※2019年1月21日更新~「ZDR-015」での駐車監視駆動時間のテスト状況について追記しました。

ドライブレコーダーの駐車監視モードは原則として車の12Vバッテリーを使用して駐車中に監視を行うものですが、一定電圧以下でのカットオフ機能を使用したとしても、バッテリーの寿命を縮めると言う弊害も発生します。

メンテナンスタイプの安いバッテリーであれば、さほど気にする必要はないかと思うのですが、2~3万円するようなメンテナンスフリーや室内置きのバッテリーを搭載する車の場合、本来の寿命が3年のところ、2年になってしまったりするとちょっとした痛手になります。

あとは車を大事にしている方の場合には、バッテリーの劣化を早める行為は精神衛生上あまりよろしくないと言う部分もあり、モバイルバッテリーやその他の車載用の外部電源を搭載している方も徐々に増えている模様です。

車載のドラレコで設計された外部バッテリー

モバイルバッテリーの場合、本来車載で使用する為に設計されている訳では無く、安全面の部分では疑問符が付く部分もあり、その代替としてはベセトの「UPS300」やユピテルの「OP-MB4000」などの専用バッテリーをおすすめしています。

ただし、これらの製品は最大で12時間程度のドラレコ駆動が可能ではありますが、空の状態から満充電に3時間もの時間が掛かると言う運用面での問題点もあります。

走行時間が短く、駐車監視の時間が長いと言う条件下では使い勝手が悪くなり、毎回この駆動時間の部分でご質問を頂いていますが、製品の仕様である為、複数のバッテリーを用意する以外は有効な手立ては今のところありません。

メーカー依頼の未発売製品のテスト

…という訳で、今回はこの問題点を解決出来るかも知れない製品のテストを、とあるメーカーさんからご依頼頂いています。

メーカーや製品名はまだ公表出来ませんが、取り敢えず「パワーバッテリー」とでも呼んでおきましょう。

「パワーバッテリー」のスペック

この車載バッテリーのスペックは以下の通りです。

①容量~6600mA×12.75V=84Wh

②入力電力~(6.0A-9.0A)×(8.0V-14.6V)=48-134Wh

③満充電時間~50分

 

84Whと言う容量が大体どれ位になるかと言うと、標準的な単体モデルのドライブレコーダーが5V×0.4A=2W程度ですのでおよそ42時間程度の駆動が可能となる電力量となります。(2カメラモデルだと19~28時間くらい?)

駆動時間については、ドラレコの消費電力にもよりますし、モデルによってかなりバラツキがありますが、24時間を超えた駐車監視が可能である点はかなり有難いですね。

また、充電時間についても50分でほぼ満充電になるとの事ですので、1分当たりの充電量は1.68Wh(実際には空に近い状態ほど充電効率は上がる)、となります。

例えば通勤で片道25分以上走るのであれば、常に半分以上の充電量から駐車監視をスタートする事が出来ますので、2カメラモデルであっても職場で10~14時間、帰宅後にも10~14時間くらいの監視が可能です。

こう言った運用方法であれば、常に12時間程度分のバッテリーが減っている状態からの充電なので、充電効率が上がり、25分の充電でももう少し長い時間の駆動が可能かも知れません。

「ZDR-015」での駐車監視のテスト

過去に「ZDR-015」の駐車監視中の使用電力(常時録画+衝撃録画)を計測した際、平均だと4.44W程度の消費電力でしたので、19時間程度の駆動時間が理論値となります。

※「ZDR-015」はかなり電費が悪く、2カメラでも省電力なモデルであれば3W程度の物もあります。この場合には28時間が目安になりますね。

「ZDR-015」での駆動時間については、ただいまテスト中で、以下の内容について検証の予定です。

①満充電からの連続駆動時間

②一旦空にしてから10分間充電を行った状態からの連続駆動時間

③一旦空にしてから25分間充電を行った状態からの連続駆動時間

「パワーバッテリー」のその他仕様

このバッテリーの出入力端子と、車両側との接続は以下の通りとなります。

①ドラレコへの出力はACC・常時・アースとの3芯ケーブル

ドラレコとはそれぞれドラレコの駐車監視ケーブルとキボシ接続を行います。

 

