こんにちは!ドライブレコーダー専門家で開発にも携わっているLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
iRecoの設計思想は、単なる高画質を追求することではありません。
必要十分なナンバー認識精度、全方位の状況を可能な限り捉える広範囲録画、そして、夜間でも周囲の状況をしっかり記録できる撮影性能と、駐車監視時における高い暗視能力。
「見えること」「残せること」「役に立つこと」を最優先に、実用性を徹底的に追求して開発しています。
今回は、iRecoの画質チェック企画の一環として、夜間画質のクオリティを、VANTRUEのE360と比較検証しました。
近年のドライブレコーダー市場では、ハイエンドモデルを中心に、夜間撮影性能を重視したSONY製「STARVIS2」センサーの採用が主流となっています。
夜間のナンバー認識や周囲の視認性を左右する重要な要素であり、画質にこだわるメーカーほど、このセンサーを積極的に採用する傾向があります。
まず、iRecoのセンサー構成は以下の通りです。
- フロント:4K(IMX678/約800万画素)
- インナー:フルHD(IMX662/約200万画素)
- リア:フルHD(IMX662/約200万画素)
フルハイビジョン対応のIMX662を搭載したモデルは、現在では多くのメーカーから販売されています。
しかし、4K対応かつ360°レンズ構成でこのセンサー構成を採用しているモデルは、私の知る限り現時点では存在していません。
また、ここ数年の日本メーカーは、コスト重視の方向へシフトしており、SONY製センサーではなく、OmniVisionなどの海外製センサーへ切り替える動きも目立つようになってきました。
その点、iRecoは完全にコスト度外視というわけではありませんが、性能と実用性を最優先に考えた結果、このセンサー構成を選択しています。
次に、実際の夜間映像をもとに、iRecoとE360の違いを詳しく検証していきます。
夜間の市街地での見え方
近年のSTARVIS2センサー搭載モデルは、レンズやISP(映像処理エンジン)の選択、そしてチューニング思想さえ大きく間違えなければ、市街地では十分すぎるほど明るい映像を記録できるようになっています。
そのため、iRecoでは「市街地での絶対的な明るさ」そのものは、あえて重視していません。
それよりも私がこだわったのは、街灯やネオンの陰になる部分を、どこまで暗く潰さずに残せるかという点です。
実際の事故映像では、強い光源の周囲だけが明るく、肝心の周辺部分が黒く潰れてしまうケースも少なくありません。
iRecoでは、そうした状況でも情報量をできるだけ失わないよう、細かく調整を重ねてきました。
また、iRecoには専用の再生ソフト「iRecoビュワー」を用意しています。
このビュワーでは、明るさとコントラスト(実際にはガンマ値)をユーザー側で調整することが可能です。
映像の見え方は、視聴環境や用途によって最適解が異なります。
iRecoでは、録画時のチューニングだけでなく、「あとから自分好みに調整できる余地」も含めて、実用性を重視した設計としています。
フロントカメラ
フロントカメラについては、明るい市街地、街灯の少ない暗い夜道、そして停車時にヘッドライトを消灯した状態での暗視性能まで、幅広い条件で比較を行いました。
実際の使用環境をできるだけ忠実に再現し、「明るい場所だけでなく、最も厳しい条件下でも実用性を維持できるか」という視点で検証しています。
このように、日常走行から非常時に近い状況までカバーした評価である点も、今回の比較の特徴のひとつです。
明るい市街地での映像比較
フロントカメラの明るさや黒つぶれ耐性については、すでにE360も非常に高いレベルに達しています。
さらに、専用ビュワーでの調整によって映像の見え方は大きく変わるため、単純な数値比較や一発勝負の比較は難しいのが実情です。
そのため今回は、説明用に同一シーンを切り出し、それぞれのビュワーで「最大限パフォーマンスを引き出した状態」に調整したうえで比較しています。
