こんにちは!ドライブレコーダー専門家で開発にも携わっているLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
今回はiRecoの4つのモードの駐車監視のうち、VANTRUEのN5SやE360などのフラッグシップモデルとの最大の差別化ポイントと位置付けている、マイクロ波を用いたレーダー検知について解説します。
圧倒的な省電力性能
まず最大の特徴が、圧倒的な省電力性能です。
本モードでは、待機時の消費電力は0.2W以下。一般的なハイエンドドラレコの動体検知モードやタイムラプスモード(約6W)と比較すると、わずか約3%程度の電力で待機できます。
そして、車両周辺に人や物体の接近を検知した瞬間だけ、約2.5秒という高速レスポンスで本体を起動し、録画を開始します。
つまり、「普段はほとんど電力を使わずに待機し、必要な瞬間だけフル稼働する」という、バッテリーに非常に優しい仕組みになっています。
記録の“取り逃がし”を防げる可能性が高い
もうひとつ重要なのが、記録の“取り逃がし”を防げる点です。
一般的な省電力駐車監視では、Gセンサーによる衝撃検知をトリガーに録画が始まる方式が主流です。
しかしこの方式では、
- 実際に衝撃が発生
- Gセンサーが反応
- 本体が起動
- 録画開始
という流れになるため、どうしても衝撃から2秒〜数秒遅れて録画が始まるケースが多くなります。
その結果、
- イタズラの瞬間
- ドアパンチの直前
- 当て逃げの接触シーン
といった「最も重要な場面」が記録されないリスクが生じます。
一方、iRecoのレーダー検知は「接触する前の接近段階」で反応するため、トラブルの“前後”を含めて記録できる可能性が高くなります。
以下は、レーダー検知から衝撃検知への連続動作事例の動画です。
単なる省電力モードではなく、「省電力 × 高検知精度 × 証拠能力」を同時に成立させている点こそが、iRecoのレーダー駐車監視の本質と言えるでしょう。
レーダーでは完全にはカバーできないのが「ドアパンチ」
iRecoのレーダー検知モードは、省電力かつ高精度な駐車監視を実現していますが、すべてのケースを100%カバーできるわけではありません。
その代表例が、いわゆる「ドアパンチ」です。
レーダー検知モードでは、接近を検知してから約2.5秒後に録画を開始する仕組みになっているため、
- ドアが開いてぶつかる直前
- あるいは、ぶつかった直後
から録画が始まるケースが多くなります。
そのため、ドアが開く“瞬間”を確実に押さえたい場合には、レーダーを使わず、映像の変化で検知する「動体検知モード」を使う方が、より確実と言えます。
もっとも、iRecoのレーダー検知モードでも、周囲の動き次第ではドアパンチの瞬間を捉えられるケースもあり、決して「弱いモード」というわけではありません。
レーダー検知モードの基本動作
次に、iRecoのレーダー検知モードが、実際にどのような仕組みで録画しているのかを解説します。
本モードでは、最小の録画単位は30秒に設定されています。
そして、
- レーダーを検知 → 30秒録画
- その30秒間に再検知 → さらに30秒延長
という仕組みになっており、動体を検知し続けている間は、録画が自動的に延々と延長されます。
なお、最初の30秒間はほぼ確実に動体を検知し続けるため、実質的な最小録画時間は約1分と考えてよいでしょう。
ドアパンチは「理論上」こうして記録される
例えば、隣の車から降りてきた人がドアパンチをしてしまったケースを考えてみます。
- 隣の車が駐車枠に入ってくる動作をレーダーが検知
- 録画開始
- 車が停止
- その後、30~59秒以内にドアが開く
この流れであれば、理論上はドアが当たる瞬間まで録画される可能性があります。
つまり、
- 駐車場に入ってきてすぐドアを開くタイプ
- 降車が早い人
であれば、レーダーモードでも十分カバーできるケースが多いのです。
一方で、
- しばらく車内でスマホを見る
- エンジンを切ってから時間が経つ
といった場合は、録画が切れてしまう可能性もあります。
駐車環境に合わせて「最適解」を選ぶのが正解
このように、駐車場の環境や利用者の傾向によって、最適な監視モードは変わってきます。
例えば、
- ドアパンチが発生しそうな狭く、車の出入りが激しい商業施設の駐車場 → 動体検知モード
- 動きが少ない戸建てやマンション、勤務先などの駐車場 →レーダーモード
といった使い分けが考えられます。
※ iRecoは、画面の動きを検知する動体検知モードの感度が高く、検知の5秒前から録画されますし、録画の容量はレーダー検知モードで抑えることができますので、タイムラプスに関しては使用するシーンが限られると考えています。
ワンタップで切り替えできる柔軟な操作性
iRecoは、こうした「現場ごとの最適解」をユーザー自身が選べるように設計されています。
iRecoでは、駐車監視モードをトップメニューのアイコン操作だけで簡単に切り替え可能です。
画面上で、
- R(レーダー)→ M(動体検知)→ T(タイムラプス)→ ✕(駐車監視オフ)
と、タップ操作で直感的に変更できます。
