※2025年5月25日更新:MDR-A002Aとのスマートミラー画質の比較結果を追記
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
ここ6~7年の間に中華製から始まったスマートミラーですが、徐々に国内メーカーにも波及し、これまでにコムテック・セルスター・ケンウッドなどの大手メーカーが自社製品を展開していますが、2024年12月にはパイオニアから2.5Kの高解像度に対応したスマートミラー「VREC-MS700D」が発売されています。
2024年発表の同社ドライブレコーダーを見る限り、従来機種から大幅な画質の向上がはかられているように見受けられますので、4~5月のレビューを前提に「VREC-MS700D」の特徴を見て行きます。
「VREC-MS700D」のスペックと特徴
「VREC-MS700D」のスペックは以下の表の通りです。
VREC-MS700D |
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11型IPS液晶 |
拡大倍率1~3倍 |
フロント:2560×1440/27.5fps リア:2560×1440/27.5fps |
LED信号対応 |
レンズ視野角 フロント:水平134° リア:水平134° |
リアカメラケーブル9m |
microSD付属32GB/最大256GB |
GPS内蔵 |
駐車監視モード |
衝撃検知の前後20秒/自動起動 |
専用ケーブル RD-DR003 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
視野角と拡大倍率
「2560×1440」の録画解像度以外の部分では、リアカメラの水平130°台の視野角などの面でコムテックの「ZDR048」、ケンウッドの「DRV-EM4800」によく似た仕様となっています。
一方でリアカメラ映像の拡大倍率については、前述の2社が1~1.5倍までとなっているのに対して、「VREC-MS700D」では最大3倍までの拡大に対応しています。
私個人的な感覚では、水平130°を超えるようなモデルの場合、1.5倍までズームしても、水平80~90°相当までしか拡大できず、物理ミラーと同等の距離感まで拡大する為には3倍程度のズームが必要と感じていましたので、これは他社に対する大きなアドバンテージなるかと思います。
一方で3倍まで拡大する事のデメリットですが、面積では3×3=9倍に拡大される事になります。
因みに他社の1.5倍拡大の場合には面積では2.25倍です。
他社と比べると、面積では9÷2.25=4倍大きく表示される事になります。
また、有効画素数では「VREC-MS700D」が368万画素、他社は207万画素ですので、368÷207=1.78倍です。
従って他社と比較すると面積比では4倍大きく表示されるが、一定面積当たりの画素数は1.78倍しかない為、3倍まで拡大した時には粗さがかなり目立つ可能性があります。
※これは気になるかどうかの感じ方の問題かと思いますが。
高解像度にした事による弊害
高画質なスマートミラーとそうではないスマートミラーは、以下のシチュエーションで見え方に顕著な差が出ます。
「VREC-MS700D」はSTARVIS 2対応のイメージセンサーを採用しているとの事ですので、おそらく500万画素のIMX675辺りが使用されていると思われますが、STARVIS 2になり、いくら性能が向上しているとは言え、上述の要素に関しては1~2世代前の200万画素センサーのレベルに達していない可能性もあります。
これはチューニング技術も大きく影響する部分ですので、現段階では何とも言えません。
付属品とデザインについて
今回は「VREC-MS700D」を購入し、実機レビューを行いました。
セット内容については以下の通りです。
・フロントカメラ
・車内専用リアカメラ
・フロントカメラ接続ケーブル(0.8m)
・リアカメラ接続ケーブル(9m)
・Type C シガー電源ケーブル
・32GBのmicroSD
・ゴムバンド2セット
・取扱説明書
ミラー型筐体
ミラー型筐体のデザインは一般的な11型の中華メーカーのものとさほど変わりません。
背面上部はNEOTOKYO式のコネクタを隠す構造です。
※コムテックの「ZDR048」もこの方式を採用しています。
本体下部には1ボタンと、microSDスロット、このボタンでディスプレイのON/OFF操作を行います。
上部にはType C電源端子、フロントカメラ入力端子、リアカメラ入力端子が配置されています。
GPSは外付けではなく内蔵タイプとなっています。
フロントカメラ・リアカメラ
フロントカメラ・リアカメラはこのようなガラス貼付け専用タイプで、前後に首振りが可能です。
