最強のポータブル電源 SmartTap「Power ArQ」が凄いかも知れない

ポータブル電源は車でのアウトドアシーンや、災害への備えとしてここ何年かで急速に需要が高まり、日々進化を遂げつつ様々な製品が出回るようになっていますね。

ちょいと思う事があって、初期型リーフで超ミニマリスト的なノマド車中泊ツアーを企画しているのですが、電装品を使いまくると航続距離がヤバくなる車なので、大容量のポータブル電源を探していたところ、2018年9月時点ではこれが「最強なんじゃないのか?」という製品を見つけました。

そもそも「最強」という表現自体、とてつもなく抽象的な言葉であり、ユーザーの使用方法が多岐に渡るこの手の「ポータブル電源」を安易に最強と断ずるのもちょっと乱暴かも知れませんが、少なくとも容量の大きさであったり、特定の機能の有無については仕様表での比較が可能であります。

今回ご紹介する製品は、SmartTapというブランドの「Power ArQ」という大容量ポータブル電源です。

SmartTap「Power ArQ」のスペック

「Power ArQ」のスペックは以下の表の通りです。

SmartTapPower ArQ
容量174,000mAh/3.6V
エネルギー626.4Wh
DC出力シガーソケット12V/10A/120W
DCポート×2/6.5mm
USBポート5V/2.1A×1
5V/2.1A(計)×2
AC出力(コンセント)100V/300W/60Hz
DC入力8mmポート
25.2V/3.5A
満充電時間8時間
パススルー充電対応
付属AC充電アダプター100W
重量6.0kg
サイズ30cm幅×19.3cm奥行き×高さ不明

「Power ArQ」のポータブル電源としての特筆すべきポイントは以下の4点かと思います。

①圧倒的な大容量

②1Wh当たりのコスパの高さ

③充電時間の速さ

④パススルー充電に対応

圧倒的な大容量

amazonで販売されているこの手のバッテリーの他社製品では、以下のsuaokiの「G500」という製品が137,770mAh/500Whが「Power ArQ」と最も容量が近いものとなっています。

1Wh当たりの単価を比較すると

「Power ArQ」が108円(600Wh換算)、「G500」が120円ですので、容量当たりのコスパは「Power ArQ」の方が100%程度高いですね。

充電時間の速さ

「Power ArQ」の充電時間については、25.2V×3.5A=88.2W(最大)で8~9時間と記載されています。

626.4÷88.2W=7.1時間ですが、バッテリーの保護であるとか、残電量に応じて充電流は変わりますので、8時間は妥当な数値ではないかと思いますね。

suaokiの「G500」については、amazonでは29.4V ×3A=88.2Wと最大の入力値は「Power ArQ」と同様ですが、suaokiの公式サイトでは8~10時間となっています。

…という訳で、満タンになる時間はほぼ同等かも知れませんが、1時間当たりの充電量は「Power ArQ」が78.25Wh、「G500」が62.5Whと20%ちょいの差があります。

Whで表現してまうと、どれくらいのものなのかがピンと来ないと思いますが、通常モバイルバッテリーの容量で使われるmAh/3.7Vで考えると、「Power ArQ」は174,000mAhですので、1時間当たり21,750mAhのモバイルバッテリー1個分が充電されている計算となります。

パススルー充電に対応

「Power ArQ」はこの手のポータブル電源にしては珍しく、充電されながら給電も行うパススルー充電に対応しています。

ドラレコの駐車監視用の電源として使用可能であるかは今のところ不明ですが、安全性の部分で問題がないようであれば標準的な2Wのドライブレコーダーだと満充電で313時間の駆動が可能な計算です。(笑)

一方で「Power ArQ」の充電時間当たりのドライブレコーダーの駆動時間は、充電1時間で39時間の駆動、1分で39分の駆動と、鬼のような数値になります。

SmartTap「Power ArQ」による電気製品の駆動時間の目安

「Power ArQ」は正弦派に対応していますので、300Wという電力の大きさのみに注意すれば、ほぼすべての電気製品の駆動が可能かと思います。

例えば車中泊などを想定した場合

①15L程度の小型の冷蔵庫(40~50W)…12~15時間程度

②50W程度の電気毛布~12時間程度

③車載炊飯器2合炊き(120W)~1回1時間×5回

④車載湯沸かしポット/1.2ℓ(200W)~3時間(?回)

