※2025年4月22日更新:実機レビューを追記
こんにちは!ドライブレコーダー専門家でLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
このところ、日本メーカーの2カメラドライブレコーダーは各社ともこなれた価格でそこそこ高画質な製品に集約されているように見受けられ、モデル更新のスパンも長くなっています。
2024年12月に発売されたパイオニアの「VREC-DZ810D」については、この流れの中では珍しく、フロントカメラの録画解像度を4Kとしてナンバー認識精度を向上させたハイエンドな高解像度モデルとなっているようです。
「VREC-DZ810D」のスペックと特徴
「VREC-DZ810D」のスペックは以下の表の通りです。
VREC-DZ810D |
---|
24.12発売 |
フロント:3840×2160/27.5fps リア:1920×1080/27.5fps |
LED信号対応 |
フロント録画視野角:水平115° リア録画視野角:水平125° |
microSD付属32GB/最大128GB |
microSDカードフォーマット不要 |
リアカメラケーブル9m |
GPS内蔵 |
駐車監視モード |
衝撃検知の前後20秒/自動起動 |
専用ケーブル別売 RD-DR002 |
「ドライブレコーダーの持込取り付け」が出来るお店 |
フロントカメラは日本メーカーとしては珍しく、4Kの録画解像度に対応しています。
イメージセンサーはSONYのSTARVIS対応モデルとの事ですが、センサーサイズが1/2.8となっている事から、VANTRUEなどの中華系のメーカーで採用されている1/1.8サイズのSTARVIS2対応のIMX678ではなく、前の世代のIMX415辺りかも知れません。
なお、ドラレコの画質はレンズ・イメージセンサー・ソフトウェアによるチューニングで決まります。
ドラレコでのチューニング技術が確率されていない新しいセンサーを採用したドラレコが、こなれた古いセンサーよりも画質が悪くなるケースもよく見られます。
日本のメーカーの製品でも海外の開発会社に開発を委託する製品も多いようですが、開発会社のエンジニアがどこまで画質にこだわるか?販売されるエリアのユーザー目線に近いのか?も大きく影響するように思います。
「VREC-DZ810D」については、パイオニア独自の技術と謳われている「AI-ISP」によるチューニングにより、高画質を実現しているとの事。
上のプロモーション動画を見ると、明るさは充分ではあるものの、対向車のヘッドライトの白飛びが大きいようにも見えます。
以下の暗所では充分な明るさを確保出来ているようにも見えますが、この辺りは周囲の環境が不明ですので他社製品と比較した上で評価します。
セット内容とデザイン
今回は「VREC-DZ810D」を購入し、実機テストを行いました。
こちらは箱に中国製と書かれた3年保証の製品となり、コムテック・ユピテル・セルスター・ケンウッド・パイオニアの主力モデルが全て同等の保証期間になりました。
セット内容についてはこちらの通りとなります。
・リアカメラ
・カメラ中継ケーブル(9m)
・4PINシガー電源ケーブル
・32GBのmicroSD
・取扱説明書
フロント筐体
フロント筐体のデザインは平型タイプで、一般的な2カメラドライブレコーダーと比べるとスタンダードなサイズ感となっています。
筐体正面には3.0型のラージサイズの液晶、操作ボタンは正面に4つ
右サイドにはmicroSDカードスロット
右サイドにはリセットボタン
筐体上部には4PIN電源端子とリアカメラ中継端子が配置されています。(1PINは使用していない)
リアカメラ
リアカメラは横長円筒タイプのデザインです。
リアカメラケーブルは両側がminiUSB形状の9m
電源ケーブル
車内への取付けについて
今回はアクアに「VREC-DZ810D」の取り付けを行いました。
本体部分はミラー裏に隠せますが、なるべくレンズが車の真ん中近くになるように設置したいところです。
一般的な2カメラドライブレコーダーの取り付け手順はこちらの記事で解説しています。

