カーシェアリング市場自体は都心部を中心に「車は所有するものではなく必要な時だけ使用するものである」と考えるユーザーが増えた事で、今後は急速に市場が拡大すると言われ、自動車産業全般に大きな影響を与えるであろうと言われています。
今後は自動車メーカー→ディーラー→ユーザーという車の販売経路が少しずづ崩れていくと予測している専門家もいますね。
車に対する個人の価値観が大きく変化する流れの中で、カーシェアリング業界はIT技術を活用しつつ急速に拡大しているだろうと言われています。
こう言った流れの中でこのところ様々な形態のカーシェアリング事業が乱立し始めており、一括りに「これがカーシェアリングのスタンダードだ」と言い切る事が出来ない状況です。
カーシェアリングサービスには、個人対個人(CtoC)の取引の橋渡しをするもの、法人対個人
(BtoC)の従来型のレンタカーの派生サービスなどの様々な形態があり、それぞれの形態や仕組みの違いについては以下の記事で説明をしています。
現状がこのような状態である事から、ユーザ側から見るとどのようなサービスが自分のライフスタイルに合っているのかを見極めるのが難しくなっていると感じています。
私自身は個人対個人のカーシェアリングを否定する訳ではないですが、ひとまずこの記事では、比較的システムが分かり易く、安心感の面で優れており、万人向けであろうかと思われる、従来型のレンタカーの派生サービスである法人対個人(BtoC)型のカーシェアリングの大手3社についてご紹介します。
カーシェアリングのおすすめ3社
ここで紹介するのはカーシェアリングの大手で、運営母体である企業は誰でも知っているであろう以下の3社となります。
- careco~三井不動産リアルティ株式会社
- タイムズカープラス~タイムズカーレンタル(旧マツダレンタカー、現パーク24が運営)
- d car share~ドコモ
このうち、careco、タイムズカープラスについては、おそらくレンタカー会社と同様に自社で所有する車をカーシェアリングとして貸し出していると思われます。(後日利用して確認予定)
一方でドコモのd car shareについては、レンタカー事業というよりも車を貸したい側と借りたい側を結びつけるマッチング&仲介サービスとなっており、レンタルの形態は以下の3種類があります。
1⃣オリックスカーシェアの車両を本体とは別の料金形態で貸し出す(カーシェア)
2⃣個人所有の車を貸し出す際の仲介を行う(マイカーシェア)
3⃣レンタカー事業者の車を貸し出す際の仲介を行う(レンタカー)
ここでは2⃣と3⃣は法人対個人(BtoC)型のカーシェアリングではないので、今回は説明から除外します。
これら3社のカーシェアリングの特徴をざっくり述べると以下の通りとなります。
careco
carecoは運営元が三井不動産リアルティ株式会社である事を見れば分かるように、首都圏を中心としたコインパーキング「三井のリパーク」を運営する駐車場大手です。
【careco】
全国的なシェアはそこまで高くはないですが、首都圏を中心に2015年のデータでは19万台の管理実績があります。
もともとはレンタカー事業を行っている会社ではない為、おそらく自社の運営するコインパーキングの遊休スペースを有効活用出来る事もあり、今後の大きな伸びが期待できるカーシェアリング市場に参入している事と思われます。
他の2社と比べると首都圏でのステーション数が充実してる反面、それ以外のエリアへの進出は遅れている印象ですが、車両クラスやプランが細分化されており、平日プランなどを上手に使うとコストが最も抑えらるというアドバンテージがあります。
最安値のクラスとプランの組み合わせだと、ガソリン代込みで80円/10分、2,800円/6時間となります。
※6時間を超えるプランは別途ガソリン代(距離精算)が掛かります。
とりあえず自分の住んでいるエリアにステーションがあるかどうか確認してみましょう。
23区内であればかなりの密度でステーションが存在していますので、おそらく家の近くにもステーションが見つかるのではないかと思います。
タイムズカーシェア
タイムズカープラスについては、運営元の「パーク24」のコインパーキングシェアが全国1位である事から、carecoとは異なり、全国にステーションを展開しています。
都内においてもcarecoの5~6倍のステーション数があり、地方都市周辺にもある程度の数のステーションが配置されています。
もともと同グループでではレンタカー事業も手がけていますので、エリアの網羅性という点で考えると他社が追随するのは不可能では?と思えるほど、他社とはステーション数に差があります。
おそらく、ある程度以上の人口密度があるエリアの駅周辺であれば1~2か所のステーションが見つかるのではないでしょうか?
