ガラスコーティングは車のボディにガラス質の薄い皮膜を作り、紫外線や洗車傷などから塗装面を守る効果があります。
ワックスやポリマー系のコーティングよりも強固な皮膜が作れますし、最近では個人でもDIYで施工できるお手軽なコーティング剤もいくつか販売されていますので、身近に感じている方も多い事でしょう。
かく言う私もDIYでのガラスコーティングは過去に3回ほど実施した事があり、現在もテスト目的で購入した3種類のガラスコーティング剤を未開分のまま眠らせています。(笑)
ガラスコーティング以外にも、車のコーティング剤は星の数ほどありますし、ディーラーや専門店、ガソリンスタンドなどで施工されるものも非常に多く、コーティング剤の種類や施工業者の設備、技術によって仕上がりに天と地ほどの差が出ると言われています。
本来であれば、ガラスコーティングはそれなりの設備や技術を要求される類のアイテムですので、素人のDIY施工でプロ並みの仕上がりを求めるのは無理がありますし、通販で販売されているものはプロが使用するコーティング剤とはガラス成分の含有率が異なるものが多いです。
プロが使用するものは、施工時の扱いが難しい為、素人がDIYで施工した時に失敗するリスクもあり、大手コーティング剤のメーカーの中には、物は良いが素人による施工には無理がある為、一般向けには販売していないものもあります。
…という訳ですので、DIYでのガラスコーティングは止めましょう…と言うの嘘で「車のボディの状態に合わせてどこまでやるべきなのか?」と言うテーマと、素人がDIYでどこまで出来るか?と言うポイントについて考えて行きたいと思います。
もくじ(クリック・タップで移動できます)
新車の場合には素人でも割と綺麗に仕上がる
過去に3回ガラスコーティングを施工したうち、一台は新車で納車日に施工を行いました。
実はディーラーで10万円程度のコーティングをサービスしてくれると言う話だったのですが、ポリマー系のコーティングのようでしたし、定期的にボディメンテナンスがディーラー必要になるとの事だったので、お断りした経緯があります。
何より、この機会にリボルトプロを試しておこうと考えたのが一番の理由ではありますが。
新車でも多少の鉄粉や油脂成分が付着していますが、普通にシャンプー洗車で鉄粉除去などは特に行いませんでしたが、それなりに綺麗に仕上がりました…と言うか、新車はもともと綺麗ですし、ツヤ感の差は正直あんまり分からんですね。
あくまでもムラなく仕上げられたと言う話です。
※ガラスコーティングの種類によっては揮発性のツヤ成分が蒸発するまでツヤが増すものもあるが、時間が経ったり、雨が降ったりすると、それ以降のツヤの維持は専用のメンテナンスを月に一度程度塗布する事で行う。
そもそもガラスコーティングの目的はツヤ出しよりも、ツヤの維持と塗装面の保護なので…。
塗装が死んだボディに施工しても見た目の効果は薄い
そもそも論ですが、ガラスコーティングは死んだ塗装を生き返らせるものではなく、塗装を死なないように保護するのが第一の役割です。
既に死んでいる塗装面に施工しても、ツヤ感などの復活効果はほとんどありません。
実際に2003年式でもうすぐ満16年になる黒のコペン号で試してみたのですが、下地処理を全くやらない状態の痛んだ塗装面では、ガラスコーティングを施工した場所とそうでない場所の差は見た目ではほとんど分からない状態です。
なお、ここで言うところの塗装面が死んでると言う表現は、ボディカラーの退色やクリア層の劣化、雨染みの付着などを指しますが、コペン号の場合には雨染みの付着が著しく、酸を含む強力な水垢落としなどを使用してもビクともしない強固なウロコが幾重にも重なった状態でした。
黒なのに白っぽくくすんだ状態ですね。
この状態でガラスコーティングを施工しても見た目の変化はほとんど感じられないと言う話で、これで塗装を保護しても意味を成しません。
もちろん、コンパウンドで研磨してウロコを落としてからガラスコーティングを施工するとしっかりツヤは出ます。
と言うよりも、研磨すればピカピカになりますので、ガラスコーティングはそのツヤの出た塗装を保護する為のものと考えるべきかと思います。(ガラスコーティングのツヤ出し効果よりも、ボディ下地処理による効果の方が遥かに大きいと言う事ですね)
…という訳で、コーティング施行のガチのプロの方は下地処理に命を懸けていると聞きますし、素人のDIY施工でも出来る範囲で下地処理をした方が良さそうです。
