車のバッテリーの交換や、電装品の取り付けなどの際にバッテリーのターミナル端子を外す機会があるかと思います。

因みにターミナル端子の取り外しの順番は、①マイナス端子、②プラス端子で、取り付ける順番はその逆の①プラス端子、②マイナス端子である事は、一般的に良く知られている注意事項でしょう。

※電装品をいじる場合には①マイナス端子を外すだけですが。

今回は最近交換したランエボ10のバッテリーで、危険と言われている禁止事項をテストしてみたので、情報をシェアしておこうと思います。

ターミナルケーブルはどこに繋がっているのか?

車のバッテリーにはプラスとマイナスの端子があり、車両から赤と黒の2本の太いターミナルケーブルと接続されていますよね。

通常の場合、このバッテリーから車内外の電装品に電流を流している訳ですが、この赤(+)と黒(-)のターミナルケーブルがどこに繋がっているかと言うと…

プラス側は電装品の入力側に、マイナス側は電気の伝導体となっている車両の金属部分(いわゆるボディアース)に繋がっています。

因みにエンジン・ACCオフでキーを挿していなくても、ECUなどのコンピューター類には常に微電流が流れています。

プラス側から外すと何が危険なのか?

バッテリーの端子を外す順番は、①マイナス→②プラスですが、仮にプラス側から外そうとした場合、なぜ危険と言われているのでしょうか?

プラス側から外そうとした場合、誤って金属製の工具が車両の金属部分やバッテリーのステーなどに触れてしまうと、工具自体の抵抗が少ない為、大きな電流が以下の赤矢印の経路で流れる事になります。

ゴム製のレンチなど、抵抗が高く絶縁体に近い工具であれば電流は流れませんが、通常の工具は金属ですので物凄く大きな電流が流れる事になりますし、接触の前後のタイミングでは豪快に火花を散らします。

ラチェットレンチで試しにバッテリーステーを固定すると、バッテリーのプラス端子を繋いでみたところ、盛大に火花が散りました(笑)

間に電装品が入っていれば、それなりの抵抗が発生しますのでそこまで大電流は流れませんが、工具の場合だと抵抗はそれほど高くありませんので、電圧が低くても電流は巨大になります。

流れる電流の大きさ=電圧÷抵抗、ですので…。

いわゆるショートってやつですね。

人体には電流は流れませんが、火傷はするかも…

工具を使用して誤ってショートさせてしまった場合、電流は抵抗値の低い工具を通って車体→バッテリーのマイナス端子、という具合に流れていきます。

従って人体には電流は流れないですし、すぐに接点を離せばびっくりして終わり…で済むと思いますが、運が悪いと火花に触れて火傷くらいはするかも知れません。

意図的にバッテリーのプラスとマイナスを針金などで繋いでショートさせると、針金がまるで電球のフィラメントのように発光し、1000℃くらいのかなりの高温になりますので、ショートさせた状態を維持していると確実に火傷するでしょう。(笑)

因みにここで使用したバッテリーは、交換後の処分をお願いしているものです。(行きつけの車屋のおじちゃんに実演して貰いました)

マイナス側から外すとどうなる?

マイナス側から外す場合には、プラス端子にさえ触れないように気をつければショートはしません。

また、仮に誤ってボディに触れてしまっても、車のボディからバッテリーに繋がっているターミナルケーブルは銅線なので、鉄の工具よりも抵抗値が低い為、工具側に電流が流れる事はない筈です。

仮にマイナス側のターミナル端子を外した直後に、工具が端子の間に挟まる状態になった場合ですが…

静電気のような小さなスパークが発生する事はあるものの、電流自体がすでに抵抗の大きい電装品を通った後なので、ごく微量の電流しか流れません。

マイナス側を外した後は、わざとやらなければショートしない

マイナス側の端子を外した後は、バッテリーからの電気の通り道が遮断された状態になっています。(ボディーがアースになっていない状態)

この状態であればプラス端子とボディなどの金属部分を接続したとしても、マイナス側がボディから切り離されている為、電気は流れません。

わざとショートさせるとしたら、プラス端子とマイナス端子を工具で繋ぐ方法が考えられます。

これがこの状態ですね(笑)

素手でバッテリーのプラス端子とマイナス端子を触ると感電する?

