ソーラーバッテリーによるドライブレコーダーの常時駆動に対する要望が多いようですが、残念ながら今のところそのような事が可能なモデルはありません。
…が、ドラレコではなく防犯カメラでは外部電源なしで永続動作するものも出てきており、今回はハンファQセルズジャパンから販売されている「DVR-SL1」第二世代についてテストしてみました。
「DVR-SL1」で出来る事
「DVR-SL1」は簡単に言えばソーラーパネルとリチウムバッテリーを搭載したIPカメラです。
従ってWiFiアクセスポイントさえ確保できれば、電源のない場所にカメラを設置してインターネット経由で監視を行う事が可能です。
また、管理アプリはiOS、Android以外にもWindows版がありますので、複数のガジェットから登録したカメラのライブ映像&録画映像を視聴する事も出来ました。(同時に接続出来るのは1つのガジェットからのみ)
通常時は録画は行わず、動体を検知した時のみ1回あたり30秒間の録画を行います。
※5m以内の温度変化を検知する人感センサーによる動体検知
「DVR-SL1」のスペック
「DVR-SL1」のスペック概要は以下の表の通りです。
DVR-SL1 第2世代 |
---|
19.03発売 |
1280×720 |
フレームレート不明 |
レンズ視野角 対角90° |
32GB内蔵メモリ |
熱検知録画 |
内蔵バッテリー |
6800mAh |
録画解像度は100万画素、レンズ視野角はそれほど広くない対角90°、動画の保存先は内蔵のストレージとなっていますので、SDやmicroSDなどのカードメディアは使用しません。
動体検知での録画時間の単位は30秒間で、32GBのストレージには600回分(5時間)の動画が保存可能との事です。
また、通常使用では5日のうち述べ8時間の日照時間で永続動作が可能との事です。
「DVR-SL1」のセット内容
「DVR-SL1」のセット内容は以下の通りです。
①防犯カメラ本体
②USB充電ケーブル
③取付ステー
④インシュロック
⑤トルクスドライバー
⑥アンカー&ボルト
⑦取扱説明書
防犯カメラ本体
カエラ本体はそこそこサイズは大き目で、ダースベイダーのヘルメットを彷彿とさせるデザインです。(笑)
各装置の配置は以下の通り。
レンズ部分は下図のような動きが可能です。
内側にはカバーで覆われている部分がありますが…
パカッと開けると以下のような端子類が顔を出します。
取り付け前に付属の充電ケーブルで満充電にしておきましょう。
本体上部にはソーラーパネル(フィルムは剥がします)
「DVR-SL1」のセットアップ
手順を説明する前に、念の為仕様書と手順書等のリンクを貼っておきます。
「DVR-SL1」を取り付ける前にセットアップが必要になります。(カメラ側をWiFiアクセスポイントに接続して以下の状態を作り出します)
カメラの電源を入れただけでは自動的にWiFiアクセスポイントには接続されませんので、他の無線IPカメラと同様に一番初めにカメラとスマホを1対1でWiFi接続する必要があります。
始めに専用アプリをスマホにインストールします。
アプリを開いてユーザー登録(メールアドレスとパスワードのみ)を行い、カメラを追加します。
カメラの電源を入れ、WiFiボタンを8秒長押ししてインジケーターを青に点滅させます。
カメラ(バッテリー用)→WiFi接続をタップ、スマホのWiFiメニューからDOGで始まるアクセスポイントを選択します。
※デフォルトパスワードは「11111111(8桁)」です。
接続が確立したらアプリに戻り、「次へ」をタップします。
接続可能なWiFiアクセスポイントが表示されますので、パスワードを入力します。
この処理を行うとカメラがWiFiアクセスポイントに接続され、接続が確立されるとスマホとのWiFi接続は解除されます。
この状態から…
こうなります。
この状態ではWiFiネットワーク内でのカメラの動画視聴や操作が可能となりますが、スマホをWiFiネットワークから外してLTE通信に切り替えると、インターネット経由での視聴・操作が出来ます。
「DVR-SL1」の取付け
「DVR-SL1」はそこそこサイズが大きく、てっぺんにソーラーパネルが埋め込まれている為、取り付け場所は残念ながら自由自在という訳には行きません。
