こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
ランエボと言えばランサーエボリューションの名の通りもともとベースはランサーでしたが、2007年から2015年まで販売されたランエボ10はランサーではなくギャランフォルティスがベースとなっています。
だったらランエボって呼び方はおかしくないか?という意見もありますが、このギャランフォルティスという車は日本と海外での車格の括りの違いから、海外ではランサーの一系統として販売されており、海外ではランエボと呼んでも違和感はない状態です。
まぁ、そもそもがランエボ自体がラリーカーだった「ギャランVR4」のエンジンを小型のランサーに乗っけてバカっ速くした車なので、ギャランもランエボも兄弟みたいなものですが…。
そんな事情でランエボのベースとなったギャランフォルティスですが、ランエボ10の陰に隠れて目立たないものの実はフォルティスの中にも「ラリーアート」という「VR4」のようなバカっ速いグレードがあり、性能を考えると激安?とも思える価格で販売されている個体が目立ちます。
ただ、この価格の裏にはゲトラグ製のSSTの時限爆弾の存在が隠されているので、これが適正な価格とも言えるかも知れませんが。
走りに関してはランエボに近い「ギャランフォルティス ラリーアート」
ギャランフォルティスは「エクシード」「スーパーエクシード」「スポーツ」「ラリーアート」と4つのグレードがありますが、ランエボ10はインテリア・エクステリアでフォルティスと共通のパーツを多数使用しているものの、ホイールベースや車幅、車長はそれぞれ異なっています。
従ってランエボ10のベースはギャランフォルティスであるとは言うものの、実際のところは違うベースに共用できるパーツだけどうにか使いまわしてベースっぽい見栄えにした、と言った表現の方が実情に近いかも知れません。
「ラリーアート」というグレードはランエボとは異なり、ベースは完全に「ギャランフォルティス」であって、エンジンやミッション、電子制御などの走りに関わる部分の一部についてはランエボと共用しているという、「ギャランフォルティス」のスーパーチューンであって「ランエボ10」のデチューンモデルと言えます。
ギャランフォルティスの各グレードとランエボ10の主要スペックを比較するとこのようになっています。
排気量 | 最高出力/トルク | 重量 | 変速機 | |
---|---|---|---|---|
ランエボX | 2000cc | 300ps/ 43.0kgm | 1550kg | MT/SST |
ラリーアート | 240ps/ 35.0kgm | 1530kg | SST | |
スポーツ | 1800cc | 139ps/ 17.5kgm | 1360kg | CVT |
スーパーエクシード | 1390kg |
最近の大排気量のHVなどに比べると最高出力やトルクなどの数値自体は目を見張るようなものでは全くありませんが、それでもこの重量に出力・トルクは公道では充分すぎるほどだと思います。
また、トランスミッションはランエボ10と同様にツインクラッチSSTを採用、4WDの電子制御もAYCを除いてはランエボ10と同様となっており、走行性能は非常に高いものとなっています。
中古車価格が一見激安と思える個体も?
フォルティスラリーアートの中古車価格は、程度の良い個体は150~160万円と同年式のランエボ10のSSTモデルよりも高額なものもあります。
ただし、同年式でも走行距離が伸びてくるとランエボ10よりも値下がり率が高くなり、50~70台の個体もチラホラと見かけられるようになります。
この4万キロの走行距離差で90万円の価格差は行き過ぎた感がありますが、ここまで走行距離で価格差が開くのは、ラリーアートの最大の目玉の一つであるゲドラグ社のツインクラッチSSTに特に初期のモデルでは不具合報告が多く、修理に60~70万円かかる事もザラにあるという背景が反映されているからでしょう。
ランエボ10のMTとSSTの価格差も、このSSTの修理費である60~70万円程度となっています。
SSTが壊れる前提で安い個体を買うのもアリかも?
普通の車の場合には10万キロでトランスミッションが壊れるようなケースはレア中のレアですが、GTRやランエボ10、ラリーアートのように初期のダブルクラッチトランスミッションは不具合が多い事で有名となっています。
ただし、不具合の出方には個体差がありますし、走行距離の多い個体はリスクは高いものの、当たりの個体なら不具合は出ないかも知れません。
従って走行距離の少ない個体に高い金を払うより、60~70万円の修理費を前提に安い個体を購入して運を天に任せてみるのもアリじゃないでしょうか?
オマケ:なんちゃってエボ10が人気なのか?
ラリーアートの中古車相場を調べていて、ラリーアートではない一般グレードのなんちゃってランエボ10仕様の車が5台も見つかりました。
そのうち4台は愛知県の新車館ウェブポイントというお店で販売されているのですが、そう言う需要があるんですかね?
ちな気にこちらは別のお店のフォルティスですが、かなり完成度が高いランエボスキンが実装されています。
見た目重視ならこう言うのもアリかも知れませんね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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