車のバッテリー交換はDIY整備の中でも最も簡単な上に、通販価格とディーラーなどでの販売価格に大きな差が出る為、コスト対効果の高い作業です。

私の行きつけの整備工場は商売っ気が薄く良心的なので、車検の際に「うちでやると高くなるので、自分で交換した方が良いですよ」と言われた事もあります。(笑)

バッテリーの寿命は一般的には2~4年程度と言われていますので、車が2台あったりするとヘタをすれば毎年交換する羽目になってしまいます。

普段から車のメンテナンスを全くやらず、車検はディーラーや整備工場にお任せコースにしてしまうパターンが最もお金が掛かりますが、そう言った方はこの記事には辿り着かないと思いますので、この記事を見られた方は折角ですのでDIYでのバッテリー交換にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

車のバッテリーは鉛蓄電池

一般的に車に使われているバッテリーは、電極に鉛を用いて希硫酸と化学反応させる事で発電する、鉛蓄電池と呼ばれているものです。

因みに12Vの出力が確保できればリチウム電池などでも代用が可能で、バッテリー上がりの際にジャンプスタートに使われるスターターにはリチウムイオン電池が使用されています。

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なお、車の12Vバッテリーでもリチウムイオン電池が使用されているものもありますが、価格がべらぼうに高くなりますし、まだまだ一般的ではありません。

動力機構ごとの鉛バッテリーの種類

鉛バッテリーは種類や規格が物凄く多く、いきなり細かい説明をするとゲンナリしてしまう方もいると思うので、初めてバッテリーを交換する方でも分かり易いように、簡単なところから説明します。

まずは自分の車が①アイスト車か、②普通のガソリン・ディーゼル車か、③ハイブリッド車、④EV車か、と言う点に関しては誰でもわかるかと思いますが、これらの違いにより選ぶべきバッテリーは変わってきます…と言うかメーカーのラインナップもこういう括りになっています。(EVは専用はないかと)

分かり易い事例だとパナソニックのカオスがこんな感じです。

なぜこのような括りになっているのかと言うと、バッテリーに掛かる負荷がアイスト車・非アイストのガソリン車・ハイブリッド車では大きく異なるからです。

バッテリーにとって最もシビアな状況が発生するのがアイスト車

バッテリーが劣化する原因として最も影響が大きいのが、①一度に大電力を消費する事、②バッテリーの残量が少ない状態を維持する事、の2つであると言われています。

燃費の改善を目的に採用されているアイスト機構については、①②の両方が頻繁に発生し易い制御がなされており、バッテリーにとっては非常にシビアなコンディションでの運用を強いられる事になります。

なぜかと言うと、バッテリーは蓄電量が一定値以下にならないと充電効率は上がらず、蓄電量が比較的多い状態でエンジンで発電機を回しても、大して充電されずに無駄になるエネルギーが発生するからです。

従って、エコカーであるアイスト車のバッテリーは腹ペコ状態が多いという事になり、さらに停車の度にバッテリーに蓄えられた電力だけでカーナビやヘッドライトなどの電力をまかないつつ、最も大電流を消費するセルを頻繁に回さなければなりません。

…という訳ですので、アイスト車用のバッテリーは非常に高性能で価格も高くなります。

非アイストのガソリン・ディーゼル車はそれなりの負荷

非アイストのガソリン・ディーゼル車のバッテリーへの負荷は、車の生産された年代に大きく左右されそうです。

昔の車はエンジンが掛かっている間は、常に発電機も同時に回っており、充電に回せずに捨てられるエネルギーも多く発生していましたが、最近はバッテリーの蓄電量に合わせて発電機の動作をコントロールする事で燃費を改善させている車も多いようです。

燃費を追求されないようなスポーツカーなどでは、常に発電機を回しているものもあるかと思いますが、エコカーはほとんどがこのような充電制御がなされているかと思います。

従って燃費を追求してないような車ではバッテリーに対する負荷はそれほど大きくないですが、普通の車はバッテリーの蓄電量が減ってから発電機を回す制御がされている可能性が高く、バッテリーにはそれなりの負荷が掛かっているでしょう。

