あなたの愛車は何ですか?
コンパクトな自動車、四駆系の大きな自動車、マニュアル操作のスポーツカー、かっこいいセダン、最近ではこうした趣味性の高い自動車よりも実用的で扱いやすい自動車やエコカーばかりが増えて車好きには面白味のないラインナップになりつつありますよね。
自動車選びにはたくさんのポイントがあると思います。
見た目はもちろん、使い勝手も大切なチェックポイントですよね。
さらに言えば、価格もかなり重要。
では、あなたは購入価格ばかりを気にしていませんか?
「なんとか150万円の予算で押さえたい」この予算で購入できたとして、売却の時のことって考えたこと、ありますか?
今回紹介するトヨタ プレミオは、もし売却するときにもあなたにメリットをもたらしてくれるかもしれない、素敵な車なのです。
【http://toyota.jp/premio/】
【トヨタ プレミオ】と聞いてパッと浮かびますか?
トヨタ プレミオは、トヨペット店が販売するセダンタイプの自動車です。
セダンと言ってもクラウンのように大きなものではなく、それより一回り小さなボディのもの。
サイズで言えば、カローラのような一般大衆車といった感じです。
しかしながら室内には木目調を使用し、しゃれたインテリアも人気の理由の一つです。
トヨタ プレミオの先代はトヨタが代表する「コロナ」。
【http://www.carsensor.net/catalog/toyota/corona/F002/】
コロナ プレミオとして発売されたのち、「トヨタ アリオンの姉妹車・コロナの後継車」として初代プレミオ(T24型)が平成13年に誕生しました。
プレミオには1500㏄(NZT24)、1800㏄(ZZT24)、2000㏄(AZT24)と3つの排気量設定があり、2代目T26型となった今でもこの3つの設定で販売されています。
なぜ、プレミオと聞いて思い浮かぶ人が少ないかというと、プレミオはAge60オーバーのユーザーをターゲットにして作られた自動車だからではないでしょうか。
端的に言ってしまえば「若者向けではない」ということです。
室内も上品で落ち着いた雰囲気に仕上がっていますし、見た目もセダンで、乗車定員も5名、荷室も普通、これといって飛びぬけて広いわけでもない、本当に「普通」なのですが、この日本で言う「普通」な自動車・プレミオがひとたび海外へ輸出されると「高級車」になるのです。
一般大衆車 プレミオが【高級車】に変化する理由とは?
日本は食糧から日用品、衣料品さまざまなジャンルにおいて海外からの輸入で成り立っています。
そんな日本ですが、唯一自動車産業だけは世界各国へ輸出を成功させていますよね。
どんなものでもそうですが、輸出・輸入するには関税という税金が必要になります。
この関税ですが、各国によって税率は違いますし、車種によっても違います。
この関税がかかると、日本では普通の価格の自動車でも、海外での日本車の販売価格はとても高額になるわけです。
そのために国内では日本車の盗難なども頻発しているのですが…
プレミオは日本では一般大衆車というくくりですが、海外に行けばそれはそれは【高級車】なのです。
【http://toyota.jp/premio/】
これは、プレミオだけではなく、カローラやアリオンと言った同クラス車でも同じ事が言えます。
逆に言えば日本国内で外車を購入するのも同じです。
海外から輸入するとかならず税金や輸入に関して何らかのコストがかかりますから、その分高額になります。
以前、友人に頼まれてフォードのエクスプローラーの中古車を探しました。
国内にあるエクスプローラーでは彼の希望のものがなく、アメリカから輸入しようかという話になりました。
私は海外での買い付けなどの知識はなく、偶然同時期にアメリカへ買い付けに行っている中古車販売店のスタッフさんがいたので一緒に買い付けてもらうことにしました。
もちろん本場アメリカでのオートオークションですから、エクスプローラーの中古車台数は日本とは比べ物にならないほどでした。
友人の予算は230万円でしたが、アメリカの中古車オートオークションでエクスプローラーの相場は彼の希望しているモデルで高年式でも150万円ほどでした。
日本では考えられないほど安くて、即買い!!と思った矢先、現地へ買い付けに行っていたスタッフさんからこんな助言をもらいました。
「いわゆるアメ車は、その多くがレザーシート。
でも、日本の革張りのシートを想像してはいけないよ。
こっち(アメリカ)では、10万キロくらい走ったり、シートがヘタってきたりするとシートの張替えをするのが通常。
日本で革の張替えをしようと思うととても高額だけど、こっちでは数万円でできてしまう簡単な作業だから、こちらの業者は輸出に出す前に革の張替えをしてから日本に持っていくんだ。」
エクスプローラーの革の張替えの見積もりは全脚で10万円ほどでした。
でも、ざっと計算してみたら150万円で車体本体を購入しても、予算230万円では足らないのです。
車体本体価格と革の張替えで160万円。
さらに、現地での排ガス検査などに20万円前後の費用が必要に。
自動車は船便で日本へやってきますから、海送運賃が10万円~、日本へ輸入されてからナンバーを登録するのに15万円~と、車体費用以外に必要な経費がものすごく多いんです!!