フロントカメラ接続ケーブルは0.8m、リアカメラ接続ケーブルは9mで、いずれも両側が4極プラグです。
電源ケーブル
電源ケーブルはこちらのType Cコネクタタイプが付属します。
取付けについて
10系アクアに「VREC-MS700D」の取付を行いました。(画質の比較の為に「ZDR048」の下に吊り下げ)
リアカメラ中継ケーブルが9mと充分な長さですので、ミニバンなどでも配線を下から這わせる事が出来るでしょう。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。

インターフェイスについて
「VREC-MS700D」の電源ONからの起動時間は9秒程度と、一般的なスマートミラーとしては若干遅めです。
画面に表示されている情報は、カレンダーと速度となっています。(設定で消す項目はない)
録画アイコンはディスプレイをタッチしてホーム画面を呼び出すと表示されます。
ハードウェアの見た目とセットの構成は、コムテックの「ZDR048」とそっくりですが、「ZDR048」は物理ボタンでの操作となり、操作性に難アリです。
一方で「VREC-MS700D」は、一般的な中華スマートミラーと同様にタッチパネル操作となっていますので、操作性の面では問題ありません。
バックカメラ機能について
一般的な中華スマートミラーは、バック信号線を取る事でバックギアに連動して映像を下方向に自動で切り替え、ガイド線を出すことが出来ますが、本製品にはこの機能はありません。(大手日本メーカーの製品はバックカメラ機能はない事が多い)
スマートミラーとしての画質の比較
後日、10系アクアでコムテックの「ZDR048」、30系アルファードでMAXWINの「MDR-A002A」と比較。
視野角と後続車両との距離感
「VREC-MS700D」、「ZDR048」とも視野角を調整出来るモデルですが、拡大倍率1倍の状態ではこれら2機種は概ね同等の視野角でした。
「ZDR048」は1.5倍まで、「VREC-MS700D」は3倍までの拡大表示が可能で、3倍だと平面鏡と同じ様な見え方になります。
3倍まで拡大すると画像の粗さが気になりそうですが、これは個人差があるものの、私は慣れてしまえば全く気になりません。
なお、「MDR-A002」も同様に3倍までの拡大が可能ですが、こちらはリアカメラが200万画素相当ですので、粗さが気にならないのは1.5~2.0倍までで3倍まで拡大すると粗さが気になります。
以下、いずれも3倍に拡大した映像です。
映像の滑らかさ
映像の滑らかさについては、一般的な27.5fpsモデルと言う事で可もなく、不可もなくと言ったところです。
画面の明るさ、反射のしにくさ
画面の明るさについては、おそらく「ZDR048」と同等なのかと思われますが、ディスプレイ側の映像補正が昼間でも露出を上げるような調整となっているようで、「VREC-MS700D」の方が明るく感じます。
反射への強さは明確な差は感じられませんでしたが、若干「VREC-MS700D」の方が上のように思います。
「MDR-A002A」との比較においては、体感が出来る程度の差は認められませんでした。
昼間の逆光補正
昼間の逆光補正については、トンネル内で「VREC-MS700D」の方がやや白飛びの範囲が広がるタイミングがありますが、実用上の問題はないレベルかと思います。
夜間のヘッドライトの防眩効果
夜間のヘッドライトの防眩効果については、「ZDR048」よりもヘッドライト周りの白飛びが強い為、正直なところ見にくく感じました。(ディスプレイをHDR補正を入れたカメラで撮影していますが、私の感覚的には肉眼の映像も以下画像イメージに近いものとなります)
因みに「ZDR048」はもう少し防眩能力が高かったと記憶しているのですが、今回はアルファードではなく、アクアのこの位置にカメラを取り付けた事が白飛びが強く出た原因かも知れません。
後日アルファードてもテストを行いますが、セダンやクーペの場合にはリアガラスの高さが低くなる為、「VREC-MS700D」は選ばない方が良いかも知れません。
30系アルファードでの「MDR-A002A」との比較結果では、「VREC-MS700D」の眩しさがより際立つ結果となりました。
撮影側のカメラの設定は前回を変えておらずHDR補正が入っていますが、今回は実際の見え方以上に白飛びが強く出ていますので、スマホのカメラで撮影した画像も掲載します。
「VREC-MS700D」は高感度ノイズを出しながら無理に明るく見せていますが、「MDR-A002A」と比べると、「MDR-A002A」の防眩能力と明るさのバランスがより際立つ結果となりました。
夜間の市街地での明るさ
夜間の市街地での明るさは申し分のないレベルです…
が、光源が眩しく感じるシチュエーションもあります。
これはディスプレイ側のチューニングで明るくし過ぎなんじゃ…?
