※2018年1月23日更新~バッテリーのサルフェーション分解&充電機能を持つ、スウェーデンのメーカー製のCTEK 「XS7.0」のテスト状況について追記しました。

バッテリーの寿命が縮む原因として最も一般的なものが「サルフェーション」による電導効率の悪化です。バッテリー死亡のうち、75%はこのサルフェーションが原因とも言われていますね。

ちょっと小難しい話になってしまいますが、今回はこの「サルフェーション」をやっつける事によってバッテリーの寿命を延ばしたり、性能が悪化したバッテリーを性能回復させる方法について紹介します。

サルフェーションとは?

サルフェーションとはサルファ「Sulfur(英語で硫黄)」が語源になっている、硫酸化反応の事を指す言葉です。

因みに硫酸は「Sulfuric acid」(acidは酸)で表現されますね。

良くゲームなどでは「アッシド・クラウド」などと言う技が出てきたりしますが、要は酸化ガス攻撃って事です。(笑)

ちょっと話が逸れましたが、サルフェーションとは希硫酸である車の鉛バッテリー電解液が、硫化反応によって電極に電気を通さない結晶を作ってしまう現象として扱われています。

電極に電気を通さないものが付着したら、そりゃ性能は落ちるのは当たり前です。

車のバッテリーの放電の仕組み

サルフェーションを簡単に説明すると「電気を通さない結晶が出来る事」で終わりますが、もう少し詳しく車のバッテリーの仕組みについて説明すると以下の通りとなります。

車のバッテリーは電極と電解液で構成される

車のバッテリーは+と-の電極と電解液で構成されています。

電極1セットで2Vの出力となり、これが6セットで12Vと言う具合です。

バッテリーの電極

車の鉛バッテリーの電極は、その名が示す通り「鉛(Pb)」で出来ています。

正確にはマイナス側が「鉛(Pb)」、プラス側は「二酸化鉛(PbO2)」です。

電解液の性質

バッテリーの電解液は硫酸(H2SO4)水溶液で、いわゆる希硫酸と呼ばれているものです。

硫酸を水で希釈する事で(H2SO4)として存在していたものが、プラスの電荷を持つ水素原子(H)が2つと、マイナスの電荷を持ったSO4に電離した状態で存在しています。

上の状態だったものが水素原子と酸素原子の結びつきが弱まり、マイナスの電荷を持つ電子を酸素原子に残したまま、電荷的にはプラスの状態で水素原子が電離します。

ポイントとしてはもともと電荷的には+-ゼロだった(H2SO4)が、プラスの電荷をもつ(H+)2つと、合わせて2つのマイナスの電子を持つ(SO4)に分かれている状態となっており、この(O)に付いている2つの電子(電子は原則としてマイナス電荷)を動かす事で電気が発生します。

導線をつなぐと電子が移動する

バッテリーの導線をつなぐと、下図のようにマイナス極側ではマイナス電子が余分についた(SO4)が化学反応を起こして電子が解放され、プラス極側では電荷的にはマイナス電子が足りない(H)がその解放された電子を受けりつつ(PbO2)と化学反応して水(H2O)になります。

上の図だと思いっ切りショートしてますが、接続部分には電装品が入ります。

電気は便宜上プラスからマイナスに流れるとされていますが、実際のところはマイナス電子の移動によって発生しており、(SO4)の余分な電子がプラス側に移動し、結合する事で発生します。

サルフェーションの発生原因

通電状態になるとマイナス極の鉛(Pb)の方が化学反応を起こしてその過程で電子を開放している訳ですが、電極に使われている鉛は化学変化を起こして硫酸鉛(PbSO4)になります。

一方でプラス極の二酸化鉛(PbO2)の方も同様にPbとSO4が結合、HとO2が結合して水(H2O)になります。

化学式の変化を表にすると以下の通りになります。

+電極電解液-電極
PbO2 二酸化鉛H2SO4 希硫酸H2SO4 希硫酸Pb 鉛
↓化学反応↓
PbSO4 硫酸鉛H2O 水H2O 水PbSO4 硫酸鉛

PbO2+Pb+2H2SO4=2PbSO4+2H2O

分かりにくいかも知れませんが、原子や分子の動きを矢印で表すとこんな感じです。

まあ、放電時には水と硫酸硫黄が出来上がる事だけ分かれば問題ないです。

オルタネーターが回ってバッテリーが充電されている時はこれと全く逆の反応が起きるわけですね。

水・硫酸硫黄が、鉛・二酸化鉛・希硫酸に戻ります。

正常な放電・充電を繰り返していればサルフェーションは発生しませんが、自然放電をさせ続けて充電しなかったり、限界を超えて放電させ続けたりすると、本来であれば液体の状態で存在しなければならない硫酸硫黄が個体となって電極に白く結晶化してしまいます。