その日の駐車環境に合わせてサッと切り替えられる点も、iRecoならではの実用的な強みと言えるでしょう。
レーダーの検知範囲と検知精度について
レーダーの検知範囲と検知精度については、iRecoの開発において、今回もっとも苦労したポイントのひとつと言っても過言ではありません。
理論上は優れた方式であっても、実際の車内環境では思い通りに動かないケースも多く、調整にはかなりの時間を要しました。
まず、レーダーの基本的な照射イメージは、以下のようになります。
レーダーモジュールの基本仕様
iRecoのレーダーオプションは、前後にレーダーモジュールを搭載しています。
1つのモジュールあたりの仕様は、以下の通りです。
- 照射範囲:水平 約120° × 垂直 約30°
- 最大検知距離:約5m前後
この構成により、車両の前後方向を中心に、比較的広い範囲の接近を検知できる設計になっています。
また、水平120°から外れる範囲についても、車内で反射したマイクロ波を利用することで、ある程度カバーしています。
これにより、理論上はドア付近や斜め方向の至近距離では反応しやすくなっています。
10アクアでのテストケース
実際のレーダー検知の動作イメージは、概ね以下のようになります。
前後のレーダーモジュールから照射されたマイクロ波が、車両周辺の動体を検知して録画を開始します。
ただし、この検知範囲や精度は、車両の形状・サイズ・ガラス形状・内装レイアウトなどの影響を大きく受けます。
そのため、すべての車種で同じような検知性能になるわけではありません。
こちらでテストした車両では、アクアは上の画像の通り、GLC(4,720×1,890mm)は後方もそれほど検知精度は下がりませんでした。
実質的には、フロント・リア・サイドガラスを通らない経路については、車内での反射に頼ってカバーする形になります。
しかしマイクロ波は貫通力がほぼないため、反射頼みになるエリアではどうしても精度が落ちます。
30アルファ―ドでのテストケース
特にミニバンでは、
- 車内空間が広い
- 後席ヘッドレストや内装の遮蔽物が多い
- リアガラスまでの距離が長い
といった要因が重なり、車両後方1/3程度のエリアで検知精度が極端に下がる傾向があります。
この点は、レーダー方式の構造上の特性として理解しておく必要があります。
こちらが、前方から30系アルファードの室内を撮影した画像です。
見ての通り、後席のヘッドレストやシートに遮られ、電波が通過できるガラス面がほとんど見えない構造になっています。
このような車内レイアウトでは、後方エリアは反射頼みになりやすく、レーダー検知の精度が低下しやすい傾向があります。
当初は、OPレーダー(レーダーモジュール)を1台追加するだけで、ミニバンの後方エリアまでカバーできる想定でした。
しかし実車検証を進める中で、ミニバンは後席周りの遮蔽物が多く、車内での反射頼みになる領域が増えるため、後方の検知精度が想定以上に低いことが分かりました。
そこでiRecoでは、後方検知を補強するために、後方用としてレーダーをもう1台追加できるようにするOPケーブルもあわせて開発することにしました。
※以下はハンドメイドのサンプルです。(こちらは1ヶ月遅れの5月の発売予定になります。)
レーダーの2台設置は、
- ミニバンや全長5m級の大型車で、後方の検知精度を高めたい場合
- 車種を問わず、後方エリアの検知精度を底上げしたい場合
- 前向き駐車時の、後方からの当て逃げ対策を重視したい場合
といったニーズに対応するための選択肢として設定しています。
車両サイズや駐車環境に合わせて、より確実な駐車監視を行いたい方に向けた、実用性重視の拡張構成です。
レーダーユニットの設置位置について
レーダーユニットは前述の通り、車両の内外装構造の影響を大きく受けるため、感度を最優先する場合の理想的な設置位置は、ルームミラー直下になります。
この位置であれば、フロントガラス越しに前方・斜め方向を効率よくカバーでき、遮蔽物の影響も最小限に抑えられます。
車内の見た目を重視したい場合には、フロントガラスと天井の境目付近に設置する方法もあります。
この位置であれば、視界や内装デザインへの影響を抑えつつ、実用上十分な検知性能を確保できるケースが多いと思います、
まとめ
iRecoのレーダー検知型駐車監視は、0.2W以下という圧倒的な省電力性能と、高速起動による高い証拠能力を両立した、実用性重視の監視方式です。
一方で、マイクロ波は内装やシートをほぼ貫通できないため、車種や車内構造によって検知精度に差が出るという特性もあります。
特にミニバンでは、後方エリアの検知精度が低下しやすい傾向があります。
そのため、設置位置の工夫や感度調整、必要に応じたレーダー2台構成など、車両環境に合わせた最適化が重要になります。
また、ドアパンチ対策を重視する場合は動体検知モードとの使い分けが有効です。
iRecoは、こうした特性を理解したうえで柔軟に設定を切り替えられる設計となっており、駐車環境に合わせて“最適解”を選べる点が最大の強みと考えています。










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