因みにボディ研磨後にはちょっとした事で浅い傷が入り、黒だとそれが特に目立ちますので、研磨が終わったら速やかに脱脂を行い、ガラスコーティングを塗布した方が良さそうです。(淡色系の車だと、ごく浅い傷は分からないかも)
ガラスコーティングのDIYでの施工手順~新車編
新車の場合でも工場で完成した状態から運搬やディーラーでの保管、ディーラーから自宅への移動などの間に油脂汚れや鉄粉がつかない訳ではありません。(アルファードの場合には白だったので、微量ながら鉄粉は付いていました)
鉄粉と油脂汚れを落とす
従って出来るだけ完成度を上げたい場合には、初めに強力な水垢落としで洗車した後に粘度型の鉄粉クリーナーを使用した方が良いと思います。(私は新車の場合にはそこまでしてませんが)
なお、ガラスコーティング剤には専用のシャンプーも合わせて販売されているものも多いので、専用品を使っても良いかと思いますが、それで油脂成分はともかく水垢がどれくらい落ちるかは分かりません。
鉄粉の除去については、液状の鉄粉クリーナーを使うのも良いと思いますが、粘土でないと落ちない鉄粉もありますので、気になる方は両方で。(笑)
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粘土状の鉄粉クリーナーの使い方は、ボディが塗れた状態で舐めるようにボディを撫でます。(出来れば水を掛けながら)
新車の場合にはボディが最初からツルツルしているのでは分かりにくいですが、ある程度以上年数が経った車だと、ザラザラ感がなくなって気持ち良い感触になります。
液状タイプはスプレーガンなどで散布して時間を置くと、ホイールの鉄粉取り同様に鉄粉が紫色に溶け出てきます。
臭いがモロにパーマ液ですので、かなり刺激臭はあります。
ボディを拭き上げてからガラスコーティングを塗布
市販のガラスコーティングの塗布方法はどの製品も概ね同様で、コーティング剤を付属のスポンジで塗り込んで完全に乾く前に付属のクロスで拭き上げる形となります。
ピカピカレイン系統などはそれで一旦終了で、完全に硬化する数日後に定期のメンテナンス剤を塗布、ラディアス川崎のリボルトプロの場合には、ガラスコーティングの拭き上げ直後にメンテナンス剤を塗布する形となります。
コーティングを拭き取る前に乾いてしまうとムラになり、リカバリーが困難ですので、乾ききる前に拭き取るのがポイントです。
新車の場合には、一日あれば鉄粉取りからの一連の作業が可能かと思いますが、ミニバンの場合には色々しんどい部分があると思います。
まず、こう言った足場がないとルーフ部分の洗車も施工も出来ませんので…。
ここだけの話ですが、私はアルファードのおかげで洗車が嫌いになりました…。
ガラスコーティングのDIYでの施工手順~中古車編
中古車の場合にはそのボディの状態にもよりますし、手を掛ければ掛けるほど仕上がりは綺麗になりますが、こだわりだすと時間がいくらあっても足りなくなるでしょう。(笑)
蛍光灯などの光を反射させて、磨き傷やうろこ状の水垢が確認出来ない状態であれば新車同様の手順でも良いと思いますが、相当な頻度で手洗い洗車を継続していなければそれはあり得ないのではないか?と考えられます。
まぁ、白だとかシルバーなどの淡色系の車の場合、ドンズバの角度で光を反射させないとこれらの傷やウロコは目視出来ない事が多いので、ここは考え方によります。
普段は見えないウロコでも、蛍光灯の光などが当たると見る角度によっては以下のようにウロコが白っぽく浮き出てきます。
①ぱっと見が綺麗であれば良い、見えないものは気にしない、と言う方は気にせずそのままやりましょう。
②如何なる状況下でも綺麗に見えるようにしたい、と言う方は、水垢落としやコンパウンドでの下地の処理が必要です。
因みにコンパウンドの研磨は物凄く労力が必要で、ムラが出るなどのリスクもありますので、それが嫌なら信頼できる業者に頼んだ方が良いです。
素人がプロ並みに簡単にこう言った作業が出来るのであれば、コーティング業などの商売は立ち行かなくなりますので、整備と同様に安心感と完成度の高さを重視するなら、それなりの技術料は必要だという事です。
それでも自分でやってみたい、私のように汚い車を自分で綺麗にする満足感の方が大事だ!と、考えられる方は、是非自分で下地処理をやってみて下さい、もちろん自己責任で!
特に私のコペン号のように塗装面が死んでいる車の場合には、失敗してもダメージは少ないですし、上手く行けばかなりの満足感が得られると思います。
ウロコが薬剤で落とせるかどうか?
