※2021年1月10日更新~2021年モデルが発表されましたので内容を見直しました。
こんにちは!ドライブレコーダー専門家の鈴木朝臣です。
車種専用の大画面カーナビの元祖であるアルパインのBIG Xシリーズが2月から3月にかけて2021年度のマイナーチェンジを行うようです。
アルパインは大画面と車種専用モデルにより他社との差別化を打ち出してきたメーカーですが、ここ数年は各社とも大画面・高精細化に舵を切っている事からアルパインの特徴が薄まってしまった印象を受けていました。
このような情勢の中で昨年は「音声認識によるナビ機能全般の操作」機能が追加されるフルモデルチェンジによる独自路線を打ち出してきましたが、2021年のマイナーチェンジではCarPlay・Android Auto、Alexaを全機種に実装しています。
アルパインのカーナビは車種別・液晶サイズ別
アルパインのカーナビは車種専用モデルが多く、特定の車種から適合モデルを探すユーザーを想定している為、全体の商品構成が極めて把握しにくいメーカーですが、2021年モデルとしてはこちらの4つのシリーズが展開されています。
①汎用7型/7型ワイドモデル(ワイドに関しては別売の車種別取り付けキットあり)
②ビッグX(8/9型、車種別取り付けキットは別売)
③ビッグX(9/10/11型、車種別取り付けキットは同梱)
④フローティングビッグX11(車種別取り付けキットは別売)
かなりややこしいですが、①の7型は他社の7型ど同様のコンセプトの汎用モデル。
他社で言うところの本来の車種専用モデルは③のハードキーが一体化した9/10/11型モデル。
液晶下のキーパネル部分ごとごっそり入れかるパターンです。
②ビッグX(8/9型、車種別取り付けキットは別売)については、キーパネル部分は残して液晶部分だけを入れ替えるタイプ。
④フローティングビッグX11(車種別取り付けキットは別売)。こちらはパナソニックなどと同様の比較的汎用性が高いフローティング11型モデルとなっています。
このうち11型・フローティング11型の製品にはドラレコセットモデルも用意されています。
なお、アルパインカーナビの車種別の適合はこちらから確認出来ます。
2021年のマイナーチェンジで実装された機能
2021年のマイナーチェンジではCarPlay・Android Auto・Alexaが実装されました。
ここまでの流ですが…
アルパインは2020年からディスプレイオーディオでCarPlay・Android Auto対応モデルを販売していますが、ここ1~2年でこれらの機能への関心が高まって来た事もあり、2021年モデルではこのカテゴリーの品揃えを拡充うしています。
アフターパーツの製品においてCarPlay・Android Autoの認知度がここまで高まったのは、主にこのカテゴリーの製品を数年に渡って安価でコツコツと展開してきたパイオニアの功績によるところが大きいと捉えており、得体の知れないCarPlay・Android Autoをハイエンドなカーナビではなく、4万円程度のリーズナブルな価格帯のディスプレイオーディオで展開してきた事が多くのユーザーに受け入れられたポイントだと思います。
過去に業界全体で高価格帯のカーナビに差別化を期待する機能としてCarPlay・Android Autoを実装した際には全く受け入れられなかった事から、アルパインの今回の試みはまだ少しタイミングが早いような気もしますが、あと何年かでCarPlay・Android AutoがBluetoothのように「差別化機能ではなくついてて当たり前」の時代になると思います。
■ CarPlayとAndroid Autoへの対応の可否で既存のグレードを縦割りすれば良いという話
アルパインはそれぞれの製品に対して液晶サイズ以外に機能面では差別化を行っていないので、アフターパーツのメーカーの中ではCarPlay・Android Autoの全機種実装と最も相性の良いメーカーですし、この試みについても好意的に捉えています。
なお、CarPlay・Android Autoについては、カーナビのメーカー車種ではなくOSのバージョンやスマホの機種に依存する動作となりますので、これらの機能そのものの評価については以下記事を参照して下さい。
■ Android Autoの対応アプリ、使い方と使用感について
また、Alexaについても一般的な家電のビルトインAlexaではなく、スマホのAlexaアプリのように主にAmazon Musicを音声操作するもので、カーナビ全体の制御をするようなものではありません。
最近、Alexa対応の車載ガジェットをいくつか使用してますが、概ねこのうな操作イメージとなるかと思います。(Amazon Musicをメインで使う方以外にはいらない機能)
そもそもアルパインのカーナビは2020年のフルモデルチェンジで、ナビ全体の制御が可能になっています。
2020年のフルモデルチェンジで実装された機能
2020年のフルモデルチェンジで実装された機能はこちらの通りです。
①7インチ~11インチまで全サイズで100万画素化
②操作系のボイスコントロール対応(全51ワード)
・周辺検索関連
・画面レイヤー切り替え
・オーディオメディア切り替え
・カメラ表示切替(バック・サイドカメラ等)
③スマホによる無線での地図更新
④オーディオチップの一新