いわば、「素の状態」ではなく、実用上もっとも見やすくなる設定に追い込んだ状態での比較です。
例えば、次のシーンをご覧ください。
画面内の黄色の〇で囲った部分が、街灯の影響を受けて陰になっているのがお分かりいただけると思います。
このような条件の厳しい場面で、どこまで情報を残せているかが、夜間画質の本当の実力と言えます。
ここで仮に、この黒く沈んでいる部分に、事故の原因になり得るもの――例えば動物や自転車などが潜んでいたと想定してみます。
実際の事故では、「見えていなかった」こと自体がリスクになります。
そのため今回は、この暗部をどこまで引き出せるかに注目しました。
そこで、この黒い部分を最大限に明るくすることだけを目的として、それぞれの専用ビュワーで、白飛びをあえて気にせずに画質を追い込んだ状態が、以下の画像になります。
いわば「実用限界まで持ち上げた状態」での比較です。
今回の条件で比較した限りでは、両者の間に「誰が見ても分かるほどの明確な差」があるとは言えませんでした。
ただし、このレベルに到達している時点で、一般的な他社製ドライブレコーダーと比べれば、圧倒的に高い夜間性能であることは間違いありません。
また、実用面で大きな違いを感じたのが、専用ビュワーの使い勝手です。
iReco Viewerでは、動画を一時停止した状態でも、明るさやガンマの調整が可能です。
気になるシーンを止めて、じっくり確認しながら追い込める点は、大きなメリットと言えるでしょう。
【iReco Viewer】
一方で、VANTRUE Viewerでは、再生中でなければ画質調整ができません。(少なくとも、私の使用環境ではそのような挙動でした)
【VANTRUE Viewer】
細かい部分ではありますが、事故検証や映像確認を重視するユーザーにとっては、こうした操作性の違いも、意外と重要なポイントになると考えています。
暗視能力の比較
なお、暗視性能の検証にあたっては、それぞれの専用ビュワーの調整幅を最大限に活用し、ヘッドライト点灯状態から消灯状態(一番近い街灯まで50m程度)まで想定して設定を切り替えています。
単なる市街地走行レベルではなく、街灯もほとんどない状況や、郊外・山間部などの実使用環境を想定した条件で比較している、ということです。
そのため、今回の評価は「明るい夜道だけを基準にしたもの」ではなく、最も厳しい条件下でどこまで実用性を維持できるかという視点で行っています。
ヘッドライト点灯時の比較では、照射範囲そのものについては大きな差は見られませんでした。(ヘッドライトの照射範囲がが白飛びし過ぎない程度で調整)
ただし、ヘッドライトの照射外、つまり光が直接当たっていない周辺部の明るさについては、iRecoのほうが若干明るく残る傾向が確認できました。
この差は劇的なものではありませんが、暗部の階調をどれだけ持ち上げるかというチューニング思想の違いが、わずかに表れている部分と言えるでしょう。
市街地では体感しにくい差かもしれませんが、郊外や街灯の少ない環境では、この「わずかな差」が安心感につながる可能性もあります。
ちなみに、両モデルとも暗視前提で明るさを最大限まで引き上げた場合、見え方は以下のようになります。
【iReco】

ここまで割り切って調整すると、正直なところ、両者の差はごくわずかなものになります。
センサー性能・ISP処理・ソフトウェアの完成度が、いずれも高いレベルにある証拠とも言えるでしょう。
ただし、その中でもiRecoは、「ここまで追い込んだ状態でも、できるだけ破綻しないこと」を前提に、細部まで調整を重ねてきた製品です。
数値スペックだけでは伝わらない部分ですが、こうした地味で手間のかかるチューニングの積み重ねこそが、実際の安心感につながります。
今回の比較を通じて、iRecoが画質に対してどれほどこだわって開発されてきた製品なのか、少しでもご理解いただければ幸いです。
次にヘッドライトを消灯した際の見え方の比較です。
こちらについても、差はあくまで微々たるものではありますが、全体として見ると、iRecoのほうがわずかに明るく表示されていることが、お分かりいただけるかと思います。
