小さいMRスポーツカーランキング【国産&輸入車・全長順+MT最軽量仕様基準】

こんにちは!自動車系ライターの駆流斎です。

MR(ミッドシップ・リア駆動)は、エンジンを車体中央に置くことで前後重量配分が良くなり、操縦安定性やコーナリング性能に優れるレイアウトです。

スーパーカーから軽自動車まで採用例は幅広く、運転好きにとっては憧れの駆動方式といえるでしょう。

ここでは市販されたMRスポーツカーを全長の短い順にランキング形式で紹介します。

各車のサイズ・重量・スペックに加えて、パワーウエイトレシオ/トルクウエイトレシオも併記。

さらに、すべてMTの最軽量仕様を基準にして比較しました。

1位 ホンダ・ビート

  • サイズ:全長3,295mm × 全幅1,395mm × 全高1,175mm
  • 重量:760kg
  • エンジン(代表):660cc 直3 NA(64ps/60Nm)
  • パワーウエイトレシオ:11.88 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:12.67 kg/Nm

1991年に登場した軽自動車規格のMRロードスター。ホンダが「誰もが気軽にスポーツカーを楽しめるように」という思想のもと開発しました。

デザインはピニンファリーナが関与し、愛嬌あるスタイルが魅力です。

搭載する660cc NAエンジンは自主規制いっぱいの64psながら、マルチスロットル制御を備え、9,000回転近くまで滑らかに吹け上がります。

車重はわずか760kgで、スペック以上に軽快な走りを体感できます。

オープンボディならではの開放感と、MR特有のクイックなハンドリングを同時に味わえるのは大きな魅力。

当時は軽の枠を超えた走りで話題を呼びました。

現在では中古市場で高騰しており、良質な個体はプレミア価格。日本の軽スポーツを象徴する1台です。

2位 ホンダ・S660

  • サイズ:全長3,395mm × 全幅1,475mm × 全高1,180mm
  • 重量:830kg
  • エンジン(代表):660cc 直3 ターボ(64ps/104Nm)
  • パワーウエイトレシオ:12.97 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:7.98 kg/Nm

2015年に登場した「最後の軽MR」。ホンダ・ビートの精神を受け継ぎながら、現代的な安全基準や快適性を満たした完成度の高いモデルです。

660ccターボエンジンは64psと控えめですが、トルク特性が扱いやすく、6速MTのシフトフィールは高評価。

MRレイアウトによる旋回性能は軽とは思えないレベルで、峠道では普通車スポーツカー顔負けの走りを見せます。

登場当初から予約殺到で、特にMT車は人気が集中。2022年に生産終了を迎え、現在は中古価格が高騰。

希少性から「未来のクラシックスポーツ」として価値が維持されることが予想されます。

3位 ロータス・エリーゼ

  • サイズ:全長3,785mm × 全幅1,710mm × 全高1,117mm
  • 重量:924kg
  • エンジン(代表):1.8L 直4 スーパーチャージャー(220ps/250Nm)
  • パワーウエイトレシオ:4.20 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:3.70 kg/Nm

1996年に登場したライトウェイトMRスポーツの代表格。

ロータス創業者コーリン・チャップマンの「軽さこそ最大の武器」という哲学を忠実に受け継いだモデルです。

アルミ押し出し材を接着した軽量シャシーにFRP製ボディを組み合わせ、車重はわずか924kg。

比較的小排気量のエンジンでも圧倒的な動力性能を発揮します。

パワステを持たないステアリングは路面の情報を直に伝え、ドライバーとクルマが一体となる感覚を味わえます。

快適性や積載性は最低限ですが、走る楽しさだけを徹底的に追求した硬派な設計。

2021年に生産終了しましたが、今なお「ピュアスポーツカーの究極」として世界中のファンに愛されています。

4位 トヨタ・MR-S(初期型・最軽量5MT仕様)

  • サイズ:全長3,885mm × 全幅1,695mm × 全高1,235mm
  • 重量:960kg(初期型・5MT・最軽量仕様)
  • エンジン(代表):1.8L 直4 NA(140ps/170Nm)
  • パワーウエイトレシオ:6.86 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:5.65 kg/Nm