インターフェイスについて
電源ONから録画開始までの起動時間は15秒程度と2カメラドライブレコーダーとしては遅めです。
メニューツリーは一本化されており、操作ボタンは下側にアイコンの目印がありますので操作性はまずまず良好です。
ただし、最近はタッチパネル操作に慣れてしまったので、出来る事ならタッチパネルが好ましいとは感じています。
ドライブレコーダーとしての画質について
画質については4K対応モデルのベンチマーク基準としている、VANTRUEの「N4 Pro」と比較しました。
※「N4 Pro」は3カメラモデル
比較ポイントはこちらの通りです。
・逆光補正能力(白飛び・黒つぶれ)
・ナンバー認識精度
・夜間の明るさ
カメラの明るさは「VREC-DZ810D」「N4 Pro」とも、フロント・リア標準に設定しました。
録画視野角について
前後カメラの録画視野角は、「VREC-DZ810D」の表記を正とした場合、前後カメラで以下の通りとなっています。
2カメラドライブレコーダーとしては、スタンダード~やや広めの視野角となっています。
逆光補正能力について
トンネル内での逆光補正については、前後カメラとも白飛び・黒潰れが非常に良く抑えられています。
※白飛びの抑え具合は良モデルに若干の差があり、フロントカメラで「N4 Pro」>「VREC-DZ810D」、リアカメラは「VREC-DZ810D」>「N4 Pro」となります。
【フロント】
【リア】
ナンバー読み取り精度について
ナンバー読み取り精度については、4Kの解像度なりの精度の高さとなっていますが、画像処理ソフトウェアの問題なのか、対向車などの相対速度が高い目標は潰れて見える事があります。
当初のプロモーション動画の画質特徴から、夜間の対向車のヘッドライトの白飛びが気になっていましたが、ヘッドライトが反射したナンバー認識精度は最近の一般的なドラレコと比べると低めで、調整不足と感じました。
【フロント】
【リア】
ナンバー認識の総合評価は「N4 Pro」>「VREC-DZ810D」と同等と言えるでしょう。
夜間の明るさについて
夜間の明るさについては、「VREC-DZ810D」の方が「N4 Pro」よりもSTARVIS 2センサーの性能を良く引き出せていると思います。
※「VREC-DZ810D」は無料再生ソフトのVLCで補正、「N4 Pro」はVANTRUE VIEWERで補正したものを下段に掲載
【リア】
街灯が少ない場所での走行時には、その差がより顕著になります。
【フロント】
夜間の撮影能力の面でこの2機種では方向性が異なり、「N4 Pro」はよりナンバー認識精度を高めて明るさを絞り、「VREC-DZ810D」はヘッドライトが反射した状態のナンバー認識精度は捨てて、明るさに振っている傾向が見られます。
個人的な画質の好みでは「VREC-DZ810D」>「N4 Pro」ですね。
従来のVANTRUE製品は、他社に先駆けてVANTRUE VIEWERでの補正を前提に夜間の飛び抜けた明るさを実現していましたが、他社も露光感度の高いSTARVIS 2センサーを採用するようになり、無料再生ソフトのVLCとの相性が抜群に良くなっています。
また、VANTRUE VIEWERは、最近のアップデート時に明るさ調整機能が削除されていた時期があり、私が指摘して再実装されているのですが、以前のバージョンに比べると調整精度が落ちています。
西日本LED信の見え方について
「VREC-DZ810D」のフレームレートは前:27.5fps、後:27.5fpsとなっていますので、日本全国でLED信号が高速点滅して映るでしょう。

駐車監視について
「VREC-DZ810D」の駐車監視については専用ベージを作り、そちらで解説しています。
■「VREC-DZ810D」の駐車監視の仕組みと使い方について解説
動画ファイルの再生方法について
動画の再生については以下の3つの方法をテストしました。
・PC汎用ビュワーでの再生
ドラレコ液晶での再生について
ドラレコ本体での動画の再生は、液晶サイズが3.0型でやや大き目のサイズの為、一般的な2.0型液晶のディスプレイの製品と比べると見易いと言う評価です。
PC専用ビュワーでの再生について
本機にはPCの専用ビュワーは存在しません。
PC汎用ビュワーでの再生について
PC汎用ビュワーでの再生については、Windows 10のメディアプレイヤー、OSにデフォルトで搭載されている「フォト」「映画&テレビ」、汎用ビュワーで明るさが調整出来る「VLC」での再生も可能でした。
地デジへのノイズの影響について
「VREC-DZ810D」の単体使用では、アルファード+サイバーナビの組み合わせで影響は確認出来ませんでした。
ラジオへのノイズの影響も確認出来ませんでしたが、車種やカーナビの種類、アンテナの位置で状況は変わる事がありますので結果は参考程度に捉えて下さい。

「VREC-DZ810D」の総評
最後に「VREC-DZ810D」の総評です。
画質面では夜間のヘッドライトが反射したナンバーの認識が苦手な面があるものの、4K STARVIS 2センサーの恩恵を受けて、昼間は高いナンバー認識精度と広いダイナミックレンジ、夜間はVLCなどの外部ビュワーと組み合わせての非常に高い暗視能力を実現しています。
バランス的にはかなり良く仕上がっていると感じました。
コメント