車の水温の適温は車種ごとに若干異なり、80~100℃くらいまでが適温の範囲と言われている事が多いですが、そもそも最近の車には水温計がついていないものも多く、日本のメーカーが想定する10万キロの走行距離の範囲では少しばかりメンテナンスをサボってもオーバーヒートを起こす事はあり得ないのかも知れませんね。
そもそも純正の水温系は表示がアバウトで80~100℃程度の範囲では全く針が振れず、オーバーヒートの危険がある温度まで上がらないとほとんど気が付かない範囲でしか針が動きません。
ただし、水温系の針が振れるほど温度が上がった状態だと気が付いた時は既に手遅れになっている可能性もあるので厄介です。
水温をしっかり監視する簡単な方法
私自身は普段はレーダー探知機で水温を表示させていますが、四六時中水温を監視している訳ではありませんし、普段は渋滞時に水温をチラ見する程度です。
レーダー探知機を使用しないのであれば、このようなOBDⅡ接続のヘッドアップディスプレイとOBDⅡアダプタを使用する事で簡単に水温を監視する事が出来ます。
因みにランエボ10ではそこそこのスピードで走りながらラジエーターに風を当てている状態であれば80~90℃程度で安定、夏場に渋滞にハマると100℃まで水温が上がりますが、ラジエーターファンが駆動するとまた水温が下がっていました。
エンジンをオフにしても水温が下がりきらない時にはファンが回り続ける事もありますが、4年間で3~4回だったと記憶しています。
コペンは水温が上がり易い気がする
最近購入したコペンでもレーダー探知機で水温を監視しているのですが、異常値とは言えないまでも、やや水温が高めに推移する傾向が強いと感じています。
16万キロも走っている車なので関連するパーツ類の経年劣化によるものなのかも知れませんが、信号待ちなどでの停車中にはかなりの確率で90~100℃まで水温が上がっている事が多く、エンジン停止後にもファンが回り続ける頻度が高いと感じています。
水回りのパーツ類も痛みが気になる部分ですし、運が悪いと一撃でエンジンが死亡する可能性もあります。
夏から晩夏に掛けての話ですし、今のところは最高水温が正常値から外れている訳ではないので早急に対応は必要な状態ではないと考えられますが、毎回水温が100℃前後になっているのを見るのはあまり気持ちの良いものではありませんので、今後の整備計画を考える為に水温が上がり易くなる原因をまとめておきます。
水温が上がったり下がったりする仕組み
エンジン始動から適温の80℃近くまでは、サーモスタットの弁が閉じており、ラジエーターやリザーバータンクの冷却水がエンジンの熱から遮断されている為、ウォーターポンプによって循環している限られた冷却水の水温が一気に上がり続けます。
80℃近くになってくるとサーモスタットの弁が開き、ラジエーター内を通過させた冷やされた冷却水をエンジンに送り込むようになります。
この状態になると水温は一旦安定しますが、外気温やエンジンへの負荷、速度によるラジエーターへの自然風の当たり具合によっては更に100℃くらいまで水温が上昇する場合もあります。
補器類が正常な状態であればこの位の温度からラジエーターファンが作動し、強引にラジエーターに風を当てて冷却水を冷やします。
因みにラジエーターファンにはクランクシャフトからの動力で動くベルト式と、電力で動くモーター式がありますが、コペンの場合にはモーター式です。
水温が上がり過ぎるとオーバーヒートでエンジンブローするかも知れない
冷却水にはエチレングリコールという沸点を高めて凍結を防止する物質が含まれており、更にラジエーターキャップよって冷却水に対する圧力が高まっている事で100℃程度では沸騰しませんが、140~150℃くらいになると怪しくなってくるそうです。
冷却水が沸騰するとエンジンの冷却効率が極端に下がり、高温に晒されたエンジンオイルの粘度が低下する事で、エンジンの金属面を潤滑するオイルの皮膜がなくなってしまいます。
その状態ではエンジン内部の金属同士に激しい摩擦が発生する為、ピストンやカムが削れてしまったりしますので、再起不能なほどのダメージを被る可能性があります。
この状態が俗にいうオーバーヒートですね。
水温が下がらない原因として考えられる事
上記で説明した通り、オーバーヒートは一撃でエンジンを再起不能にしてしまいますので絶対に避けたいところです。
幸い今のところ私のコペンはそこまで差し迫った状態ではないのですが、古い車なので近いうちに水回りに手を入れないと、突然水温が激しく上昇して、そのまま車も昇天してしまう可能性もあります。
