アフターパーツのカーナビはどうあるべきなのか、勝手に考えてみた

こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。

かつてのカーナビメーカーのドル箱的存在だったトヨタのノア・ヴォクシーなどの新型では、純正のディスプレイオーディオが標準装備されており、社外品への換装が困難な状況になっています。

この流れは不可逆的であり、今後は更に加速する可能性すらありますので、今後数年の間にナビ業界の再度の業界再編が行われるかも知れません。

そこでこの記事では、ここ十数年間でのアフターパーツのカーナビの変化を振り返りつつ、どのような製品がユーザーに求められているか?私自身はどのような製品を求めているか?、などについて考えてみたいと思います。

カーナビのとスマホの共存

現在のカーナビの不振は「スマホの普及」と「ナビ機能の車両との一体化」の2つの要因に拠るところが大きいと言われています。

まず、スマホとモバイル回線の性能向上がカーナビに及ぼした影響について振り返ってみましょう。

この十数年間でスマホがユーザー普及した事で、まず初めにカーナビはこのような変化を遂げました。

・従来のCDやUSBメディアと同様に、音楽メディアの外部ストレージとして、スマホが使われ始めた→スマホのハードウェア機能を活用

このような使われ方は、カーナビと競合して販売に悪影響を及ぼす要素ではなく、私はむしろカーナビが更に便利に魅力的になるような変化だったと捉えています。

問題なのは外部ストレージとして使われ方ではなく、ソフトウェアと合わせた部分、つまりGoogle Mapなどのナビアプリを起動させる事で、もろに既存のカーナビと競合してしまった点です。

海外では既存ナビゲーションシステムからのスマホのナビアプリへの置き換えが、日本よりも早い時期から進みました。

これに対して日本では、特殊な道路事情に合わせた従来型のカーナビの案内に関するユーザービリティが非常に高かった事から、ポンコツ案内のスマホのナビアプリへの置き換えには海外よりも時間が掛かりました。

4G→5Gへの移行など、既存のインフラが充実していると新しい規格への移行が進みにくい、と言われていますが、カーナビもこれと似たような環境にあります。

このような要因と、日本のカーナビユーザーの年齢が中高年以上の割合が高かった事が関係して、日本ではナビアプリの普及→カーナビ不要、とはなりませんでした。

海外と比べると日本のナビメーカーは、上手くスマホと共存して来た、とも言えるでしょう。

日本でもこれから大きく変化しそう

このように日本のカーナビメーカーは、情勢が悪い中でも必死で生き残りを模索しつつ、時代の変化に合わせて来たとも捉えられますが、ここ2~3年位の間に大きく風向きが変わって来たように感じます。

海外では日本ほど高性能なナビゲーションシステムが必要とされなかった事から、ナビアプリへの移行が進みつつ、車内でナビアプリと音楽配信アプリがストレスなく使用出来るCarPlayやAndroid Autoが、純正の車載オーディオに組み込まれるようになりました。

ところが日本では、CarPlayやAndroid Autoがなかなかユーザーに受け入れられない時期が長く続きます。

理由はこちらの通りです。

日本では従来のカーナビユーザーの主要顧客は中高年以上、ナビアプリに抵抗がなく、音楽配信アプリを早くから使いこなしていた層は若年層です。

CarPlayやAndroid Autoは、ガジェット類に特別興味がある訳ではない一般的な中高年層にとっては「CarPlay?何それ?」「ナビソフトがポンコツだし、金出してまでそんなのいらねーよ!」的な捉え方をされていたかと思いますし、今でもそのように考えている方も多いでしょう。

音楽配信アプリを早くから使いこなしていた若年層のうち、都心部の住人達は「車?そんなのいらねーよ!」という価値観の方がの割合が多かった、これでは普及しないですよね。

