昔は車の中で音楽を聴く場合にはCDやMDメディアを再生するのが一般的でしたが、現在ではスマホがこれらの機能を包括出来るようになった事で、スマホ内の音楽を再生したり、通信機能と音楽配信アプリを使用してストリーミング再生を行うユーザーが増えています。
因みにCD自体の売上規模は過去5年間で1割強しか減少していませんし、この5年間で音楽コンテンツの配信による売上規模は2.5倍以上に伸びてはいるものの、構成はまだ全体の2割強しかありません。
従って相変わらずCDを購入するユーザーがまだまだ圧倒的に多いという事になりますが、CDを購入したとしてもそれを車内に持ち込んで聴く事はせず、一旦スマホに保存してから車内で聴いている方が圧倒的に増えていると感じます。(これは統計データがある訳じゃないですが)
なお、「車でスマホの音楽を聴く方法」について知りたい方は「車に乗り慣れていない若年層」、または「車には以前から乗っているが、スマホの扱いに慣れていない年配層」であると勝手に私は解釈していますので、この記事ではいずれのユーザー層にもなるべく分かり易く「車でスマホの音楽を聴く方法」について解説致します。
まずはカーナビ・カーオーディオ・スピーカーを搭載してる事が前提
「そんなの当たり前だろ!」と突っ込まれそうですが、うちの娘のように車に興味がない若い人はこの部分を理解していないかも知れないので念のために説明しておきます。
車で音楽を聴く為にはスマホの音楽データを「音」としてスピーカーから出力する必要がありますが、車のドアの中などに付いているスピーカーには通信機能がありませんので、別途音楽データを受け取ってスピーカーの送る役割を果たす「オーディオメインユニット」が必要になります。
ミニコンポなどでも「メインユニット部」と「スピーカー部」が分離していますが、車の場合にはカーナビやオーディオユニットがこの「メインユニット」の役割を果たします。
スピーカーはこんな形をしており、+と-に2本の線でカーナビと繋がっています。
こんな感じで…
…という訳なので、車の中で音楽を聴く為にはカーナビ・オーディオとスマホをなんらかの形でリンクさせる必要があるという訳です。
因みに単体で通信機能を搭載する車載のBluet00thスピーカーなども存在していますが、これらはあくまでもスマホのハンズフリー通話用であり、音楽再生用ではありませんのでご注意を!
これらの車載スピーカーは音楽の再生に必要な通信形式に対応していないか、対応していたとしても非常に耳障りな音質の音楽が出力される筈です。
なお、amazon Echoなどのスマートスピーカーを車内に持ち込んで、車のDC12Vの電源をコンバーターで家庭用のコンセントと同様のAC100Vに変換して使う事も可能かとは思いますが、この方法が必要になるようなシチュエーションがちょっと思い浮かばないですね。(笑)
…という訳で、ここからはカーナビかカーオーディオとスピーカーを搭載している車でのお話になります。
一番楽で便利な接続方法がBluetooth
比較的新しいカーナビやオーディオ類はスマホとのBluetooth接続に対応しているものが主流となっており、車側がBluetooth接続に対応している場合にはこの方法が最も扱いやすく、便利に使用できます。(楽ナビの一部下位モデルは非対応、古いメーカー純正ナビも非対応の場合がある)
音楽再生用にBluetooth接続を行っている場合、スマホに保存されている音楽ファイルだけでなく、音楽配信アプリやYoutubeなどの動画アプリで出力されている音楽も再生可能です。
要はスマホから再生出来るものは、ごく一部の高音質ファイルを除いてほとんどがそのまま再生出来るという事ですね。(厳密には再生しているのはスマホですが、それをそのまま音声として受け取りスピーカーから音を出す)
接続手順ですが、カーナビのAV系の設定メニューからBluetoothの項目を選び、ペアリングを行います。(メニューは機種によって異なりますので、カーナビの説明書を見て下さい)
サイバーナビの事例だと以下の流れになります。
「AV設定」→「Bluetooth設定」→「機器登録」
Bluetoothでの接続には「ハンズフリー」と「音楽再生」の2つの接続規格がありますので、「音楽再生」を選びます。
スマホ側は「設定項目」から「Bluetooth」→「接続するカーナビを選択」の操作を行います。
【iPhoneの場合】
【Androidスマホの場合には機種ごとに若干メニュー表記が異なる】
接続に成功するとカーナビ側とスマホ側の両方に接続済みと表示されますので、AVメニューからBluetoothを選択する事でスマホの音楽を聴く事が出来るようになります。
なお、Bluetoothは通信規格の問題から音質が劣化しますが、この程度の劣化度合いであれば普通の人は全く気が付かないレベルかと思います。
また、機器の不具合や相性、周辺の電波状況によっては通信が安定せずに再生が途切れてしまう事もありますので、その場合にはスマホとカーナビの再接続を行ってみましょう。
