※2025年9月4日更新:実機レビューを追記
本機はXaomi HyperOSとの相性問題が発生していますので、その点ご注意下さい。
こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
近年では、CarPlayやAndroid Autoが純正オーディオに組み込まれる車種が増えたことで、これらの機能の認知度も一気に高まりました。
それに伴い、アフターパーツ市場でもCarPlayやAndroid Autoに対応したディスプレイオーディオのシェアが拡大しています。
ただし、CarPlayやAndroid Autoには「動画アプリが再生できない」という制限があります。
そのため、Android OSを搭載し、より自由な使い方ができる「AI BOX」の需要も高まっており、Ottocastのような製品が注目されています。
今回は、そうしたAI BOXの新たな選択肢として、「GetPairr(ゲットペア)」というメーカーからお貸し頂いた「GetPairr Box AM」PCS55をご紹介します。
価格帯としてはOttocastよりも手頃で、コストパフォーマンスの高さが魅力のブランドと言えそうです。
「PCS55」の特徴
これらのAI BOXは、各社とも似たようなハードウェアと機能構成となっていますが、「PCS55」のハードウェア仕様はこちらの通りです。
- CPU:4コア
- メモリ:4GB
- ストレージ:64GB
- 内蔵スロット:microSD/SIM
- ネット通信方法:クラウドSIM、nanoSIM、WiFi
主な機能構成はこちらの通りとなります。
- 有線CarPlayを無線化する
- 有線Android Autoを無線化する
- 有線CarPlay/有線Android Autoポートを使用して、Android端末としてアプリをナビ上で動作させる
Ottocast製品の中では、HDMI入力に非対応の「P3 Lite」と、ほぼ同様の機能構成となっています。
この手の製品は選択肢も多いので、価格以外にも動作の安定性や軽さが気になるところですね。
※適合する車種、サードパーティーのディスプレイオーディオについては、以下の情報を頂いています。
■非対応車種・オーディオについて
⇒ BMWおよびMINIの車両は有線CarPlayに非対応で、無線CarPlayのみの仕様となっているため、本製品には対応しておりません。
また、Honda ギャザスナビにつきましても、純正ナビではないためAI BOXはご利用いただけません。
それ以外の車種に関しては、基本的に純正の有線CarPlayまたは有線Android Autoに対応していればご使用いただけます。
それ以外のケースについては、以下メールアドレス、LINEからメーカーに直接お問い合わせ下さい。
・メールアドレス:service@getpairr.com
セット内容とデザイン
「GetPairr Box AM」のセット内容はこちらの通りです。
- AI BOX本体
- USB A to Cケーブル
- USB C to Cケーブル
- 補助電源用、USB A to C分岐ケーブル
- 取扱説明書
本体のコネクタ・ポート・スイッチ類はこちらの通りです。
- USB電源ポート
- SIMスロット
- microSDスロット
- CarPlay、Android Auto切り替えスイッチ
車載オーディオシステムへの接続方法
通常は車載オーディオシステムのCarPlay、Android Auto用のUSBポートの規格に合わせて、付属するこちらの2種類のケーブルのいずれかを使用します。
- USB A to Cケーブル
- USB C to Cケーブル
USBポートからの供給電流が低くAI BOXが再起動するなど、動作が不安定な場合には、分岐ケーブルを使用してUSBシガーチャージャーなどから別途補助電力を供給します。
車載オーディオへの接続と初期設定
今回はパイオニアの2021年モデルのディスプレイオーディオ「DMH-SF700」にて動作チェックを実施しました。
車載オーディオのUSBポートにAI BOXを接続し、電源を入れた後にはこちらの順で初期設定を行いましょう。
- インターネット通信の設定
- 無線CarPlay、Android Autoの接続設定
※注意点として、背面のスイッチは初期設定ではCarPlayになっていますので、対応のオーディオがCarPlayには対応せず、Android Autoのみに対応している場合には、スイッチをAndroid Autoに変更する必要があります。
起動時にはこちらのようにロゴと確認画面が表示されます。
言語や地域設定、その他の表示単位の設定を行います。
すると、このようなホーム画面に移行します。
ホーム画面には各種アプリのショートカットやウィジェットが表示されていますが、ベースがAndroid端末であると考えれば、難しい事はないと思います。
インターネット通信の設定
本機は必ずしもスマホとの接続を必要としないAndroid端末ですので、こちらの3つの方法のいずれかでネット回線を確保すれば、すぐにAndroid端末として各種アプリが使用出来るようになります。
- WiFi
- nanoSIM
- クラウドSIM
今回はスマホのテザリングを使用してAI BOXをネット回線に繋げました。
これでネット接続、完了です。
無線CarPlay、無線Android Autoの設定
無線CarPlay、無線Android Autoとも、設定方法は同様で、AI BOXの「MultiPlay」アイコンをタップします。
これでAI BOXがBluetoothのペアリングモードに入りますので、次にスマホ側でAI BOXとBluetooth接続をタップしてペアリングを行います。
こちらはCarPlayの場合です。
CarPlayの接続が完了し、画面が切り替わりました。
これでCarPlayが使用できる状態になります。
