【試乗レビュー】NDロードスターの魅力を徹底解剖|走行性能・快適性・デザインの進化

NDロードスターは2015年5月21日に登場した、4代目モデルです。

初代モデルが1989年に誕生して以来、ロードスターは「人馬一体」のコンセプトのもと、多くのドライバーに愛され続けてきました。

しかし、時代とともにボディサイズは大きくなり、排気量も増加。3代目のNC型まで進化を重ねる一方で、初代の「軽快さ」を懐かしむ声も少なくありませんでした。

そんな声に応えるように、ND型は“原点回帰”を掲げ、1.5Lへのダウンサイジングと、徹底的な軽量化を実現。

再び「誰でも気軽に楽しめるライトウェイト・オープンスポーツ」という理想の姿を取り戻しています。

NDロードスターの基本スペックとデザインの印象

ボディサイズは全長3,915mm、全幅1,735mmとコンパクトで、車重はわずか1,000kg前後。

歴代ロードスター販売期間排気量(cc)
車体重量(kg)全長(mm)最高出力(ps)
NA89.05~1,600~1,800940~1,0203,970120~130
NB98.01~1,600~1,8001,010~1,1003,955125~172
NC05.08~2,000cc1,090~1,1404,020162~170
ND16.05~1,500cc990~1,0603,915131

数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、実際に乗り込むと「スポーツカーらしいタイトさ」があり、運転席に座った瞬間に気持ちが引き締まります。

搭載される1.5Lエンジンは、最高出力130ps。数字以上に感じる加速の鋭さや、レスポンスの良さが魅力です。

外観はフロントマスクのシャープなデザインに、リアフェンダーの張り出しが力強さを感じさせ、どこから見ても「走りのクルマ」と感じさせる雰囲気を纏っています。

走行性能|街乗りからワインディングまで応える走り

今回試乗したのは、6AT仕様のSレザーパッケージです。

街乗りでは、アクセルを軽く踏んだだけでスムーズに前へ出てくれ、車体の軽さがそのまま運転のしやすさに繋がっているのを実感できます。

高速道路の合流でも、想像以上に伸びやかに加速し、日常的なシーンでは不満を感じることはありません。

ワインディングを走ってみると、ハンドルを切った瞬間に車が思い通りに向きを変え、まるで地面を滑るようにコーナーを駆け抜けます。

「この車なら、もっと運転を楽しみたい」と自然に思わせてくれる感覚があり、まさにロードスターの真骨頂と言えるでしょう。

快適性とインテリア|スポーツカーの常識を超えた質感

「スポーツカー=乗り心地が硬い」というイメージを持つ方も多いと思いますが、NDロードスターはそんな先入観を良い意味で裏切ります。

しっかりしたサスペンションは、段差を柔らかくいなし、同乗者にも安心感を与えてくれます。
硬さではなく、“しなやかさ”を感じさせる乗り味です。

インテリアも非常に上質です。レザーシートや、ダッシュボードまでプラスチック感を抑えた質感の高さ。

「スポーツカーは趣味の乗り物」というだけでなく、「日常でも心地良く過ごせる空間」になっています。

標準装備のマツダコネクトは、操作性も良く、日常使いに十分なナビ機能を備えています。

オープンカーとしての魅力|気軽さと開放感を両立

NDロードスターは、手動式のソフトトップですが、その操作は驚くほど簡単です。わずか数秒で開閉できるので、「面倒そう…」と心配していた方でも安心です。

実際にオープンにすると、頭上に広がる空と、顔に当たる柔らかな風に「オープンカーって最高だな」と素直に感じるはずです。

しかも、風の巻き込みは抑えられ、オープン時でも快適そのもの。気軽に開けて閉められるこの身近さは、毎日をちょっと特別なものにしてくれます。

試乗中の出来事から見えた安心感

試乗中、思わぬところから野良猫が飛び出してきた瞬間がありました。

咄嗟にフルブレーキを踏み込んだところ、NDロードスターは驚くほど安定して止まり、ヒヤリとした瞬間も「安心感」に変わったのを覚えています。

日常のちょっとしたアクシデントでも、ドライバーをしっかり守ってくれる安心感。これもまた、このクルマの魅力の一部です。

6ATと6MT、それぞれの楽しさ

6AT仕様は、街乗りやロングドライブでの快適性に優れ、パドルシフトを活用すれば、ちょっとしたスポーティな気分も味わえます。

シフトアップでは、少しショックを感じる場面もありますが、シフトダウンでは心地良いブリッピング音が気持ちを高めてくれます。

一方で、「もっと積極的にクルマを操りたい」という方には、やはり6MTの世界に憧れを感じるかもしれません。

それぞれの魅力を知り、自分に合った楽しみ方を選べるのも、この車の大きな価値です。

まとめ|NDロードスターがくれる新しい日常

NDロードスターは、ただの移動手段ではありません。あの日、試乗のステアリングを握った瞬間から、走るという行為がいつもと違って感じられました。

アクセルを軽く踏み出したときの軽快さ。信号待ちで屋根を開けたときに見上げた空。
そして、猫が飛び出してきたあの一瞬に感じたブレーキの信頼性。

そのすべてが「このクルマなら、毎日がもっと楽しくなる」と思わせてくれたのです。

6ATでも十分に楽しめる完成度の高さがありますが、正直なところ、走り終えた後は6MTのフィーリングも確かめたくなりました。

それだけ、このNDロードスターには“もっと知りたくなる魅力”が詰まっていたのです。派手さやスペック競争ではなく、運転する人の心に寄り添い、日常に心地よい高揚感を与えてくれる。そんな車に久しぶりに出会えた気がします。

スポーツカーが好きな方はもちろん、「いつかはオープンカーに」と思っていた方にも、ぜひ一度このNDロードスターに触れてみてほしいと思います。

運転が、少し特別に感じられるはずです。

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