※2023年3月3日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
先日、奥多摩周遊道路~大菩薩ラインのツーリング動画を撮影・編集していて、景色撮影向けのドラレコとしては、VIOFOが他社を圧倒する画質の安定性を誇る事に改めて気が付きました。
これは以前から何度も比較テストを行っている為、今更感がある情報かも知れませんが、今回は以下の3台のドラレコで普段テストしてる2.5K/60fpsではなく、フルハイビジョン/60fpsでの撮影を行いました。
・VANTRUE X4S
・VANTRUE Element 1
※全てフロントカメラのみで撮影
2.5Kではなくフルハイビジョンを選んだ理由は、編集時のPCへの負荷と、ビットレート不足によるモザイク状の動画崩れを防ぐ為です。
モザイク状の動画崩れはマシになる筈だったのに…
結果は以下の3機種の動画を見比べて貰えれば一目瞭然です。
【A139】
【X4S】
【Element 1】
YouTubeにアップロードする段階で、どれも強制的に容量が圧縮されてしまうので、ある程度劣化してしまうのは仕方がないところですが、「X4S」「Element 1」の2機種は、明暗の差が激しかったり、細かい描写が必要だったり、高速で景色が切り替わるシーンでは、元のファイルの時点で映像がグダグダに崩れてしまっています。
VANTRUE製品はビットレートもそれなりに落とされていた
普段はフルハイビジョンの60fpsモードを試す機会がなかったので、VANTRUEドラレコはこの撮影モードでもそれなりに高いビットレートで録画ファイルを圧縮するものと考えていたのですが、それは大きな勘違いでした。
それぞれの機種のフルハイビジョンの60fpsモードのビットレートは以下の通りです。
型番 | A139 | X4S | Element 1 |
---|---|---|---|
ビットレート | 25.4Mbps | 13.5Mbps | 11.5Mbps |
静止画ピクセルbps | 0.204bps | 0.119bps | 0.101bps |
※VANTRUE製品は厳密には55fps
この表では静止画1枚当たりのピクセルbpsを掲載していますが、VANTRUEの2機種はA139の半分程度となっており、このビットレートでは景色を綺麗に撮影するには無理があります。
因みに画質を左右する静止画1枚当たりのbpsが最も高いのは、VIOFOの「A129 Pro」です。
機種 | 解像度 | フレームレート | 静止画ピクセルbps |
---|---|---|---|
A129 Pro | 1920×1080 | 60fps | 0.333bps |
A129 Pro | 2560×1440 | 60fps | 0.237bps |
A139 | 1920×1080 | 60fps | 0.204bps |
A139 | 2560×1440 | 60fps | 0.141bps |
X4S | 2560×1440 | 55fps | 0.141bps |
X4S | 1920×1080 | 55fps | 0.119bps |
Element 1 | 1920×1080 | 55fps | 0.101bps |
「X4S」は2.5K/55fpsモードの方が静止画1枚当たりのbpsが高いので、このモードであれば少しは画質が向上しそうですね。
※「X4S」の2.5K/55fpsモードは視野角が極端に狭くなるので、使用方法は限定される。
最新ファームアップデートで残念な事に
2023年時点の最新ファームウェアでは、西日本LED信号対策でフレームレートが60fpsから55fpsへと変更され、カクツキが感じられるようになってしまいました。
また、最近では少しでも綺麗な動画を撮影できる方法を探る為、ハイエンドなアクションカムも並行して使用しているのですが、一昔前ではダイナミックレンジの広さの問題でVIOFOのドラレコ>GoProだった画質が、2023年時点ではGoPro>VIOFOと逆転している事が確認出来ました。
また、前述のフレームレートの55fps化についてですが、以下動画では前方の録画にA139、GoPro Hero11の2台のカメラ、後方はOSMO Action 3を使用しています。(機種名が入っている方がA139)
動画を見比べて頂ければ滑らかさの違いがお分かり頂けるかと思います。
A139 Proの件も含めてVIOFOに調整を要請中
私自身が今後ドラレコの開発者になる可能性がある事から、最近は特定のメーカーに対するテコ入れは控えているのですが、今回はA139 Proの昼間のダイナミックレンジの狭さ、55fps化のカクツキ具合に我慢ならなかった為、VIOFOに60fpsモードの復活、A139 Proの昼間の影像の調整を要請しています。
アクションカムのように手振れ補正は必要ないのですから、せめて車載の動画に関してはVIOFO>GoProの関係を維持してもらいたいものです。
コメント
Omi様
初めまして、いつも興味深く拝見し参考にさせて頂いています
景色撮影がしたくてこちらで評価の良かったviofo A129PROを購入し満足しています
私はいつも4kで録画していて、youtubeにもアップしてみたいと思っています。
お尋ねしたいのですが、上の表に静止画ピクセルbpsとありますが4kよりFHDの方が数値が大きいです。
という事は4kよりFHDで録画した方が良い映像になるのでしょうか?