②車両側との接続についてもACC・常時・アースの3芯となります。

写真ではキボシ処理をしてありますが、初期段階ではマイナスのリング端子しか付いておらず、赤と黄色は切りっぱなしの状態です。

 

③車両側は黄色を常時系統のヒューズ、またはバッテリーの+端子に接続します。

ACCがオンになると、この黄色の野太いケーブルからバッテリーへの急速充電を行いますが、常時系統に接続してもACCがオンの状態でなければ通電はしません。

なお、このケーブルは最大で9.0Aの電流が流れますので、バッテリー直が理想的な気がしますが、ヒューズボックスに接続する場合には15A以上のヒューズスロットに、以下のようなフリータイプの電源取り出しケーブルを挿し込み必要があります。

 

④赤のケーブルをヒューズボックスのACC系統に接続します。

この赤のケーブルはACC信号の送信のみに使われ、給電用ではありません。

エンジン(ACC)がオフ/オンでの動作

今回はひとまず車には取り付けず、廃バッテリーを使用して動作の確認を行いました。(色々見苦しい部分がありますが、そこは突っ込まないで下さい)

入力用の赤ACCと黄色ACCはまとめてバッテリーの+端子に接続していますが、これは原理的には赤も黄色も車両のACC系統に接続しても構わないっぽいです。(どうせACCがオフになると常時系も遮断されるので)

ただ、理想はバッテリー直である事と、ACCのヒューズには10Aまでしかない車もあるので、敢えてACCと常時を別系統に分けているっぽいですね。

 

エンジン(ACC)オフでの動作は以下の通りとなります。

①ACC信号が切れると黄色線の回路も自動的に遮断され、バッテリーと車両は回路が切り離された状態になる

②ドラレコ側の接続はACCが遮断され、白(なぜか黄色ではない)のケーブルにバッテリーの電力を供給します。

③3芯ケーブルのドラレコはACCと常時の両方が通電している状態から、ACCのみがオフになると駐車監視モードに入ります。

※ACCと常時を同時に切断しても駐車監視に入りました。

 

なお、このバッテリーにはスイッチがありませんので、駐車監視をオフにしたい場合はドラレコ側で以下のいずれかの操作が必要です。

①ドラレコの電源ボタンで電源オフ

②ドラレコの電源ケーブルを抜く

③駐車監視を一時オフにする

 

手元で電源を管理したい場合には、ドラレコとバッテリーの間にスイッチなどを噛ませれば良さそうですね。

 

エンジン(ACC)オフからエンジン(ACC)オンにすると、以下のような動作となります。

 

・駐車監視から復帰の場合

①車両とパワーバッテリーを接続する赤・黄のケーブルが通電し、バッテリーへの充電が開始される

②ドラレコ側への赤ACC線の信号が復活し、駐車監視を終了して常時録画に入る

 

・駐車監視をしていない場合

①車両とパワーバッテリーを接続する赤・黄のケーブルが通電し、バッテリーへの充電が開始される

②ドラレコ側への黄常時線への通電・赤ACC線の信号が復活し、ドラレコの電源が入る(スイッチがトグル式のドラレコの場合、スイッチをONに戻します。長押しで電源をオフにするタイプであればドラレコ側の操作不要)

「LiFePO4」の安全性

「パワーバッテリー」には「LiFePO4」と言う種類のリチウムイオン電池が使用されています。

リチウムイオン電池は、その名の通り「リチウム」(Li)と言う元素のイオン(電荷を帯びた状態)を使用した電池で、車の鉛電池やニッケル水素電池などと比べると体積当たりのエネルギー密度が高く、充電・放電効率に優れるという特徴を持っています。

ただし、その代償として熱に弱く、熱による膨張や衝撃による変形で電解液が漏れてしまったり、それが基盤に触れる事で発火や爆発などの事故も起きています。

とは言え、リチウムイオン電池には正極材の種類や電解液などに様々な種類の物が存在しており、全てが危険と言う訳ではありません。

スマホで爆発や発火事故などを起こしているのは「リチウムポリマー」(LiPo)が多く、ユピテルで発火事故が起きてリコールとなったモデルのバッテリーも「リチウムポリマー」ですが、同じリチウムイオン電池の中にもHVやEV車の駆動用バッテリーなどにも使用されている安全性の高いものもあります。