⑤車載セラミックヒーター(150W)~4時間程度

・・・と言った具合の駆動時間になりそうです。

SmartTapの安全性と運営会社について

SmartTapは「加島商事株式会社」という、日本のベンチャー企業です。

日本の企業と中国系の業者の違い

最近、amazonで増えている出品形式は、工場や中国のメーカーの直販方式で、日本法人を置かずに経費を削減しているパターンがほとんどです。

私も時々メールでやり取りする事もありますが、彼らは中国国内から日本向けのサービスを提供しています。

この方式自体が世界的なトレンドで、これを否定する訳では無いのですが、法人ですらない中国の個人っぽい出品者であったり、日本の個人が中国のメジャーでない工場などから仕入て出品しているケースも数多く見られます。

まぁ、これも世界的なトレンドですし、サポートが全く期待できないとしても、ユーザー側から見ると余計な中間コストがない分だけ商品を安く購入できるメリットがあります。

こう言った背景を理解している場合や、理解していなくてもどこのメーカーの製品を買おうが、個々のユーザーの自由ですし、選択肢が広がる面もありますので、良い面も非常に大きいと思います。

 

ただし、電子機器の場合は日本独自にユーザーの安全を守る為であったり、国内のインフラに影響を及ぼすのを防ぐ目的で定められた、製品に関する法令が存在しています。

例えば、通信機器であれば電波法などが該当するのですが、amazonで人気上位の中国メーカー製WiFi対応のドライブレコーダーが電波法で定められた規制をクリアしていないという事実もあります。(技適認証)

厄介な事に、この技適認証を通していないWiFi通信機器を国内で使用した場合、販売者ではなく使用者が罰せられると法令で定められています。

■ 総務省 電波利用ホームページ

技適マークが付いていない無線機を使用したらどうなりますか?

A:一部の無線機を除いて、技適マークが付いていない無線機を使用すると、電波法違反になる恐れがあります。

また、技適マークが付いていても無線局を開設するためには総務大臣の免許を受けなければならない無線機(アマチュア無線、パーソナル無線など)がありますので、使用には十分ご注意下さい。

(免許を受けずに無線局を開設若しくは運用した場合は電波法違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象となります。また、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合は、5年以下の懲役又は250万円以下の罰金の対象となります。)

過去に、この技適認証を通していないドライブレコーダーのレビュー依頼を頂いたのですが、お断りしています。(余裕で売られていますけど)

 

このように多くの中国系のメーカーは、日本の法令や規制に適合しない製品を平然と販売しているという事実があります。

amazonでは、技適認証を通していない製品の販売は規約違反に当たり、場合によってはアカウントの剥奪もあると謳われていますし、製品掲載前のチェック機能として必要書類の提出が求められています。

しかしながら、現実的にはamazonのチェックが追いついていないのか、販売者側が偽りの申告をamazonに行っているのかは不明ですが、こう言った法令違反になる製品が普通に販売されているのが現状です。

これが普通になってしまうと、日本の法令を遵守している真面目な業者はどんどん中国系業者に喰われてしまいます…というか既に喰われている。そもそも戦っている土俵が違いますからね。(笑)

分かり易く言うと、ムエタイ選手がボクシングの選手とムエタイルールで戦っているようなもんです。(そりゃ負けるわ)

因みに技適認証には200万円位掛かりますので、真面目にやってるメーカーや業者さんがバカを見る世の中になってますな!

悪いのは政治家ですが…。

 

最近では、販売責任者に日本人の名前を表記しているところも多いですが、中身は余裕で中国人の場合がありますので、だんだんと偽装が巧妙になってきています。(まぁ、私は時間を掛けて調べるので、大体偽装か本物かは見分けられますが、普通はそこまで調べないでしょうからね)

※中国系メーカーでもしっかり法令順守しているところもありますが、ユーザーとしては見分けが難しいのが問題

バッテリー類で問題になるのが、安全性に関わる規制

「PSEマーク」というものをご存知でしょうか?