いしまる様
再生側がFHD前提の場合には、静止画1枚当たりのピクセルbpsが高い方が高画質になりますよ。
4K再生が前提ならシビアではないコンディションなら4Kモードの方が高画質です。
林道のような明暗差が高速で切り替わるシーンでは、処理が追い付かずに動画の細部が崩れてしまいますが、これは静止画1枚当たりのピクセルbpsが高い方と抑えられます。
因みに4Kクラスの解像度だと、PCで編集する際のソフトのエンコード(圧縮)機能も重要です。
ソフトによってビットレートの上限が決まっており、元の動画のビットレートが高くても、ビットレートが強制的に下げられて劣化する事もあります。
また、YouTubeにアップロードすると一定の劣化が発生しますので、4Kクラスの動画をそのままの画質でYouTubeにアップロードするのはほとんど不可能ですね。
以下の動画は120Mbpsの超高いビットレートでエンコードしたものをアップロードしていますが、今度は再生側の通信速度の問題で止まったりカクついたりするかも知れません。
https://youtu.be/Yd-PfiuW40A
※ドラレコで撮影時の負荷と録画時と再生時に必要なビットレートの目安
①1080P/30fps/WDR;1
②1080P/30fps/HDR;2
③1080P/60fps/WDR;2
④1080P/60fps/HDR;4
⑤1440P/30fps/WDR;2
⑥1440P/30fps/HDR;4
⑦1440P/60fps/WDR;4
⑧1440P/60fps/HDR;8
⑨2160P/30fps/WDR;4
⑩2160P/30fps/HDR;8
⑪2160P/60fps/WDR;8
⑫2160P/60fps/HDR;16
2160P/30fps/WDR;4であれば、60Mbps程度のビットレートのファイルをアップロードしたいところですね。
あとは景色撮影なら動画の滑らかさも重要なので、4K/30fpsより2.5K/60fpsの方が綺麗に見えると思います。
場合によっては1080p/60fpsもアリかと。
お返事ありがとうございます
動画拝見しました。素晴らしい高画質で、私もこういう動画が撮りたいと思ってます。
以前はミラーレスを助手席に固定しようかとか、同じようにGOproでの撮影も考えたのですが撮影時間の都合と不安定なので辞めてドラレコにしました。
編集はPowerDirevtor19を使っています。
エンコードに関してはまったく気にしていませんでしたので、教えて頂いてありがとうございました
いしまる様
確かにGoProは高解像度・高フレームレートだと落ちまくりますね。
安定運用は2.5K/60fpsが限界だと思います。
エンコードの際にハードウェアエンコードは画質が落ちるのでOFFにした方が良いですよ。(設定があれば)
A139 Proの日中の影のところやはり暗すぎるみたいですね…。A139 HDは良さげですが。
その後のVIOFOの反応ありましたら教えてください。
代理店経由で提言しているのですが、やる方向ではあるとの事です、