熊本に旅行に行くなら天草四郎の伝説への入り口、天草上島周辺の各島をみっちり味わう中身の濃いドライブを堪能してみてはいかがでしょうか?
今回は天草エリアのおすすめドライブスポットを紹介します。
三角の海岸美を眺めながら
熊本市から南下し、国道57号線に入り一路西を目指します。
河口の開けた平野を海沿いまで抜けると、北は島原湾の遠浅の独特な景観が現れます。
何故か遠く沖合まで電信柱が立ち並び、その先へ送電線が伸びていたりします・・・何なんでしょう、謎です。
魚を捕る追い込み漁用の棒をたくさん立て並べた罠(簗でしたっけ?)も見られ、いかにも九州の干潟という景色です。
道の駅宇土マリーナおこしき館、飲食店の充実ぶりはさすがで、レストランはとてもじゃないけど並ぶ気にはなれない長蛇の列、凄い盛況ぶりでした。
物販にもこの地方特有の個性的な鮮魚が並び、中でも大ジョッキほどの殻長の逞しいワタリガニがおり一際異彩を放っていました。
「御輿来(おこしき)海岸」道の駅の前に広がる遠浅の浜が描く砂の造形は日本渚百選に選出されており、美しい砂浜の波紋越しに雲仙普賢岳の威容が遠望できるという特別な場所なのです。
何となく懐古的な異国情緒を醸す三角西港、それもそのはず、1887年に築港されたこの港は「明治三大築港」という由緒ある場所なのです。
西洋文化と日本文化が絶妙に綯い混じる純白の洋館、敷き詰められた石畳が醸す雰囲気は当時の姿をしっかりと留めた景観で、多くの文化が往来する情景を想起しながら歴史を感じることができます。
ちなみに2015年に登録が決定した「明治日本の産業革命遺産」の一つに名を連ねている文化遺産です。
九州本土から天門橋を渡り、天草の玄関口の大矢野島へ
周囲55kmの大矢野島、天草パールラインと呼ばれる国道266線を走れば上天草島まで何の変哲もなく通り抜けてしまいます。
が、時間に余裕があれば脇道へ入って海沿いを走ってみたり、ドライブがてら野釜島や野牛島、維和島へ渡ってみてはいかかでしょう。
さて、おべんとうのヒライというお店をとても多く見かけるようになります、私はこういう地域色の強いスーパーをこよなく愛しています、1つの楽しみとして入ってみるのもオススメの楽し気なお弁当屋さんです。
野釜島へと橋を渡ります。
北の唐船ヶ浜海水浴場は夏には人で賑わいそうな楽し気な場所です。
他にはこれと言って何もありません小さな島です、しかし小さい島でも一島一島空気感や情緒があります。
今では橋ですぐに渡れるようになってはいますが、かつては橋が無かったのでしょう。
離島には本島と違った生活感や雰囲気、面白さが継承されていますので是非感じていただきたいと思います。
道の駅上天草物産館さんぱーるには島原湾、八代海の海産物が一同に集まり賑わいます。
海産物しかり野菜しかり、地元の物産が賑わうことは素晴らしいと常々思います。
ここで特筆は、後々登場する「湯島」の名物である湯島大根!、これを持って打席に立てば場外ホームランを打てそうな巨大な大根です。
幻の大根とも呼ばれ、都心では1本千円を超えることもあるというそのお味は実に豊穣で、フルーツのような芳しさは大根の領域を超えた素晴らしいお味でございます!
