最近のカーナビやオーディオはBluetooth通信による音楽再生に対応しているものが主流となっています。
カーナビで音楽を聴く際には、音質の面では私は何ら問題を感じた事はありませんが、Bluetoothの仕様上の制限で環境や聴く人によっては音の劣化を感じ取れる…そうです。(機器の不具合や電波障害による音飛びが発生した事はある)
そこで今回は手持ち機器を組み合わせて、Bluetoothでの音楽再生による音質の劣化を体感出来るか試してみました。
Bluetoothというより、まずは128kbpsのMP3の劣化具合が体感出来るか?
CDの音声ファイルのデータは1.4Mbps(1400kbps)となっており、一昔前であればこの音質がスタンダードであったかと思います。
現在主流となっているBluetooth通信によるストリーミング再生では、ハイレゾ用のコーデックであるLDACでも990kbps、その他の一般的なコーデックでは345kbpsが上限となるのですが、それ以前に音楽ファイルがMP3などで128kbpsに圧縮されていれば通信速度は音質のボトルネックにはなりません。
・CD相当の音源を無圧縮で転送するのに必要な速度…1.4Mbps(44.1kHz × 16bit × 2ch)
・Bluetooth…2Mbps(運用上の上限は345~990kbps)
因みに今回私が聴き訳にチャレンジしたのは以下の3つの音源で、使用したのはPCの安いスピーカー(一応サブウーファー付き)と5,000円くらいのヘッドフォンです。
①128kbpsのMP3ファイル(Bluetoothの上限を遥かに下回る音質)
②4600kbpsのm4aファイル
③9200kbpsのflacファイル(ハイレゾ)
自分の環境と自分の耳で聴き分けが可能かテストしてみたい方は、以下のSONYのページでこれらのファイルがダウンロード出来ます。
上のサイトからAACの圧縮ファイルとFLACのハイレゾファイルがダウンロード出来ますので、以下のサイトで128kbpsのMP3にFLACファイルを圧縮してみて下さい。
これらの3つのファイルをPC、またはSDカードなりUSBメディアに落としてカーナビで再生してみましょう。(128kbpsと9200kbpsの比較です)
SONYのサイトでは比較のポイントとして以下の点を挙げていますので、この点に沿って見て行きますと…
①0:01 ハープの音の重なりが滑らかで透明感がある。ウィンドチャイムの繊細な音がきれいに聞こえる。
すみません…分かりませんでした。
0:02 「ブワ~ン」というグリッサンドの音色に複数の楽器の重なりが感じられる。
すみません…分かりませんでした。
0:03 クラップ音がリアル。人数の多さが伝わる。スティックのチップがシンバルに当たっている感じが伝わる。
すみません…分かりませんでした。
0:20 リムショット(クローズ)がシャープ。
すみません…分かりませんでした。
0:32 「ビョンビョン」というUFOっぽい音がいろいろな方向から聞こえる。タムの腰のすわった豊かな低音と、右から左、左から右への音の移動が明確。
ここだけはどうにか分かりました!
128kbpsのMP3ファイルで違いが分からないようであれば、通常345kbps程度の音質で再生されるBluetoothの音質の劣化は判別出来ない事になります…余裕で。
まぁ、私も「ビョンビョン」というUFOっぽい音、の部分だけしか聴き分けられなかったですし、SONYは聴き分けが容易な曲を選んでいると思われますので普通の曲だとサッパリ分からない可能性が高いですね。
ここで「はっきり違いが体感出来たぜ!」っていう方は、次は320kbpsのmp3ファイルと9200kbpsのflacファイルを聴き比べてみましょう。
それでも違いが分かるようであれば、あなたの耳はBluetoothでは役不足ですので、USB接続やSD、AUX入力などの再生方法に切り替えるメリットがあると言えそうです。
ハイレゾ音源などはLDACなどのコーデックがBluetoothに対応していますので、こちらを使用するのも手ですね。
・ハイレゾ音源を無圧縮で転送するのに必要な速度…4.6~9.2Mbps(192kHz × 24bit × 2ch)
・LDACによる圧縮後の実効速度(990kbps)
・USB2.0…480Mbos
再生機器が問題という話もあるかも?
なお、私は初回はPCでテストしてみたのですが、スピーカーとヘッドフォンがクソである可能性もありますし、使用したPCのサウンドカードは9年前に自作したオンボードタイプですので、こちらがボトルネックになってハイレゾのファイルも同じように聞こえている可能性はありますので、後日ハイレゾ対応のサウンドカードでも試してみようとは考えていますが…。
因みにこれらのファイルをSDカードにコピーして、2016年サイバーナビ+純正スピーカーのアルファードと、2015年彩速ナビ+年式不明の古いパイオニアのスピーカーのランエボ10で聴き比べてみたのですが、結果は変わりませんでした。(笑)
これらのカーナビは圧縮データを補完して音質を改善する機能がある為に分かりにくかったのか、スピーカーとアンプがかなり良い物でなければ違いが分からないものなのか、私の耳がポンコツなのかいずれか原因かと思いますが、結果としては128kbpsでもほとんど聴き分け不能でした。
※むしろスピーカーを高いやつに変えれば、高圧縮のファイルも劇的に体感音質が改善されると思います。
自分の耳のポンコツ具合のチェック
128kbpsと9200kbpsの違いが体感出来なかった方は、自分の耳(または再生環境)のポンコツ具合をチェックしてみましょう(笑)
先程のサイトでは64kbpsまで圧縮率を上げたMP3ファイルの生成が可能です。
私の場合には64kbpsと128kbpsの音質の差はすぐに体感出来ました。
因みに私は過去にFMトランスミッターのレビュー記事で、Bluetoothの音楽をFMラジオの96kbpsで再生した場合の劣化具合というテーマで以下のようにコメントしています。
因みに以下の動画で96kbpsと128kbpsの差が体感出来ないようなら、どちらでもあまり変わらないでしょう。
私は64kbpsと96kbpsの差ははっきりわかりましたが、それ以上になると「???」という感じです。
20, 64, 96, 112, 128, 160 kbps vs. 320 KBPS
…という訳ですので、私の耳のポンコツ具合は曲によっては128kbps以上のデータ速度で聴く意味はありそうですが、通常の場合には128kbpsでもほとんど問題がないという事になりますね。
まぁ、後はこだわりというかそう言った部分を強調してメーカーは高い金を取ろうとしてるんだと…。
Bluetoothによる音質劣化を体感出来る人は少ないと思う
結論としては主流になっているBluetooth通信による音楽再生は、普通の人にはそれなりに良い音に聴こえるだけの音質は確保されている…と私は感じます。(笑)
Bluetooth再生で音質が悪いと感じる人は、若い人でとても耳が良く感性に優れた人のうち、普段から高音質な音楽を聴いている人なのだと思います。
一般的にBluetoothの音質が云々と言われる要因は、通信の際に使用される音声ストリーミング用のプロファイルが、高音質でデータ容量の大きい音楽ファイルの送信を許容していないからなのでありますが、これは40代以上の方はあまり気にしなくても良いような気がしますね。(年と取ると高音が聞こえなくなるので)
因みに…ですが、私は幼少期に8年ほどピアノを習っていましたので、音は聞こえてるけど聞き分けられてないという事ではありません。
聞こえている楽器の音を拾って、耳コピでDTMソフトの譜面に打ち込んで遊んでいた事もあるくらいなので。
という訳なので、まずはより良い音を聞く為にはスピーカーやアンプ、デッドニングに金と時間を掛けるか、後は自信を持ってBluetoothの音質に満足した方が幸せになれるでしょう。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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