Azmeeという新興メーカーから、「ACUC-0001」というAI搭載のフロント・バックカメラが発売されています。
このAzmeeという会社について、良く分からなかったので調べてみたのですが、車のカメラ関係で有名なビートソニックの元社員の方が立ち上げたブランドであるようです。
従って、詳細に関しては差し控えておきますが、新興ではあるものの、車載カメラ関連ではかなりのノウハウの蓄積のあるメーカーである可能性があります。
このところ、ネット広告をかなり出しており「ドライブレコーダーよりも安全」的な打ち出し方をしているので、面白そうだったので調べてみました。
「ACUC-0001」の特徴
初めに「ACUC-0001」の広告を見た時は、イメージでドライブレコーダーにAIを搭載し、危険を察知すると警報を鳴らす類のものかな?と認識したのですが、良く調べてみると録画機能はない為、ドライブレコーダーではなくフロントカメラやバックカメラの類であると分かりました。
フロント・バックカメラである事を考えると、価格設定が通常の国内メーカーのモデルの2.5~3倍くらいになっており、かなりお高めな印象です。
通常のフロント・バックカメラ類と異なる点は、時速5km未満での状況下でイメージセンサーで取り込んだ映像を解析して、AIが危険度を判定した上で警報を発する機能を搭載している点です。
AIが車や自転車、人のいずれかを判別して、その対象に合わせて最適と思しきタイミングで警報を発するシステムのようです。
そもそもAIって何?
AIとは英語では「Artificial Intelligence」(人工知能)と表記され、様々な解釈が存在しています。
広義のAIはソフトウェア類も含まれますし、狭義では人間のように学習能力を備え、自動的に日々バージョンアップを行うものを指す事もありますね。
単純に命令された事しか出来ないAIもありますし、パターンを蓄積する事で判断ルールを自ら設定し、判断を下すものもあります。
「ACUC-0001」に搭載されたAIはどんなものなのかは良く分からないのですが、公式サイトでの説明をざっと見る限り、自己学習型のAIにある程度の時点まで学習させ、その時点までにAIで覚えさせた内容を小型の端末に落とし込んでいる…と言ったところかと思います。
つまり、「ACUC-0001」に搭載されたAIは自己学習型ではないという事になりますね。
詳しくはこちらをご覧ください。
そもそも危険警報を発する条件について、自己学習型のAIを使用せずに人間が条件をインプットしているようだと、これを「AI」と呼んじゃうのはどうかな?と思いますし、それだと現在のドラレコに搭載されている安全運転警報も全部「AI」と表現する事になります。
「ACUC-0001」の商品説明には「AIが学習し、アルゴリズム化」と書かれていますので、この文面を額面通りに解釈するのであれば、元になるのは学習型のAIが設定したルールとなる筈です。
AIチップを搭載するメリットは?
因みに…人間が細かくルール設定を行って端末に落とし込んだ場合と比較して、AIに学習させたものを落とし込む場合のメリットが良く分からないのですが、どうなんでしょ?
詳しくないなりそのメリットを考えてみると
①開発コストが安くなる
②CPUなどのハードウェアへの負荷や発熱量、使用電力が少なくなった上、処理速度が速くなる
③そもそも人間が条件設定を行うよりも、AIに学習させた方が現実に即した警報が可能になる
などが考えられますね。
期待も込めて可能性としては③であると考えたいところですが、真相は不明です。(ドラレコの安全運転警報を見ていると、人間によるインプットではハードウェアへの負荷が高く、限界値も低い気がします)
コーナーセンサーとしては使えません…残念ながら
アフターパーツとしての「ACUC-0001」のシステム自体が全く新しいもので、どれくらいの需要があるのか全く分からないところに飛び出してきているものですので、どれくらいのユーザーがこう言った製品を必要としているのか、私には想像もつきません。
ただし、1ユーザーとしては、後付けでコーナーセンサーを設置する場合、バンパーに穴開け加工が必要であったり、バンパー裏にセンサーを貼り付けるなどの処理が必要になり、これはちょっとやりたくねーな!と感じる部分があり、これがカメラの設置だけで可能なのであれば非常に魅力的であると感じます。
残念ながら「ACUC-0001」は動体以外は検知しない為、コーナーセンサー的な使い方は出来ないようです。
これ…どうにかしたら売上が倍増するんじゃないですか?
コーナーセンサーが付いている車に設置するのもハードル高い?
最近の車はコーナーセンサーが付いているものも増えてきているようですが、純正の状態でコーナーセンサーが付いているような車には、新車時にバックカメラや場合によってはフロントカメラも設置するのが一般的ではないかと思います。
従って既にコーナーセンサーが付いている車に設置するような場合には、純正パーツを外さなけれななりませんので、かなりハードルが高いように思います。
個人的には既にバックカメラが付いている車の場合、次にあると便利だなと感じるのはコーナーセンサーの方であると感じます。
何故かというと、私は駐車場内では周辺で何が起きるか予測できないので亀のような速度で前進・後退を行います。(時々凄い勢いで発進や後退をする人も見かけますが)
そもそもスピードがドン亀なので、周囲の人や自転車、車の飛び出しがあっても、バックカメラや目視で後方確認さえ怠らなければ危険な状況に陥る事はまずないと考えています。
ただし、このような移動の仕方でもバックカメラの死角になっている場所に障害物があった場合には見落としてしまう事も考えられますし、そこをカバーするのがコーナーセンサーであると思います。(バックカメラが超広角ならリアは要らないかも知れませんが)
…という訳で、コーナーセンサーなしでバックカメラがついている車の場合には、バックカメラ型のコーナーセンサーがあれば既存のバックカメラとの入れ替えを行っても良いかな?と感じますね。
バックカメラなしの車なら「ACUC-0001」を検討しても良い?
現在、バックカメラが付いていない車に乗っている場合や、これからバックカメラなしの中古車の購入を検討している場合、または現在使用しているバックカメラの性能に不満を感じている場合には、価格はさておき「ACUC-0001」の機能を試してみるのも面白いのではないか?と思います。
カメラの画角は水平180°となっていますし、この画角であればコーナーセンサーは不要であると考えられなくもありません。
通常のバックカメラと比べると、白飛び耐性が強そうなので基本性能も優秀っぽいですね。
まぁ…一番の問題は国内メーカーのバックカメラの2.5~3倍の価格差ですが、個人的にはなかなか面白そうだと感じますし、最近購入した初期型のリーフの純正バックカメラは視野角がそれほど広くなく、コーナーセンサーもついていないので、取り付けてみようかな?と検討しています。
因みにコーナーセンサーとか運転ヘタクソにしか必要ねーだろ?と考えている人もいるかも知れませんが、コーナーセンサーありの車となしの車を使い分けていると、どうも感覚がおかしくなってしまって、コーナーセンサーなしの車に乗っているのに、アリと勘違いしてしまいそうになる事があります。
広角のバックカメラに付け替えれば安く済みますが、人口知能警報ってどうなの?と興味があるなら「ACUC-0001」を検討してみても良いんじゃないですかね?
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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