レンタル料金はcarecoよりもやや高めで、最安値ではガソリン代込みで206円/15分、4,020円/6時間となります。
また、他社が初期費用無料なのに対し、1,550円のカード発行手数料が必要です。
その他パック料金は以下の通りです。
※6時間を超えるプランは別途ガソリン代(距離精算)が掛かります。ガソリン代も1km当たり1円高いですね。
なお、タイムズカープラスには以下の2種類のポイント制度があります。
- タイムズポイント
- プラスポイント
タイムズポイントは100円の決済につき3ポイント貯まるもので、ポイントの価値は1ポイントおよそ1円です。
このポイントはタイムズカープラスの決済に使用できるほか、商品券などとの交換が可能になっています。
プラスポイントは会員ランクを上げる為のポイントで、ランクが上昇した際にレンタル料に充当できる30分のチケット(およそ400円の価値)がもらえる他、最高ランクまで上がると上位グレードの車両の割引特典などが受けられます。
なお、ポイントを増やす為の条件は以下の通りです。
- TCP検定(タイムズカープラスの利用方法やマナーに関するものと思われる)に合格する
- 前の利用者に対する評価アンケートに答える
- 後の利用者から良い評価をされる
- エコドライブを行う
- 20ℓ以上の給油を行う
- 1ヶ月に5000円以上利用する
- 誕生日の月に利用する
- 入会から4ヶ月経過する
1回で3時間の使用を前提とするならば、最初のランクアップまでに必要な最短の使用回数は誕生日・4ヶ月の付加ポイント込みで5回程度となります。
12000円程度使用して400円バックなので3%程度の戻りになりますね。
タイムズポイントポイントと合わせると6%の戻り率となりますが、2回目のランクアップなどと合わせると10回目の使用までは最大で6%程度の割引が受けられる事になります。
なお、それ以外にもタイムズカープラスの会員になるだけでタイムズカーレンタルの(カーシェアリングではなくレンタカー事業の方です)基本料金が最大25%オフなどの特典がありますので、6時間を超えるような利用の場合にはそちらで格安でレンタカーを借りるという選択も可能となります。
※6時間を超えるような場合には特殊な車種を除いて、レンタカーの方が安くなるケースがほとんどです。
d car share カーシェア
d car shareには以下の3つのレンタル形態があると説明しましたが、ここではオリックスカーシェアの車両を借りる「カーシェア」について説明します。
1⃣オリックスカーシェアの車両を本体とは別の料金形態で貸し出す(カーシェア)
2⃣個人所有の車を貸し出す際の仲介を行う(マイカーシェア)
3⃣レンタカー事業者の車を貸し出す際の仲介を行う(レンタカー)
まず、オリックスカーシェアが展開する都道府県ですが、今のところは関東・近畿・東海の一部のエリアのみとなります。
こちらからステーションを検索する事が出来ますが、地図の使い勝手が悪くレンタカーの営業所も含めてカーシェア外のサービスも表示されてしまいますが、以下のアイコンがシェアリングの物となっています。
レンタル料金はcarecoよりもやや高めで、最安値ではガソリン代込みで220円/15分、4,200円/6時間となります。
なお、オリックスカーシェアで直接借りると、時間ごとのレンタル料は少し安くります(200円/15分)が、原則としては全ての時間区分でガソリン代が有料となる為、15分で2km以上走行するとd car shareを通した方が安く借りられる事になります。
なお、d car shareを利用するとカーシェアリングの決済やショッピングなどに使用が可能なdポイントが100円につき1ポイント貯まります。
https://www.nttdocomo.co.jp/info/network/
月額利用料は不要で、利用した分に対し都度お支払いいただき、1回のお支払ごとに、100円(税抜)につき1ポイントのdポイントが貯まります。ドコモの回線をお持ちでないお客さまも利用可能です。
料金と補償内容の比較
6時間パックまでのプランについて、3社の料金を比較すると以下の通りとなります。
2018年3月時点 | careco平日限定 | carecoベーシック | タイムズカープラス | d car share |
---|---|---|---|---|
展開エリア | 首都圏中心 | 全国 | 全国 | |
初期費用 | 無料 | 1,550円 | 無料 | |
月会費 | 2ヶ月無料 980円(使用料に充当可) | 2ヶ月無料 1,030円(使用料に充当可) ※学生・法人プランは無料 | 無料 | |
レンタル料(ガソリン代込み) | ||||
補償OP | 利用料に含む | 309円/1回 | 利用料に含む | |
コンパクト | 80円/10分 | 130円/10分 | - | - |
480円/1時間 | 780円/1時間 | |||
2,800円/6時間 | 3,800円/6時間 | |||
ミドル/ベーシック/スタンダード | 100円/10分 | 150円/10分 | 206円/15分 | 220円/15分 |