そうこうしていると230万円予算は、利益なしであっという間にオーバーしてしまい、買い付けスタッフの手間賃なんかも考慮すると、落札価格以外にざっと100万円以上のコストがかかることが判明。
いくら車体価格が安くても、輸入車にはこうした必要コストが車体価格を高額にしているわけです。
カローラやプレミオが海外で高額・高級車扱いされる理由がわかりますよね。
日本国内で100万円程度の中古車でも、エクスプローラーのようにさまざまなコストを上乗せしていくと結局海外のユーザーの手元に行くまでには200万円以上になります。
外国の一般的な収入から考えたら、200万円の中古車って結構高級品だと思います。
日本車の輸出先でよく耳にするのはスリランカです。
スリランカの平均月収は15,000~20,000だそう。
年収に換算すると20万円ということになります。
日本の平均年収は420万円ですから、スリランカの人が200万円の日本の中古車を購入するのは、日本で言ったらベントレーやランボルギーニなんかを所有するのと同じような感覚。
ですから、スリランカの中でも富裕層しか乗れないような車なわけです。
大衆車【プレミオ】そのおすすめポイントとは?
プレミオの最大の魅力は何といっても「リセールバリューが高い」!リセールバリューとは、中古車としての売却価値、再販価値のことです。
プレミオは、国産車の中でもリセールバリューの高さではトップクラスなのです。
新車を購入しても、売却価値が見込めるため、次に購入する車の追い金が少なくて済むなどのメリットがあります。
極端な例ですがプレミオの新車価格は約200万円~。
3年落ちのプレミオの店頭中古車価格は170万円前後ですから、3年乗っても30万円しか値減りしていません。
ただし、プレミオと言ってもグレードや排気量などで査定額はかなり違います。
プレミオには1500㏄、1800㏄、2000㏄と3つの排気量設定がありますがダントツで人気の排気量は1500㏄。
国内のユーザーには税金などの維持費が安くて人気がありますが、海外のユーザーには関税など輸入コストの面で人気があります。
排気量が大きければそれだけ輸入に必要な税金も高額になります。同じ車種でも、排気量の違いだけで輸入コストが高額になるのなら、コストが抑えられる低排気量を選択するのは当然ですよね。
最近では、新車ディーラーの営業マンも、ユーザーさんの売却を想定して1500㏄のグレードをおすすめして販売することも多いようです。
また、姉妹車種にトヨタ アリオンがありますが、どちらかというとアリオンはスポーティーな仕上がりになっています。
プレミオのイマイチなポイントとは?
車業界にいる私からすると、プレミオに関してマイナスポイントはあまりないように思いますが、一般のユーザーからすると「おもしろみ」や「おしゃれ感」「イマドキ」な雰囲気は少ないかもしれません。
それは、プレミオが60代のユーザー向け、目線で作られているからです。
それゆえに、免許を取りたての10代、20代の若い子はあまりプレミオを支持しません。
崩した言い方をすると「じじくさい」なんて声も聞こえてきそうです。
プレミオのおすすめポイントで書いたように、プレミオという車はリセールバリューが非常に高いことが魅力ですが、なんと欠点もその裏に隠れています。
それは、リセールバリューが高いのは1500㏄のグレードだけだということです。
2000㏄グレードになると、新車価格は高額な割に下取りや買い取り金額はやや低め。
プレミオならばなんでもいいわけではないのです。
そうは言われても、あまりピンとこない人がほとんどですよね。
例を挙げてみると、
2014年(平成26年) 1500㏄・1.4万キロ・車検なし→総額209万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/16/700070558230160710012.html】
2014年(平成26年) 2000㏄・1.5万キロ・車検なし→総額138万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/13/940016072900502035004.html】
どちらもトヨタディーラーのU-CAR(中古車専門店)での店頭価格です。
いかがですか?
