こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
国産のオープンカーは、かつては各メーカーが意欲的にリリースしていたジャンルでしたが、近年は新車で選べるモデルが少なくなっています。
そこで注目されるのが中古車市場です。
特にNCロードスター、トヨタMR-S、初代コペン(L880K)は、いずれも手の届く価格帯で流通しており、維持費や整備性も含めて現実的に楽しめるモデルとして人気があります。
一方で、輸入車の格安オープンカーにも魅力的なモデルが多く並びますが、購入後の維持費や修理費で苦労するケースが少なくありません。
ここでは筆者が実際に3車種すべてを所有した経験を踏まえて、それぞれの特徴や楽しさ、維持のリアリティを詳しく紹介していきます。
輸入車の格安オープンカーには落とし穴がある
中古車情報サイトを眺めていると、BMW Z4(E85)やメルセデスSLK、プジョー206CC、アルファロメオ・スパイダーなど、50〜150万円程度で購入できる輸入オープンカーが目を引きます。
スタイリングやブランド力では国産車にない魅力がありますし、「この価格なら…」と心が動くのも無理はありません。
しかし、これらの車種には共通して「安く買っても維持費が高い」という問題が潜んでいます。
電動トップのモーターやリンク機構が壊れると20〜50万円の修理費が掛かるケースが珍しくなく、冷却系や電装系のトラブルも多発します。
国産車と違って診断に専用機材が必要だったり、対応できる整備工場が限られていたりと、自分でDIYで直すことはほぼ不可能。
結果として、購入価格の2〜3倍の維持費が発生することもあります。
筆者の経験上、「安さ」で選んだ輸入オープンカーは、結局は修理費で後悔することが多いジャンルです。
本当に好きで時間とお金をかけられる人ならともかく、手軽に楽しみたい人にはおすすめできません。
その点、国産車は情報量・部品供給・整備性に優れており、趣味としても長く付き合いやすいのが大きな利点です。
ボディサイズと基本スペックの比較
3車種は一見似たようなライトウェイト・オープンに見えますが、実際のサイズや重量、そしてパワー・トルクの出方には大きな違いがあります。
特にMR-Sは「軽さ×パワーウェイトレシオの良さ」で峠道では異次元の鋭さを発揮します。
一方でNCロードスターは余裕のあるエンジンと安定感でロングツーリングにも強く、コペンは軽自動車ならではの気軽さが魅力です。
| 車種 | 全長(mm) | 全幅(mm) | 全高(mm) | 車重(kg) | 駆動方式 | エンジン | 最高出力 | 最大トルク | パワーウェイト(kg/ps) | トルクウェイト(kg/kgm) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| コペン L880K | 3395 | 1475 | 1245 | 約830 | FF | 0.66L ターボ | 64PS | 11.2kgm | 約13.0 | 約74.1 |
| トヨタ MR-S | 3895 | 1695 | 1235 | 約960 | MR | 1.8L NA(1ZZ-FE) | 140PS | 17.4kgm | 約6.9 | 約55.2 |
| NCロードスター 2.0L | 3995 | 1720 | 1245 | 約1100 | FR | 2.0L NA | 170PS | 19.3kgm | 約6.5 | 約57.0 |
※数値は代表的なグレード(5MT/6MT)を基準にした参考値です。グレードや年式によって多少異なります。
コペンは軽量でありながら、64psという軽自動車の制約もあり、パワーウェイトレシオは13kg/ps前後と控えめです。
しかし軽快な車体とコンパクトなサイズで、街中やタイトな峠では十分な楽しさを味わえます。
MR-Sは960kgに140psという組み合わせで、パワーウェイトレシオ6.9kg/psと非常に優秀。
トルクウェイトも55kg/kgmと軽さが効いており、峠での加減速・旋回性能の高さに直結しています。
NCロードスターの2.0Lモデルは3車の中で最もパワフルで、パワーウェイト6.5kg/psと余裕のある走りが可能。
高速道路やワインディングを流す際の力強さが魅力です。
コペン(L880K)──軽さと開放感で街中・林道が楽しい
筆者が最初に手に入れたオープンカーが初代コペンでした。
30万円で購入した個体でしたが、街中や裏道を走るときの軽快さは印象的でした。
64馬力という数字だけを見ると非力に感じるかもしれませんが、軽いボディとターボによる中回転の盛り上がりで、日常的な速度域では十分に楽しめます。
特筆すべきは開放感です。フロントガラスのせり出しが小さいため、オープンにした瞬間に空が一気に広がる感覚があり、NDロードスターよりも「空の抜け」は優れていると感じました。
また、ボディサイズが非常にコンパクトなので、林道や裏道といった狭いステージでは他車を圧倒する取り回しの良さを発揮します。
一方で、軽自動車ゆえの室内の狭さは明確な弱点です。筆者(180cm)は乗るたびに肩周りの窮屈さを感じるようになり、長距離ドライブでは腰や首に疲れが出ました。
電動トップは便利ですが、エンジンルームは極端に狭く整備性は悪いです。
それでも、税金・燃料・保険料といった維持費は圧倒的に安く、DIY情報も豊富なので、コストを抑えて楽しみたい人には強力な選択肢になります。

