トヨタMR-Sは買って後悔する?前期型12万キロに1年乗ったオーナーのリアル評価

こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。

トヨタのライトウェイト・ミッドシップオープン「MR-S」。

発売から20年以上が経ち、中古市場では手の届く価格で見かけますが、古い車だけに「今から買って後悔しない?」「走りや維持費は大丈夫?」と不安に思う方も多いはずです。

私自身、2001年式の前期型・走行12万キロ超のMR-Sを購入し、1年間所有しました。

コペン、ロードスター、124スパイダー、ランエボ10、981ボクスター、ポルシェ911といったスポーツカーを乗り継いできた経験を踏まえ、オーナー目線でMR-Sを評価していきます。

MR-S前期型を購入した理由と状態

私がMR-Sを選んだ一番の理由は、電子制御のない軽量MRのNAオープンカーに乗ってみたかったからです。

現代のスポーツカーは安全装備や電子制御が充実していますが、その分「素の挙動を感じる」機会は減っています。

MR-S前期型は車重1トン未満の軽さに加え、シンプルなNAエンジンとMRレイアウトという純粋な組み合わせ。まさに「原始的なスポーツカーらしさ」を味わえる一台だと考えました。

実際に購入したのは2001年式の前期型・5速MT。

走行距離は12万キロを超えていたため価格はリーズナブルでしたが、年式相応の劣化が目立ちました。

特に足回りのダンパー抜けが深刻で、本来の性能は全く感じられない状態。幌や塗装も傷んでおり、乗り出しからリフレッシュが必要な個体でした。

MR-Sには前期型と後期型があり、性格が少し異なります。

  • 前期型(1999〜2002年頃):剛性が弱い代わりに1トンを切る軽量ボディ。5速MTが中心。
  • 後期型(2002年後半〜2007年):剛性が向上し、6速MTを採用。信頼性や扱いやすさも改善。

前期型は軽さが魅力ですが、古い個体が多いため、状態を見極めて購入することが大切です。

前期型エンジンの弱点(1ZZ-FE)

MR-Sのエンジンは1.8Lの「1ZZ-FE」。カローラなどにも積まれていた量産エンジンです。

  • オイル消費が多い個体がある(ピストンリングの構造上の弱点)
  • 高回転の伸びが物足りない(スポーツ走行では盛り上がりに欠ける)
  • 後期型では改良され、オイル消費問題は改善傾向

私の個体は幸いオイル減りはありませんでしたが、前期型を中古で買うならオイル管理がきちんとされてきたかどうかが大事なポイントです。

購入後に実施したメンテナンス・チューニング

私のMR-Sはそのままでは楽しめなかったので、以下のリフレッシュ・カスタムを実施しました。

  • ミッションベアリング交換(前期型の弱点で購入時から異音あり)
  • クラッチ交換+軽量フライホイール化
  • クロス素材の社外幌に交換(購入してすぐに幌のガラス部分が剥離、純正の樹脂素材は固くて好みではなかった)
  • クスコ車高調導入、補強パーツ追加
  • 機械式LSD装着
  • ディクセル製ブレーキパッド装着
  • 社外ステアリング・エアクリ導入
  • フルバケ(ブリッド)
  • 純正フルエアロ追加
  • ハイグリップタイヤ(NEOVA)装着

ここまで整備・カスタムして、ようやく「MR-S本来の走り」を味わえるようになりました。

MR-Sの良いところ(1年乗って感じた魅力)

  • 異次元のハンドリング性能:フロントが軽く、ノーズの入りは異常なほど鋭い。エボ10を1、981ボクスターを3とするならMR-Sは5。
  • 低い車高と着座位置:フルバケと組み合わせると挙動がダイレクトに伝わり、車と一体化できる感覚。
  • 軽量ボディの恩恵:出足が鋭く、ブレーキ性能も高い。峠での走りに強み。
  • オープンカーの爽快感:風と一体になれる開放感は大きな魅力。
  • コンパクトなサイズ:小柄なボディは峠でラインを有効に使え、最近の大型スポーツカーにはない強み。
  • 気兼ねなく全開にできるパワー感:公道で遠慮なく踏めるのはライトウェイトスポーツの魅力です。

MR-Sの悪いところ(オーナーが感じた欠点)

  • 高回転の伸びがない → スポーツ走行では物足りない
  • エグゾーストサウンドの快感が弱い
  • プッシュアンダーが強め → コーナー出口で顕著
  • 高速域でフロント接地感が薄れる → ボンネットにエアが溜まりやすい
  • ABS制御が古い → 段差で効きっぱなしになることがある

改善できるポイントとチューニングの方向性

  • エキマニ・触媒・マフラー交換+ECUチューニング → 高回転の伸び&サウンド改善
  • ダクト付きボンネットに交換 → 高速域でのフロント浮き改善

MR-Sの安全性と限界挙動について

  • 公道では安心:ハイグリップタイヤを履けば電子制御なしでも安定。危険な挙動は出ず、限界の高さを感じられる。
  • サーキットでは注意:ブレーキングでリア荷重を抜きすぎるとスピンしやすい → 運転技術が求められる。

SMT(シーケンシャルMT)仕様について

MR-Sには通常のMTのほかに「SMT(シーケンシャルMT)」も設定されていました。

  • クラッチペダルがなく、レバーやパドルで操作可能
  • AT限定免許でも運転できるメリットあり
  • ただし変速は遅く、スポーツ走行では物足りない
  • 発進時にギクシャクしやすい
  • 修理や調整が難しく、対応できるショップも少なめ
  • 中古相場はMTより安価だが、リスクを理解して選ぶ必要あり

結論として、操る楽しさを重視するならMT一択、街乗り主体ならSMTも検討可です。

中古相場の目安(2025年時点)

  • 前期型(5MT):80〜150万円
  • 後期型(6MT):120〜200万円(低走行は高値安定)
  • SMT仕様:50〜120万円前後(比較的安価だが状態に注意)
  • 極上車・カスタム済みはさらに高騰

まとめ:MR-Sは「軽さと楽しさ」を味わえる大人のオモチャ

MR-Sは快適性や高回転NAのサウンドを期待すると物足りないですが、軽量・低重心・オープンという唯一無二の魅力があります。

峠道では驚異的に楽しく、公道で気兼ねなくアクセル全開にできる希少なスポーツカーです。

中古価格は上昇していますが、メンテナンス状況を見極めれば、今でも「買って後悔しない車」だと断言できます。

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