「PSEマーク」とは、国民の安全を守る為に法令によって定められた安全基準に関する「自主チェック」をクリアした製品に事業者側の判断で表示を行い、リチウムイオン電池(ユーザーが換装可能な電池単体)や様々な電気製品のアダプターなどが「PSEマーク」の表記を義務付けられています。

※「PSEマーク」は公的機関での検査や認証が必要などの類のものではないので、必ずしも安全性を担保する物とは言えないが、何れにしても表記が必要

■ 電気用品安全法 法令業務実施ガイド

複雑過ぎて良く分からないですが、原則としてはユーザーが換装可能な電池単体や、家庭用コンセント(交流電源)からの給電で発火による火災につながる恐れのある物が該当しているようです。

因みに今まではユーザーが取り外し可能なリチウムイオン電池の一部のみが該当で、中身の電池を取り外せないモバイルバッテリーについては、充電器のみが「PSE」マークの表示が義務付けられていました。

ただし、2019年2月からは充電器以外にもリチウムイオン電池を使用したほとんどのモバイルバッテリーにも、この「PSE」マークの表示が義務付けられる事になっています。

要はモバイルバッテリーの爆発や発火の事故が増えている事への対策です。

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ポータブル電源にも「PSE」マークは必要なのか?

リチウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーには、2019年2月からは「PSE」マークの表示が義務付けられる事になってますが、ポータブル電源とジャンプスターターについての解釈がちとややこしい事になっています。(笑)

■ 経済産業省 モバイルバッテリーに関するFAQ

Q.4 交流100Vも出力できる、いわゆるポータブル電源の扱いは?

A.4 蓄電池の出力は原理上直流に限られており、交流が出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、非対象。

モバイルバッテリーも、ポータブルバッテリーも中身はリチウムイオン電池です。(リチウムイオンにも色々あって、ほぼ発火しないものもあるが、充電効率がよろしくない)

物凄く表現がわかりにくく、経産省に掲載されている文脈で「蓄電池の出力は原理上直流に限られており」という部分がありますが、この部分はないものと解釈した方が良いかも知れません。

というのは、モバイルバッテリーのリチウムも、ポータブルバッテリーのリチウムも直流ですし、モバイルバッテリーとポータブルバッテリーに対する区分の差を説明すのに「両方同じだ」って言ってるようなもんです…これだと。

「蓄電池の出力は原理上直流に限られており」ではなく、「蓄電池の出力は原理上直流に限られているが」という表現だと分かり易いですね。

または、単純に「交流が出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、非対象。」と解釈すればOKという事(多分…なので、後日経産省になぜこんな表現となっているのか確認します)

Q.6 バッテリー上がりを起こした自動車のエンジンを再起動するために用いられる、いわゆるジャンプスターターであって、直流5Vの出力端子を備え電子機器類の外付け電源としても使用できるものの扱いは?

A.6 ジャンプスターター本体に、キャパシタや保護装置(ショート、逆接続、過電流、逆電流対策)が内蔵されているものは、主たる用途が自動車エンジン再起動のための装置であり、モバイルバッテリーとして扱わず、非対象。

一方、クリップコード側に保護装置があるものは、クリップコードを外した本体を電子機器類の外付け電源として使用することが主たる機能と判断されるため、モバイルバッテリーとして扱い、対象。

ここではジャンプスターターについて「主たる用途が自動車エンジン再起動のための装置である事」を根拠として、対象外としています。

ただし、保護装置(ショート、逆接続、過電流、逆電流対策)がジャンプスターター本体に内蔵されておらず、ケーブル側にあるものは対象となっています。

従ってよくあるこの手のケーブルが付属しているジャンプスターターは「PSE」マークの表記が必要ということになります。

最近のジャンプスターターはほとんどがこのタイプかと思いますので、「電気用品安全法」の上ではモバイルバッテリー扱いになるという事ですね。

まとめると、ポータブル電源の家庭用コンセントからの充電器には「PSE」マークは必要であるが、バッテリー本体については、交流出力装置を内蔵し、内部に保護装置(ショート、逆接続、過電流、逆電流対策)があるものに関しては2019年以降も「PSE」マークの表示は義務付けられないという事になるでしょうか。

そもそも「PSE」マークは自主検査で付けられる?