まずはコンパウンドによる研磨の前に、ウロコがウロコ落としなどの薬剤で溶かせるかどうかを確認した方が良いでしょう。
とりあえず、スタンダードな強力水垢落としシャンプーで試してみます。
このシャンプーで落ちなかった場合には、以下のような酸性のカーシャンプーを使っても良いですが、過去に数種類の酸性のカーシャンプーを使った限りでは、効果覿面のものはありませんでした。
ウロコの状態で薬剤で落とせるもの、落とせないものがありますので、比較的新しい車であればこれらのシャンプーでどうにかなる可能性はあります。
落とせない場合には諦めてコンパウンドで研磨するしかないですね。
研磨の前に鉄粉落としも
鉄粉が付いた状態で研磨しても、鉄粉がボディに食い込んで飛び出ている部分を削る事になりますので、先に鉄粉落としはやっておいた方が良いでしょう。
鉄粉の除去については、液状の鉄粉クリーナーを使うのも良いと思いますが、粘土でないと落ちない鉄粉もありますので、気になる方は両方で。(笑)
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粘土状の鉄粉クリーナーの使い方は、ボディが塗れた状態で舐めるようにボディを撫でます。(出来れば水を掛けながら)
新車の場合にはボディが最初からツルツルしているのでは分かりにくいですが、ある程度以上年数が経った車だと、ザラザラ感がなくなって気持ち良い感触になります。
液状タイプはスプレーガンなどで散布して時間を置くと、ホイールの鉄粉取り同様に鉄粉が紫色に溶け出てきます。
臭いがモロにパーマ液ですので、かなり刺激臭はあります。
なお、鉄粉を落としても水垢が残っている状態ではボディはザラザラのままだと思います。
研磨は手でやるか、電動ポリッシャーを使うか
コンパウンドでの研磨はポリッシャーを使わなくても気合があればどうにかなります。
ただし…、狭い範囲であれば一日でも可能ですが、ボディ全体だと何日も掛かってしまいますので、私は電動ポリッシャーを使用します。
なお、電動ポリッシャーについては素人でもムラになりにくいと言われる、ダブルアクションポリッシャーを選んでいます。
通常のポリッシャーは軸が自転するだけですが、ダブルアクションの場合には本来の軸のセンター部分の回りを軸が自転しながら公転します。
ダブルアクションポリッシャーの中には、安価なものもありますが、ワックスやコーティング剤の塗布のみに対応し、研磨には非対応と書かれているのものあり、コスパ的には以下のRYOBIの「RSE-1250」が最もコスパが高そうです。
RYOBI | Makita | コンパクトツール | |
---|---|---|---|
RSE-1250 | BO5030 | P-150N | |
マジックパット径 | 125mm | 123mm | 123mm |
回転数(分) | 6,000~12,000 | 12,000 | 3,200 |
消費電力 | 300W | 300W | 430W |
重量 | 1.5kg | 1.3kg | 1.87kg |
コンパウンドに関しては色々ありますが
コンパウンドに関しては粗目→中目→細目→極細と言う順番に、パッドと合わせて使用します。
色々個別に選ぶのが面倒ですし、それぞれ大量には必要ないので、以下の研磨セット的なものがおすすめです。
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コンパウンドの目と合わせてポリッシャーのバフの目も変えますので、同じところから販売されている4点セットが便利ですね。
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カーピカルのセットではこう言った使い方になります。
目的 | 初期研磨 | 中間研磨 | 淡色車 鏡面 | 濃色車 鏡面 |
---|---|---|---|---|
バフ | ウール(粗目) | ウレタン(中目) | ウレタン(細目) | ウレタン(極細) |
コンパウンド | 細目 | 極細目 | 超微粒子 | 超極微粒子 |
- カット1…重度のウォーターデポジット・洗車キズ
- ハード1…軽度のウォーターデポジット・浅い線キズ
- ハード2…淡色車の仕上げ
- カーピカルコンパウンド#6000番…濃色車の仕上げ
淡色車では3段階、濃色車では4段階になっていますが、私は淡色車でも4段階で施工してました。
なお、研磨作業に関しては短時間で終わらせようと考えず、一日に1パネルだけ実施するくらいの気持ちの余裕があった方が良いと思います。
また、研磨の際には以下のような養生テープで他のエリアを研磨しないように保護するようにしましょう。
※コペン編はまだ未実施なので、後日追記します。
研磨後にはもう一度鉄粉落としを!
おそらく、普通に仕事をしながらこう言った作業をすると、全てのエリアの研磨には1ヶ月位掛かると思います。
作業の手間を考えると、一日で1エリアを①鉄粉落とし→②研磨→③脱脂→④ガラスコーティングを行い、これを繰り返して全てのエリアをコーティングする方が効率的かと思います。
ただし、①全てのエリアを研磨してから、②全てのエリアをガラスコーティング、と言う手順でやりたい方もいると思いますので、こう言った場合にはガラスコーティングの施工当日に再度鉄粉落としをした方が良いでしょう。(その間乗らないなら良いですけど)
コンパウンドの研磨が上手く行くと、新車のような輝きが得られる場合があります。
深い傷や退色が進んでるとダメですが、何れにしてもその後は他のポリマー系のコーティング剤やワックスなどの乗りもかなり改善しますので、満足感はかなり高いものになると思いますね。失敗して研磨し過ぎたりムラになったりしなければ…。
この後の作業は新車と同様の手順になります。
DIYでのガラスコーティングについてのまとめ
以上、DIYでのガラスコーティングの施工手順についてざっくり解説しました。
今後黒のコペン号で研磨とガラスコーティング剤の比較テストを行う予定です。
また、ガラスコーティングは高圧洗浄機での洗車とも相性が良いので、気になる方はこちらの記事もどうぞ。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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