私が住んでいる埼玉県では2018年4月1日から、自転車損害保険への加入を義務付ける「埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例」の改正案が施行され、自転車に乗る際には運転者、または車体の保険加入が義務付けられています。

■ 埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例~2017年10月17日公布

なお、2018年4月9日の段階では、埼玉県以外に京都府・兵庫県・大阪府・滋賀県・鹿児島県において、自転車保険の加入を義務付ける条例が施行されており、今後もこのような条例が施行される都道府県が増えていくように見受けられます。

この条例に罰則はありませんが

この条例は自転車が加害者になる交通事故による被害者の救済を主な目的として改正されているようですが、何れの都道府県においても保険に加入していないからと言って罰則はありません。

なお、自動車の場合には同様の目的で運用されている「自動車損害賠償保障法」という民法の特別法がありますが、こちらは民法であっても以下のような刑罰が規定されています。

※1年以下の懲役または50万円以下の罰金~同法86条の3第1号。

なぜ自転車保険の加入が義務化されているのか?

埼玉県の公式サイトでは以下のようなパンフレットが配布され、自転車保険への加入の指導を行っています。

義務化する理由については「自転車事故を起こした際の被害者救済や、加害者の経済的負担の軽減を図るためです。」とだけ書かれており、過去の自転車事故の高額賠償事例として9,521万円という数字が掲載されています。

自転車に乗っていて歩行者と事故を起こす確率は?

最大の損害賠償額の事例が桁外れに高額であることは理解しましたが、自転車が最も過失が重い「第一当事者」なる事故がどれくらい発生しているのかを調べてみたのですが、ここ10年では年々減少傾向にはあるものの、思いの外多く、警察庁の統計によると2017年は全国で15,281件となっています。

■ 平成29年中の交通事故の発生状況

 

なお、この15,281件というのは対人・対物込みでの数値ですので、自転車側の過失が最も大きい状況で車に轢かれてしまったケースも含みます。

 

一方で自転車対歩行者の事故の件数については、自転車が第一当事者となった場合の発生件数の統計が見つかりませんでした。

自転車が第二当事者となったケース(歩行者側の過失が大きい)のものを含めると、2,550件となっています。

これはあくまでも事故として警察に届け出があったもののみを計上している為、実際に起きた事故はもっと多くなると思います。

なお、少しデータは古くなりますが国土交通省の報告によると、2010年の財団法人日本自転車普及協会の実施したアンケート調査で、歩行中に自転車との事故にあった事があると答えた人の割合は28.8%で、そのうち警察に届け出たと回答しているのは僅かに5.79%しかいません。

■ 国土交通省 歩行者対自転車の事故の実態

従って実際に起きている事故は、2,550件の17.3倍の44,000件程度であろうと推察されます。

 

仮に44,000件という数字を正として、自転車を運転している時に歩行者を巻き込んだ事故を起こす確率を考えてみましょう。

日本国内の自転車の総保有台数は2013年の国土交通省の統計では7150万台となっており、自動車を若干下回る程度です。

■ 国土交通省 平成26年度 自転車交通

この7150万台のうち、どれくらい稼働しているは分かりませんが、7150万台の自転車のうちの1台が1年のうちに対歩行者の事故を起こす確率は0.062%となります。

10万台に62台、1万台に6台という事になりますね。

1台の自転車が40年の間に歩行者との事故に遭う確率は、2.5~6%程度しかありませんが、上述の歩行者側へのアンケートでは28.8%の人が自転車との事故に遭ったと答えています。

アンケートの対象者の平均年齢は不明ですが、仮に40歳であったとした場合、日本の人口1.27憶×28.8%=3,660万人が40年間で自転車との事故に1度は遭遇していると考えられます。

警察庁の統計と国土交通省のアンケート結果の辻褄が合わないのですが、データを整理すると以下の通りとなります。

 

①警察庁の統計では自転車対歩行者の年間の発生件数は2,550件だが、そのうちの94.2%は警察が認知していない為、実際には44,000件程度になると思われる。

②これが40年間続くと176万件となる。

③一方で国土交通省のアンケート結果では、28.8%が自転車との事故に遭遇した経験があると答えている為、3,660万人が事故に遭った事になる。(年間当たり91.5万件)

 

これだけ数字が乖離していると、国土交通省のアンケート結果のデータはかなり怪しい気もしますが、国土交通省のアンケート結果を全く信用しなければ、年間発生件数は2,550件、届け出をしなかった比率だけを信用すれば44,000件、全て信用するなら91.5万件程度になると予測されます。

 

仮に…ですが国土交通省のアンケート結果が以下のようであれば辻褄は合います。

・事故の際に警察に届けなかった人の割合が94.2%ではなく、99.7%だった

または

・自転車との事故に遭った事があると答えた歩行者が28.8%ではなく1.38%だった

もしくは

・両方の数値が94.2%~99.7%と28.8%~1.38%の間である。

まあ、条例で定められているので結論としては自転車保険には入るべきなのですが、予想外に数字が怪しくなってきたので、埼玉県・国交省に問い合わせてみようと考えています。(私の数字の拾い方が間違っているのかな…)

因みに…ですが、国交省のこのアンケートの作成元である「財団法人日本自転車普及協会」や、自転車保険の付帯する「TSマーク」の発行主体である「日本交通管理技術協会」は、警察官僚などの天下り先となっている可能性が高いので、複雑に利権が絡み合っている気がしますね。

あまり深入りしないほうが良いような?(笑)

(編集長 Omi)

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