こんにちは!自動車系ライターの駆流斎です。
電気自動車(EV)の普及は世界的に進んでいますが、ニュースなどでよく見かける「普及率」や「販売割合」という用語は、実際には意味が異なります。
混同されやすいこの2つの指標の違いや、世界の動向、今後の展望をわかりやすく解説します。
EV普及率と販売割合の違い
- EV普及率(保有台数比率)
- その国・地域の全保有乗用車に占めるEVの割合。
- 例えば、1,000万台の車のうちEVが100万台なら普及率は10%。
- 社会全体の「EV化の進み具合」を示す指標です。
- EV販売割合(新車販売比率)
- ある期間(通常は年間)に販売された新車のうち、EVが占める割合。
- 例えば、1年間で100万台の新車が売れて、そのうち30万台がEVなら販売割合は30%。
- 直近の市場動向やEVへの移行スピードを示す指標です。
ニュースや報道で「ノルウェーのEV普及率は90%」といわれる場合、実際には「新車販売のうちEVが90%」という意味であることが多いです。
普及率(保有台数比率)とは異なるため、情報を正確に読み解くことが大切です。
世界の現状:先進国と新興国の差
- ノルウェー
- 新車販売割合:約90%
- 保有台数比率(普及率):約25%前後 ※調査時期やデータ母数により前後します。
- 政府の補助金・優遇政策が非常に手厚く、公共充電インフラの整備も進んでいる。
- 中国
- 新車販売割合:約42%
- 保有台数比率:約5% ※数値は目安で、地域差や統計の母数により差があります。
- 世界最大のEV市場。都市部でのEVシフトが加速中。
- ドイツ・フランス・オランダなど
- 新車販売割合:30〜60%
- 保有台数比率(EU全体):約5%前後 ※各国やデータ母数によるばらつきがあります。
- EUの環境規制や補助金に支えられ、急成長。
- 日本
- 新車販売割合:約3〜5%
- 保有台数比率:約1% ※概算値であり、ハイブリッド車を除く純EVのみを対象とした場合の目安。
- ハイブリッド車が主流で、EV化はまだ過渡期。
こうして見ると、新車販売割合の伸びが保有台数比率(普及率)に少しずつ反映されていく流れが見えます。販売割合が先行し、数年遅れで保有台数比率が追いつく傾向があります。
今後の展望
世界各国では、EV化の流れがますます加速しています。
各国政府は「2035年までにガソリン車販売を終了する」などの明確な目標を掲げており、それに伴い新車販売に占めるEVの割合は今後さらに伸びていく見通しです。
EV自体の価格が下がり、充電インフラの整備も進んでいることから、普及が一層加速することが期待されます。
日本の場合は、ハイブリッド車からEVへの移行がどこまで進むかが注目されています。特に、全国的な充電インフラの拡充や電力供給の脱炭素化が重要な課題です。
自動車メーカー各社が新型EVの投入を加速させれば、2030年までに新車販売に占めるEV比率が10〜20%に達する可能性も十分にあります。
また、新車販売割合の伸びに少し遅れて、保有台数比率(普及率)も徐々に増加していきます。EVの普及が進むと、バッテリーの寿命管理やリサイクルなど、循環型社会への新たな課題も出てくるでしょう。
こうした流れは、社会全体の脱炭素化やサステナビリティの実現に向けて、大きな一歩となります。
まとめ
EVの普及度合いを正確に理解するには、「販売割合(新車販売比率)」と「保有台数比率(普及率)」を区別することが大切です。
先進国では販売割合がすでに高水準に達し、これが今後の保有台数比率を引き上げていくと見込まれます。日本でも少しずつ新車販売割合が伸びており、2030年以降はEV社会が本格的に進んでいくでしょう。
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