そこで水温が下がらない原因と対策についてまとめておこうと思います。
冷却水が古い
冷却水は古くなると冷却効果が落ちる…という話は聞いたことがなく、防錆効果が落ちたり目詰まりの原因を作る恐れがあると言われています。
因みに冷却水に含まれるエチレングリコールは、水よりも沸点は高いですが冷却効果は水の方が高い為、冷却水が古いというよりも濃い可能性はありますね。
通常は50:50程度の割合で水で希釈しますので、水の割合が少ないと沸点は高まるもののそれ以前の温度域では冷却効果が下がります。
対策としてはやはり交換ですね。(笑)
冷却水自体は高いものではないですし、交換作業自体もそこまで難易度が高いものではないので、最初にやってみて様子を見る価値はあります。
ラジエーターの目詰まりやフィンの潰れ
ラジエーターはフィンの間に冷却水が通るパイプがあり、フィンがパイプから熱を奪う訳ですが、フィンが目詰まりしていたり、折れていたりすると充分な冷却効果が発揮できません。
対策としてはとりあえず潰れているフィンを精密ドライバーなどで修正して、エアスプレーなどで詰まっているごみを吹き飛ばし、パーツクリーナーで汚れなどを落とす感じでしょうか。
これも比較的簡単に出来る作業です。
ウォーターポンプ周りの劣化
ウォーターポンプはクランクシャフトとベルトで接続されて回転していますが、ベルトが緩んでいたりポンプ自体が劣化していてベアリングなどが死にかけている可能性もあります。
現状はやや水温が高めと感じている程度なので、ある程度は冷却水が循環しているが本来の性能を発揮できていない可能性はありますね。
ただし、ベルトとポンプの交換はやや作業の難易度が高そうなのでそれ以外に出来る事をやってから考えます。(笑)
サーモスタットの故障
サーモスタットが故障すると適切な温度でラジエーターに冷却水が循環しなくなる為、一気に水温が上昇する筈です。
サーモスタッドは温度によって開閉度合いが変わりますが、よくあるのは完全に開いた状態・もしくは閉じた状態で固着するパターンだそうです。(半開きでの固着はない模様)
今回の私の事例ではどちらかに固着した状態では無さそうなのでサーモスタットの故障ではなさそうですが、10万キロ程度の走行距離での交換が推奨されているようですので冷却水交換の際についでに変えてしまうのも良いかと考えています。
ウォーターホースの硬化によるひび割れと液漏れ
通常のウォーターホースはラバーで出来ていますので、経年劣化で硬化してひび割れを起こす可能性があります。
ただし、見た目や触った感じではまだ充分弾力がありますし、液漏れはありませんでしたので今のところは問題はなさそうです。
全て交換となると結構大変そうですので、これも後回しですね。
ラジエーターファンの故障
コペンの場合にはベルトではなく電動モーターでファンを回転させているのですが、ファンが回っているのは間違いありません。
モーターのブラシの摩耗で回転数が落ちている可能性はありますが、モーターの点検はかなりの部品を外す必要がありますので後回しですね(笑)
車の水温対策のまとめ
ざっくりと車の水温対策について考えてみましたが、16万キロで14年落ちの車になると何かの拍子で一気にエンジンブローというシャレにならない事になるリスクがない訳ではありませんので、お金と手間のかからない部分から手を入れて状況が改善するのか悪化するのかを観察しながら考えていくのが良さそうですね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
コメント
OBD2をつけて何となみてたらここにたどり着いてみていました
思い出すのは昔のエスティマの逆輸入のプレビアに乗っていてオーバーヒートしたことですね
前方を当て逃げされていたのですがまあ動くしいいかとのりづづけていてふと水温を見たらH振り切っていて やべーーー と細い道に入った瞬間ラジエーターが破裂しホースが抜けフロントガラスが液まみれw
それでもエンジンが回っていたのにはすごいなとおもいましたが..
おくった様
水温はエンジンが死ぬ可能性があるので古い車は気を付けたいですよね。
とはいえ普段はあんまり水温計を見ないので、OBDⅡ系の表示は強制的に目立たせる意味では有効だと思います。
そう言えば最近のHV車などはもはや冷却水の存在すら感じさせないインパネになっていたりするので、私もHV車では全く気にしてません(笑)