ハイブリッド車は補器バッテリーには優しいが、車内積みが多い

ハイブリッド車については、駆動用のバッテリーと鉛の補器バッテリーの2種類のバッテリーが搭載されていますが、エンジンがないのでセルを回す必要がなく、鉛バッテリーへ負荷は最も小さくなります。

極端に言えば、ハイブリッドシステムさえ起動させる事が良い訳ですし、システムの起動に必要な電力はセルを回す場合ほど大きくはありません。

従って放電・充電・耐久面での性能的には他の機構に比べて、それほどシビアなものが要求される訳ではないのですが、車内搭載と言う制約がある為、価格はかなり高いものになります。

鉛バッテリーは充電時に水素ガスが発生する可能性がありますが、ハイブリッド用はそのガスを内部で還元する機構が搭載されていたり、還元しきれなかった分を車外に逃がす排気口などが設置されており、そう言った部分でコストが掛かり、標準車よりも割高になっています。

なお、EVに関してはバッテリーが車内積みであればハイブリッド用、車外であれば普通のものでも問題ないでしょう。

メンテナンス方法ごとの鉛バッテリーの種類

さて、先に動力機構ごとのバッテリーの種類について説明しましたが、次にメンテナンス方法ごとの種類についてご説明します。

バッテリーのメンテナンスタイプには以下の種類が存在しています。

①開放型~要メンテナンスタイプ(車外設置)

②密閉型~メンテナンスフリー(車外設置、または車内設置)

 

比較的年代の上の方は(私もそうですが)、補水などのメンテナンスが必要になる事がある「開放型」の方が馴染みが深いかと思いますが、開放型バッテリーは以下のように6つの発電セルに各1つずつ補水用のメンテナンスポートがあります。

ただまぁ…、あくまでも私の経験上ですが、最近のバッテリーは個体不良などでなければ補水が必要になるほどバッテリー液は減らない印象です。

補水する前にサルフェーションによって天寿を全うする事が多いような気がします。

バッテリーを劣化させる「サルフェーション」って知ってますか?

…なので、メンナンス性の部分を重視してメンテンスフリータイプを選ぶ必要性は薄いかと思います。

ただし、バッテリーをトランクなどの車内に設置するような車の場合には、密閉型のメンテナンスフリーで、排気口が付いたものを選ぶ必要があります。(開放型だと車内に水素が溜まり、爆発が起きる可能性があるので)

外置きバッテリーでも密閉型のメンテナンスフリータイプもありますが、価格的に割高になりますので、特にこだわりがないのであれば通常の開放型が良いと思います。(私は外置きでも密閉型にしてますけど…)

アイスト車用などではひょっとすると開放型は売られていないかも知れませんが…。

鉛バッテリーのサイズと性能ランク

ここまでで自分の車の①動力機構、②バッテリーの設置位置は確認出来ているかと思いますので、次は最も複雑なバッテリーのサイズと性能ランクについてご説明します。

バッテリーのサイズや性能ランクは、「55B19L」などの摩訶不思議な数字と記号で表現されており、ぱっと見た感じでは全く以って意味不明に感じます。

更に、標準車用・アイスト車用・ハイブリッド用で記号の意味が若干異なる事もありますので、ここでは分かり易く、①標準車・ハイブリッド用、②アイスト車用の順にご説明します。

標準車・ハイブリッド車の場合

標準車・ハイブリッド車用のバッテリーの場合には「80B24L」などの記号の中に以下の情報が詰まっています。

①80~バッテリーの性能ランク・容量を表す

②B~バッテリーの端子の大きさと「幅」「高さ」を表す

③24~バッテリーの長さを表す

④L~バッテリーの+-の端子の位置を表す

 

初めて見る方は良く分からないと思いますが、「80B24L」のうち、80は性能ランクですので変更しても構いませんが、B24Lについては物理的な大きさや端子の位置、端子の太さを表しますので、間違えると設置出来ない可能性が出て来ます。

