タイヤ交換や車のメンテナンスの際には、ジャッキアップ作業が必要です。
しかし、やり方を誤ると事故や車の損傷につながる危険があります。ここでは、ジャッキアップ時に気をつけるべきポイントやジャッキの種類、使い方を詳しくご紹介します。
ジャッキの種類と選び方
ジャッキにはいくつか種類があり、それぞれに特徴があります。
- パンタグラフジャッキ:車載工具として緊急時に使うタイプ。コンパクトですが、耐久性や安定性は低めです。
- ボトルジャッキ:垂直に力を加えるタイプで、主にトラックなど重量車両向け。
- ガレージジャッキ(フロアジャッキ):作業性と安定性が高く、自宅メンテナンスに最適です。
車載のパンタグラフジャッキは、緊急時用として最低限の強度しかなく、何度も使うとシャフトが曲がってくることも。普段使いにはガレージジャッキがおすすめです。
スペースがない場合は、油圧式のパンタグラフジャッキも検討できます。
重要なのは、ジャッキの許容車両重量を確認することです。車両重量+500kg以上の耐荷重があれば安心です。
車検証に車両重量が記載されていますので確認しておきましょう。
ローダウン車両向けジャッキ
ローダウン車やエアロパーツが付いた車両は、通常のジャッキが入らないことがあります。
そんな時はローダウン用フロアジャッキを使いましょう。通常よりも最低高が低く、車体を持ち上げやすい設計です。
ただし、持ち上げられる最大高さは通常のジャッキより低くなるので注意してください。
サイドシルジャッキアップ用のアタッチメントを活用すれば、サイドシルを傷つけにくくなります。
ジャッキアップ前の準備
作業前に必ず、以下の準備をしておきましょう。
AT車はシフトを「P」に、MT車は1速またはリバースギアに入れてパーキングブレーキをしっかりかける。 周囲が平坦で安全な場所か確認する。
ジャッキアップポイントの確認
ジャッキアップポイントは車種によって異なります。一般的な乗用車ではサイドシル(ドア下)に半円の切り欠きがあり、そこにジャッキをかけます。
ただし、SUVやバン、軽トラックなどはラダーフレーム構造のため、フレーム部分やデフケースをジャッキアップポイントにするのが安全です。
ホンダ車はサイドシルに一段高い補強部があります。
スズキ車はサイドシル近くのフックを使います。OEMの軽自動車(マツダ・日産の一部車種)も同様です。
ジムニーなどの本格4WD車や軽トラ・バンは、フレームをジャッキアップポイントにしましょう。
誤ってサイドステップやスポイラー部分にジャッキを当てると、車両を損傷させる恐れがあるため十分注意が必要です。
車の下に入る場合の必須アイテム
ジャッキアップ後に車の下に潜る必要がある作業では、必ずリジッドラック(ウマ・ジャッキスタンド)を使用してください。
リジッドラックは、車両をしっかり支えるための専用スタンドです。
設置は以下を参考にしましょう。
- なるべくフレームの水平部分にかける。
- サイドシルにかける場合は、慎重に位置を合わせる。
- ジャッキは軽く当てた状態で残しておくと安全性が向上します。
- 外したタイヤを車の下に置き、万が一落下してもスペースを確保できるようにします。
ジャッキだけを頼りにして車の下に入るのは非常に危険です! タイヤ交換のような短時間作業以外では必ずリジッドラックを使いましょう。
(ライター:自動車整備士 SkyLight)
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