こんにちは!ドライブレコーダー専門家で「車とカー用品の研究室 LaBoon!!」編集長の鈴木朝臣です。
最近、「ドラレコが再起動を繰り返すようになったため、メーカーに点検を依頼したところ、『本体の故障です』という回答だった」というコメントを頂くことが増えています。
確かに、メーカーの立場で見れば内部部品の単体劣化まで切り分けることは難しく、挙動として異常が出ていれば「本体故障」という判断になるのは自然です。
ユーザーとしても、それ以上は確認のしようがありません。
ただ、実際の症状を詳しく聞いていくと、「完全に電源が入らない」わけではなく、「起動はするが安定しない」「再起動を繰り返す」「夏場に悪化しやすい」「朝イチは比較的まとも」
といった共通点が見えてきます。
これらの挙動から推察すると、本体そのものが突然壊れたというよりも、内部のスーパーキャパシタが寿命を迎えている可能性が高いケースが少なくありません。
キャパシタは、ドラレコが電源断や電圧変動に耐えるための重要な部品ですが、永久に使えるものではありません。
時間と熱の影響を受け、徐々に性能が落ちていきます。
そして厄介なことに、キャパシタが劣化・故障すると、いきなり動かなくなるのではなく、
再起動を繰り返す、動作が不安定になるといった、分かりにくい症状として現れることがあります。
この記事では、キャパシタが故障(寿命)を迎えた場合にドラレコにどのような症状が出やすいのか、そして他の原因とどう切り分けて考えるべきかを整理していきます。
「本体故障」と言われてしまったその挙動が、本当に突然の故障なのか、それとも避けられない経年変化なのか。
判断するための材料として読んで頂ければと思います。
そもそも、ドラレコはなぜキャパシタを使うようになったのか
少し背景から整理します。
初期のドラレコには、リチウム電池が普通に使われていました。
電源断後も余裕をもって動作でき、ファイル保存の失敗も起きにくい。設計としては扱いやすい部品です。
しかし、日本の車内環境は想像以上に過酷でした。
真夏のダッシュボード、直射日光、密閉空間。
この条件下でリチウム電池は急速に劣化し、膨張や安全性の問題が表面化します。
「事故を記録する装置が、事故の原因になる」この矛盾を避けるため、ドラレコはリチウム電池を捨て、安全性重視のスーパーキャパシタへ移行していきました。
キャパシタは安全だが、寿命部品であることは変わらない
スーパーキャパシタは、
- 発火しにくい
- 高温に強い
- 充放電回数に強い
という点で、車載用途に向いています。
ただし、壊れない部品ではありません。
コンデンサである以上、
- 高温
- 常時電圧
- 時間経過
によって確実に劣化します。
特に問題になるのは、容量低下よりも内部抵抗の上昇です。
この劣化はユーザーから見えず、「ある日突然おかしくなった」ように感じられます。
再起動トラブルの原因は、まず電源を疑うべき理由
ここが重要です。
ドラレコの再起動ループは、キャパシタ以前に、電源要因で起きるケースが圧倒的に多く
- シガーソケットの接触不良
- 電源プラグの緩み
- ギボシの圧着不良
- バッテリー劣化
- 始動時・アイドリングストップ時の電圧降下
これだけで、SoCは簡単にリセットされます。
特に起動直後は、
- SoC初期化
- センサー立ち上げ
- SDカード認識
が同時に走り、一番電流を食う瞬間です。
このタイミングで電圧が落ちれば、キャパシタが健全でも再起動は起きます。
従って、再起動=即キャパシタ故障を疑うべきではありません。
次に疑うべきはSDカード
電源に問題がない場合、次に切り分けるべきはSDカードです。
- 書き込み遅延
- 内部エラーリトライ
- 高温による性能低下
これらが起きると、
- 書き込みが詰まる
- SoCが待たされる
- watchdogが発動
- 再起動
という流れになります。
再起動系トラブルのかなりの割合は、電源かSDカードで説明がつきます。
それらを潰して初めて、キャパシタが疑わしくなる
電源配線に問題がない。SDカードを新品・高耐久品に替えても症状が出る。
それでも、
- 起動直後に落ちる
- エンジン始動時に落ちる
- 夏場に悪化する
この条件が揃ったとき、初めてキャパシタ劣化が現実的な候補になります。
キャパシタが劣化すると、
- 瞬間的な電流要求に耐えられない
- 電圧を支えきれない
- SoCがリセットされる
結果として、電源は入るが、安定しない、起動しようとして落ちる、という 中途半端で分かりにくい故障になります。
なぜキャパシタ故障は「一番大事な瞬間」で裏切るのか
厄介なのは、キャパシタが壊れていても、普段は普通に動くことがある点です。
キャパシタが使われるのは、
- 電源断
- 電圧が乱れた瞬間
だけです。
常時電源が安定して供給されている間は、キャパシタが劣化していても録画も書き込みも問題なく進みます。
そのため、
- 普段は問題なし
- 事故直後の電源遮断時だけ映っていない
という、最悪の結果になりやすい。
キャパシタは「犯人」ではなく「最後に疑う存在」
ここまでを整理すると、結論はシンプルです。
- 再起動問題の第一容疑者は電源
- 次にSDカード
それらを切り分けて、なお残る場合、キャパシタが疑わしい。
キャパシタは重要な部品ですが、最初から犯人にしてはいけない部品でもあります。
まとめ|キャパシタ故障は、切り分けの“最後”に見えてくる
キャパシタが壊れたドラレコは、派手に壊れません。
静かに、分かりにくく、そして一番困る瞬間で問題を起こします。
だからこそ、
- 電源
- SDカード
- 給電方式
を一つずつ潰し、それでも説明がつかないときに、初めてキャパシタという結論にたどり着く。
これは欠陥の話ではなく、車載電子機器としての宿命です。
なお、一部のコムテックなどの国産メーカーでは、このようなキャパシタが劣化した状態で電源が遮断されても、データを復元する機能が備わった製品も存在しています。(コムテックの製品の全てかどうかは分かりません)
※コムテック以外は検証していません。(簡単に出来るようなものでもないので…)
国産メーカーと中華系のメーカーでは、このようなデータ保護に対する思想設計が異なるように感じます。



コメント