1999年に登場したMR2の後継モデル。従来のターボ志向から一転し、シンプルで扱いやすいライトウェイトMRを目指しました。

1.8L NAエンジンを搭載し、140ps前後と控えめな数値ですが、960kgという軽量ボディによって軽快な走りを実現。

ミッドシップらしい鋭い回頭性とオープンボディの解放感が魅力です。

当時はターボがないことから物足りないと言われることもありましたが、現在では「壊れにくい国産MR」として再評価。

中古市場で人気が高まり、特にMT車は価格が上昇しています。

5位 トヨタ・MR2(2代目 SW20)

  • サイズ:全長4,170mm × 全幅1,695mm × 全高1,235mm
  • 重量:1,250kg
  • エンジン(代表):2.0L 直4 ターボ(245ps/304Nm)
  • パワーウエイトレシオ:5.10 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:4.11 kg/Nm

1990年に登場した2代目MR2(SW20)は、初代AW11より一回り大きく成長。

丸みを帯びたスタイルは「ミニ・フェラーリ」とも呼ばれました。

初期型(I型)は重量増と足回りの特性から「スピンしやすい」と評判に。

しかし1992年のマイナーチェンジ(II型以降)でサスペンションが改良され、操縦安定性が大幅に向上。

1993年のIII型ではターボが245psに強化され、国産スポーツカーの頂点に近い存在となりました。

現在では「初期型=ピーキー」「中期以降=安定」といった評価が定着。

国産唯一の本格MRターボとして、中古市場では希少価値が上がり続けています。

6位 アルファロメオ 4C

  • サイズ:全長3,990mm × 全幅1,870mm × 全高1,185mm
  • 重量:1,118kg
  • エンジン(代表):1.75L 直4 ターボ(240ps/350Nm)
  • パワーウエイトレシオ:4.66 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:3.19 kg/Nm

2013年に登場。カーボンモノコックを採用したスーパーカー級の構造を持ちながら、全長は4mを切るコンパクトさが特徴です。

車重は1,118kgに抑えられ、1.75L直4ターボが240psを発揮。

0-100km/h加速はわずか4.5秒で、フェラーリにも迫る加速性能を実現しています。

ステアリングは電動アシストを持たず、低速では重さを感じる一方、高速域では路面情報を直に伝える硬派な設定。

快適性や日常性は犠牲になっていますが、走りの純度を求めるドライバーには強烈に刺さる一台です。

日本への導入台数も限られており、中古市場では希少性から高値を維持しています。

7位 ロータス・エキシージ

  • サイズ:全長4,088mm × 全幅1,802mm × 全高1,150mm
  • 重量:1,176kg
  • エンジン(代表):3.5L V6 スーパーチャージャー(350ps/400Nm)
  • パワーウエイトレシオ:3.36 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:2.94 kg/Nm

エリーゼをベースに固定ルーフを与え、よりハイパワー化したサーキット志向のMRスポーツ。

初期型は1.8L NAで登場しましたが、後期にはスーパーチャージャーや3.5L V6を搭載する本格仕様も登場しました。

特にExige S V6は350psを発揮し、重量1,176kgと相まって強烈なパフォーマンスを発揮。

サーキットではスーパーカーすら圧倒する実力を見せます。

一方で、サスペンションは極めてハードで日常使用には不向き。

ロードカーとしてよりも「走行会やサーキット専用車」としての性格が強いモデルです。

それでも、ロータスの「走りを極める」思想を体現する存在として世界中のファンに愛されています。

8位 アルピーヌ A110

  • サイズ:全長4,180mm × 全幅1,800mm × 全高1,250mm
  • 重量:1,114kg
  • エンジン(代表):1.8L 直4 ターボ(292ps/320Nm)
  • パワーウエイトレシオ:3.82 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:3.48 kg/Nm