道の駅の対面にある「天草四朗メモリアルホール」、時代と文化を象徴するような造形のこの施設、当時の資料を所蔵しており映像などでも紹介しています。
野牛島、維和島へも渡ってみてください。
野牛島は宿に泊まる以外は本当に通過するだけになります。
維和島は柑橘類の島で多種多様なシトラスが実り、シーズンには豊作のあまり収穫しきれない実が道路に大量に転がり回っています。
「天草四朗が通ったかもしれない道」なる魅惑?の遊歩道があります。
最初は「また軽い感じやな~~」と思いましたが実はこの島、天草四郎が産まれたと言われる場所だそうです。
急に、限りなく「通ったかも知れない」率を高く感じました(笑)。
最高峰の高山展望台からは不知火海の奥ゆかしい広がりを見渡せますのでドライブ先としておすすめです。
永浦島は「ハクセンシオマネキ」の日本一の棲息地で、干潮の時に現れる干潟にはトレードマークの白いハサミが無数に散らばり、一定のリズムで揺れ動く様子はとてもユーモラスです。
絶滅危惧種に指定されている状況を鑑みると、このようなコロニーの存在は学術的に大変貴重だそうです。
樋合島には、恐らくドライブでは用事が無いかもしれませんが「その場所を踏んでおきたい」派の方はとりあえずフィッシャリーナ天草まで走ってみるのもアリかもしれません。
天草五橋から天草上島へ
まず天草五橋を俯瞰する絶好の展望台、千巌山(せんがんざん)へドライブしましょう。
駐車場からは少し歩きますが、国指定の名勝にも登録されている絶景なので絶対に見ておきたいパノラマです。
樋島へ渡る時間があれば、「外平海岸(ほかびらかいがん)」の美しい陸繋島を見に行きましょう。
ここは知林ヶ島のように潮が引いた時だけ渡れる砂浜が現れる場所で、22種類もの絶滅危惧種が住むという貴重な自然が残された場所です。
何とな~く、このありそうで無い感じの風景が良いですよね(笑)。
海を楽しむこのドライブ、山へと変化を付けましょう。
龍ヶ岳にはミューイ天文台という施設もあり、様々な趣向を凝らしたディスプレーが楽しめます。
星空日本一に選ばれたこともある空気の澄んだ絶好の高見櫓で、遠く阿蘇・久住・南は霧島連山まで見えることもあるのだそう。
最高の開放感を味わえるドライブスポットです。
国道266号線へ戻り一路西へ、「天草瀬戸大橋」の美しいループ橋を眺める展望台に立ちます。
この展望台、若干ハイキングが伴う場所にありますが是非とも押さえておきたい眺めです。
266号線のコメリ付近から東へと路地を入ると林道に入りますので、奥へと進むとやがて登山道の案内が現れます。
ハッキリとは覚えていませんが恐らく登山口から20分程歩いた先にある展望台です。
天草中心部を俯瞰するこの眺めは近辺随一の景観で、よくもまぁこの絶妙な間隔の瀬戸が存在したものだと感嘆します。
国道324号線を時計回りでドライブ、道の駅有明に立ち寄りましょう。
この道は「天草ありあけタコ街道」という何とも言えない名前が付いています。
ここでのオススメは貝汁!、麦味噌を使った上品な味わいは天草独特の味付けの郷土料理で、何と言っても具のアサリの量が半端ないのです!
しかも旨味凝縮のブリッブリの弾力の身との相性が良くて、是非とも食べたい逸品でございます!
この天草上島北海岸は一気に東へ走り抜ける快走路です。
時間が余りましたら天草五橋の途中の前島にある「わくわく海中水族館シードーナツ」はいかがでしょうか?
珍しい「海に浮かぶ水族館」で日本に2ヶ所しかないそうで、ドライブの寄り道にちょうど良い手軽な水族館です。
戸馳島へはオレンジの印象的な橋を渡って到達します。
柑橘類の豊かななだらかな島で、若干の車エビ養殖施設と海水浴場がある長閑な島です。
ドライブの最後に、道の駅不知火に隣接する温泉にて旅の回想にふけりながらくつろいではいかがでしょうか?
展望台も設置してあって、目の前に広がる不知火海の壮観と海風を楽しんだところでこのドライブはエンディングを迎えます。
湯島
国道324号線を東へ走っていると、左手に忽然と海に浮かぶ都市のようなものが見えましたでしょうか?
これは先に紹介した島原半島との間にある湯島で、周囲約4kmの綺麗な台形をした有人島です。
数ある「猫の島」の1つで江樋戸港から定期船が出ており渡航できます。
どの猫も仲が良くて可愛らしく、個人的にはこれまで見てきた所謂「猫の島」の中では屈指の人懐っこさです。
島原の乱はこの島で密談が練られたらしく「談合島」との別称があり、船から降りたら思いっきりその名の看板が立てられており生々しいです。
基本、この島へ渡ってくる乗船のお客さんは殆どが釣り人で、観光客は猫目当てくらいだそうです。
とは言いつつも離島好きには模範的な構成で「迷うか迷わないかギリギリの迷路のような路地、適度な?過疎感、急峻な階段、寡占的な個人商店、旅人など眼中に無い島民」など、島好きにはタマラナイはずです。
この島の上部は綺麗な台地になっていて広く大根が作付けしてありますので、知らずに行ったら突如現れる大農耕地に面食らうと思います。
