こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
ドライブレコーダーを使用していると、microSDカードの信頼性がいかに重要かを痛感すると思います。
録画が止まったり、突然カードが認識されなくなると、いざという時の証拠が残りません。
そこで今回は、microSDカードを販売しているメーカーのうち「自社で半導体を生産している会社」と「外部から調達している会社」 を整理し、ドラレコ用途での選び方を解説します。
自社半導体を搭載しているmicroSDメーカー
まず注目すべきは、NANDフラッシュメモリやコントローラを自社で製造できる半導体メーカーです。
Samsung(サムスン)
世界最大のNANDフラッシュメーカーで、microSDカードも自社チップを使用。
筆者は過去にサムスンジャパンの方と接点を持ったことがありますが、その際「自社で生産した半導体のうち、品質が高いものを自社ブランドのmicroSDやSSDに優先的に使用している」と聞いたことがあります。

つまり、市販されるSamsungブランドのカードは歩留まりの良い上級品が中心と言えるのです。
Kioxia(旧東芝メモリ)
日本発のNANDメーカー。国内でも流通があり、工場は四日市や北上など。信頼性の高いNANDを自社製品に搭載。
Western Digital(SanDisk)
SanDiskを傘下に持つ米国メーカーで、Kioxiaと合弁でNANDを製造。SanDiskブランドのmicroSDは自社製半導体を採用しています。
Micron(Crucialブランド)
米MicronもNAND大手。CrucialやLexar(旧子会社)ブランドで自社製造のフラッシュを搭載したカードを展開しています。
半導体を“自社生産”しているmicroSDカード関連メーカーとソース
要なNANDフラッシュメモリの製造企業として知られるメーカーは、以下の通りです。
これらは自社でNAND(および一部はコントローラ)を設計・製造しており、自社ブランドのmicroSDにも使用できる立場にあります。
- Samsung Electronics:NANDフラッシュ市場にて絶対的リーダーの地位を維持(2023年第2四半期で31.4%)
- Kioxia(旧東芝メモリ):日本のNAND発明企業として、現在もNANDフラッシュを開発・製造
- Western Digital(SanDisk):SanDisk買収後、Kioxiaとの合弁によりNANDフラッシュを製造
- Micron Technology:米国最大級のメモリメーカーで、自社NANDフラッシュを製造し、Crucialブランドなどで展開
市場シェアランキング(NANDフラッシュメーカー)
以下の市場シェア(2023年第2四半期)を見ると、これら自社生産型メーカーがNAND市場を握っていることがわかります:
- Samsung – 31.4%
- Kioxia – 20.6%
- Western Digital – 12.6%
- SK Hynix – 18.5%
- Micron – 12.3%
外部調達に依存しているmicroSDメーカー
一方、半導体を自社で製造していないブランドメーカーも多数存在します。
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- Kingston
- Transcend
- ADATA
- PNY
- Sony / Panasonic(過去のブランド品)
これらのメーカーは、SamsungやKioxia、MicronなどからNANDを購入して製品化しています。
供給先のチップによって品質が変わる場合もあるため、ロットごとに中身が違うことがある点に注意が必要です。
ドラレコに使うならどちらを選ぶべきか?
ドラレコ用途では、常に上書き録画が繰り返されるため、耐久性の高いMLC/TLC型NANDや高品質コントローラを採用しているカードが必須です。
その観点から言えば、やはり信頼できるのは Samsung / Kioxia / SanDisk(WD) / Micron といった自社生産型メーカーのカードであると考えられます。
特にSamsungは、前述のように「自社生産半導体のうち品質の高い物から自社製品に回す」方針があるため、ドラレコ用途でも安心感が大きいと感じます。
ただし「相性問題」には要注意
ここで重要なのが、ドラレコ本体との相性問題です。
どんなに高品質なmicroSDカードでも、必ずしも全てのドラレコで安定動作するわけではありません。
たとえば、VANTRUEのドラレコは高品質とされるSamsungのカードとの相性が悪く、メーカー自身がSamsung microSDの使用を推奨していません。
これはカード側の不良ではなく、コントローラやファームウェアとの組み合わせによる「相性」の問題です。
最も安全なのは純正カードの使用
このため、一番安心なのはドラレコメーカーが推奨・純正品として販売しているmicroSDカードを使うことです。
純正カードはメーカー側が自社機種で動作検証をしているため、相性トラブルを避けやすいのです。
市販カードを選ぶ場合は、自社半導体を搭載したSamsung / Kioxia / SanDisk / Micronといった信頼性の高いメーカー品を選ぶと良いですが、最優先は純正カード>大手半導体メーカー品>外部調達ブランド品の順で考えるのが賢明でしょう。
この記事の視点について
なお、本記事は、半導体業界やブランド構造を「マクロ視点」で整理した内容であり、特定のmicroSDカードの個人レビュー体験に基づくものではありません。
ただし補足として、筆者個人の経験では、過去にトランセンド製カードが物理的に故障したケースがありました。

これはあくまで一例に過ぎませんが、ブランドによって当たり外れがあることを示す事例とも言えます。
まとめ
- 自社製半導体を使うmicroSDメーカー:Samsung、Kioxia、SanDisk(WD)、Micron
- 外部調達のブランドメーカー:Kingston、Transcend、ADATA、PNY、Sonyなど
- ドラレコ用途では大手半導体メーカー品が安心
- ただし実際には相性問題もあり、VANTRUEはSamsungカードを推奨していない実例もある
- 最も安全なのはドラレコメーカー純正カードを使うこと
- 本記事はマクロ的な整理であり、筆者個人の過去体験としてはトランセンドで物理故障を経験

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