※2021年8月15日更新:最新の情勢に合わせて内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
ポータブルナビと言えば大手のパナソニック・ユピテルなどの製品が有名ですし、私もこの2社の製品に関しては過去に実機レビューを行った事があります。
スマホのカーナビアプリの普及で最も影響を受けているのがポータブルナビのカテゴリーである、と言われ始めて何年か経っていますが、この間にパイオニアはこのカテゴリーから撤退し、直近ではパナソニックのゴリラナビがトップシェアとなっていますが、2021年にはなぜか新たにケンウッドがこの右肩下がりの市場に参入しています。
この3社以外にもポータブルナビを生産している中小メーカーもありますが、今回はこのうちamazonなどの通販サイトでじわじわと人気が上昇している「ロードクエスト」というメーカーのポータブルナビについてご紹介します。
ポータブルナビの生産背景について
私はポータブルナビに関してはそれほど詳しい訳ではないので、企画・生産の背景がどのようになっているのかは分かりませんが、様々な中小メーカーの製品を見る限りでは
と言った形ではないかと推察されます。
これが正しければ自社には何の開発環境も無かったとしても、生産工場の方がソフトウェアまで管理している場合には自社ブランドのポータブルナビを作る事が可能という事になります。
私はこのような製品も多いのではないか?と見ていますが、ロードクエスト(社名はNaviQuest)に関しては自社でポータブルナビの販売も行っているものの、2012年頃まではカーナビのソフトウェアだけを販売してたメーカーです。
弊社が開発したカーナビゲーションソフトウェア「RoadQuest」は、これまでに多くのカーナビ、PNDメーカー様にご利用いただいております。
「RoadQuest」は、Windows CE、Windows Compact7、Androidなど様々なプラットホームで動作致します。
見やすく高品質なゼンリン地図をベースに、各メーカー様独自の機能やユーザーインターフェースをカスタマイズして、
ご提供しております。
会社の沿革を見ると2002年に「韓国法人Edia Korea Co., Ltd.設立」とありますので、母体は韓国系の会社かも知れません。
2004年頃から携帯電話向けのカーナビソフトを開発しており、2010年にはAndroidのナビアプリ「RoadQuest」をリリース、ハードウェアとしてのポータブルナビの販売を開始したのは2013年となっています。
ポータブルナビ業界があからさまに死に掛けて来たのはちょうどこの時期からかと思いますので、従来のポータブルナビメーカーには厳しい状況でも、スマホの普及が早かった韓国を拠点とするカーナビアプリ・ソフトウェアメーカーには勝機があったのでしょう。
ハードウェアとしてのポータブルナビの販売を開始後も、タクシー会社などの法人向けのサービスを行っており、ソフトウェアメーカー的な業務も並行して実施しているようです。
カーナビゲーションソフトウェア「RoadQuest」をベースに業務システムとの連動やユーザーインターフェースのカスタマイズを行い、ご提供させていただいております。
最近の実績では、九州のタクシー会社様向けシステムにご採用いただき、現在も約2,000台が稼働中です。
このような生産の背景から考えるとロードクエストのカーナビは、品質面で問題が出易い中華企画のそれとは一線を画するものであろう事が予測されます。
ロードクエストナビは潔い2品番だけ
ロードクエストのカーナビは7型の30万画素液晶、8型の100万画素液晶の2モデルだけの展開となっています。
RQ-A719PVF | RQ-A820PVF |
---|---|
7型30万画素 | 8型100万画素 |
メモリ/16GB | |
ジャイロセンサーなし? | |
オンデマンドVICS | |
フルセグ | |
アンテナOPアリ | |
WiFi | |
音楽・動画/microSDカード・USB | |
バックカメラ対応 | |
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メモリはパナソニックのゴリラと同様の16GBでユピテルは上位機種でも8GBです。
なお、30万画素と100万画素のモデルのいずれも16GBですので、地図についてはDOT by DOTではなく30万画素のものを100万画素に引き延ばしているものと推察されます。
カーナビの基本機能
これらはユピテルの製品と同様にジャイロセンサーを搭載していないようなので、ルート案内に従わない形での方向転換時やお店の駐車場から出る場合には正しい進行方向を検知するのに時間が掛かる事でしょう。
なお、OPでGPSアンテナも販売されていますのでこのアンテナがないと測位の精度が落ちるのかも知れません。
ジャイロ対応のポータブルナビはゴリラだけかと思いますので、この点が気になるようでしたらゴリラナビを選びましょう。
ナビ機能についてはゴリラと同様にゼンリン地図を採用し、1,295都市の市街地図に対応していますが、ゴリラは2020年から1,741都市に拡大されていますので同じゼンリンでもプランのグレードが違うのかも知れません。
渋滞情報に関してはWiFi経由でスマホのテザリングを使用する事で「VICS オンデマンド」(過去の渋滞情報を加味した渋滞予測)を利用する事が可能です。(1年無料)
因みにパナソニックのゴリラはVICS WIDEに対応、ケンウッドとユピテルは非対応です。
地図更新はOPのSDカードを使用する事で可能との事。(9,000円くらい)
AV機能について
AV機能についてはmicroSD、USBポート経由での音楽・動画の再生が可能である他、地デジについてはフルセグ対応でOPのアンテナ類もサポートされています。
ロードクエストのカーナビはなぜ人気なのか?
ざっくりとロードクエストのカーナビの特徴を見てみましたが、パナソニック・ケンウッド・ユピテルの製品との違いをまとめるとこのようになります。
パナソニック | ケンウッド | ユピテル | ロードクエスト | |
---|---|---|---|---|
液晶 | 5型/7型 | 5型/7型/9型 | 5型/7型 | 7型/9型 |
ジャイロセンサー | 〇 | 〇 | × | × |
渋滞情報 | VICS WIDE | × | × | VICS オンデマンド |
地図更新 | 3年無料 | × | × | 有料 |
バックカメラ | 〇 | 〇 | × | 〇 |
地デジ | ワンセグ | ワンセグ/フルセグ | ワンセグ/フルセグ | ワンセグ/フルセグ |
取締警報 | × | × | 〇 | × |
最上位の実勢価格 | 6万円+OP類 | 8万円 | 4万円 | 3万円+OP類 |
カーナビの機能的な部分ではパナソニックのゴリラに近く、地図更新は有料ではあるものの8型の大画面ハードウェアを採用している為、地図の視認性が高いというメリットがありそうです。
ジャイロセンサーを搭載していない点はいかんともし難い部分ではありますが、ユピテルのモデルに比べるとかナビ機能も充実している上に価格も安くなっています。
この価格帯の製品になると他社の中国企画のものは使い易さ以前に不具合報告が多いのが気になりますが、ロードクエストの製品に関してはそのような報告は少なく、品質面でも安定しているように見受けられます。
カーナビの基本性能だけを考慮するとジャイロ搭載のゴリラ一択になりますが、その部分にさえ目をつぶればロードクエストのカーナビはかなりのハイコスパな製品のように見えます。
少なくともユピテルの「取締警報などいらないよ!」という方にはロードクエストの製品の方がおすすめ出来そうです。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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