600円/1時間 | 900円/1時間 | 824円/1時間 | 880円/1時間 | |
2,800円/6時間 | 3,800円//6時間 | 4,020円/6時間 | 4,200円/6時間 | |
ベンツ | 170円/10分 | - | - | |
1,020円/1時間 | ||||
4,300円/6時間 | ||||
プレミアム/デラックス | 240円/10分 | 412円/15分 | 320円/15分 | |
1,440円/1時間 | 1,684円/1時間 | 1,280円/1時間 | ||
6,800円/6時間 | 4,020円/6時間 | 4,800円/6時間 | ||
※料金は改訂される可能性もある為、最新とは限りません。 |
初期費用はタイムズカープラスのみ1,550円、他は無料です。
また、月会費はd car shareのみが無料で他の2社は有料になるのですが、この月会費はレンタルの使用料金に充当できますので、毎月1回2時間以上の利用がコンスタントにあるのならば無視しても良いでしょう。
2ヶ月に1回くらいしか乗らないという場合には考慮すべきですね。
なお、レンタカーもそうですがこの手の車を借りるサービスで確認しておいた方が良いのは、事故があった際の補償の範囲です。
carecoの補償内容
carecoは補償料がレンタル料金に含まれていますが、その内容は以下の通りとなっています。
- 対人補償:1名につき無制限(自賠責保険を含む)
- 対物補償:1事故につき無制限(免責0万円)
- 車両補償:1事故限度額時価額(免責0円)
- 人身傷害補償:1名につき6,000万円まで
事故の対人・対物・車両は免責0円となっている為問題ありませんが、修理に必要な期間の営業補償(NOC)はユーザー側はが負担する事になっています。
- 事故の際に自走してステーションに返還された場合には20,000円
- 自走不可能な場合には50,000円
また上記の保険ではレッカー代は付帯するものの、無制限ではないようなので超過分を請求されるようです。
例えば100%貰い事故であっても相手側の保険が降りなかったり、任意保険に加入していない車にぶつけられた際にはこちらで負担する事にもなり得ます。(裁判起こす気なら別ですが)
それ以外には通常の自動車保険ではほとんど付帯している「ロードサービス特約」に関する部分がありませんので、パンクであるとか、バッテリー上がりなどの修理が必要な場合には出張費7,000円+工賃+部品代+交通費などを支払う必要があります。
おそらくパンク修理でもこの費用は掛かると思いますし、車に乗り慣れない方はパンクに気が付かず、補修不能になったりホイルまで痛めてしまう可能性がありますので、この場合には上記の営業補償(NOC)も必要になります。
因みにパンクは気を付けて避けられるものではないですが、過去の私の経験上から舗装された道路を走っていてパンクに見舞われる頻度は10万キロに1度くらいかと思われます。
パンクするとハンドルが左右にとられて真っすぐ走らなくなりますので、気が付いてすぐにスタンドに駆け込めば大事には至らないでしょう。
1回のレンタルで50km走行するとして、パンクに見舞われる確率は1/2,000くらいなのでそこまで気にする必要ないかも知れませんが知っておいて損はないでしょう。
…と、まぁ敢えてネガティブな事ばかり書きましたが、知らずに後で請求される方が嫌ですよね?
ただし、事故やトラブルの確率はそれほど高いものではありませんし、仮に営業補償(NOC)を請求されても請求額はせいぜい5万円ですので、私がプライベートでレンタカーを借りる場合には免責補償やNOC補償のオプションがあっても加入しない事がほとんどです。(保険会社が儲かるだけなので)
また、車を維持しない事で浮いたコストを考えれば5万円は安い方だと思います。(車は乗らなくても維持するだけで毎年10~20万円は掛かりますから)
因みに車両盗難についてですが、何れのカーシェアリング業者においても、ユーザーに過失がないと判断される車両盗難は補償に含まれますが、キーを挿しっ放しでロックしない状態で車を離れた際に盗難に遭った場合には、かなりの高確率で保険は下りなくなりますのでご注意を。
タイムズカープラスの補償内容
タイムズカープラスも補償料がレンタル料金に含まれていますが、その内容は以下の通りとなっています。
- 対人補償:1名につき無制限(自賠責保険を含む)
- 対物補償:1事故につき無制限(免責0万円)
- 車両補償:1事故限度額時価額(免責0円)
- 人身傷害補償:1名につき無制限
carecoとの違いは、事故の過失割合に関わらず補償される「人身傷害補償」が無制限である点です。
因みに、私の場合には別に生命保険なども加入していますし、自分の車では「人身傷害補償」はあまり多額には設定していません。(保険の類はある程度線引きをしないとかなり高くなりますので)
生命保険に入っていない高給取りの人を乗せる時には無制限の方が良いですけどね。(笑)
NOCは自走可能な場合2万円、不可の場合は5万円になりますが、carecoにはない故障の際のロードサービス+営業補償(NOC)に対する補償がオプションで309円で加入できます。