今回は試しに門柱に括り付けてみたのですが、ある程度日照時間が稼げる場所で簡単に取り付けられ、しかもあまり自己主張しない場所となるとなかなか難しいです。
完全に家の敷地内だけを撮影するのであればあまり気にしなくても良いかも知れませんが、外に向ける場合には近所の目もあるのでどうでしょう?と言った感じですね。
また、取り付けについてはインシュロックで固定する方法と、壁にアンカーボルトを打ち込む方法がありますが、前者だと治安の悪い場所ではカメラごと盗まれる可能性もあるような気もしますし、後者はインパクトドリルなどでの穴開けが必要になりそうです。
こんな感じでステーにインシュロックを引っ掛けて、ステーと本体をネジ留めする形になりました。
因みにアンカーはそこそこ太いのでコンクリートやブロックなどに穴開けするには、専用の工具だけでなく思い切りの良さも必要です。
アプリの設定項目と使い勝手
アプリに関しては複数のカメラを一括管理出来るものですので、アプリの全体設定とカメラの個別設定が存在します。
こちらがアプリのホーム画面になりますが、日本向けには開放されていない機能が多く、全体設定画面で出来る事は通知のON/OFFと通知内容の確認の2つのみとなっています。
通知に関してはスマホ側のメニューで、音声とアイコンバッジなどが選択可能です。
その他の設定はカメラごとに行い、セキュリティ機能から以下の項目の変更が可能です。
①動体検知録画の有無(無の場合には録画は一切行わず)
②インターバルアラーム(通知の頻度を30秒~10分の範囲で調整)
③動体検知の感度は3段階
④通知をアクティブにする時間帯を調整
また、機能設定からは以下の内容の変更や確認等が可能です。
「デバイス情報」からはストレージやバッテリー残量、駆動時間の目安が表示されますが、常に100%しか見た事はなく、同じ100%でも駆動時間が8時間であったり15時間である事もありますので、この表示はかなりアバウト…というか、適当な気がします。
動画の再生とダウンロードについて
動画の再生についてはライブ映像と録画映像のいずれも可能ですが、録画の再生については以下の様に時系列順に録画履歴が並びます。
早送りやスローモーションなどの機能が全くない上に、動画をスマホやPCにダウンロードする事も出来ませんので、使い勝手はあまりよろしくありません。
何かあった時にこの時系列のバーで動画をしらみつぶしに確認するのはかなりの苦行かと(笑)
また、動画は内部ストレージ保存され、上書も可能ですので警察などに提出が必要な動画についてはスマホで再生しながら、画面をキャプチャリングする必要がありますね。
microSDカードにも対応していればこの辺りの使い勝手は全く違ったものになったと思うのですが…。
因みに画質は100万画素なのであまり綺麗ではありません。
なお、パソコン版のビュワーは以下のページからダウンロード可能です。機能的にはスマホ版の簡易バージョンです。
車載では全く使えませんでした
これは最初から分かってはいましたが、「DVR-SL1」の動体検知は温度センサーによるものですので、ガラスなどの遮蔽物があると機能しません。
車内に設置したところ、全く動体を検知しませんでした。
「DVR-SL1」の総評
「DVR-SL1」は無給電で永続的な動作が可能である点は素晴らしいと思いますが、それ以外については課題は山積みですね。
通信も時々途切れる事があり、アプリの使い勝手(特に再生)も悪く、サイズもそこそこ大き目で設置場所を選びまくります。
ただし、壁などに備え付けの防犯カメラなどに比べると、場合によっては設置が楽であるというメリットもありますので、この辺りはケースバイケースという事になりそうですね。
①電波の受信が問題なさそうな位置で、②日当たりも良く、③スペース的に無理なく取り付けが可能、という条件が揃っているのであれば検討されても良いかと思いますが、まぁ後は好みでしょうか(笑)
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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