Android Autoの接続も同様の手順になります。
※Android Autoはスマホ側が無線Android Autoに対応していないと使えません。
CarPlay・Android Autoの画面から、Androidモードに戻すには、画面の右端を左にスワイプしてメニューを引き出し、ホームアイコンをタップします。
Androidアプリの使用感
この製品の最大のメリットは、通常では動画アプリが使用出来ないCarPlay・Android Autoに対応するディスプレイオーディオで、YouTubeやアマプラなどの各種動画アプリを含めた様々なアプリをPlayストアからダウンロードして、使用出来るようになる点です。
動画の再生の遅延等については回線側の状況にも依存しますが、特に気になるような遅延や音声のズレ等は感じられず、概ね、快適に視聴する事が出来ました。
画面の分割による複数アプリの表示
この製品では、画面の分割による複数アプリの表示が可能となっています。
例えばGoogle Mapでルート案内を表示しながら、YouTubeやアマプラの再生など、走行しながらの動画の再生も可能です。
画面の分割方法ですが、メニューを引き出して一番上の時刻表示をタップすると分割のアイコンが表示されますので、そちらをタップして表示させたいアプリを選びます。
分割表示に対応しているアプリであれば、このように左右に分割表示されます。
また、中央のスライドバーをダブルタップするとウィンドウの左右が入れ替わります。
さらにこのスライドバーを左右にドラッグする事で、ウィンドウの幅を調整する事も可能です。
動画アプリ以外にもオービスガイドやハイタッチドライブなども分割表示に対応していますので、これらのアプリをGoogle Mapと合わせて表示させると便利だと思いました。
なお、CarPlay・Android Autoを表示させる「MultiPlay」は、画面分割には対応していませんので、CarPlay・Android Autoを表示させながらAndroidアプリを使用する事は出来ません。
覚えておきたい機能
AI BOXはAndroid端末ですので、複数アプリを長い時間使用し続けると4GBのメモリが圧迫されがちです。
動作が重くなってきたと感じた際には、メニューを引き出して一番上の時刻表示をタップするとメモリやCPUの使用率などのデータが表示されますので、メモリが足りなそうであればキャッシュをクリアしましょう。
気になったポイント
今回3点ほど気になった点がありました。スマホの機種適合の致命的な部分もありますので、ご購入の際にはよく確認される事をおすすめします。
CarPlayとAndroid Autoの接続が不安定になる事があった
これは今回の使用環境にもよる可能性がありますが、CarPlayとAndroid Autoが繋がりにくかったり、走行中に切れてしまう事が何度かありました。
それに伴い、CarPlayとAndroid Autoからの音声出力が飛び飛びになったり、停止したりする現象も発生していますが、体感的には特定の場所で発生するような気がしますので、周囲の電波干渉などを受けている可能性も考えられます。
また、スマホ側のキャッシュの開放や、オーディオ側のBluetooth接続の解除などを行った方が、接続が安定する気がします。
Xaomi HyperOS搭載機とはすこぶる相性が悪い模様
前述の接続不安定性については、ファームウェアのアップデートを行ったところ、CarPlayでの症状は改善されましたが、Android Autoでは改善されず、メーカーにもエラーログを送ったものの解決不可との最終回答でした。
こちらで独自に海外フォーラムなど調査したところ、どうやら今回テストに使用したPOCO F6 Proに搭載されているXaomi HyperOSはAndroid Autoで不具合動作を起し易い事が分かりました。
そう言えば、以前現行のプリウスのレンタカーの純正ディスプレイオーディオとの有線接続で、POCO F6 ProのAndroid Autoが使えませんでした。
ただし、CarlinKitの類似機種ではPOCO F6 Proとの組み合わせでも問題なく動作している事から、本製品とXaomi HyperOSとの相性が悪いと判断しました。
Android Autoポートを使用した時だけ、Google Mapアプリが不安定になる事があった
これはAI BOXのスイッチをAndroid Autoに設定した時に発生した現象ですが、AndroidアプリのGoogle Mapを使用した時に現在位置がなかなか読み込まれない、画面がチカチカ切り替わる、などの不具合が発生しました。
また、時々ピンチイン・ピンチアウトの操作の反応が逆になる事がありました。
Android Autoポートを使用した時だけ音量調整が出来ない
これは今回使用したパイオニアの「DMH-SF700」との相性の問題の可能性がありますが、Android AutoポートからAIボックスを動作させると、音量の調整が出来なくなりました。
※CarPlayポートからの起動時には正常
まとめ
「GetPairr Box AM(PCS55)」は、CarPlayやAndroid Auto対応ディスプレイオーディオに“動画アプリ”などの自由度を加えられる、コストパフォーマンスの高いAI BOXだと思います。
価格面で手を出しやすく、YouTubeやアマプラの視聴、Google Mapとの分割表示など多彩な使い方が可能な一方、接続の安定性や一部アプリ挙動には改善の余地もあります。
とはいえ、制限の多い純正CarPlay/Android Auto環境を拡張したい方には、有力な選択肢となるでしょう。
個人的には機種間の相性問題が少なそうな、CarlinKitの類似機種をおすすめしたいところですが。

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