチと組み合わせて手元で電源を管理すれば運用がスマートになりますね。

「ZDR-015」での駐車監視駆動時間

こちらはサンプルの6600mAh/12.8Vを使用してのテスト結果ですので、EN6000では10%程度駆動時間が短くなり、EN12000ではその2倍の駆動時間となります。

コムテックの「ZDR-015」は2カメラドラレコとしては比較的使用電力が大きめのモデルですが、「常時録画+衝撃検知」モードでの駐車監視の連続駆動時間は20時間20分でした。

バッテリーへの充電状況のテストに関しては、サンプルの6600mAhを一旦使い切った状態から、以下のように車載ではなく12Vの廃バッテリーを車と切り離した状態で行ってます。

バッテリーは車載した状態ではありませんので、車載した状態で言うところのエンジンOFFでACCのみONの状況下での充電テストとなります。(これはやってはならないやつです)

この状態での入力電力は11.7V/8.5A程度で推移しました。(「ZDR-015」を駆動させながらの充電)

鉛バッテリー自体の電圧は12.6V程度出ている状態です。(あくまでも入力が11.7V)

 

この状態で5分の充電を行い、その後駐車監視を起動させたところ、2時間の駆動が可能でした。

更にその後に25分の充電を行い、その後駐車監視を起動させたところ、8時間40分の駆動が可能でした。

やはり最初の5分は充電効率が良く、徐々に下がって行く感じですね。

 

なお、給電側となった廃バッテリーは150Wh程度の容量しかないので、充電効率が悪かった可能性があります。

後日、車載で新品に近い鉛バッテリーを使用し、エンジンをオンにした状態で入力電圧、電流については、以下の通り13.5V/8.64Aとなっています。

バッテリーの電圧は14.5Vでしたので、こちらもおよそ1V落ちた電圧が充電圧になっています。(アイドリング状態で5分)

この状態で5分の充電を行い、その後駐車監視を起動させたところ、2時間20分の駆動が可能でした。テストした車は充電制御車ではありませんが、走行時はもう少し電圧が上がるかも知れませんね。

25分の充電は試してませんが、おそらく10時間程度の駆動時間が確保できるのではないかと思います。

2カメラではなく、単体のドラレコであれば5分の充電で5時間弱、25分であれば20時間くらい動きそうです。

「LiFePO4」の安全性について

「EN6000」「EN12000」には「LiFePO4」と言う種類のリチウムイオン電池が使用されています。

リチウムイオン電池は、その名の通り「リチウム」(Li)と言う元素のイオン(電荷を帯びた状態)を使用した電池で、車の鉛電池やニッケル水素電池などと比べると体積当たりのエネルギー密度が高く、充電・放電効率に優れるという特徴を持っています。

ただし、その代償として熱に弱く、熱による膨張や衝撃による変形で電解液が漏れてしまったり、それが基盤に触れる事で発火や爆発などの事故も起きています。

とは言え、リチウムイオン電池には正極材の種類や電解液などに様々な種類の物が存在しており、全てが危険と言う訳ではありません。

スマホで爆発や発火事故などを起こしているのは「リチウムポリマー」(LiPo)が多く、ユピテルで発火事故が起きてリコールとなったモデルのバッテリーも「リチウムポリマー」ですが、同じリチウムイオン電池の中にもHVやEV車の駆動用バッテリーなどにも使用されている安全性の高いものもあります。

 

「EN6000」「EN12000」に採用されているリチウムイオン電池は、HVやEV車の駆動用バッテリーとしても採用されている「LiFePO4」と言う、正極材にリン酸鉄を使用した電池となります。

■ 「LiFePO4」の安全性~COTAC

「LiFePO4」はその一方で他のリチウムイオン系の電池に比べると、体積当たりのエネルギー密度に劣り、サイズと重量の面では不利になりますが、安全性と充電回数、事故放電率の少なさの面では他のリチウム電池よりも優れています。

COTACの説明によると以下の通りとなっています。

①サイクル回数~「LiFePO4」は2,000回、ニッケル水素は300回、コバルト酸リチウムは400回、マンガンリチウムは500回

②自己放電率(%)(毎月)~「LiFePO4」は1%、ニッケル水素は30%、コバルト酸リチウムは3%、マンガンリチウムは5%

③安全性~「LiFePO4」は「安全」、ニッケル水素は「良」、コバルト酸リチウムは「熱暴走の恐れあり」、マンガンリチウムは「熱暴走の恐れあり」

…という訳で、現時点ではリチウムイオン電池の中ではもっとも安全性が高いのが「LiFePO4」と言う事になりそうですね。

まとめ

以上、ikeepのドラレコ駐車監視用バッテリー「EN6000」「EN12000」についてご紹介しました。

自宅でも駐車監視をしたい方、または滅多に乗らない車でも外出先では長時間の駐車監視をしたい、という方にはベストに近い選択肢かと思いますので、この機会に検討してみては如何でしょうか?

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

■ ネット通販で購入した持ち込みパーツの取り付け店舗の探し方

この記事が気に入ったらいいね!しよう