2017年に復活したアルピーヌ A110は、往年のラリー名車の名を受け継ぐ現代版。

アルミシャシーの採用により、1,114kgと軽量化を実現しました。

1.8L直4ターボエンジンは292psを発揮し、俊敏でレスポンスの良い走りを実現。

サーキットよりもワインディングロードで真価を発揮する特性を持ち、乗り心地も比較的マイルドで長距離ドライブにも適しています。

その美しいデザインと軽快なドライブフィールはヨーロッパで高い評価を受け、日本市場では輸入台数が限られるため希少性も高く、コアなスポーツカーファンに人気があります。

9位 ポルシェ・ボクスター(981 GTS/MT基準)

  • サイズ:全長4,374mm × 全幅1,801mm × 全高1,281mm
  • 重量:1,335kg(MT仕様・最軽量)
  • エンジン(代表):3.4L 水平対向6 NA(330ps/370Nm)
  • パワーウエイトレシオ:4.05 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:3.61 kg/Nm

2012年に登場した981世代のボクスターは、ポルシェのオープンMRロードスターとして第3世代にあたります。

中でもGTSは330psを発揮する3.4L NAエンジンを搭載し、ボクスター史上最もスポーティなグレードのひとつでした。

981世代ではホイールベース延長とボディ剛性の強化が図られ、オープンでありながらサーキット走行にも十分対応可能。

MRレイアウトと水平対向6気筒の組み合わせにより、鋭いハンドリングと滑らかな吹け上がりを両立しています。

現行718が直4ターボ中心となったことで、自然吸気6気筒を積む981世代は中古市場で再評価が進んでおり、GTSは特に人気が高いモデルです。

10位 ポルシェ・ケイマン(981 GTS/MT基準)

  • サイズ:全長4,404mm × 全幅1,801mm × 全高1,295mm
  • 重量:1,340kg(MT仕様・最軽量)
  • エンジン(代表):3.4L 水平対向6 NA(340ps/380Nm)
  • パワーウエイトレシオ:3.94 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:3.53 kg/Nm

981世代のケイマンGTSは、ボクスター同様に3.4L水平対向6 NAを搭載し、出力は340psに高められています。

重量は1,340kgで、MRのバランスを活かした俊敏なハンドリングを誇ります。

ケイマンはもともと剛性の高いクーペボディを持ちますが、981世代ではさらにシャシー性能が向上し、サーキットからワインディングまで万能。

MRスポーツとしての完成度は非常に高く、ポルシェの「隠れたベストバランスカー」と評されます。

現代では911に比べて価格的に手の届きやすい存在でありながら、走行性能は一級品。

GTSは装備も充実しており、981世代の中でも特に人気の高いグレードです。

11位 ポルシェ・ケイマン(718 GTS 4.0/MT基準)

 

  • サイズ:全長4,379mm × 全幅1,801mm × 全高1,295mm
  • 重量:1,405kg(6MT仕様)
  • エンジン(代表):4.0L 水平対向6 NA(400ps/420Nm)
  • パワーウエイトレシオ:3.51 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:3.35 kg/Nm

2016年以降の718シリーズに加わったGTS 4.0は、自然吸気4.0L水平対向6気筒を搭載。

400psを発揮し、MRスポーツとしては圧倒的な実力を持ちます。

ダウンサイジングターボ主体の時代にNAを残したことは大きな意義があり、ポルシェファンから熱烈に支持されました。

ケイマンの硬派なキャラクターと相まって、走行性能は911に匹敵するレベルに到達しています。

現行ポルシェの中でも「MRで味わえる6気筒NAの最後の砦」として高い価値を誇ります。

12位 ポルシェ・ボクスター(718 GTS 4.0/MT基準)

  • サイズ:全長4,379mm × 全幅1,801mm × 全高1,281mm
  • 重量:1,405kg(6MT仕様)
  • エンジン(代表):4.0L 水平対向6 NA(400ps/420Nm)
  • パワーウエイトレシオ:3.51 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:3.35 kg/Nm

