※2023年9月30日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
ガラスコーティングには車のボディに強固なガラス質の薄い皮膜を作り、紫外線や洗車傷などから塗装面を守る効果があると言われています。
ワックスやポリマー系のコーティングよりも強固な皮膜が作れますし、最近では個人でもDIYで施工できるお手軽なコーティング剤もいくつか販売されていますので、身近に感じている方も多い事でしょう。
かく言う私もDIYでのガラスコーティングは過去に数回実施した事がありますが、最近では体力の衰えを感じており、中古車への下地作りからのコーティングはショップに依頼する事にしています。
因みにガラスコーティング以外にも、車のコーティング剤は星の数ほどありますし、ディーラーや専門店、ガソリンスタンドなどで施工されるものも非常に多く、コーティング剤の種類や施工業者の設備、技術によって仕上がりに天と地ほどの差が出ると言われています。
本来であれば、ガラスコーティングはそれなりの設備や技術を要求される類のアイテムですので、素人のDIY施工でプロ並みの仕上がりを求めるのは無理がありますし、通販で販売されているものはプロが使用するコーティング剤とはガラス成分の含有率が異なるものが多いようです。
プロが使用するものは、施工時の扱いが難しい為、素人がDIYで施工した時に失敗するリスクもあり、大手コーティング剤のメーカーの中には、物は良いが素人による施工には無理がある為、一般向けには販売していないものもあります。
…という訳ですので、DIYでのガラスコーティングは止めましょう…というのは嘘で「車のボディの状態に合わせてどこまでやるべきなのか?」というテーマと、「素人がDIYでどこまでの労力でどこまで出来るか?」というポイントについて考えて行きたいと思います。
新車の場合には素人でも割と綺麗に仕上がる
私は過去に3回ガラスコーティングを施工した事がありますが、そのうち1台は新車で納車日に施工を行いました。
実はディーラーで10万円程度のコーティングをサービスしてくれるという話だったのですが、ポリマー系のコーティングのようでしたし、定期的にボディメンテナンスがディーラー必要になるとの事だったので、お断りした経緯があります。
新車でも多少の鉄粉や油脂成分が付着しているものの、普通にシャンプー洗車で鉄粉除去などは特に行いませんでしたが、それなりに綺麗に仕上がりました…というか、新車はもともと綺麗ですし、ツヤ感の差は正直あんまり分かりませんね。
あくまでもムラなく仕上げられたという話です。
※ガラスコーティングの種類によっては揮発性のツヤ成分が蒸発するまでツヤが増すものもあるが、時間が経ったり、雨が降ったりすると、それ以降のツヤの維持は専用のメンテナンスを月に一度程度塗布する事で行う。
そもそもガラスコーティングの目的はツヤ出しよりも、ツヤの維持と塗装面の保護なのではないかと思います。
塗装が死んだボディに施工しても見た目の効果は薄い
そもそも論ですが、ガラスコーティングは死んだ塗装を生き返らせるものではなく、塗装を死なないように保護するのが第一の役割です。
既に死んでいる塗装面に施工しても、ツヤ感などの復活効果はほとんどありません。
過去に16年落ちの黒のコペンで試してみたのですが、下地処理を全くやらない状態の痛んだ塗装面では、ガラスコーティングを施工した場所とそうでない場所の差は見た目ではほとんど分からない状態です。
なお、ここで言うところの塗装面が死んでるという表現は、ボディカラーの退色やクリア層の劣化、雨染みの付着などを指しますが、コペンの場合には雨染みの付着が著しく、酸を含む強力な水垢落としなどを使用してもビクともしない強固なウロコが幾重にも重なった状態でした。
黒なのに白っぽくくすんだ状態ですね。
この状態でガラスコーティングを施工しても見た目の変化はほとんど感じられないという話で、これで塗装を保護しても意味を成しません。
もちろん、コンパウンドで研磨してウロコを落としてからガラスコーティングを施工するとしっかりツヤは出ます。
…というよりも、研磨すればピカピカになりますので、ガラスコーティングはそのツヤの出た塗装を保護する為のものと考えるべきかと思います。(ガラスコーティングのツヤ出し効果よりも、ボディ下地処理による効果の方が遥かに大きいという事ですね)