※ドラレコ映像はそんなに明るくないんです。
「MDR-A002A」との比較で改めて感じたのが、「VREC-MS700D」は夜間のモニター照度も高過ぎると言う点です。
カーナビでも夜間はダークモードに切り替わるように、夜間のモニターの過度な明るさは逆に危険だと感じます。
暗い場所での明るさ
ディスプレイ側が爆光チューニングとなっている事から、暗所ではかなり明るいです。
「MDR-A002A」と比較して気が付いたのですが、「VREC-MS700D」は夜間もモニターの輝度が高い事から、モニター自体は明るく映っています。
ただし、全体的に白くなるだけで周囲の状況が判別出来ていません。
「MDR-A002A」は、3年近く前にローンチされた60fps対応の製品です。
明るさやダイナミックレンジの面では、解像度を上げる事でも不利になりますが、60fpsにフレームレートを上げると単純に露光時間が27.5fpsの半分以下になる事から、「VREC-MS700D」よりも技術的には遥かに高度な事をやっています。
従って性能面ではまだまだ「MDR-A002A」は第一級である事が改めて確認出来ました。

ドライブレコーダーとしての画質について
ドライブレコーダー画質は、以下のポイントについてコムテック「ZDR048」と前後カメラを比較しました。
・逆光補正能力
・ナンバー読み取り精度
・夜間の明るさ
録画視野角について
「VREC-MS700D」の録画視野角は前後カメラとも仕様表記通り、ドラレコとしては最大クラスです。
逆光補正能力について
逆光補正能力については、強いHDR補正の効果で非常に高めとなっており、白飛び・黒潰れを高い精度で抑えられています。
※「ZDR048」と比べると広範囲に画面が白くなるシチュエーションがある
【後】
ナンバー読み取り精度について
「VREC-MS700D」前後カメラとも2.5Kの高解像度ですが、HDR補正がきつい上にビットレートが低い関係でナンバー認識制度はフルハイビジョンの最低ランクの「HDR048」に毛が生えた程度です。
【後】
静止画の1画素辺りのデータサイズは、「VREC-MS700D」は0.163、「ZDR048」は0.210ですので、高解像度を活かせていない印象です。
夜間のヘッドライトが反射したナンバー認識精度についても、薄い白飛びが広がり易く、むしろ「ZDR048」の方が高いと言う結果です。
夜間の明るさについて
ネオンや街灯が多い市街地ではフロントカメラ・リアカメラとも、現行のドラレコとしては明るい部類に入ります。
街灯が少ない暗い場所でも同様ですが、リアカメラについては照度が一定値以下になると、「ZDR048」未満の明るさになります。
【前】
※「ZDR048」はOmnivision製のセンサーですので、フルハイビジョンクラスのドラレコの中では暗視能力はそれほど高い方ではありません。
動画ファイルの再生方法について
「VREC-MS700D」の動画の再生については、ミラー液晶、PCの汎用ビュワーでのテストを行いました。
※専用のPCビュワーはありません。
ミラー液晶での再生について
ミラー液晶での再生については、前後カメラ分の同時再生は出来ませんが、一般的なドラレコに比べると大画面ですので、非常に見易くなっています。
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」での再生も可能でした。
フレームレートとLED信号の映り方について
「VREC-MS700D」のフロント・リアカメラのフレームレートは27fpsですので、西日本・東日本の何れにおいても高速点滅して映るでしょう。

駐車監の仕様について
「VREC-MS700D」の駐車監視については内容が濃いので後日別途専用ベージを作り、こちらで解説します。
■「VREC-MS700D」の駐車監視の仕組みと使い方について解説
地デジへのノイズの影響について
地デジへのノイズの影響は、アルファード+サイバーナビの組み合わせでは確認出来ませんでした。
ラジオへの干渉も確認できませんでしたが、ノイズ干渉に関しては車種やカーナビ、アンテナの位置により影響が出る場合もありますので結果は参考程度に捉えて下さい。

「VREC-MS700D」の総評
最後に「VREC-MS700D」の総評ですが、ドラレコ機能の面では2.5Kの高解像度がセールスポイントですが、解像度なりのナンバー認識精度はなく、ごく普通の無難なスタンダードなドラレコと言う印象です。
デジタルミラー機能はコムテックの「ZDR048」、MAXWINの「MDR-A002A」と比較した結果、夜間のモニターの眩しさが問題であると感じています。
個人的には「ZDR048」と入れ替えて自己使用を検討していましたが、夜間のモニターの見え方が良くない為、現状維持とします。
コメント
セカンドカーとして中古の日産サクラを購入したので、そろそろ新型が発売されそうなコムテック「ZDR048」と、今回の「VREC-MS700D」と悩んだのですが、セカンドカーに付けるには少々高いかなと「ZDR048」を取り付けました。
他製品も考えたのですが、GPSユニットが別体なのは嫌だったのもありますが。
タッチパネルじゃないので確かに操作性は悪いのですが、一度設定してしまえば普段はあまり操作しないので良いかな、と(実際そうなのですが)。
「ZDR048」も画質が良いので安心しました。
「ZDR048」もそれほど古い機種ではないですし、操作性を除けばまだ最新モデルと変わらない画質かと思います。