劇的な違いではありませんが、暗部の持ち上げ方や階調の残し方といった部分に、チューニングの積み重ねが反映されている印象です。
こうした「気づく人には分かるレベル」の差こそが、長時間使ったときの満足度や安心感につながってくる部分でもあります。
なお、暗視レベルまで明るさを引き上げたシーンでは、両モデルとも画面上にノイズが発生します。
これは製品の完成度や品質の問題ではなく、センサー構造上、どうしても避けられない現象です。
極端に暗い環境では、わずかな光を無理に増幅して映像化するため、どうしてもノイズも同時に強調されてしまいます。
これは、どのメーカー・どの機種でも共通する物理的な限界と言えます。
むしろ重要なのは、「ノイズが出るかどうか」ではなく、「ノイズが出た状態でも、どこまで情報を残せているか」です。
その点においても、iRecoは実用性を重視したチューニングが施されていることが、今回の比較からも確認できました。
リアカメラ
リアカメラについても、フロントカメラと同様に、夜間の明るさや暗部の黒つぶれ具合に加えて、後続車のヘッドライトの絞り込み性能についても比較しています。
強い光源が映り込んだ際に、どこまで白飛びを抑えられるかは、リアカメラの重要な評価ポイントのひとつです。
ただし、ドライブレコーダーはデジタルインナーミラーとは異なり、後続車のヘッドライトが多少潰れて見えたとしても、実用上、大きな問題になるケースはそれほど多くありません。
あくまで「補足的な評価項目」として、参考程度にご覧いただければと思います。
本質的に重視すべきなのは、やはり暗部の情報量や全体の視認性であり、その点を中心に評価しています。
明るい市街地での映像比較
なお、VANTRUEのViewerは静止画状態で明るさ調整ができない仕様のため、両モデルの白飛び具合を完全に同一条件で揃えることができませんでした。
そのため、参考資料として、白飛びをあえて気にせず、明るさを最大まで引き上げた状態での比較画像も、あわせて掲載しています。
あくまで「暗部の持ち上がり方を見るための補足比較」ではありますが、チューニングの方向性や限界性能を把握するうえでは、十分に参考になるデータと言えるでしょう。
暗視能力の比較
暗視能力の比較についても、できる限り条件を揃えるため、白飛びをあえて考慮せず、明るさを最大まで引き上げた設定での静止画も掲載しています。
通常使用ではここまで極端な調整を行うことは少ないと思いますが、センサーとISPの限界性能を確認するという意味では、有効な比較方法です。
いわば「理論上どこまで持ち上がるのか」を見るための参考データとして、ご覧いただければと思います。
こちらの画像比較では、差はわずかではありますが、全体として見ると、iRecoのほうが若干明るく表示されていることが、お分かりいただけるかと思います。
暗部の持ち上げ方や階調の残し方といった部分に、これまで積み重ねてきたチューニングの違いが、わずかに表れている印象です。
街灯が数十メートル先にあるような環境では、両モデルの間に有意な差は認められませんでした。
この条件下では、どちらも十分すぎるほどの明るさを確保できており、実用面で優劣を感じるレベルではありません。
ただし、一般的な日本メーカー製ドライブレコーダーと比較すると、暗部の持ち上がり方や情報量の多さは明らかに別次元であることが、お分かりいただけると思います。
ハイエンドモデルならではの夜間性能が、はっきりと表れているポイントと言えるでしょう。
後続車のヘッドライトの絞り
後続車のヘッドライトに対する絞り込み性能については、今回の比較では、明らかにiRecoのほうがより適切に制御できていることが確認できました。
強い光源が入り込んだ際でも、白飛びを抑えつつ、周囲の情報量をできるだけ失わないバランスが取れている印象です。
先ほども触れた通り、ドライブレコーダーとしては必須条件ではありませんが、こうした部分まできちんと作り込まれている点は、製品としての完成度の高さを示していると言えるでしょう。
インナーカメラ
夜間のインナーカメラについては、市街地で明るく映るのは、もはや当たり前の時代になっています。