…という訳で、コーティング施行のガチのプロの方は下地処理に命を懸けていると聞きますし、素人のDIY施工でも出来る範囲で下地処理をした方が良さそうです。
因みにボディ研磨後にはちょっとした事で浅い傷が入り、黒だとそれが特に目立ちますので、研磨が終わったら速やかに脱脂を行い、ガラスコーティングを塗布した方が良さそうです。(淡色系の車だと、ごく浅い傷は分からないかも)
ガラスコーティングのDIYでの施工手順~新車編
新車の場合でも工場で完成した状態から運搬やディーラーでの保管、ディーラーから自宅への移動などの間に油脂汚れや鉄粉がつかない訳ではありません。(アルファードの場合には白だったので、微量ながら鉄粉は付いていました)
鉄粉と油脂汚れを落とす
従って出来るだけ完成度を上げたい場合には、初めに強力な水垢落としで洗車した後に粘土型の鉄粉クリーナーを使用した方が良いと思います。(私は新車の場合にはそこまでしてませんが)
なお、ガラスコーティング剤には専用のシャンプーも合わせて販売されているものも多いので、専用品を使っても良いかと思いますが、それで油脂成分はともかく水垢がどれくらい落ちるかは分かりません。
鉄粉の除去については、液状の鉄粉クリーナーを使うのも良いと思いますが、粘土でないと落ちない鉄粉もありますので、気になる方は両方で。(笑)
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粘土状の鉄粉クリーナーの使い方は、ボディが塗れた状態で舐めるようにボディを撫でます。(出来れば水を掛けながら)
新車の場合にはボディが最初からツルツルしているのでは分かりにくいですが、ある程度以上年数が経った車だと、ザラザラ感がなくなって気持ち良い感触になります。
液状タイプはスプレーガンなどで散布して時間を置くと、ホイールの鉄粉取り同様に鉄粉が紫色に溶け出てきます。
臭いがモロにパーマ液ですので、かなり刺激臭はあります。
ボディを拭き上げてからガラスコーティングを塗布
市販のガラスコーティングの塗布方法はどの製品も概ね同様で、コーティング剤を付属のスポンジで塗り込んで完全に乾く前に付属のクロスで拭き上げる形となります。
ピカピカレイン系統などはそれで一旦終了で、完全に硬化する数日後に定期のメンテナンス剤を塗布、ラディアス川崎のリボルトプロの場合には、ガラスコーティングの拭き上げ直後にメンテナンス剤を塗布する形となります。
コーティングを拭き取る前に乾いてしまうとムラになり、リカバリーが困難ですので、乾ききる前に拭き取るのがポイントです。
新車の場合には、一日あれば鉄粉取りからの一連の作業が可能かと思いますが、ミニバンの場合には色々しんどい部分があると思います。
まず、こう言った足場がないとルーフ部分の洗車も施工も出来ませんので…。
ここだけの話ですが、私はアルファードのおかげで洗車が嫌いになりました…。
ガラスコーティングのDIYでの施工手順~中古車編
中古車の場合には手を掛ければ掛けるほど仕上がりは綺麗になりますが、その塗装の状態にもよりますし、こだわりだすと時間がいくらあっても足りなくなるでしょう。(笑)
蛍光灯などの光を反射させて、磨き傷やうろこ状の水垢が確認出来ない状態であれば新車同様の手順でも良いと思いますが、相当な頻度で手洗い洗車を継続していなければそれはあり得ないのではないか?と考えられます。
白やシルバーなどの淡色系の車の場合、ドンズバの角度で光を反射させないとこれらの傷やウロコは目視出来ない事が多いので、ここは考え方によります。
普段は見えないウロコでも、蛍光灯の光などが当たると見る角度によっては以下のようにウロコが白っぽく浮き出てきます。
・ぱっと見が綺麗であれば良い、見えないものは気にしない、という方は気にせずそのままやりましょう。
因みにコンパウンドの研磨は物凄く労力が必要で、ムラが出るなどのリスクもありますので、それが嫌なら信頼できる業者に頼んだ方が良いです。
素人がプロ並みに簡単にこう言った作業が出来るのであれば、コーティング業などの商売は立ち行かなくなりますので、整備と同様に安心感と完成度の高さを重視するなら、それなりの技術料は必要だという事です。
それでも自分でやってみたい、私のように汚い車を自分で綺麗にする満足感の方が大事だ!と、考えられる方は、是非自分で下地処理をやってみて下さい、もちろん自己責任で!
