クーラントの種類と概要
クーラントにはロングライフクーラント(LLC)とスーパーロングライフクーラントがあります。
クーラントとは、いわゆる不凍液です。
エンジンの中には冷却水の通路(ウォータージャケット)があり、そこを冷却水が循環しています。
冷却水は凍結すると水道水同様に体積が膨張するため、その結果エンジンを破壊してしまいます。
そのため冷却水には不凍液を用いています。
スーパーロングライフクーラントというものは、名前の通りロングライフクーラントよりも寿命が長いのが特徴です。
ロングライフクーラントの色は緑色または赤色なのに対して、スーパーロングライフクーラントは青色をしています。
クーラントの補充
スーパーロングライフクーラントとロングライフクーラントでは補充の際の液も異なります。
スーパーロングライフクーラントは水道水を補充すると本来の性能が維持できなくなるとされています。
そのため、精製水か希釈された状態で販売されているものを補充します。
ロングライフクーラントは水道水でも原液でも補充可能です。
心配であれば原液を補充しましょう。
また、ロングライフクーラントは緑と赤を混ぜても問題はありません。
クーラントの種類 | ロングライフクーラント | スーパーロングライフ クーラント |
|
---|---|---|---|
色 | 緑 | 赤 | 青 |
水道水での希釈 | ○ | × | |
他の色との混合 | ○ | × |
クーラントの交換
ロングライフクーラントは2年ごとの交換が推奨されますが、長期間交換していない場合は特に交換により冷却水が漏れるなどの不具合が生じる可能性があることも頭に入れておいてください。
スーパーロングライフクーラントの場合は車両の取扱説明書の交換時期に基づきます。
ロングライフクーラントの希釈は50%を目安としてください。
車両の取扱説明書のサービスデータに、交換の際必要な冷却水のおおよその量が記載されています。
それを目安として、必要な量が6Lであれば余裕を持って4L程度のロングライフクーラントを用意してください。
スーパーロングライフクーラントの場合は、既に希釈された状態で販売されていますので、6L必要であればそれよりも多めに用意しましょう。
希釈の目的ですが、原液は放熱性能が低いとされているので放熱性を高める為です。
リアエンジン車・水平対向エンジンを搭載している車両の場合、作業ミスによるオーバーヒートが起こる可能性があるのでご自身での作業はおすすめしません。
また、冷却水の交換後にはエア抜きという作業が必要になります。
エア抜きではエンジンを4000~5000rpmで持続的に回す必要がありますので相応の騒音を伴います。
場所を選んで行ってください。
クーラントの交換手順
蝶ネジのOリングが劣化している場合、交換後にラジエータのドレンから冷却水が漏れる場合があるので必要に応じてOリングも交換する。
また、ラジエータキャップも古くなっている場合交換しても良い。現在取り付けられているものと同じ開弁圧のものを選ぶこと。0.90kg/cm^2または1.1kg/cm^2等。
1. エンジンが十分に冷えていることを確認する(冷却水の温度が高いとラジエータキャップを外した時に熱湯が噴き出してやけどする恐れがあるため)
2. ラジエータキャップを取り外す
3. ラジエータ下部の蝶ネジを緩めて冷却水を排出する
クーラントは有害物質なので垂れ流さずに必ず回収すること。
水で数万倍に希釈しないと無害にならないというほど有毒です。
川などには流さないで、車屋さんに持ち込むなど適切な処理を講じてください。
4. 冷却水を全て排出し終わったら蝶ネジを締めてクーラントを補充していく。
ロングライフクーラントでクーラントが6L程度入る場合は、最初に3Lロングライフクーラントを入れて3L水道水を入れ、足りなければその分ロングライフクーラントを足すなど。
水は先入れないこと。冷却水が規定量入らなかった場合濃度が足りなくなります。
また、ラジエータキャップからあふれるまで注入しないギリギリまで入れてください。
次に冷却水のエア抜きを行います。エア抜きが不十分だとエンジンがオーバーヒートする原因となります。
5. エンジンをかけて冷却水を補充しつつラジエータホースを軽く揉むなどしてなるべくエアを排出する。
エア抜きが終わるまで、室内の温風・冷風の切り替えは必ず温風の最大にして、風量は全開にすること(内気循環の方が外気循環よりも冷却水の温度が上がりやすいため内気循環にする)
6. エンジンの回転数を3000rpm以上に上げていき、冷却水を温めていく。
ワイヤー式のスロットルの場合はアクセルペダルとつながっているスロットルバルブを手で開いてエンジンを回せば良いが、電子制御スロットルの場合はそれが出来ないのでアクセルペダルにつっかえ棒をするなどするか、2人で行ってください。
7. 冷却水が温まるとサーモスタットが開くので一気にラジエータ内の冷却水の水位が下がる。
この際早急にクーラントを補充すること。ラジエータファン付きの車両はラジエータファンが回るのが目安。一向に水位が下がらない場合は更にエンジンを回していく。
8. 冷却水の水位が下がればエア抜きは完了となります。ラジエータキャップを付けてください。
9. エアが若干入っていても何度か走行しているうちに抜けますので問題ありません。
10. サブタンクはFULL以上にクーラントを補充してください。
エンジン内のクーラントが全て抜けているわけではないのでサブタンクのクーラントは交換してもしなくても結構です。
サブタンクのクーラントの量は、何度か点検されることをおすすめします。
クーラントの交換の際に準備が必要なもの
◆ロングライフクーラントまたはスーパーロングライフクーラント
クーラントの種類 | ロングライフクーラント | スーパーロングライフ クーラント |
|
---|---|---|---|
色 | 緑 | 赤 | 青 |
水道水での希釈 | ○ | × | |
他の色との混合 | ○ | × |
◆ジョッキ(必要に応じて)
◆蝶ネジのOリング
◆ラジエータキャップ(必要に応じて)
(ライター:自動車整備士 SkyLight)
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