718世代のボクスターGTS 4.0は、ケイマンと同じく自然吸気4.0Lの水平対向6気筒を搭載。

400psという圧倒的パワーを持ちながら、オープンならではの解放感を楽しめるのが最大の特徴です。

サーキットで本格的に走らせても十分に通用する実力を持ちつつ、オープン走行ではリラックスして風を感じながら楽しめるという「二面性」が魅力。

とりわけ6速MT仕様は、現代のスポーツカーでは希少な存在となっており、ドライバーが自ら操る楽しさを強く感じられます。

近年のポルシェの中でも「自然吸気6気筒+オープン+MT」の組み合わせはほぼ唯一無二。

将来的にはクラシック化が進み、コレクション価値の高いモデルとして語り継がれる可能性が高いでしょう。

13位 ホンダ NSX(NA2/代表:NSX-R)

  • サイズ:全長4,430mm × 全幅1,810mm × 全高1,170mm
  • 重量:1,270kg
  • エンジン(代表):3.2L V6 NA(280ps/304Nm)
  • パワーウエイトレシオ:4.54 kg/ps
  • トルクウエイトレシオ:4.18 kg/Nm

1990年にデビューした初代NSXは、国産スーパーカーの金字塔とも言える存在。世界初の量産オールアルミモノコックを採用し、軽量かつ高剛性のボディを実現しました。

開発にはアイルトン・セナも関わり、サーキットで徹底的に鍛え上げられたハンドリング性能は、当時のスーパーカー勢を驚かせるものでした。

フェラーリやポルシェと肩を並べる性能を持ちながら、エアコンやパワステを備えた「日常的に使えるスーパーカー」として世界的に評価されました。

特に後期型(NA2)のNSX-Rは、3.2L V6 NAエンジンを搭載し、徹底した軽量化とシャシー強化により、サーキットで真価を発揮するモデルとなりました。

走りに特化した硬派な存在であり、ホンダのレーシングスピリットを色濃く体現しています。

現在ではクラシックカー市場で価格が高騰しており、コンディションの良い個体は億近い価格で取引されることもあります。

国産MRスポーツの頂点として、今なお輝きを放つ一台です。

小さいMRスポーツカー比較表(MT最軽量仕様基準)

車種 全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) 重量(kg) 出力(ps) トルク(Nm) パワーウエイト(kg/ps) トルクウエイト(kg/Nm)
ホンダ・ビート 3295 1395 1175 760 64 60 11.88 12.67
ホンダ・S660 3395 1475 1180 830 64 104 12.97 7.98
ロータス・エリーゼ 3785 1710 1117 924 220 250 4.20 3.70
トヨタ・MR-S(初期型) 3885 1695 1235 960 140 170 6.86 5.65
トヨタ・MR2 SW20 4170 1695 1235 1250 245 304 5.10 4.11
アルファロメオ 4C 3990 1870 1185 1118 240 350 4.66 3.19
ロータス・エキシージ 4088 1802 1150 1176 350 400 3.36 2.94
アルピーヌ A110 4180 1800 1250 1114 292 320 3.82 3.48
ポルシェ・ボクスター(981 GTS MT) 4374 1801 1281 1335 330 370 4.05 3.61
ポルシェ・ケイマン(981 GTS MT) 4404 1801 1295 1340 340 380 3.94 3.53
ポルシェ・ケイマン(718 GTS 4.0 MT) 4379 1801 1295 1405 400 420 3.51 3.35
ポルシェ・ボクスター(718 GTS 4.0 MT) 4379 1801 1281 1405 400 420 3.51 3.35
ホンダ NSX(NA2) 4430 1810 1170 1270 280 304 4.54 4.18

まとめ

軽自動車から本格的なスーパーカーまで、MRレイアウトを採用する車は多岐にわたります。

ボクスター/ケイマンは全長4.3mを超え、もはや「小さい」とは言えないサイズですが、現代の大型化したスポーツカーの中では依然として扱いやすい部類に入ります。

特にMR-Sやビート、S660といった軽量級は、絶対的な速さよりも「ハンドリングの楽しさ」「車との一体感」でいまだに根強い人気を誇っています。

一方で981/718世代のGTSモデルやNSXは、MRならではのバランスにハイパワーを組み合わせた完成度の高さが光ります。

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