特に私のコペン号のように塗装面が死んでいる車の場合には、失敗してもダメージは少ないですし、上手く行けばかなりの満足感が得られると思います。
ウロコが薬剤で落とせるかどうか?
まずはコンパウンドによる研磨の前に、ウロコがウロコ落としなどの薬剤で溶かせるかどうかを確認した方が良いでしょう。
とりあえず、スタンダードな強力水垢落としシャンプーで試してみます。
このシャンプーで落ちなかった場合には、以下のような酸性のカーシャンプーを使っても良いですが、過去に数種類の酸性のカーシャンプーを使った限りでは、効果覿面のものはありませんでした。
ウロコの状態で薬剤で落とせるもの、落とせないものがありますので、比較的新しい車であればこれらのシャンプーでどうにかなる可能性はあります。
落とせない場合には諦めてコンパウンドで研磨するしかないですね。
研磨の前に鉄粉落としも
鉄粉が付いた状態で研磨しても、鉄粉がボディに食い込んで飛び出ている部分を削る事になりますので、先に鉄粉落としはやっておいた方が良いでしょう。
鉄粉の除去については、液状の鉄粉クリーナーを使うのも良いと思いますが、粘土でないと落ちない鉄粉もありますので、気になる方は両方で。(笑)
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粘土状の鉄粉クリーナーの使い方は、ボディが塗れた状態で舐めるようにボディを撫でます。(出来れば水を掛けながら)
新車の場合にはボディが最初からツルツルしているのでは分かりにくいですが、ある程度以上年数が経った車だと、ザラザラ感がなくなって気持ち良い感触になります。
液状タイプはスプレーガンなどで散布して時間を置くと、ホイールの鉄粉取り同様に鉄粉が紫色に溶け出てきます。
臭いがモロにパーマ液ですので、かなり刺激臭はあります。
なお、鉄粉を落としても水垢が残っている状態ではボディはザラザラのままだと思います。
研磨は手でやるか、電動ポリッシャーを使うか
コンパウンドでの研磨は、ポリッシャーを使わなくても気合があればどうにかなります。
ただし…、狭い範囲であれば一日でも可能ですが、ボディ全体だと何日も掛かってしまいますので、私は電動ポリッシャーを使用します。
なお、電動ポリッシャーについては素人でもムラになりにくいと言われる、ダブルアクションポリッシャーを選んでいます。
通常のポリッシャーは軸が自転するだけですが、ダブルアクションの場合には本来の軸のセンター部分の回りを軸が自転しながら公転します。
ダブルアクションポリッシャーの中には、安価なものもありますが、ワックスやコーティング剤の塗布のみに対応し、研磨には非対応と書かれているのものあり、コスパ的には以下のRYOBIの「RSE-1250」が最もコスパが高そうです。
RYOBI | Makita | コンパクトツール | |
---|---|---|---|
RSE-1250 | BO5030 | P-150N | |
マジックパット径 | 125mm | 123mm | 123mm |
回転数(分) | 6,000~12,000 | 12,000 | 3,200 |
消費電力 | 300W | 300W | 430W |
重量 | 1.5kg | 1.3kg | 1.87kg |
コンパウンドに関しては色々ありますが
コンパウンドに関しては粗目→中目→細目→極細という順番に、パッドと合わせて使用します。
色々個別に選ぶのが面倒ですし、それぞれ大量には必要ないので、以下の研磨セット的なものがおすすめです。
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コンパウンドの目と合わせてポリッシャーのバフの目も変えますので、同じところから販売されている4点セットが便利ですね。
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カーピカルのセットではこう言った使い方になります。
目的 | 初期研磨 | 中間研磨 | 淡色車 鏡面 | 濃色車 鏡面 |
---|---|---|---|---|
バフ | ウール(粗目) | ウレタン(中目) | ウレタン(細目) | ウレタン(極細) |
コンパウンド | 細目 | 極細目 | 超微粒子 | 超極微粒子 |
- カット1…重度のウォーターデポジット・洗車キズ
- ハード1…軽度のウォーターデポジット・浅い線キズ
- ハード2…淡色車の仕上げ
- カーピカルコンパウンド#6000番…濃色車の仕上げ
淡色車では3段階、濃色車では4段階になっていますが、私は淡色車でも4段階で施工してました。
なお、研磨作業に関しては短時間で終わらせようと考えず、一日に1パネルだけ実施するくらいの気持ちの余裕があった方が良いと思います。
また、研磨の際には以下のような養生テープで他のエリアを研磨しないように保護するようにしましょう。
研磨後にはもう一度鉄粉落としを!
