先日、ホンダはかつての人気車種「シビック」の復活を発表しました。
ホンダ シビックと聞いてどんな車種か首をかしげる人は少ないのではないでしょうか。
それほど、シビックは日本国内ならず海外でも愛されている車なのです。
2011年に国内での販売を終了させていたシビックですが、実は海外では生産、販売が継続されていた車種でもあります。
それほど、海外でのシビックに対する評価や人気は高いのです。
新型シビックの発表によって改めて注目されているホンダ シビックとはどのような車なのでしょうか。
ホンダの代表格 シビックとは?
ホンダ シビックは現在10代目。
しかし、それは海外モデルの話で、意外にも日本国内では8代目で販売を終了させています。
初代シビックが誕生したのは1972年、イギリスのミニを意識した3ドアハッチバックスタイルが始まりでした。
発売当初から、ホンダはシビックを世界戦略の主要車種として投入し、見事成功を収めています。
また、シビックは1972年の発売から現在まで、車種名を変更せず最も長く販売し続けている車となっています。
初代シビック
この初代シビックでは5ドアセダンの追加、バンタイプの設定、1500㏄エンジンの搭載、1200㏄から1300㏄への排気量アップとさまざまな展開がおこなわれました。
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この戦法がアメリカでも当たり、北米市場でも大ヒットとなりました。
当時、ホンダが力を入れていた四輪事業のホンダ・1300(センサンビャク)が大ゴケしましたが、シビックはこの大損失を穴埋めしたと言われています。
また、トヨタ自動車や日産自動車のユーザーをホンダユーザーへと転換させたきっかけとなったのがシビックだとも言われています。
1970年から1980年代の自動車は、多くが3年でフルモデルチェンジをしていたのに対してシビックは異例の7年もの間生産されました。
2代目シビック
2代目シビックの登場は1979年。
初代シビックの世界的ヒットというプレッシャーを背負っての誕生でした。
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2代目シビックは通称「スーパーシビック」と呼ばれました。
2代目でもホンダは攻めの姿勢を変えず、ホンダ初となるステーションワゴンタイプを設定。
3ドアタイプや排気量設定などにコテ入れはせず、そのまま1300㏄と1500㏄での展開でしたが、シビック人気もあって「シビックレース」が開催されるほどにまで成長しました。
3代目シビック
1983年には二度目のフルモデルチェンジをおこない3代目となるシビックが誕生します。
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3代目シビックは通称「ワンダーシビック」と呼ばれ、このワンダーシビック以降、ホンダのグレード名称に用いられる「Si」グレードが採用されるようになりました。
それまで1300㏄と1500㏄で展開していた排気量にインテグラにも搭載されていた1600㏄を追加。
さらに3代目の改良に伴い、セミオートマチックからフルオートマチックへと変更されました。
また、ワンダーシビックにはこんな逸話も。
当時大流行していたトヨタAE86(トレノ・レビン)。
ボディの軽量さゆえに走りはかなり速く、人気の車種でしたが、このワンダーシビックはAE86の走りにも食らいつけるほど早かったのだとか。
その理由の一つに、AE86よりもワンダーシビックの車体重量のほうが100㎏以上軽かったことがあげられています。
ダークホースと言ったところでしょうか。
FF(フロントエンジンフロントドライブ)にもかかわらずAE86と張り合えるほど速かったシビック。
きっと乗っていたユーザーさんも多いのではないでしょうか。
4代目シビック
4代目シビックは1987年、通称「グランドシビック」と呼ばれ誕生しました。
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3代目でフルオートマチックへと改良されたシビックですが、マニュアルにおいても4速を廃止、すべてのグレードにおいて5速ミッションを採用しました。
この頃には、シビックが数々の大会で優勝することも多く、みんながみんなシビックに乗っているような時代でした。
あっちを見てもシビック、こっちを見てもシビック。
どこもかしこもシビック祭りでした。
グランドシビックはヒラメをイメージしてデザインされたことは有名ではないでしょうか?