結晶化した硫酸硫黄は電気を通しませんので、バッテリーの充電・給電効率が下がり、更に症状が進行し易くなるという訳ですね。

サルフェーションの予防と対策

サルフェーションを予防するには毎日車に乗って充分な充電を行う事が一番ですが、現状の生活スタイルを変えろと言うのはなかなか難しいかと思います。

あまりにも長く車を動かさない期間を作らないようにする心掛けは必要ですが、サルフェーションの原因が「自然放電をさせ続けて充電しない」「限界を超えて放電させ続ける」の2つですので、車に乗らなくてもさっくり強制的に充電を行えば良い訳です。

また、既にサルフェーションが進行しつつあるバッテリーには、パルス充電で電極に付着した硫酸硫黄の結晶を溶解させる方法も有効です。

実はこんなマニアックな記事を起こしたのは、あるメーカーさんからその手のアイテムをお借りしており、これからテストを行う予定だからです。死に掛けバッテリーのランエボ10号で…。

最近は年間走行距離が3,000km行かないペースでセルの回り具合もかなりヤバそうな気がしてますので、ブツをテストしてから結果を追記します。

CTEK XS7.0でのディサルフェーションとメンテナンス充電

今回お貸し頂いたバッテリーのサルフェーションの予防と対策用のブツは、TCLさんで12月に販売開始されたCTEKの「XS7.0」です。

CTEKと言うメーカーは車のバッテリーメンテナンスに特化したスウェーデンのメーカーで、おそらく背景としては欧州の中でもノルウェーやフィンランドと同様に北極圏に近く(北極圏に含まれるエリアもある)、バッテリー関連には気を配らなければならないお国柄という事があってこのような特化型メーカーが育っているのでしょう。

因みに首都のストックホルムの平均最低気温は、7月が12℃、2月は-5°だそうですので、稚内よりもさらに寒く、体感温度はちょっと想像できませんね。(笑)

気温が低くなると上記で説明したバッテリーの化学反応が鈍くなるため、放電・充電ともに不利な条件下に置かれます。

同じ車でも寒冷地仕様のバッテリーの設定があるのは、この気温の影響を考慮してのものです。

■ 車のバッテリーチェックにおすすめの便利なチェッカー

寒冷地仕様のバッテリーが標準設定となったランエボ10で実験

今回テストを行ったランエボ10は、2007年の発売当初は重量対策の為?か、標準では小型のバッテリー、寒冷地仕様のみやや大き目のバッテリーが採用されていましたが、標準設定のバッテリーでは何故かバッテリー上がりのトラブルが頻発したらしく、早々にマイナーチェンジで寒冷地仕様のものが標準モデルに搭載されるようになったという経緯があります。

2013年の夏に中古で購入した車ですが、バッテリーは交換履歴があり、2011年7月生産の純正のパナソニック製のものが積まれています。

現在は2017年12月なので、6年半が経過していますが、購入当初からセルの回りは弱く、最初に車検に出した時にはバッテリーの状態について指摘されました。

良く行く整備工場なので、まあ…こういう車なので(笑)と説明してあるので、以後は特に指摘はありませんが、色んな車を見ている整備士の方から見てもちょっとヤバい匂いがするセルの回り方のようです。

最近ドラレコの実験で間違えて過放電してしまったらしい

ドライブレコーダーの外部電源による駐車監視の駆動時間のテストを行う為に、停止電圧11V程度に設定して外部電源で24時間の駆動させてみようと思ったのですが、ケーブルを間違えてバッテリーからこの設定で駐車監視を行ってしまいました。

その結果どうなったかと言うと、セルは弱々しく回ってエンジンが掛かりましたが、バッテリーの容量はこんな感じになりました。

もともとあまり乗っていなかったので20~30%台だったのですが、一気に14%まで落ちちゃいましたね。

■ 車のバッテリーチェックにおすすめの便利なチェッカー

ここ数ヶ月はドラレコのテスト撮影くらいにしか乗る機会がないので、大体40~60%程度の容量で推移してしていました。

CTEK XS7.0の機能

CTEKの「XS7.0」は寒冷地でのバッテリーメンテナンスや、このようにあまり乗らない車がある場合の非走行時の充電とメンテナンスを目的として開発されているようです。

「XS7.0」はバッテリーのサルフェーションを分解し、特殊な電圧の調整プログラムでバッテリーを傷めないように95%~100%程度の容量の範囲までバッテリーの充電を行います。

充電の電圧や方法を間違えると逆にバッテリーを傷めたり、もの凄く時間が掛かったりしますが、普通車であれば概ね6時間程度でこの一連の動作を完了する仕様となっています。

■ 「XS7.0」公式ページ

充電開始から終了までは以下の6つの動作段階があります。

①ディサルフェーション~サルフェーション進行している場合には、電流・電圧パルスでサルフェーションを分解させる。

②ソフトスタート~バッテリーが充電可能な状態かチェックを行い、破損バッテリーへの危険な充電を防止する。

③バルクチャージ~バッテリーに負荷を掛けない範囲で80%まで急速充電を行う。

④吸収・浸透充電~バッテリーを傷めないように負荷を下げながらゆっくり充電する。

⑤分析~負荷を下げて充電を受け入れられるかテストを行う。

⑥フロートメンテナンス~規定電圧で充電を継続する

⑦パルスメンテナンス~バッテリー電圧が14.4Vになるまでパルス充電を行い、95~100%の充電状態に保つ

 