⑤ハイレゾ再生に対応
全サイズで100万画素化
アルパインの大画面ナビは従来から100万画素の高精細化が進んでいましたが、パイオニアやケンウッドの一部の製品と同様に7型モデルでも100万画素化が実装されました。
操作系のボイスコントロール対応
最近のカーナビ・カーオーディオ業界には2021年モデルのアルパインカーナビも含めて「Alexa」などの音声コントロールに対応して、ハンズフリーでの操作性を強化する流れが見られます。
現時点での車載「Alexa」はスマホのAlexaアプリのように主にAmazon Musicを音声操作するもので、カーナビ全体の制御をするようなものではありません。
一方でアルパインのカーナビでは全21系統/51ワードでのカーナビの操作が可能となっています。
対応コマンドはこちらの通りで、コマンド後にメニューが表示されさらに分岐でコマンドが表示されるものもあります。
①地図表示・・・地図画面表示
②オーディオ表示・・・オーディオ画面表示
③2画面表示・・・地図/オーディオ2画面表示
④音量ミュート・・・オーディオ音量ミュート、ミュート中にもう一度発話すると元の音量に戻る
⑤フロントカメラ・・・フロントカメラ映像画面表示
⑥サイドカメラ・・・サイドカメラ映像画面表示
⑦コーナーカメラ・・・コーナーカメラ映像画面表示
⑧ルート案内・・・ルート案内中に音声案内を行う
⑨広域表示・・・地図画面表示時、地図を縮小して広域地図を表示
⑩詳細表示・・・地図画面表示時、地図を拡大して詳細地図を表示
⑪ダブルゾーン・・・ダブルゾーンメニュー画面表示
⑫ルート消去・・・確認画面が表示され、「消去する」と発話するとルートが消去される
⑬自宅に帰る・・・自宅に帰るルートが検索され、確認画面で「設定する」と発話するとルートを設定
⑯周辺検索・・・現在地画面/オーディオ画面表示時、周辺検索メニュー画面表示
⑰近くのコンビニ・・・現在地画面/オーディオ画面表示時、周辺のコンビニリスト画面表示
⑱近くのガソリンスタンド・・・現在地画面/オーディオ画面表示時、周辺のガソリンスタンドリスト画面表示
⑲オーディオ変更・・・本機のオーディオ変更メニュー表示
⑳チャンネル変更・・・テレビのチャンネル変更メニュー表示
㉑キャンセル・・・交差点拡大図・ETC・VICSの割り込み画面表示時に割り込み画面解除/前の画面に戻る
例えば、再生メディアをラジオからBluetoothに変更したい場合には、一次コマンドとして「オーディオ変更」を発話すると、こちらのようなメニューが表示され、二次コマンドを受け付ける状態になるようです。
コマンド見る限り、結構実用性が高い機能のように感じます。
スマホによる無線での地図更新
スマホでの地図更新は他社でも既に導入が進んでいるところもありますが、アルパインの方式はパイオニアの2016~2018年までのサイバーナビと同様で以下のような手順となります。
①家庭のWiFi経由でスマホにダウンロード
②スマホからカーナビに送信(iPhoneはBluetooth、AndroidはWiFi)
③カーナビでバージョンアップ
因みに私は2016年サイバーナビでWiFi更新を行った事がありますが、スマホからカーナビへ数GBのデータを送信するのに物凄く時間が掛かる為、現在はPC経由で更新しています。
アルパインの商品説明には「オーナーの方は地図の更新作業を意識することなく、自動ですべての作業を完了できます。」と書かれていますが、普通なら「更新作業を意識することなく」なんて事は100%あり得ないくらい更新には時間が掛かると思うのですが…。(差分更新だけなら速いと思います)
その他の特徴
アルパインのカーナビ、2021年モデルのその他の特徴は以下の通りです。
・ハイレゾ再生に対応
・HDMI(IN/OUT)
・VICS WIDE
・フルセグ/CD録音/DVD/SD/USB/Bluetooth
・フロント/サイド/バックカメラ/マルチビュー対応
・ドライブレコーダー連動
アルパインのカーナビは全グレードとも他社で言うところの最上位クラスとなりますので、メディア対応については全て網羅となっており、HDMIポートもIN/OUTが搭載されている為、スマホのミラーリングとの相性も良さそうです。
特にマルチビュー機能についてはリア・フロント・サイド・コーナーなどの複数のカメラ出力をサポートしています。
これは他社にない部分ではありますが、それぞれのカメラの映像を個別に出力するだけの機能のようですのでここまでやるならな何故アラウンドビューにしないのだろうか?と感じます。
まとめ
以上、アルパインのカーナビ2021年モデルの概要について解説しました。
2年くらい前まではアルパインと言えば大画面や車種専用モデルの一体感、というイメージが強かったのですが最近はCarPlay・Android Auto対応のディスプレイオーディオの展開に加え、カーナビでも全機種でこの機能をサポートしています。
CarPlay・Android Auto実装で価格を上げたりはしないと思いますので、2021年モデルのマイナーチェンジには好印象を受けました。
(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣)
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