車の知識がない人が見ても一目瞭然。
これがプレミオの欠点なのです。
プレミオを買うなら4年落ちが狙い目
現在日本の中古車、オートオークションの相場は、ほぼ外国人の買い付けによって決まっていると言っても過言ではありません。
最近で言えば、イギリスのEU離脱が決定したことによって、翌日からの自動車の輸出がぴたりと止まりました。
現行ヴェルファイアもその打撃受けた一台です。
EU離脱が決定するまで、新車価格630万円、1年落ちでオートオークションでは650万円前後で落札されていたヴェルファイアが、EU離脱が決定した週のオートオークションではなんと570万円まで下落。
これまでヴェルファイアを輸出していた外国人がイギリス、ヨーロッパの動向を一時様子見したために、輸出業務もストップ!というかたちになったようです。
輸出に人気のある車は車種にもよりますが「旬」が2回来ます。
最初の旬は、新車登録から1年後。
1年落ちの中古車は輸出に人気で、下手すると新車価格を上回る金額で落札されることもしばしば。
2度目の旬は、3年落ち。
新車登録から3年経過した中古車は海外へ輸出される関税がぐっと安くなるのだとか。
私たち中古車査定士も、平成28年式の車より平成25年の車のほうが「うま味」を感じていたほどです。
それ以降、4年、5年経過してくると経過年数相応の中古車価格に落ち着いてきます。
そこでおすすめは4年落ち以降、というわけです。
輸出に関係のない車であれば何年落ちでもそれ相応の相場で中古車として取引されますが、プレミオのような輸出に人気の車種だと、新車登録からの経過年数が価格に密に関係してきます。
中古車を扱う人間がこんなことを言ってはいけませんが、1年落ちのプレミオを購入するならば新車の購入をおすすめします。
それほど、1年落ちのプレミオは割高なのです。
そんなプレミオの中古相場とは?
前にも書いた通り、プレミオは現在2代目。
ちょうど2016年6月に後期となる現行モデルが発売され話題を呼んでいます。
2代目になって9年目ですが、ここまでフルモデルチェンジされない車種も珍しいのではないでしょうか?
車は大体3年おきに前期から後期へのマイナーチェンジ、さらに3年を経てフルモデルチェンジが通例です。
最近のトヨタ車はフロントグリルが大胆なデザインとなっていて、顔つきもグッと欧州車を彷彿とさせるような“きつい”ものが人気になっています。
初代プレミオに比べると、かなりイメージチェンジを果たしていますね。
個人的には初代プレミオには、一般大衆車らしさ、親近感のわくようなTHE普通車!といった親しみやすさを感じました。
そんな初代プレミオの中古相場は…
2001年(平成13年) 4.0万キロ・1500㏄・事故歴無し→42万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/19/700110168530160322002.html】
2007年(平成19年) 4.3万キロ・1500㏄・事故歴無し→69万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/17/700100221830160519011.html】
2007年(平成19年) 6.0万キロ・1500㏄・事故歴無し→77万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/14/700116621530160608001.html】
など、まだまだ現役で価値のあるものばかりです。
では、がらりとマスクを変えて登場した2代目26型の中古車相場はどうなっているのでしょうか?
2008年(平成20年) 1.5万キロ・1500㏄・事故歴無し→155万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/19/700110167530141001001.html】
2008年(平成20年) 1.5万キロ・1800㏄・事故歴無し→99万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/16/700070558230160727013.html】
2015年(平成27年) 0.1万キロ・1500㏄・事故歴無し→200万円
【http://www.goo-net.com/usedcar/spread/goo/13/700050534030160129001.html】
平成20年、今から8年も前の中古車なのに150万円以上の価格がついていること、それに加え、同じ年式、走行距離にもかかわらず排気量の違いだけで50万円以上の差がはっきりと出ていることに驚きます。
ライフスタイルに合わせたグレード選択を
私は仕事柄どうしてもリセールバリューや人気の高さなどで車を比較してしまいます。
車って、トランク近くにグレードが貼られていたりしますよね。
プレミオだと1500㏄は「F」、1800㏄は「X」、2000㏄は「G」という英字で表されているのですが、「F」を見るとドキドキしますし、「G」を見ると少しがっかりします。
職業病ですね。
しかし、同じ車体を1500㏄のエンジンで引っ張るのと、2000㏄のエンジンで引っ張るのとではやはり力に差が出ます。
1500㏄がいくら人気あっても、自分の運転に見合わないような物足りなさを感じるのならば1800㏄や2000㏄を購入しても構わないのです。
1~3年周期で自動車を買い替えているような人ならともかく、長く乗るようなタイプのユーザーさんは、一番にこうしたご自分のライフスタイルに合ったグレード選択をしてほしいなと思っています。
自動車は、ただの通勤通学の手段だけではありません。
運転をする中で思い出を作ってくれるような相方です。
雑に扱えば、事故に遭ったり、原因不明のトラブルを起こすことも。
大事にすれば、長くあなたの助けになってくれるような、そんな存在です。
そんなあなたに、プレミオはどう映りましたか?ぜひ、今後の中古車購入検討リストへ加えてみてはいかがでしょうか?
(ライター:中古車査定士ryo)
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