MR-S──軽量MRならではの鋭いハンドリング
MR-Sは、筆者が現在所有しているオープンカーです。
約960kgという軽量ボディとMRレイアウトの組み合わせは、現代では非常に貴重な存在です。
コーナーへのノーズの入り方は異常なほど鋭く、981ボクスターやランエボ10といった高性能車と比べても、ワインディングでのハンドリングは別次元といっていいでしょう。
運転席は非常に低く、車との一体感は格別です。電子制御がないため挙動がダイレクトに伝わり、峠を走るときの“操る楽しさ”は3台の中でも突出しています。
ただし、高回転域の伸びはやや物足りず、エンジンサウンドも地味です。
前期型はボディ剛性が低く、高速域ではフロントが浮くような感覚が出ることもあるため、リップスポイラーやダクトでの対策が有効です。
MR-Sは中古車の相場も上昇傾向にあり、状態の良いMT車は100万円を超えることもあります。
前期型は剛性が弱い代わりに軽さが魅力、後期型は扱いやすさと耐久性が向上しています。
購入時は幌や足回り、ミッションの状態など、リフレッシュ前提で見極めることが大切です。
ラゲッジスペースは非常に小さく、実用性は乏しいものの、峠を楽しみたい人には唯一無二の存在です。

NCロードスター──万能型でロングツーリングにも強い
3台の中で最も万能なのがNCロードスターです。
NBから大幅に進化したこのモデルは、剛性が高く、乗り心地も現代車に近い快適さがあります。
2.0Lの6MTモデルはトルクが厚く、高速道路でも余裕を持って走ることができ、長距離ドライブでも疲れにくいのが特徴です。
ハンドリングはMR-Sほど鋭くはありませんが、素直でコントローラブルな特性で、初心者でも安心して楽しめます。
車内空間やトランク容量も十分で、旅行や通勤など日常の足としても活躍できる懐の深さがあります。
中古車市場では流通量が多く、整備情報や社外パーツも豊富。
価格も比較的落ち着いており、初めてオープンカーを買う人にもおすすめしやすいモデルです。

まとめ:用途に合わせた選択が後悔を防ぐ
コペンは街中や裏道での軽快な走りと圧倒的な開放感が魅力で、維持費も安く手軽に楽しめます。
MR-Sは峠での操る楽しさが際立ち、リフレッシュ前提で仕上げていけば、他では得られない走りを味わえる一台です。
そしてNCロードスターは、快適性・実用性・走りのバランスに優れ、ロングツーリングにも対応できる万能型です。
一方で、輸入車の格安オープンカーは、購入価格こそ安いものの、維持費や修理費の負担が大きく、安さ目当てで飛びつくと後悔することになりかねません。
中古のオープンカー選びでは、「どんな楽しみ方をしたいか」を明確にし、それに合ったモデルを選ぶことが重要です。
国産の3車種は、情報量・整備性・パーツ供給といった面でも安心感があり、趣味車として長く付き合える確かな選択肢と言えるでしょう。








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