パイオニア 楽ナビ2022年モデルの違いとおすすめモデル

※2022年3月21日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。

こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。

パイオニアは楽ナビ・サイバーナビの2つのグレードのカーナビを展開していますが、2022年の年明けに楽ナビの最新モデルが発表されています。

今回は2019年のフルモデルチェンジ版のマイナーチェンジですので、大きな変更はありませんが、改めて現状の楽ナビの特徴について解説します。

楽ナビの立ち位置と最近の流れ

楽ナビはパイオニアのカーナビシリーズの中ではエントリー~スタンダードグレードに当たるブランドで、フラッグシップの役割はサイバーナビが担っています。

ここ数年のカーナビ業界のトレンドは

・9~10型液晶の大画面化
・100万画素の高精細化
・車種種用モデル

の3つでしたが、一部を除いて各社ともこのような対応を行ってきました。

・ハイエンドグレードを追加する形でこのような製品を投入
・既存のグレードについては改善を行わずに本体価格や地図の更新費用を下げる

楽ナビには常に上位にハイエンドグレードのサイバーナビがするという、上位グレードとの差別化と言った面を考えると難しい立ち位置のブランドですが、このような立ち位置が影響してか、2019年にフルモデルチェンジが行われるまでは放置プレイ気味でした。

その流れが変わったのが2019年のフルモデルチェンジです。

このタイミングに合わせて、楽ナビには以下の2つの改善が加えられています。

・エントリースタンダードグレードは、地図更新費用の値下げで割安感を持たせる
・アッパーミドル~ハイエンドグレードは、全く新しいインターフェイスの採用と合わせて7~9型の100万画素高精細化が実装
パイオニアのサイバーナビ・楽ナビの地図更新料金が年間3,600円に!
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これで放置されていた楽ナビにも再びスポットライトが当たるようになりました。

…というのが2019年までの流れです。

以降、2020年末のモデルチェンジでは、このような変更が加えられています。

・従来はアッパーミドル~ハイエンドグレードだけに使用されていた100万画素の高精細液晶が標準化された(エントリーの化石モデル2機種以外に実装)
・従来は上位機種の差別化機能であったHDMIのIN・OUTポートが下位4機種を除き、ほとんどの製品で実装され、スマホのデジタルミラーリング・Chromecast・Fire TV・Apple TVなどのガジェット類との親和性が高まる
【2023年版】YouTubeが見れるカーナビと、カーナビでYouTubeを再生する方法について解説
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Fire TVのミラーリング方法のまとめ
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「Chromecast」をカーナビで使用してみた!
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コレに全く気が付かずに時代に逆行してHDMIポートを削っているのがケンウッドですね。(2022年モデルはようやく気が付いたらしく、HDMI入力ポートを再実装)

なお、車載でネットメディアを再生する場合に気になるのが通信費用ですが、パイオニアでは合わせてこちらの破壊力抜群のモバイルルーターも取り扱っています。

実機レビュー最強最安の車載モバイルルーター「DCT-WR100D」の評価
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2022年モデルのグレードごとの特徴

2022年モデルではマイナーチェンジという事もあり、大きな変更は行われておらず、楽ナビの最新モデルを大雑把に括ると以下の3グレードになります。

・30万画素の従来型化石モデル
・100万画素の7~8型モデル
・100万画素の9型モデル

それぞれのグレードの製品の特徴は以下の通りです。

従来型30万画素モデル

こちらは2019年のフルモデルチェンジで残された、2018年までの基本設計・インターフェイスを踏襲したシリーズです。

型番は「AVIC-RZ303/RW303」→「AVIC-RZ303Ⅱ/RW303Ⅱ」→「AVIC-RZ303Ⅲ/RW303Ⅲ」と言った形の変更ですので、パナソニックの最エントリーと同様に他のグレードとは完全に別系統として細々と販売を継続していくのでしょうか。

AVIC-RZ303Ⅲ/RW303Ⅲ
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カロッツェリア(carrozzeria)/パイオニア(Pioneer)
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22.01発売
7.0型液晶
VICS WIDE
スマートループ渋滞情報
別途通信モジュールが必要
ETC2.0対応車載機は連動せず
ワンセグ/SD/USB/CD/DVD
連携ドラレコ
対応バックカメラ
ステアリングリモコン
オービスデータ
地図更新~3,600円(年)
取付・取扱説明書
車種別適合表
工賃が安い「カーナビの持込取り付け」が出来るお店の探し方

「AVIC-RZ303Ⅲ/RW303Ⅲ」はBluetoothに対応していない為、ガラケーユーザー、またはスマホは持っているけどあまり積極的には使っていないユーザー向けに機能を絞ったモデルです。

