B・Cセグメント車の価格は30年でこう変わった!所得とのギャップが広がる“大衆車”の現実

こんにちは!自動車系ライターの駆流斎です。

近年、「車が高くなった」という声をよく耳にします。

かつて日本では、マーチやカローラといったコンパクトカーは“庶民の足”として100万円前後で購入できる存在でした。

しかし2020年代の現在、同クラスの車は250〜350万円に達するケースも珍しくありません。

この記事では、Bセグメント・Cセグメントの代表的な大衆車の価格推移を30年間で比較し、さらに世帯所得との関係から、その背景を詳しく解説します。

Bセグメント・Cセグメントとは?

自動車の「セグメント」とは、欧州を中心に使われる車格(サイズ・価格帯)の分類です。

セグメント 目安 代表的な車種(日本市場)
Bセグメント 全長3.7〜4.1m程度。コンパクトカー中心。 マーチ/フィット/ヤリス/ポロ など
Cセグメント 全長4.2〜4.5m前後。標準的なファミリーカー。 カローラ/シビック/ゴルフ/プリウス など

日本では長年、この2クラスが「大衆車」の中心でした。

特にBセグメントは“街乗り・通勤・初めてのマイカー”としての需要が強く、Cセグメントは“標準的なファミリーカー”として最も販売台数が多いカテゴリーです。

30年間で価格はどう変わったのか?

以下は、代表的なBセグメント車(マーチ→フィット/ヤリス)とCセグメント車(カローラ/ゴルフ)の価格推移をまとめた表です。

年代 Bセグメント(例:マーチ/フィット/ヤリス) Cセグメント(例:カローラ/ゴルフ)
1990年代 90〜130万円(マーチ 1.0L:89.8万円〜) 130〜180万円(カローラ1.5L:149万円前後)
2000年代 110〜160万円(初代フィット:109.8万円〜) 170〜220万円(カローラ:180万円台〜)
2010年代 130〜200万円(フィットHV:169万円〜) 200〜270万円(ゴルフ:250万円前後)
2020年代 180〜250万円(ヤリスHV:215万円〜) 250〜350万円(現行カローラ:260〜340万円)

かつては100万円前後で買えたBセグメント車も、現在は200万円台半ばが当たり前になっています。

Cセグメントでは300万円を超えるグレードも増え、「中間層の標準車」としてはかなり高額になりました。

世帯所得と比較すると見えてくる現実

価格の上昇は、単にインフレや機能追加によるものだけではありません。

世帯所得との相対的なギャップを見ると、より鮮明になります。

指標 1990年代 2020年代
世帯所得中央値 約500万円 約430万円
Bセグメント車価格 約100万円 約250万円
所得比 約20〜30% 約55〜60%
Cセグメント車価格 約150万円 約300万円
所得比 約30% 約70〜80%

1990年代はBセグメント=年収の2〜3割、Cセグメント=3割程度で購入可能でしたが、現在ではBセグメントでも年収の半分以上、Cセグメントでは7〜8割に達しています。

👉 所得が伸びない一方で車両価格が上がり続けたことで、「大衆車」の定義そのものが変わりつつあるのです。

価格上昇の背景

B・Cセグメント車の価格がここまで上昇したのには、明確な理由があります。

  • 安全・環境規制の強化:衝突安全基準や自動ブレーキ義務化、排ガス規制対応により、車体構造や電子制御のコストが上昇。
  • 先進装備の標準化:ACC(全車速追従)、ディスプレイオーディオ、電動パーキングブレーキなどが標準装備化。
  • 原材料費高騰・円安:輸入部品コストの上昇や為替変動が価格に反映。
  • 車格アップ・SUV化の影響:Bセグメント車でも全幅1.7m超えが当たり前になり、実質的にCセグメント並みの構造・装備になっている。

これらが積み重なり、「安いBセグメント車」は姿を消しつつあります。

まとめ:B/Cセグメントはもう“庶民の車”ではない

30年間で、B・Cセグメント車の価格は約2倍に上昇しました。

一方、世帯所得は横ばい〜減少傾向。

そのギャップが広がった結果、かつての「手の届く価格帯」ではなくなっています。

  • Bセグメント車は所得の半分以上、Cセグメントは7〜8割に
  • 昔の感覚で「コンパクトだから安い」とは言えなくなっている
  • 軽自動車や中古EVが、新たな“実質的大衆車”のポジションを担いつつある

EV化・安全装備義務化・SUVシフトが進むなか、B/Cセグメントの価格は今後も下がる見込みは薄く、所得との乖離は今後さらに拡大する可能性があります。

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