街灯や周囲の光源がある環境では、現在のSTARVIS2世代センサーであれば、大きな差は出にくいからです。
本当に重要なのは、街灯の少ない夜道や、駐車監視を想定してヘッドライトを消した状態で、どこまで実用的な映像を残せるかという点です。
こうした環境では、車内に入る光量が極端に少なくなるため、センサー性能だけでなく、ISPの処理やチューニング思想が、そのまま画質に反映されます。
ただし、暗所の明るさだけを極端に追求すると、今度は別の問題が発生します。
それは、昼間や逆光時に外の景色が白飛びしやすくなることです。
これは性能不足ではなく、限られたダイナミックレンジの中で、「暗部を優先するか」「明部を優先するか」という設計上のトレードオフによるものです。
暗所を重視すればするほど、明るいシーンでの余裕は減っていきます。
結果として、昼間の映像で白飛びが発生しやすくなるケースも出てきます。
iRecoでは、夜間性能だけに振り切るのではなく、昼夜を通して安定した視認性を確保することを重視した、バランス型のチューニングを採用しています。
暗い夜道でも情報をできるだけ残しつつ、昼間の映像も破綻させない――。
この「当たり前だけれど、実現するのが難しいバランス」にこだわって調整を重ねてきたのが、iRecoの画質設計思想です。
明るい市街地での映像比較
夜間の市街地における明るさについては、両モデルとも十分すぎる性能を備えており、あえて詳しく解説する必要を感じないレベルに達しています。
そのため、この部分についての細かい説明は、今回は割愛します。
ただし、現在でもなお、日本の大手メーカーには市街地走行でさえ暗く感じる製品が存在するのも事実です。
他社製品を検討されている方は、この点には十分注意して選ぶことをおすすめします。
夜間性能は、スペック表だけでは分かりにくい部分だからこそ、実際の映像や信頼できるレビューを参考にすることが重要です。
暗視能力の比較
構造上、外光を取り込みにくく、光量が極端に不足しやすいため、どれだけセンサー性能が高くても、チューニング次第で結果に大きな差が出ます。
LaBoon!!では、できる限りシビアな条件で実力を見極めるため、毎回「罰ゲームのような環境」とも言える状況でテストを実施してきました。
今回も例外ではなく、これまでのレビューと同様の厳しい環境下にて、iRecoとE360の両モデルを比較検証しています。
こちらもできる限り条件を揃えるため、白飛びをあえて考慮せず、明るさを最大まで引き上げた設定での静止画も掲載しています。
こちらについても、E360は一般的なモデルと比べると非常に高いレベルにあるため、劇的な差が出るわけではありません。
ただし、並べて比較すると、一目で分かる程度には、iRecoのほうが明るく表示されていることが確認できます。
大きな優劣というよりも、暗部の持ち上げ方や階調の残し方において、iRecoのチューニングが一歩踏み込んでいる印象です。
こうした細かな差の積み重ねが、実使用時の安心感につながっていくと考えています。
まとめ
今回の検証では、iRecoとE360はいずれも、現行ハイエンドクラスにふさわしい非常に高い夜間性能を備えていることが確認できました。
市街地では大きな差はなく、どちらも十分すぎる明るさを確保しています。
一方で、街灯の少ない夜道や暗視環境といった厳しい条件では、iRecoのほうが暗部の情報量をわずかに多く残せており、チューニングの積み重ねが感じられる結果となりました。
また、一時停止状態でも細かく調整できるiReco Viewerの使い勝手や、リアカメラのヘッドライト制御など、実用面での完成度の高さも印象的です。
派手なスペック競争ではなく、「見えること」「残せること」「実際に役に立つこと」を重視して作り込まれている点こそが、iReco最大の強みだと感じています。
夜間性能や駐車監視性能を重視する方にとって、iRecoは非常に信頼性の高い選択肢のひとつと言えるでしょう。



















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