価格次第では結構良いんじゃないかなぁ~、と思う反面、価格が安かったとしてもスマートループが使えないのは痛い…と感じる部分もありますね。

スマートループが使えないと、他社の同グレードのモデルとの差別化の面で厳しいかも知れませんので。

なので、このグレードなら私はケンウッドのカーナビをおすすめします。

ケンウッド彩速ナビ 2023~2024年モデルの違いとおすすめモデル
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逆の見方をすれば旧態依然の廉価カーナビならケンウッドが得意、でも新しさを求めるなら楽ナビの少し上のグレードを選べって事ですかね。

地デジなしの潔い新世代モデル

「AVIC-RZ112/RW112」はスマホアプリを良く使いこなし、音楽再生はもっぱらCD/SDではなく音楽配信アプリを使うユーザー向けですが、スマートループ渋滞情報が使える為、パイオニアのカーナビの肝であるナビゲーション機能は充実しています。

AVIC-RZ112/RW112
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22.01発売
7型/7型ワイド
VICS WIDE
スマートループ渋滞情報
ETC2.0対応車載機は連動せず
USB/Bluetooth/ハイレゾ
NaviCon
連携ドラレコ
対応バックカメラ
ステアリングリモコン
オービスデータ
地図更新~3,600円(年)
取付・取扱説明書
車種別適合表
工賃が安い「カーナビの持込取り付け」が出来るお店の探し方

スマホ以外のメディア再生機能は必要最低限で良いと考えているユーザー向けのモデルですが、昨年までは180mmの1DINのみの展開だったものが200mmモデルも追加されていますので売上は好調のようですね。

なお、このグレードまではHDMIポートを搭載してませんが、状況次第では来年のバージョンアップでこのグレードまでHDMIが降りてくるかも知れませんね。

※因みにこのグレードのコンセプトは4年前に私がこの記事内で書いています。

地デジは欲しいけどCD/DVDは要らない人向けのモデル

「AVIC-RZ512/RW512/RL512」も従来式の型にハマった構成ではなく、スマホユーザー向けに地デジは積むけどSD/CD/DVDドライブを削った筋肉質のモデルです。

8型の「AVIC-RL512」まで。この構成がカバーされていて好印象です。

AVIC-RZ512/RW512/RL512
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22.01発売
7型/7型ワイド/8型
VICS WIDE
スマートループ渋滞情報
ETC2.0対応車載機は連動せず
フルセグ/USB/Bluetooth/ハイレゾ/HDMI IN/HDMI OUT
NaviCon
連携ドラレコ
対応バックカメラ
ステアリングリモコン
オービスデータ
地図更新~3,600円(年)
※最大1年分は無料
取付・取扱説明書
車種別適合表
工賃が安い「カーナビの持込取り付け」が出来るお店の探し方

最大のポイントはこのグレードからHDMI IN、OUTの両方に対応しており、スマホやFire TVなどの映像を後席の増設モニターで視聴出来る点でしょう。

HDMI IN、OUTは従来ではハイエンドモデルの差別化機能でしたが、ユーザーの要望はそうじゃないだろって事ですね。

これ以上はフルメディア対応

ここから上のグレードは「AVIC-RZ712/RW712/RL712/RZ912/RW912/RL912/RQ912」の7機種での展開になるのですが、機能面ではどれもフル装備となっており、液晶サイズと地図更新の期間で差別化されています。

本体幅液晶サイズ地図更新
RZ712180mm7型最大1年無料
RW712200mm7型
RL712180mm8型
RZ912180mm7型最大3年無料
RW912200mm7型
RL912180mm8型
RQ912180mm9型

機能面はこちらの通りです。

AVIC-RZ712/RW712/RL712/RZ912/RW912/RL912/RQ912
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22.02発売
7型/8型/9型
VICS WIDE
スマートループ渋滞情報
ETC2.0対応車載機
フルセグ/SD/USB/Bluetooth/CD録音/DVD/CD/ハイレゾ
HDMI IN×1
HDMI OUT×1
NaviCon
連携ドラレコ
対応バックカメラ
ステアリングリモコン
オービスデータ
地図更新~3,600円(年)
※RZ712/RW712/RL/712は最大1年無料
※RQ912/RZ912/RW912/RL912は最大3年無料
取付・取扱説明書
車種別適合表
工賃が安い「カーナビの持込取り付け」が出来るお店の探し方

以前はこのグレード以上で高音質チップが採用されていましたが、こちらは下のグレードまで惜しみなく拡大されていますので機能面での差別化ポイントはSDを使用しての車種別の「車種専用エキスパートチューニング」程度になります。

また、SD/CDドライブもこのグレード以上になりますのでCDの使用頻度が高い方はこちらがおすすめになりますね。

パイオニア楽ナビの2022年マイナーチェンジよりも期待したい事

楽ナビの2022年モデルは、2020年モデルの地図のみバージョンアップ版のような特性ですので、ここからは、私が100%ユーザー目線で次期フルモデルチェンジに期待したい内容をまとめておきます。

現行モデルの流れは2019年のフルモデルチェンジから

楽ナビの現行モデルは、2019年のフルモデルチェンジ版の直系の後継モデルですが、パイオニアは他社と比べると、従来から数年に渡ってディスプレイオーディオの開発を継続するなど、スマホとの親和性を重視する傾向が強いメーカーでした。