 

「パワーバッテリー」に採用されているリチウムイオン電池は、HVやEV車の駆動用バッテリーとしても採用されている「LiFePO4」と言う、正極材にリン酸鉄を使用した電池となります。

■ 「LiFePO4」の安全性~COTAC

「LiFePO4」はその一方で他のリチウムイオン系の電池に比べると、体積当たりのエネルギー密度に劣り、サイズと重量の面では不利になりますが、安全性と充電回数、事故放電率の少なさの面では他のリチウム電池よりも優れています。

COTACの説明によると以下の通りとなっています。

①サイクル回数~「LiFePO4」は2,000回、ニッケル水素は300回、コバルト酸リチウムは400回、マンガンリチウムは500回

②自己放電率(%)(毎月)~「LiFePO4」は1%、ニッケル水素は30%、コバルト酸リチウムは3%、マンガンリチウムは5%

③安全性~「LiFePO4」は「安全」、ニッケル水素は「良」、コバルト酸リチウムは「熱暴走の恐れあり」、マンガンリチウムは「熱暴走の恐れあり」

 

…という訳で、現時点ではリチウムイオン電池の中ではもっとも安全性が高いのが「LiFePO4」と言う事になりそうですね。

「LiFePO4」はサイズがやや大きくなる

「LiFePO4」のデメリットは他のリチウムイオン電池と比べると、サイズが大きくなってしまう点です。

…、という訳なので同容量のモバイルバッテリーと比べるとかなりの大きさになります。

「UPS300」や「OP-MB4000」と比べてもかなりの大きさです。

ただし、容量的にはこれらの3倍程度になりますので、モバイルバッテリーと比べると大きいですが、車載バッテリー全般から見るとそこまで大きいという訳では無く、厚みがそれほどないので座席下などに置く事は充分可能でしょう。

サイズについては150W*175D*35H(mm)となります。厚さがそれほどでもないのでバカでかい…とまでは行かないかと。

 

このバッテリーについては、まだ価格や発売日は決まってないそうですが、多分3万円くらいになると思います。

諸々のテスト状況に関しては後日追記を行います。

「ZDR-015」での駐車監視駆動時間

コムテックの「ZDR-015」を使用しての「常時録画+衝撃検知」モードでの駐車監視の連続駆動時間は、満タン状態からスタートして20時間20分でした。

充電状況に関しては、とりあえず車載ではなく12Vの鉛バッテリーを切り離した状態で行い、入力電力は11.7V/8.5A程度で推移しました。(「ZDR-015」を駆動させながらの充電)

鉛バッテリー自体の電圧は12.6V程度出ている状態ですが、車載で言うところのエンジンOFFでACCのみONの状況下での充電テストとなります。

この状態で5分の充電を行い、その後駐車監視を起動させたところ、2時間の駆動が可能でした。

更にその後に25分の充電を行い、その後駐車監視を起動させたところ、8時間40分の駆動が可能でした。

やはり最初の5分は充電効率が良く、徐々に下がって行く感じですね。

 

なお、給電側となった廃バッテリーは150Wh程度の容量しかないので、充電効率が悪かった可能性があります。

後日、車載で新品に近い鉛バッテリーを使用し、エンジンをオンにした状態で入力電圧、電流については、以下の通り13.5V/8.64Aとなっています。

バッテリーの電圧は14.5Vでしたので、こちらもおよそ1V落ちた電圧が充電圧になっています。(アイドリング状態で5分)

この状態で5分の充電を行い、その後駐車監視を起動させたところ、2時間20分の駆動が可能でした。テストした車は充電制御車ではありませんが、走行時はもう少し電圧が上がるかも知れませんね。

25分の充電は試してませんが、おそらく10時間程度の駆動時間が確保できるのではないかと思います。

2カメラではなく、単体のドラレコであれば5分の充電で5時間弱、25分であれば20時間くらい動きそうです。

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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