こんにちは!自動車系ライターの駆流斎です。
車のエンジンは「熱」との戦いです。燃焼によって発生する高温を効率よく冷やすために「冷却システム」が備わっています。
その状態を把握する指標の一つが水温(冷却水の温度)です。
一般的に適正水温は 80~100℃程度 とされますが、車種や設計によって異なります。
水温がこの範囲を超えて高くなると「オーバーヒート」と呼ばれる深刻なトラブルに発展する恐れがあります。
純正水温計の限界
多くの車に搭載されている純正水温計は、実はかなり「おおざっぱ」な計器です。
通常の走行範囲(80~100℃前後)では針がほとんど動かず、危険域に達した段階でようやく反応する仕様になっているケースが多いです。
そのため、水温計が振れた時にはすでに「手遅れ」になっている場合もあります。つまり純正計器は「異常を示すライト」に近く、細かな温度管理には向いていません。
水温を監視する方法
OBDⅡ(オンボード・ダイアグノーシス):現代の車には「OBDⅡ」と呼ばれる自己診断用のコネクタが装備されています。
ここに外部機器を接続することで、エンジンのセンサー情報(水温・吸気温度・燃料噴射量など)をリアルタイムで取得できます。
- レーダー探知機に表示
- ヘッドアップディスプレイ(HUD)に表示
- スマホアプリでモニター
など、方法は様々です。普段から水温を数字で確認できるようにしておくと安心です。
水温が上下する仕組み
エンジンが冷えた状態からスタートすると、サーモスタット(温度調整用のバルブ)が閉じています。
この時、冷却水はラジエーターに回らず、エンジン内の限られた通路を循環します。そのため短時間で水温が上がります。
サーモスタット:温度によって開閉する弁。約80℃付近で開き、ラジエーターに冷却水を流す。
80℃前後になるとサーモスタットが開き、ラジエーターを通った冷却水がエンジンに戻り、温度が安定します。
しかし外気温が高い時や渋滞では、さらに水温が上昇して100℃近くになることもあります。
そこで登場するのが ラジエーターファン です。
ラジエーターファン:電動モーターやベルトで駆動し、強制的に風をラジエーターに当てて冷却効率を高める装置。
水温が高すぎるとどうなる?
冷却水には エチレングリコール という不凍・防錆効果を持つ物質が含まれています。
さらにラジエーターキャップで冷却水に圧力をかけ、沸点を100℃以上に上げる仕組みになっています。
- エチレングリコール:水より沸点が高い物質。冷却水の主成分。
- ラジエーターキャップ:圧力弁付きのキャップ。加圧して沸騰温度を引き上げる。
この仕組みによって通常は100℃程度でも沸騰しませんが、140℃を超えると沸騰し始めます。
冷却水が沸騰すると冷却効率が一気に低下し、さらにエンジンオイルも高温で粘度が下がって潤滑性を失います。
その結果、ピストンやカムシャフトなど金属部品が直接こすれ合い、最悪の場合はエンジンブロー(致命的な破損)につながります。
水温が下がらない原因と対策
水温が異常に高止まりする時は、以下の要因が考えられます。
・冷却水の劣化・濃度異常:冷却水は時間とともに防錆効果が低下し、内部で詰まりを起こす原因になります。定期交換が必要です。
・ラジエーターの目詰まりやフィンの損傷:虫やゴミで目詰まりしたり、金属フィンが折れると放熱効率が低下します。清掃や修正で改善可能です。
・ウォーターポンプの劣化:ベルトで駆動するポンプが弱まると、水が十分に循環しなくなります。異音や水漏れがサインです。
・サーモスタットの故障:開閉が固着すると、冷却水がラジエーターに流れず水温が急上昇します。走行距離が伸びたら予防交換が推奨されます。
・ウォーターホースの劣化:ゴム製ホースは経年で硬化・ひび割れしやすく、液漏れの原因になります。柔軟性をチェックしましょう。
・ラジエーターファンの不調:モーターやリレーの故障で回転数が落ちると、渋滞時にオーバーヒートを招きます。作動音や回転を点検することが重要です。
まとめ
車の水温管理はエンジンの健康を守るうえで非常に大切です。オーバーヒートは一度発生すると深刻なダメージを与え、修理費用も高額になります。
- OBDⅡなどを利用して普段から数値で監視する
- 冷却水やラジエーターの点検を怠らない
- 劣化部品は早めに交換する
といった基本を押さえておけば、安心して車に乗り続けられます。





コメント
OBD2をつけて何となみてたらここにたどり着いてみていました
思い出すのは昔のエスティマの逆輸入のプレビアに乗っていてオーバーヒートしたことですね
前方を当て逃げされていたのですがまあ動くしいいかとのりづづけていてふと水温を見たらH振り切っていて やべーーー と細い道に入った瞬間ラジエーターが破裂しホースが抜けフロントガラスが液まみれw
それでもエンジンが回っていたのにはすごいなとおもいましたが..
おくった様
水温はエンジンが死ぬ可能性があるので古い車は気を付けたいですよね。
とはいえ普段はあんまり水温計を見ないので、OBDⅡ系の表示は強制的に目立たせる意味では有効だと思います。
そう言えば最近のHV車などはもはや冷却水の存在すら感じさせないインパネになっていたりするので、私もHV車では全く気にしてません(笑)