※バッテリーの台座の大きさや周辺のスペース次第では間違っても設置出来る事もありますが。

因みに以下の2つのバッテリーは、黒が「46B24L」、青が「80B24L」で、異なるのは性能ランクだけでサイズと端子の太さ、+-端子の位置は同じです。

これが24Lではなく、24Rになると端子の+-の配置が逆になります。

つまり「80B24L」と「80B24R」であれば、端子の+-の配置だけが異なり、後は同じと言う事になりますね。

以下、パナソニックのC7のアイテム一覧ですが、これを見て頂くと最後のLとRの違いの他に、「100D23L」など、真ん中にBではなくDの記号が使われているものがあります。

これは+-の端子がBよりも太いDであるという事を表しています。

という訳ですので、現在自分の車に設置されているバッテリーの記号を探して、「46B24L」であれば「B24L」の部分は変えないのが基本です。(「B24L」から小さい「B19L」にするのは可能だが、スペースの関係で「B19L」から大きい「B24L」には出来ない)

自分の車のバッテリーサイズが分からなければ、こちらで検索可能です。

■ 車種別バッテリーサイズ検索

まあ、要は以下のバッテリーの台座に収まって、上部も何かに干渉せず、端子の向きと太さが合っていれば良いという事なんですが、初めて交換する方は同じ大きさのものを選んだ方が良いと思います。

因みに端子の太さを間違っても以下のようなアイテムでリカバリーは可能です。

なお、ハイブリッド車の場合にはこれ以外にも排気口のサイズや位置、温度センサーの位置などの要件が絡み、ちょっと複雑です。

メーカーや販売サイトなどで、確実に適合チェックを行った方が良いでしょう。

■ 車種別バッテリーサイズ検索

アイスト車用の場合

アイスト車用のバッテリーの場合には「M-65」「M-65R」などの記号の中に以下の情報が詰まっています。

※以下パナソニックのアイスト車用バッテリー、カオスA3

①M~バッテリーのサイズと端子の太さを表す(標準車用であればB20の部分)

②65~バッテリーの性能ランク・容量を表す

②R~バッテリーの+-の端子の位置を表す(標準車であればL/Rだが、Lは省略されている)

 

標準車に比べて表記内容が簡略化されている為、選ぶのはこちらの方が簡単です。

サイズに関しては小さい順にJ・K・M・N・P・Q・S・Tとなっており、J~NとP~Tでは端子の太さが異なります。

まぁ、アイスト車の場合には標準車用と記号の表記が異なりますので、現在使用しているバッテリーの記号と合わせた方が無難です。(数字の部分は変更可ですが)

■ 車種別バッテリーサイズ検索

サイズ的には標準車用のものも付きますが、自己責任でお願いします。(アイスト車じゃなくなるかも?)

アイスト車標準車端子
JB17
細い
KB19
MB20
NB24
PD20太い
QD23
SD26
TD31

アイドリングストップ車のバッテリーの選び方

バッテリー交換の手順

バッテリーの交換手順については、バッテリーの設置場所に関わらず、ほぼどの車種でも共通です。

用意する工具は10mm(場合によっては8mm)のレンチやスパナのみです。

一応、工具によるショート防止の絶縁スパナなども販売されていますね。(使った事ないですけど)

なお、バッテリーを交換する際にはECUの学習データなども消えてしまいますので、消したくない方は以下のような補助電源を使用してバックアップを行うと良いでしょう。

以下、カーメイトのメモリーキーパーを使用してのバッテリー交換の手順です。

コペンのバッテリーサイズと交換について

リーフの12V補器バッテリーの充電挙動と交換について

アイドリング学習値がリセットされた場合は、数分間アイドリングさせる事で再度学習させる事が出来ます。

車のバッテリーの選び方と交換方法のまとめ

以上、車のバッテリーの選び方と交換方法についてご紹介しました。

冒頭でも述べたように、バッテリーは消耗品ですので定期的な交換が必要ですが、ディーラーなどで交換すると工賃よりもバッテリー価格が非常に高いものとなりますので、通販で安くゲットしてDIYで交換してみては如何でしょうか?

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

■ ネット通販で購入した持ち込みパーツの取り付け店舗の探し方

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