この湯島大根、テレビで取り上げられるくらい有名で、農作業をしていたお父さんにいろいろ話を聞きましたら最後にデカい大根1本プレゼントしてくださいました(笑)。
旅の醍醐味ですね^^。
「日本の宝島」天草市中心部、観光名所を巡ります
全長約700メートルの天草瀬戸大橋を渡って天草文化の集まる中心地の天草下島(あまくさしもしま)へ。
西海岸には入り江にひっそりと建つ教会など、そこはかとなく漂うキリシタン文化を感じるドライブ。
まず行きやすいのが「天草文化交流館」、国の登録有形文化財に指定されている昭和10年建築の歴史感溢れる建物で、内部も趣向を凝らしてあることからもこの建物の重要性が感じられます。
この近くの「祇園橋」は、多脚式の石造り橋の中でも国内最大級の規模を誇るという国指定重要文化財だそうで、大事な見どころだと思います。
駐車場があまり無いので文化交流館からの徒歩がオススメです。
「殉教戦千人塚」は、天草四郎がキリシタンを率いて唐津軍と戦った島原の乱で亡くなった人を弔うために建てられた塚です。
その戦は凄惨極まりなく、死体の山で川が堰き止められたと言われています。
高台にあるので眺めがいいですし、敷地内にある天草キリシタン館には多くの収蔵品が展示してあり、当時の歴史に直に触れることができる是非とも訪れたいドライブスポットです。
最南端、牛深(うしぶか)へ
国道266号線を一路南へ、最南端の町牛深へ向かいます。
途中の牛深温泉やすらぎの湯にてのんびりするのもいいですね、唐揚げ定食を楽しみました。
牛深のスーパーに入り物資を調達していた時のこと。
祝日だということで寿司を大量に陳列していたようだったのですが、当てが外れて途方もない量の売れ残りが発生してしまった様子。
パートさんが主任さんを呼んできて、その有り様を見た主任さんが思わず大声で「うわっちゃ~~~!」と私の横で頭を抱えて嘆かれていたのが強く印象に残っています。
飲食品は難しいものなのだなぁと感じた一コマでした。
さて話を戻しまして、この牛深に辿り着くと近代的な、いや未来的な橋が突如目の前に現れます。
「牛深ハイヤ大橋」は全長883m、素晴らしい曲線美に計算され尽くした配置の白く輝くパネル、土木学会デザイン賞2001にて最優秀賞を取得するという栄冠に輝いている名実ともに牛深のシンボルです。
この橋は夜のライトアップも感動的で、近寄って良し遠くから眺めて良しのとにかく美しい橋です。
山の中腹にある牛深公園には展望台があり、ここから眺める景色は格別です。
ハイヤ大橋の袂にある「うしぶか海彩館」、展望台からは橋を真正面に眺めることができ、海産物や生け簀、飲食を楽しんだ後はここを拠点に牛深の散策をするのもいいですね。
いよいよハイヤ大橋を渡って下須島へ、南端の鶴葉山の先端にある「牛深海中公園」には展望台があり、眼下には美しい砂洲が独特の流線形を描くなど、海の景色が楽しめます。
牛深海中公園は、昭和45年に日本初の海中公園に指定されたという先駆けでもあります。
西海岸をドライブ
北へ折り返し、国道389号線を西へと入ります。
羊角湾の入り江の奥に隠れるようにひっそりと建てられた、ゴシックな様式が美しい「崎津天主堂」。
その姿からは迫害を受け追われながらも深い信仰の念を感じさせる味わいがあり、厳しい踏絵が行われた面影を残す雰囲気からしみじみと伝わってくる趣きがあります。
背後の小高い山の中腹からは周囲の全景が見える好展望です、是非とも足をはこんでみてください。
先の崎津天主堂とは対照的に、小高い丘の上に堂々と聳える「大江天主堂」。
純白が眩しいロマネスク様式の建築は天草でも最も早くに建設された教会です。
天草のキリシタンを象徴するような素晴らしい教会で、そこからの眺めも壮観な絶好のドライブスポットです。
麓の「天草ロザリオ館」を合わせて是非とも立ち寄りたい場所です。
西海岸には「鬼海ヶ浦展望所」や「十三仏崎」をはじめとした断崖絶壁を眺めることができる箇所があります。
少し海岸へと道をそれて荒々しい海の景色を楽しんでみてはいかがでしょうか?
陸繋島っぽい地形を渡って「富岡城跡」へ、特異な立地に建てられた城は何となくモンサンミシェルっぽい気が・・・しないでもないです。
ここからの眺めも素晴らしく、美しい砂嘴・砂洲を見下ろす景色はプチ函館っぽい様相があります。
敷地内に建てられた資料館と共に立ち寄りたいドライブスポットです。
名前からして美しい「四季咲岬」、その先端に建つ灯台へも足を運んでみてはいかがでしょう。
イルカに会えるという「通詞島(つうじしま)」へ渡ってみましょう。
この島からは島原半島が美しく見え始めます。
島の中央にある温泉「ユメール」は素晴らしい炭酸カルシウム温泉です、ここまでくれば島一周も目前ですのでここでゆっくり温泉を楽しんでみるのも良いかも知れません。
鬼池港からは島原へとフェリーが出ています。
鬼池港 – 口之津港ルートは、諸浦港 – 中田港航路と併せて長崎方面へのショートカットコースとして人気のようで、訪れた時も長蛇の列ができていました。
国道324号線を南へ、歴史を辿った島原一周のドライブは天草市中心部への帰還でエンディングを迎えます。
(ライター:セレス)
コメント