ブレーキフルード(ブレーキ液・ブレーキオイル)は、単に「入っていれば良い」と思われがちですが、実は定期的に交換が必要な消耗品です。
事故を防ぐためにも、ブレーキフルードの重要性を知っておきましょう。
ブレーキフルードの規格と特徴
ブレーキフルードは、DOT規格によって管理されています。一般的に乗用車ではDOT3とDOT4が使われています。
- DOT3:標準的な規格で多くの車両に使用されています。
- DOT4:DOT3よりも沸点が高いですが、水分を吸収しやすいため早期に性能低下が起きやすいです。
DOT3指定の車両にDOT4を入れると、ブレーキホースやシール類などのゴム部品を痛める恐れがあります。
逆にDOT4指定車にDOT3を入れるのも危険です。
マスターシリンダーキャップには「USE DOT3 ONLY」「USE DOT4 ONLY」「USE DOT3 OR DOT4」などの表示があるので、必ず確認しましょう。
ブレーキフルードの劣化によるリスク
ブレーキフルードは走行中に空気中の水分を吸収し、含有量が増えることで沸点が下がります。
結果として、下り坂などでブレーキを多用するとブレーキフルードが沸騰しやすくなります。
沸騰すると「ベーパロック現象」が発生し、ブレーキ配管内に気泡が生じてブレーキの効きが著しく低下する危険な状態になります。
もしブレーキが効かなくなったら?
走行中にフットブレーキが効かなくなった場合、AT車ではLや2レンジを使い、エンジンブレーキを活用しましょう。
Nレンジにシフトするとエンジンブレーキが全く効かず、RやPレンジはトランスミッションを損傷するリスクが高いので絶対に避けてください。
最終手段として、パーキングブレーキをゆっくりと操作して減速します。
ワイヤー式パーキングブレーキはフットブレーキとは別の構造のため有効です。
ただし、電動パーキングブレーキの場合は構造によって効果が得られないこともあります。
ブレーキフルードの交換目安と劣化の見分け方
新しいブレーキフルードは薄黄色の透明な液体ですが、使用が進むと黄色くなり、さらに緑茶色、最終的にはウーロン茶色に変化します。
色が緑茶色程度まで進んだら交換が必要で、ウーロン茶色になると非常に危険な状態です。
劣化したフルードは水分が配管を痛め、ゴム部品の劣化を早めます。
交換目安は「車検ごと」または「2年に1回程度」です。
特に、峠道や下り坂をよく走る方は、ブレーキへの負担が大きいため車検ごとの交換を強くおすすめします。
ユーザー車検を行う場合は、ブレーキフルードの交換を自動車整備工場に依頼するのも安心です。
安全運転の基本として、ブレーキフルードの定期交換を忘れないようにしましょう。
(ライター:自動車整備士 SkyLight)
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