個人的には「ん?ヒラメ?」となぜ海洋生物をモチーフにしたのかピンときませんが(笑)、とりあえずシビック人気は健在でした。
5代目シビック
5代目シビックになるとみなさん目にしたこともあるのではないでしょうか。
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通称「スポーツシビック」と呼ばれた人気モデルです。
このスポーツシビックはシビック史上最大のヒットを記録した車種でもあります。
シビックと言えばこのモデルをイメージする人も多いはずです。
シビックが5代目に至るまで、数回モデルチェンジを重ねましたが、シビックはコンセプトがブレることなくドボディサイズがコンパクトであることを一貫しています。
そして何よりも愛される理由となったのが「可もなく不可もない」車作りだと言われています。
可もなく不可もないと聞くとマイナスな感じがしますが、そこがシビックの最大の魅力だったりするわけです。
決して華やかではないけれども、それ以下でもない。
華美な車体にはいろいろ求めてしまうけれど、シビックは飽きが来ないから長く付き合えてしまう。
そんなふうに例えるユーザーも多かったそうです。
6代目シビック
6代目シビックは通称「ミラクルシビック」。
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なんだか聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなネーミングですね。
しかしながら、このミラクルシビックでは、シビック人気の分岐点ともいえる“あること”が行われたモデルでもあるのです。
それはみなさんご存知の「タイプR」グレードの追加でした。
初代から「RS」グレードや「Sir」グレードが設定されていましたが、6代目になるEK型から伝説ともいえる「タイプR」が誕生しました。
「タイプR」グレードとは、ホンダを代表するハイパフォーマンスカーであるNSXや、インテグラに設定されていたチューニンググレードのことです。
エンジンだけではなく足回りもタイプR専用という徹底したこだわりで、多くのファンを生みました。
7代目シビック
2000年になり、シビックも7代目へ突入。
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このモデルではこれまでのシビックボディとは少し離れたトールボディが採用され、印象をがらりと変えて登場しました。
7代目になってもシビックの人気は衰えることなく、カーオブザイヤーを受賞。
シビックがカーオブザイヤーを受賞したのはこれで4度目でした。
シビックは、日本国内だけにとどまらず、欧米市場でも大変人気が高く、この頃には欧州で製造されたシビックを逆輸入するようになっています。
誕生から30年、モデルチェンジをするたびにヒットを飛ばしてきたシビックも、2001年ホンダ フィットの誕生とともに販売台数が低迷します。
ホンダは新たな自社製品の誕生によって首を絞める形となりました(フィットが爆発的に売れたのでホンダ的には問題なかったのかもしれません)。
8代目最終モデルシビック
2005年、日本国内仕様としては最終モデルとなる8代目シビックが誕生しました。
“逆輸入”盤 シビックタイプRhttp://www.honda.co.jp
7代目販売当時から同ブランドであるフィットの販売台数が大幅にアップ、比例してシビックの販売台数を圧迫してきました。
シビックは発売当初から販売台数が落ち込む時期やコケたモデルがないまま進化し続けてきました。
フィットにスポーツテイストはさほどないものの、シビック同様、老若男女問わず愛される車格であったため、シビックからフィットへ流れてしまったユーザーも多かったように思います。
また、車体のハイトール化やセダンに注力したこと、排気量アップしてしまったことによって、離れていったユーザーも。
こうして2010年に、シビックの日本国内生産が終了しました。
日本国内での生産終了という言葉に違和感を持った人もいるかと思いますが、実は冒頭にも書いた通りシビックは海外では今でも生産されており、2016年まではタイプRモデルのみ“逆輸入”という形で存在していました。
シビックの主な販売国は、北米、南米、中国、韓国、香港、欧州と、意外にも多くの国で愛されています。
日本国内での販売終了から、さらに進化し続けているシビックは現在10代目。来年には11代目となる新型から日本での復活も決まっています。
一時はスポーツカーの衰退が著しく、各自動車メーカーでも生産終了に追い込まれた車種はおおくありますが、ここへきてスポーツカーの復活が注目されてきました。
新型NSX、ビートの後継車S660…。惜しくもシビックとともに生産終了してしまったインテグラ。名車ばかりですね。
さてそんなシビックの魅力とは?
ホンダ シビックのおすすめポイントは?
シビックの最大の魅力は「万人受けするスタイル」であったといえます。
一般ユーザーで走行性能を車選びの第一条件にする人は少ないでしょうから、FF(フロントエンジンフロントドライブ)であることにこだわりを持ってシビックを選んだという人はよほどのFFファンでしょう。
多くのスポーツカーがFR(フロントエンジンリアドライブ)であったのに対して、ホンダはFFにこだわり、FF最速の車両とうたわれる車両を生み出してきました。
また、他社の自動車メーカーが扱っていない二輪事業でもホンダブランドはトップを走り続けています。
特にタイプRに至っては、本当にその走りに惚れ込んだ熱烈なファンも多いいほど。
みなさんは2000年に公開された洋画「ワイルドスピード」をご存知ですか?シビック乗りならずとも、見ていてつい熱くなってしまう映画だと思います。
このワイルドスピードの中で、主人公のブライアンとドミニクが出会うきっかけとなった窃盗事件に使用されていたのがホンダ シビックでしたね。
当時のアメリカでは「スポコン(スポーツコンパクト」と呼ばれる車格のスポーツカーがブームだったため、シビックがピックアップされたようです。
街乗りで日常的に使いたい人、本格的なスポーツカーに乗りたいと思う人にもシビックはしっくりとくるくるまだったわけです。
シビックのマイナスポイントとは?