おそらく、普通に仕事をしながらこう言った作業をすると、全てのエリアの研磨には1ヶ月位掛かると思います。
作業の手間を考えると、一日で1エリアを①鉄粉落とし→②研磨→③脱脂→④ガラスコーティングを行い、これを繰り返して全てのエリアをコーティングする方が効率的かと思います。
ただし、①全てのエリアを研磨してから、②全てのエリアをガラスコーティング、という手順でやりたい方もいると思いますので、こう言った場合にはガラスコーティングの施工当日に再度鉄粉落としをした方が良いでしょう。(その間乗らないなら良いですけど)
コンパウンドの研磨が上手く行くと、新車のような輝きが得られる場合があります。
深い傷や退色が進んでるとダメですが、何れにしてもその後は他のポリマー系のコーティング剤やワックスなどの乗りもかなり改善しますので、満足感はかなり高いものになると思いますね。失敗して研磨し過ぎたりムラになったりしなければ…。
この後の作業は新車と同様の手順になります。
DIYガラスコーティング半日手抜き編
最近、少し思うところがあり、商用車扱いの銀のアクアでワインディングをガッツリ走る事になりました。
この車は2020年7月に5年落ちで購入した2015年式中古車なのですが、今まで一度も手洗い洗車とコーティングの類を施した事はありません。
月に一度は洗車機にぶち込んで、汚れが固着しないように配慮はしていまし、シルバー自体が汚れが目立たない色なのでそれほど汚く見える事はありません。
そもそもこの車のツヤなどを気にした事すらなかったのですが、今後は足回りを中心に走れる仕様にカスタムする予定ですので、さっくり手抜きの半日工程で市販のガラスコーティングをDIY施工してみました。
今回施工したのはこちらの「ピカピカレインプレミアム」です。
実はこれ、2018年にコペンに施工しようと思って買ってあったものですが、色々面倒で放置している間に5年も経ってました…。
施工手順は市販されている一般的なガラスコーティング剤と変わりません。
洗車前の状態
月に一回程度の洗車機による洗車は継続的に実施していましたので、それほど深刻は汚れの付着はなく、目立ったくすみもありません。
ただ、洗車キズは目立ちますね。
洗車後の状態
一応鉄粉落としも実施しました。
洗車後は特にこれと言った感想はないのですが、超親水で撥水効果ゼロですね。
ここまで来ると潔くて気持ち良いです。
ここまで来ると潔くて気持ち良いです。
ボディの研磨
今回は半日で終わらせる事を目標に、こちらのポリッシャーとコンパウンドで研磨はボディの状態を確認せず、1周で終わらせました。
粗めのコンパウンドですが、素人施工なら濃色車であってもこれ1本で充分な気がします。
研磨終了です。
ガラスコーティングの施工
ここから滑水性の「ピカピカレインプレミアム」を施工します。
付属のスポンジに数滴垂らしてボディに塗り込み、付属のクロスで拭き取るだけ、アクアの場合には半分程度しか薬剤を使いませんでしたので、2周しました。
シルバーだと効果が分かりにくいですが、この車を買ってから3年、今が一番綺麗なのは間違いありません。
今回の作業の所要時間は4時間です。
こだわる場合には1日仕事になりますが、研磨を何周もするようですね。
まとめ
以上、DIYでのガラスコーティングの施工方法について解説しました。
研磨の工程がなければそれほど時間は掛かりませんが、現在のボディの状態と、車をどこまでキレイにしたいかによって手間は変わります。
電動ポリッシャーがあれば、それなりにキレイにはなりますので、気になる方はお試し下さい。
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