ここで気になるのが、車の12Vバッテリーのプラス端子とマイナス端子を素手で触ると感電するのか?という事です。(笑)

答えは「感電しない」となりますが、これは人間の体の電気抵抗が大きく、12V程度の電圧では体感出来るような電流が流れないからです。

人間の皮膚の電気抵抗は、①乾燥時2000~5000Ω、②汗ばんている時800Ω、③濡れている時0~300Ω程度と言われています。

■ 九州電気保安協会より

更に人体内部の抵抗は500Ωと言われていますので、乾燥時に12Vの電圧で人体に電流を突破させようとすると、プラス端子→皮膚→体内→皮膚→マイナス端子、と言う流れになります。

皮膚の乾燥時の抵抗を3500Ωとすると、3500Ω+500Ω+3500Ω=7500Ωの抵抗を突破しなければなりません。

12Vで7500Ωの抵抗を突破させようとすると、12V÷7500Ω=0.0016=1.6mAの電流しか流れない事になります。

 

感電の定義が電気を感じる事…であるならば、人によっては1mAでも何かしらの感覚を覚える可能性はありますが、自分で触ってみた結果、何も感じませんでした。(人によって感じ方と皮膚の接触抵抗が異なる)

因みに人体を流れる電流の大きさと、痛みや症状の目安は以下の通りと言われています。

・1mA:感じる程度
・5mA:痛みを覚える
・10mA:我慢できない
・20mA:痙攣、動けない
・50mA:非常に危険
・100mA:致命的

 

換装した皮膚の場合には感電はしませんでしたが、手が濡れている状態であった場合、皮膚の接触抵抗は300Ωまで低下します。

この場合12Vであっても12V÷(300+500+300)Ωで、10.9mAの電流が流れる事になりますね。

これは我慢できない痛みとなりますので、濡れた手でバッテリーをいじる作業を絶対にやってはいけないという事になります。

雨の日にバッテリー上がりのトラブルに見舞われた時には絶縁手袋などをした方が良さそうな?

余談ですが、死刑執行で使用される電気椅子では最大で2000Vの電流を流すようですので、「致命的」の100mAの2倍以上の電流が流れる事になりますね。

ガソリンスタンドで注意したい静電気はどれくらいの電圧なのか?

特に冬場のガソリンスタンドでの給油については、引火の防止の為にも静電気除去パッドを必ず利用したいところですが、静電気の電圧は一体どれくらいなのでしょうか?

答えは3,000~10000Vを超える事もあると言われています。

静電気除去パッドを使用しないと、運が悪ければどど~ん!と引火してしまう危険性があるので、必ず静電気除去パッドを使用しましょう。

…で、ここではそれよりも10000Vの高圧が掛かった場合、人間は死ぬんじゃないのか?と言う疑問が浮かぶ訳ですが、結論を言うとごく短時間であれば全く人体には影響がないとの事です。

先程の計算式では、10000Vの場合には1300mAの電流が流れる事になりますが、静電気自体は電圧は高いものの、エネルギーとしてはごく僅かなものしか蓄えていません。

静電気のエネルギーは微量なので、皮膚に触れた瞬間に一瞬で電圧が下がってしまい、ごく微量の電流しか流せなくなってしまうそうです。(皮膚の突破にほとんどのエネルギーを使いきってしまうよう)

ただ、それと引火の問題は別ですので、やはり静電気除去パッドは必ず使用しましょう。(笑)

なお、落雷の電圧は200万~10億ボルトと言われていますが、人間に直撃した際の即死率は10~20%だそうで、何らかの後遺症が残る確率は高いものの、全く健康に影響がなかったケースもあるようです。

電流が流れる時間がごくごく短い時間であれば、そこまで人体の組織が破壊されない事もあると言ったところでしょう。(検証はしたくないですが…)

確かに以下の動画の方は、2回も雷撃を受けてちゃんと歩けていますね。

車のバッテリーの端子の外し方のまとめ

以上のように、車のバッテリーの電圧は12Vと人体に影響を与えるには電圧が不足していますが、トータルのエネルギー量は電子レンジを何十分か回せるくらいの量は蓄えています。

電圧は小さくても意図せぬショートが発生していた場合には、一瞬の破壊力は小さいものの、運が悪ければ火災や水素爆発の危険性もあります。

まあ、金属があっという間に真っ赤に熱せられる位ですから、扱いを間違えるとヤバそうだと直感的には感じられるかも知れませんね。

ただ、扱い自体はさほど難しいものではありませんので、決められた手順をしっかり守って作業するようにしましょう。

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

■ ネット通販で購入した持ち込みパーツの取り付け店舗の探し方

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