・・・難しい質問ですね。
しいて言うならばFR派には好かれなかった点でしょうか。
それ以外は、街乗りでもイケるし、スポーツチューニングをしてもイケる車でしたから、私以外の人間が評価をしても得点は高いはずです。
チューニングをするうえで、グリップ走行ではFFの中でもシビック タイプR、インテグラ タイプRともに最速であったことは間違いありませんが、ドリフト走行においてFFは向いていませんから愛車にする人は少なかったと思います。
そんなシビックの中古車相場とは?
紹介した通り、シビックはとても歴史の長い車ですから、中古車相場もさまざま。今回はみなさんが気になるモデルをピックアップしていきたいと思います!
絶対外せない?!スポーツシビック
1991年(平成3年)5.2万キロ・1600㏄・SirⅡ・5F・修復歴無し→159万円
1992年(平成4年)6.2万キロ・1600㏄・SirⅡ・5F・修復歴あり→130万円
1993年(平成5年)12.2万キロ・1600㏄・SirⅡ・5F・修復歴あり→95万円
平成初期のモデルとはいえ、これはかなり高額なのでは?
しかも修復歴車が多いのにもかかわらず、100万円を超える車両がほとんどです。
Sirグレードが多かったのでピックアップしてみましたが、この年式でこの価格…さすがシビックです。
タイプR初代モデル ミラクルシビック
1996年(平成8年)9.8万キロ・1600㏄・SirⅡ・5F・修復歴なし→110万円
1997年(平成9年)6.6万キロ・1300cc・EL・AT・修復歴なし→45万円
1997年(平成9年)9.8万キロ・1600㏄・タイプR・5F・修復歴なし→154万円
ミラクルシビックでもまだまだ現役価格ですね。
しかしながら、ポツンポツンと価格の安いものがあるのですが、よく見るとオートマ車だったり、ベースグレードだったりするわけです。
修復歴があっても、タイプRやSirはやはり高額ですね。
スマートシビック
2001年(平成13年)3.5万キロ・2000㏄・タイプR・6速MT・修復歴なし→155万円
2001年(平成13年)6.9万キロ・1500㏄・ⅰE・CVT・修復歴なし→30万円
2002年(平成14)1.2万キロ・1700㏄・RS・5速MT・修復歴なし→78万円
スマートシビックになると年式は新しいのですが、中古車価格はかなり手ごろ。
ミラクルシビックやスポーツシビックと比べても一目瞭然の結果になっています。
シビック日本国内生産最終モデル
2009年(平成21年)1.1万キロ・2000㏄・タイプR・6速MT・修復歴なし→332万円
2010年(平成22年)9.6万キロ・2000㏄・タイプRユーロ・6速MT・修復歴なし→139万円
2010年(平成22年)3.1万キロ・1300㏄・ハイブリッド・CVT・修復歴なし→100万円
2010年(平成22年)8.9万キロ・1800㏄・1.8G・CVT・修復歴なし→88万円
最終モデルともなると年式が新しいので価格もピンキリですが、タイプR以外は比較的手の届きやすい価格まで値下がりしています。
タイプRでも、走行距離の浅いものを除けば150万円前後のものも多く販売されています。
こうして見てみると、スポーツシビックの値段が異様に高額、プレミア化されていることがはっきりとわかりますね。それだけ、現存している中古車台数が少なく、手に入りにくいということなんでしょう。
日本国内でのシビックの販売は冒頭でも書いた通り、2010年に生産終了しています。
しかしながら、海外ではシビックは生き続けているのです。
今年に入り、ホンダはシビックの復活を発表しましたが、この新型シビックの誕生によってさらにスポーツシビックやワンダーシビック、ミラクルシビックなどの歴代シビックの中古車価格が高騰するのではないかと思っています。
新型シビックではボディ剛性などもさらに追及されているようですし、スポーツテイストの強い一台になることは間違いないでしょう。
2017年度中には販売が開始されるとささやかれている新型シビック。
その全貌とは…
新型シビックタイプR
新型シビックハッチバックhttp://www.honda.co.jp
これまでのホンダの技術を生かしたVTECエンジンはそのままに、さらにはディーゼルエンジンモデルも採用されている模様。
シビックフェリオから進化したセダンタイプも、かなり洗練された仕上がりになっています。
世間の注目はタイプRに集中していますが、ベースグレードも気になるところ。2017年の正式販売から目が離せないホンダ シビックについて紹介いたしました!
(ライター:中古車査定士ryo)
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