それでも改善しない場合には他の接続方法を試してみるのもアリかと思います。
BluetoothがダメならUSBがおすすめ
カーナビ側がBluetooth接続に対応していない、または何らかの理由で正常に再生が出来ない、と言ったケースではUSB接続でスマホとカーナビを接続する事で音楽を再生出来ます。
ただし、カーナビ側がUSBポートを搭載しているからと言って全てのスマホと適合する訳ではありませんので、使い勝手ではBluetoothに劣りますね。
なお、再生側のスマホがiPhoneであれば適合率は100%に近くなりますが、Androidスマホになるとメーカーや機種によって再生出来るもの、出来ないものが存在し、特に最近はカーナビ側の方がAndroidスマホとの有線通信をサポートしない方向に動いています。
iPhoneとの接続方法
iPhoneでカーナビのUSBポートと接続する場合には、以下のようなケーブルタイプのUSBのメスのコネクタ、またはコンソールに埋め込まれたコネクタにiPhoneのLightningケーブルを接続します。
AVメニューから「iPhone/iPod」を選択する事で、Bluetooth接続時と同様にカーナビからスマホの各種アプリで再生している音楽が流れるようになります。
USBケーブルでのiPhoneの接続は1A程度の通常速度の充電も行われ、音質の劣化も少なく、再生可能なファイル形式もBluetoothよりも幅広くなりますので、iPhoneユーザーの場合にはUSBを使うのも良いですね。
Androidスマホとの接続方法
Androidスマホとの接続についても基本はiPhoneと同様にUSBコネクタにmicroUSBケーブルを挿し込む形になりますが、カーナビでサポートされていないモデルに関しては再生出来ない事が多いようです。
各メーカーのカーナビの仕様上では以下の適合状況となっています。
①パイオニアサイバーナビ~MTP通信に対応したAndroidスマホはサポート
②パイオニア楽ナビ~Androidスマホはサポートされず
③パナソニック美優ナビ~Androidスマホはサポートされず
④ケンウッド彩速ナビ~Androidスマホはサポートされず
⑤イクリプス~Androidスマホはサポートされず
⑥アルパイン~Androidスマホはサポートされず
見ての通り、サイバーナビ以外は各社AndroidスマホとのUSB接続での音楽再生はサポートしていません。
また、サイバーナビについてはMTP接続(ファイルの転送)が可能なAndroidスマホではUSB接続が可能との事ですが、手持ちのHuaweiの「Nova Lite3」で試した限りは「非対応のデバイス」とエラーメッセージが出て弾かれます。
なお、以下のケーブルはAndroidスマホを通常のUSBドライブとしてカーナビに強制認識させるもののようですので、後日テスト予定です。
何れにしてもAndroidスマホの接続が仮に可能であったとしても、Bluetoothの様にスマホ側が再生したものをカーナビが受信する訳では無く、スマホに保存されている音楽ファイルをカーナビが読み込んで直接再生するものですので、音楽配信アプリなどの音声は出力されない筈です。
AUXを使う方法もあるよ
BluetoothもUSB接続も使用できないような場合には、スマホのイヤホン端子からカーナビの「AUX」と呼ばれるステレオ入力ポートにアナログ接続で音楽を送信する事が可能です。
iPhoneの場合には充電ポートから変換ケーブルを使用して接続、Androidスマホの場合には専用のイヤホン端子から接続し、カーナビのAV機能を「AUX」に設定する事でスマホで再生している音楽をそのままカーナビから出力させる事が可能です。
各社カーナビの「AUX」対応状況と接続方法については、以下の記事でご説明しています。
それでダメならFMトランスミッター
カーナビ側がBluetooth、USB、AUX接続の全てに対応していない場合には、最終手段としてFMトランスミッターというガジェットを使う事で、FMラジオを特定の周波数でスマホの音楽を再生させる事が可能です。
音質的には普通の人でも違いが分かるくらい?の劣化がありますので、車内で高音質の音楽を聴きたい方にはおすすめしませんが、他に手段がないというのであれば試してみても良いと思います。
音質に満足出来なければカーナビかオーディオの購入を検討すれば良いかと!
まとめ
以上、カーナビでスマホの音楽を聴く方法について4つご紹介しました。最も扱い易くおすすめなのはBluetoothですが、複数のドライバーで共用するような車の場合には、その都度カーナビ側から接続先のスマホを変更しなければならない、などの手間もあります。
iPhoneを使っているなら、充電がてらにUSB接続するのも良いですね。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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