タイヤのローテーションは、タイヤの寿命を延ばし安全性を確保する大切なメンテナンスです。
正しいローテーション方法や交換手順を知ることで、走行性能を保ちつつ出費を抑えられます。
ここでは、タイヤローテーションのポイントや安全なタイヤ交換の手順、必要な工具まで詳しく解説します。
タイヤローテーションの基本とポイント
タイヤのローテーションには明確なルールはありませんが、基本的には車屋さんでも前後で入れ替えることが多いです。
前輪は舵取りや駆動の負担が大きいため摩耗が進みやすいですが、全体の摩耗具合が大きく異なる場合は、溝が多いものを前輪に装着し、残りを後輪に回すのがセオリーです。
もし1本だけ銘柄が異なるタイヤが混じっている場合、その1本は後輪に装着するのが一般的です。回転方向(Rotation)の指定があるタイヤは、前後のみのローテーションしかできません。
摩耗の程度が均一であれば、無理にローテーションを行う必要はありません。
タイヤ交換時の注意点
タイヤ交換にはジャッキアップが必須です。

特に車載パンタグラフジャッキは緊急用のため、普段の作業には油圧ジャッキやガレージジャッキの使用がおすすめです。
油圧パンタグラフジャッキを使う場合でも、ジャッキの転倒には十分注意が必要です。
さらに重要なのがホイールナットの締め付けトルクです。
十字レンチ(クロスレンチ)で仮締めはできますが、多くの場合で規定トルクの7~8割程度しかかかっていないことが多いです。
走行中にナットが緩むと大変危険なので、トルクレンチを必ず使って規定トルク(100~110N・m)で本締めしましょう。
タイヤ交換の正しい手順
- 準備:AT車は「P」、MT車は1速またはRに入れ、水平な場所で作業し、輪止めを必ず設置します。リアタイヤ交換時はパーキングブレーキを解除する場合もあります。
- ジャッキアップ前:タイヤが少し接地する程度までジャッキアップします。完全に浮かせるとナットが空転し、緩めにくくなります。
- ナットの仮緩め:十字レンチで少し緩めます。ジャッキアップ前にナットを緩めるのはNG。クリップボルトを傷める原因になります。
- ジャッキアップ:タイヤが完全に浮くまでジャッキアップし、ナットを外してタイヤを外します。固着して外れない場合は無理をせず、車屋さんに依頼しましょう。
- タイヤ装着・仮締め:タイヤを装着後、少し接地するまでジャッキを下ろし、ホイールナットを工具でしっかり仮締めします。
- 本締め:ナットの本締めは必ず対角線順で2回程度点検しながら行います。車重が完全にかかってからの締め付けは避けましょう。
- 作業完了:すべてのナットの本締めが終わったらジャッキを完全に下ろし、最終確認をして完了です。
タイヤ交換・ローテーションに必要な工具
以下の工具があると便利です。
- 油圧シザースジャッキ(例:マサダ製作所 BEETLE 油圧シザースジャッキ)
- クロスレンチ(例:エーモン アルミホイール用クロスレンチ 17・19・21mm)
- トルクレンチ(例:EMERSON レンチセット 28~210N・m対応)
これらの工具を使えば、正確で安全な作業ができます。工具は価格帯が幅広いですが、日常的に使う機会が少ない方でも安価なものでも十分に役立ちます。
安全第一で作業を
タイヤ交換やローテーションはDIYでも可能ですが、手順を守り安全を最優先に行うことが大切です。
特にジャッキだけで車の下に入るのは厳禁です。
必ずリジッドラック(ジャッキスタンド)を使い、外したタイヤを車体下に置いて、万一の備えを怠らないようにしましょう。
(ライター:自動車整備士 SkyLight)
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