そこでのノウハウや情報を活かして、カーナビにおいてもHDMI入力機能を使ったスマホのミラーリングや、Fire TVなどのネット動画再生ガジェットとの親和性を他社に先駆けて高めて来たという実績があります。

また、従前の同社、および現状の他社のカーナビのグレード設定は、AV機能とディスプレイのサイズによって差別化されて来ましたが、この括り方は2010年代の後半にはAV機能をスマホのアプリをメインに使いたいというユーザーのニーズからは乖離したものとなっており、このようなユーザーの声をいち早く楽ナビで取り入れたのがパイオニアです。

具体的にはどのような事をしたかというと、必ずしも全員が必要とはしていない、CDやDVDの再生機能を外して、エントリーモデルからHDMI入力機能を搭載させてみたり、ドコモと組んで車載WiFIルーター「DCT-WR100D」を発売するなどで、このようなユーザーの声に応えてきました。

合わせてカーナビ以外にも、CarPlayやAndroid Autoに対応したディスプレイオーディオの開発にも力を入れており、車内でスマホアプリを使い倒したい層に対してオールレンジで構えていると言えます。

パイオニアの9型ディスプレイオーディオ「DMH-SF700」の実機レビュー
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CarPlay・Android Autoも良いけれど

CarPlay・Android Autoは、過去に各社が最上位ナビの差別化機能として実装し、悉く撃沈されて来た歴史があります。

CarPlay・Android Autoは、主にナビ機能をスマホのアプリで代替えし、なるべくコストを掛たくないユーザー層に支持される事が予測される機能であると感じていましたので、私自身も当時は最上位モデルの差別化機能として、CarPlayやAndroid Autoを追加するのは悪手だと思っていましたし、多くのユーザーもそのように受け止めていた事でしょう。

しかしながら、他社がこのカテゴリーから撤退した後も、パイオニアはディスプレイオーディオという形でCarPlay・Android Autoに対応したメインユニットを販売し続けており、これらの製品が数年掛けて、徐々にユーザーに受け入れられるようになって来ました。

私自身もここ3~4年の間に、いくつかのディスプレイオーディオの実機レビューを行っていますが、一度使い出すと便利なので次の車でも使いたい、所有する全ての車で使いたい、と考えるようになってはいるものの、CarPlay・Android Autoのナビ機能には致命的な欠点がある為、全ての車のディスプレイオーディオ化には躊躇してしまいます。

CarPlay・Android Autoのナビ機能の欠点

CarPlay・Android Autoのナビ機能には、次の致命的な2つの欠点があります。

・ナビゲーションが雑過ぎる:高速道路や車線数が多い交差点では、従来型のカーナビの様にレーンの案内がされず、車線減少などの気の利いた案内もない
・測位を見失う:トンネルや長い地下道ではGPSをロストしてしまい、ジャイロや車速パルスの補正が効いていないような挙動を示し、全く機能しなくなる

CarPlayでのGoogle Mapの使い方とレビュー
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状況によってはカーナビとして使い物にならなくなる事もあるのですが、Google Mapはナビゲーション以外の機能、例えばデータベースとしての使い勝手や、目的地の探索能力では従来型の市販カーナビを圧倒的に凌駕しており、状況によっては市販のナビよりも便利に使えるケースもあるのが惜しいところです。

次期フルモデルチェンジに期待したい事

そこで私がパイオニアに期待したいのが、現状のカーナビのグレードを縦割りではなく横割りにして、一方のラインではエントリーからハイエンドまでCarPlay・Android Auto対応とする方法です。

つまりはディスプレイオーディオとカーナビの統合とも言えますね。

トヨタの純正カーナビなどは、カーナビベースにCarPlay・Android Autoが追加されていたり、または純正ディスプレイオーディオにカーナビソフトを追加できるような構成になっています。

または、純正ディスプレイオーディオ以外の選択肢がない車種もありますね。

そこでパイオニアの次期モデルには、このようなライン分けの試みを期待したいのです。

ラインAラインBラインC
ナビ機能-
CarPlay・Android Auto-

このA~Cラインの中でCDやDVD、地デジの有無、筐体サイズでグレードの差別化を行えば、かなり多くのユーザーの心に刺さる製品が出てこようと思います。

グレード1グレード2グレード3
BT・USB・HDMI
地デジ-
CD/DVD-

少なくとも、次に車を買い替える場合、または今乗っている車の少々古くなったケンウッドの彩速ナビからの載せ替えを考えた場合、世の中に私が欲しいと思えるカーナビがないというのは紛れもない事実であって、仮に次期モデルチェンジでこのような思い切った統廃合が行われるのであれば、私はその製品を買いますし、読者にもおすすめするでしょう。

※ついでにGoogle Mapの測位ロストの問題もどうにかして欲しいですね。

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