162回乗って全てこのオプションをつけると5万円以上の出費になりますので、運が悪いという自覚の有る方、運転に自信のない方は安心の為に加入するのもアリですね。
ただ、普段車に乗り慣れている方にしてみれば、そんな高確率では事故に遭わないと思われるような確率でしょう。
因みにレンタカー会社でも大手はNOC補償やロードサービスが付帯しているところが多いですが、その分基本料金は高いです。
なので、どちらが良いかというのは乗る方の気持ちの問題で、コストよりも安心して車に乗りたいと考えるならロードサービスとNOC補償のあるタイムズカープラスの方が良いでしょう。
ただ、理屈で考えるなら例えば6時間パックのスタンダードクラスの車であればcarecoとは最低でも220円の価格差があり、NOC補償を加えるとその差は529円まで広がります。
carecoの平日プランとの比較なら1220円の差が出ますので、トータルで考えればcarecoで平日プランを選択した方がお得でしょう。
d car share カーシェア
d car share カーシェアも補償料がレンタル料金に含まれていますが、その内容は以下の通りとなっています。
- 対人補償:1名につき無制限(自賠責保険を含む)
- 対物補償:1事故につき無制限(免責0万円)
- 車両補償:1事故限度額時価額(免責0円)
- 人身傷害補償:1名につき3,000万円まで
他社との違いは事故の過失割合に関わらず補償される「人身傷害補償」が3,000万円までと最も低く設定されている点ですが、この点は先に説明した通りあまり重要ではない気がします。(年収一億円プレイヤーとかなら別ですが…)
また、他社にはないポイントとしてロードサービスとNOC補償がレンタル料金に含まれている点が挙げられます。
従って補償内容的にはトータルで最も手厚くなっているのが、d car share カーシェアであると言えますね。
コスパ的な部分を見て行くと、初期費用・月会費無料(他社は有料だが使用料に充当可)である事から、月に1回乗るか乗らないかという方に最も向いていると感じます。
一番下のクラスだと単価は最も高くなりますが、月に2時間未満の利用であれば料金は他社とほぼ変わらず、補償が最も手厚くなります。
これが3~4時間を超えてくると逆転してしまいますが、タイムズカープラスにオプションのロードサービスとNOC補償付けるよりは安くなるケースが多いです。
どのカーシェアリングを選べば良いのか?
カーシェアリングサービスを選ぶポイントとしては、まずは自宅の近くにステーションがあるかどうかが最も重要になりますね。
ここで紹介しているステーションにはいずれも自転車を置くスペースはありませんので、徒歩圏内でないと厳しいかと思います。
この時点でかなり選択肢は絞られてしまうかも知れませんね。
次に考えるべきは、コストと運用の利便性となります。
運用面については後日全てのサービスを利用して追記する予定ですので、現段階では使用状況に合わせたコストの比較のみ行います。
全てのパターンでの比較は難しい為、最も下のグレードで1回の使用時間が3時間と仮定した場合での比較となります。(毎月1回以上使用)
なお、タイムズカープラスについてはタイムズポイント、プラスポイントをフル活用して6%程度の還元がある前提、d car shareはdポイントの1%が還元される前提とします。
carecoの方は提携クレジットカードを持っていないとポイントが貯まらないのでここではなしとみなします。
また、車種のグレードの取り方が各社で異なる部分もありますが、それは考慮せずに最も安いグレードを使用する事とします。
タイムズカープラスの初期費用は1回目の使用料金に加算します。
この条件だと各使用回数までの累計コストは以下の表の通りとなります。
10回目までの平均コストは
- careco 平日プラン NOC補償なし~1,440円
- careco ベーシック NOC補償なし~2,340円
- d car share NOC補償あり~2,614円
- タイムズ NOC補償なし~2,637円
- タイムズ NOC補償あり~2,928円
となります。
20回までの平均コストは、d car share NOC補償ありとタイムズ NOC補償なしが逆転します。
- careco 平日プラン NOC補償なし~1,440円
- careco ベーシック NOC補償なし~2,340円
- タイムズ NOC補償なし~2,564円
- d car share NOC補償あり~2,614円
- タイムズ NOC補償あり~2,855円
となります。
従ってコストだけで選ぶならばcareco一択になりますね。
一方でロードサービスとNOC補償をつけるならd car share、となります。
また、6時間を超えるような利用があるなら、タイムズカーレンタルの(カーシェアリングではなくレンタカー事業の方です)基本料金が最大25%オフなどの特典が利用できるタイムズカープラスが最もお得になるのではないかと思います。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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