CTEK XS7.0の使用手順

「XS7.0」にはバッテリーとの接続用にクリップとアイレットの2種類のアタッチメントが同梱されてます。

どちらを使用しても構わないので、バッテリーの+に赤、マイナスか車両のアースに黒を接続します。

バッテリーと車両の接続は解除しなくても問題ないそうです。

車両と「XS7.0」の接続後に、電源ケーブルをコンセントに挿します。(屋外に電源ソケットがない場合には延長コードが必要)

後はひたすら放置です。

…と言ったら話が終わってしまうのですが、今回のケースではディサルフェーションとバルクチャージはあっという間に終わってしまいました。(合わせて1分強)

 

バッテリーの状態が悪すぎてあっという間に終わったのか、良かったからなのか、それともそう言うものなのかがは分かりませんが。

この後は延々と④吸収・浸透充電~バッテリーを傷めないように負荷を下げながらゆっくり充電する~の行程に入りました。

途中で車を使わなければならない用事が入ってしまった為に充電を中断し、最初からやり直したのですが、CTEK「BATTERY SENSE」の示す数値が100%になるまで、おそらく合計で12時間以上かかったかと思います。

ここ数ヶ月は黄色か赤の状態鹿見た事がなかったのでなかなか新鮮です。

この残量のパーセンテージ表示の正確性については議論の余地はあるかと思いますし、この状態でも若干の充電はされているようなのでまだ完全に100%充電された状態ではないのかも知れません。

とりあえず始動時のセルの回り方は劇的に改善…とまでは行きませんが、体感できる程度までには力強さが増しています。

今後は充電後の経過と、さらに頻繁に長時間の充電を行った場合にどうなるのかを観察し、このページに追記します。

CTEK XS7.0JP

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CTEK XS7.0の運用3週間の経過

CTEK XS7.0の運用を開始して3週間ほど経過しました。

100%まで充電を完了させてからのバッテリーのゲージの減少具合に関してですが、3~4日で60%程度まで落ち込んでいます。

では、全くバッテリーの性能回復の兆候が見られなかったかと言うとそうでもなく、2点ほど体感出来た点がありました。

それは以下の2つのポイントです。

  • 60%から40%に下がるまでの期間がかなり伸びた
  • 走行時の充電速度が上がった

60%から40%に下がるまでの期間がかなり伸びた

CTEK XS7.0の運用前の状況だと60%から40%まで落ちるのに3~4日だったのですが、この期間が2週間程度に伸びています。

40%から再充電を行っているのでそこから先のデータはありません。

因みに40%を割った時には24時間程度連続で充電を行いましたが、長時間充電の効果は体感出来ませんでした。(6~7時間とあまり変わらない)

走行時の充電速度が上がった

これは意外な結果だったのですが、今までは1時間程度の走行ではせいぜい3~5%程度の充電量の回復しか得られなかったものが、直近のデータでは12~3%程度まで上昇しています。

59~60%からの1時間の走行で72%まで回復してしていますね。

サルフェーションの分解具合については分かりにくい部分もありますが、全体的にはバッテリーの持ちが良くなり、走行時の充電量も大幅に増えた印象です。

バッテリーのメンテナンスを考えれば、CTEK XS7.0での充電頻度を上げた方が良さそうですが、ランエボ10は自宅から少し離れた場所に青空駐車なので駐車場の入れ替えの手間などを考えるとそう頻繁に充電するのは難しい状況です。

ただ、インバーターや外部バッテリーを使用すれば、駐車時にはCTEK XS7.0を常時使用するという環境も作りだせない事はなさそうです。

今後に関してはポータブルバッテリー以下「imuto 50000mAh」を車載しての駐車時のCTEK XS7.0の常時使用の実験を予定しています。

■ 車内泊やアウトドア、災害時の電源確保におすすめ「imuto 50000mAh」ポータブル電源

間接的ではありますが、ポータブルバッテリーの時間当たりの減少具合から、車の暗電流がどれくらい流れているのかを推察する事も可能かもしれませんね。

※実験の結果、残念ながら「imuto 50000mAh」では安定してCTEK XS7.0を駆動させることは出来ませんでした。(今後の課題)

なお、全く嬉しい事ではなかったのですが、12~1月に掛けてほどんど動かさなかったコペンのバッテリーが見事に上がりました。(笑)

■ 車のエンジンが掛からない時に疑わしい原因と対策

趣味で車を複数台所有すると、楽しい部分もありますがそれなりに手間が掛かります。

現在の管理体制と生活習慣では良い状態でのバッテリーの維持が困難な事から、サンプルとしてお借りしていたCTEK XS7.0と、追加でコペン用のCTEK「BATTERY SENSE」を買い取らせて頂きました。

(編集長 Omi)

■ ネット通販で購入した持ち込みパーツの取り付け店舗の探し方

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