ただ、最近2~3年位の流れと見ていると、この流れが大きく変わって来たように感じます。

その正確な理由は分かりませんが「中高年以上の間でもApple Music、Amazon Music、Spitifiなどの音楽配信アプリの利用者が増えているから」と読み取るようなICT総研調査結果があります。

■ 定額制音楽配信サービス利用者数は2020年末に2,390万人、2023年末に2,930万人へ 

こちらは今後も順調に増えて行く事が予測されますので、カーナビメインユニットのCDドライブは、そのうち化石装備になってしまう日も来るかも知れません。

ポイントは車内での音楽再生に、従来のCDやUSBメディア、スマホのストレージ機能ではなく、音楽配信アプリを使うユーザーが急激に増えているという点です。

この音楽配信アプリの車内での使用に特化したのが、CarPlayやAndroid Autoですので、今後は日本での普及率も高まって行く事でしょう。

だが、我々はポンコツナビアプリを許容してはいない

前述の通り、CarPlayやAndroid Autoは以下の2つの機能を持ったシステムであります。

・スマホのナビアプリが使える
・スマホの音楽配信アプリが使える

ICT総研調査結果から、「中高年以上の間でも音楽配信アプリの利用者が増えている」事は読み取る事が出来ますが、一方でスマホのナビアプリで充分だからCarPlayやAndroid Autoを選ぶ、というような考え方をするのは、30代以下の層が多いでしょう。

私も含めて40代以上は、使い慣れてるナビメーカーのナビソフトを選びたいと考えている方が多い筈です。

スマホの音楽配信アプリを車内で使いたいから、CarPlayやAndroid Autoは必要だけど、ナビソフトはカーナビメーカーの物を選びたい、このように考えるユーザーは多いと思います。

従ってこのようなユーザー層にどのようにアプローチするのかが、今後のカーナビメーカーの課題でしょう。

※アルパインのように最上位モデルの付加価値機能として、CarPlayやAndroid Autoを付けるのはやめて下さい。CDとか地デジとはいらない層が多い筈です。

CarPlayやAndroid Autoは動画アプリが使えないという問題もあり

音楽再生が従来のCDメディアからスマホのアプリに移行したように、動画視聴もTVからYouTubeやAmazon Prime Video、Nelflixなどの無料・有料の動画配信アプリに移行しつつあります。

スマホやモバイル回線の機能・性能向上により、車内でネット動画アプリを視聴する為のハードルはかなり下がって来ていますが、CarPlayやAndroid Autoは安全面への配慮から

・動画配信アプリを使う事が出来ない

という問題点を抱えています。

この点についてはスマホのミラーリングや、Fire TV、Chromecastなどの車内使用を前提として、HDMI入力端子を追加する事である程度解決済みですが、これらは従来標準装備されて来た地デジに代わる機能ですので、必要最小限のエントリーモデルは別として、ほとんどのグレードで実装すべき機能だと思います。

今後のカーナビ市場の未来は暗いが、ユーザーとしてはコレが理想

冒頭で述べたように、新車にメーカー純正のナビがオーディオが標準装備されるのが普通になりつつありますので、今後のカーナビ市場のお先は真っ暗ですが、1ユーザーとしてはこのような製品が理想だと考えています。

・カーナビソフトはナビメーカーの物を搭載
・CarPlayとAndroid Autoに対応
・HDMI入力端子を搭載

これをベースとしてグレードで差別化して欲しいですね。もちろん、CDドライブや地デジチューナーなしという構成もアリです。

そもそも…ですが、スマホアプリで車載ナビと同等の表示や案内機能、精度を備えたものは作れないんですかね?(有料でもOK)

そのアプリがCarPlayとAndroid Autoに対応しているのが一番良い気がするのですが。

以前、パイオニアがドコモと共同でそのようなサービスを展開していたと記憶していますが、CarPlayとAndroid Autoでの使用を前提に全面リニューアルしたらどうかと、1ユーザーとして勝手に思っています。

ただし、ナビの案内精度や表示の分かり易さは、市販ナビと同等を希望します。

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