経済産業省の公式文書には以下のような記載が見られます。

■ 電気用品安全法 法令業務実施ガイド

(4) PSEマークの表示(法第10条)

以上の流通前規制に関する義務を届出事業者が果たした証として、届出事業者が電気用品に、 (又はE)や (又は(PS)E)の表示を製品に付すことができます。[6.表示(P.64)参照]

なお、PSEマークは、このように義務を果たした証として表示できるものであって、

「国から取得」したり、「PSE認証取得」するようなものではありません。

要は悪徳業者であれば「PSE」マークの表示に必要な検査やテストをやらなくても、表示自体は可能って事です。

ただし、「PSE」マークには以下の2つの種類のものがあります。

菱形が「特定電気用品の表示」、丸形が「それ以外」となり、菱形の方に関しては第三者機関による検査を経た後に自主検査を行う事になっています。

ポータブル電源などに付属する、コンセントからのアダプター類は菱型の「特定電気用品の表示」が必要となっていますね。

■ 経済産業省 特定電気用品(116品目)一覧

 

とは言え、第三者機関の検査を受けていなくてもこの菱形の「PSE」マークを表記する事は可能なので、中国系の業者の中にはこう言った誤魔化しをしているところもありそうです。

…という訳なので、「PSE」マークが付いているからと言って安全性の面で問題ないと言い切れる訳ではありません。

SmartTap「Power ArQ」は指定の検査機関で「PSE」の適合証明を受けている

普段はあまりこう言った事を突っ込んで説明しないのですが、技適の問題などでも未認証の製品が多いと感じており、フェアではない商売が横行しているのでこれは由々しき事態だよね~と、常日頃から感じていた為、改めて詳しく取り上げさせて頂きました。(最近のネット通販界隈では、フェイクの表記が多いんですよ)

肝心の「Power ArQ」の説明に行きつくまで、かなり長くなってしまいましたが、「Power ArQ」はもちろん経産省指定の事業者による「PSE」の適合証明を受けています。

という訳で「他社製品で問題となっている発火や爆発の心配は要りません」と書かれていますね。

ただし、これは充電器の方に関する事なので、本体の落下時などの衝撃耐性についてはまた別かと思います…が、各種テストについては充分に実施されているようです。

これらの安全規格がどこまで安全性を担保するのかは分からないのですが、内蔵のリチウムイオン電池はBMWやhp、Canonなども使用しているBAK製の物を使用していると謳われていますので、安全性は高そうです。

「Power ArQ」を買おうかと検討中です

そもそも、初期型リーフで燃料費・宿泊費無料の長期ノマドツアーに旅立うかな?と思い立ったのが事の始まりなのですが、この型のリーフは航続距離があまり伸びないですし、定額の急速充電しかしないので更に航続距離が縮みます。

その状態から電装品を使いまくると、充電回数が増えてしまいますので、充電スポットまでの距離を考えつつ、距離を伸ばしたいシチュエーションでは「Power ArQ」から補器バッテリーに充電(特殊なケーブルが要ります)、距離を伸ばさなくても良い場合とリーフへの急速充電中には、車両から「Power ArQ」に充電…という塩梅で行こうかと思っています。

その前に車中泊ツアーにでるなら、マットなども手配しなければならない訳で、色々調べなければならない事も多いのですが、10月くらいには実行できれば良いかな…と考えています。(やるやる詐欺になっちゃったりして)

なお、大容量ポータブル電源を検討されている方は、「Power ArQ」の絶対的な価格の高さはともかく、コスパや品質、サポート体制は充実してそうですので、「Power ArQ」も候補に入れてみてはどうか?とご提案します。

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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