カード沼地獄を見た ― microSD偽物の現実

こんにちは!ドライブレコーダー専門家で開発にも携わっているLaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。

現在、iRecoの推奨microSDカード選定を目的として、開発メーカーと共同で各社カードのテストを進めています。

その過程で、想像以上に深刻な事実が分かりました。

microSDカードの偽物が、想像以上に市場に流通しているという現実です。

今回は、その顛末を共有します。

発端:Sandisk Extreme Proの挙動がおかしい

今回テスト対象としたのは、SanDisk Extreme Pro microSDです。

この銘柄は日本の公式ストアでは取り扱いがなく、まずiKeepがAmazonで1枚目を購入しました。

ところが――

  • iRecoでフォーマットが完了しない
  • 明らかに動作が不安定

という怪しい挙動が確認されました。

そこで、私自身もAmazonの別出品者から追加購入。

しかし今度は、

  • iRecoの起動直後、フォーマット画面に入る段階で再起動を繰り返す

という症状が発生しました。

これは明らかに異常です。

速度チェック:CrystalDiskMarkの結果

まずは速度チェックです。

使用したツールは

  • CrystalDiskMark(速度測定)
  • H2testw(容量検証)

正規ルート購入品(開発メーカー調達・5枚)

※耐久テスト中に抜いて測定してもらったため、新品より何割か落ちている可能性あり

ドラレコの安定性に直結する数値は以下の2つです。

  • 右側(Write)2行目:SEQ1M / Q1T1
  • 右側(Write)4行目:RND4K / Q1T1

結果(正規品)

  • SEQ1M/Q1T1:56~78MB/s
  • RND4K/Q1T1:3.15~3.30MB/s

1枚は56MB/sとやや低めでしたが、その他4枚はばらつきが少なく、安定した数値でした。

Amazon購入の疑惑カード

結果

  • SEQ1M/Q1T1:29.91MB/s
  • RND4K/Q1T1:1.49MB/s

いずれも正規品の半分以下。

しかも、V30規格にも届いていません。

容量チェック:h2testwの衝撃

次に容量検証です。

h2testwで全領域書き込みチェックを行ったところ――

58GB以降がデータロスト。

・57.9 GByte OK (121594944 sectors)
・410.7 GByte DATA LOST (861311936 sectors)

つまり、

  • 容量偽装カードだった

ということです。

512GB表記なのに、実容量は実質64GBクラス。典型的な偽装パターンです。

偽物カードの本当の怖さ

問題はここです。

  • 偽物カードを使用した場合、
  • フォーマットが完了しない
  • エラー終了する

といった症状が出ることもあります。

しかしもっと怖いのは、

  • 何のエラーも出さずに録画し続けるケース

です。

ファイルは存在する。しかし、動画データが入っていない。

今回、私はiRecoの検証過程で気付きましたが、一般ユーザーは気付けない可能性が高いでしょう。

そして事故後に初めて発覚します。

  • 「ファイルが再生できない」

そのとき、ユーザーはドラレコメーカーへクレームを入れます。

しかし原因はカード。

最終的には「カードを交換してください」という結論になります。

これは、メーカーにもユーザーにも不幸な構図です。

上書き後にさらに悪化

さらに驚いたことがあります。

偽装カードを容量チェックのため全領域上書きし、その後フォーマットして再測定したところ――

速度がさらに劣化。初期性能だけでなく、耐久性もほぼゼロに近いと推測されます。

まともなNANDではありません。

iRecoとしての今後の方針

今回の検証を踏まえ、iRecoでは以下を検討しています。

  • 純正カードの設定(価格は高くなる可能性あり)
  • 信頼できる購入ルートの明示
  • メーカー推奨カードの公式紹介
  • 必要であれば真贋チェックの仕組み

正直に言えば、「カードは自由に買ってください」で済ませる方が楽です。

しかし、それでは証拠機器としての信頼性を担保できません。

多少価格が上がっても、事故時に確実に証拠が残ることの方が重要だと考えています。

まとめ:これは“沼”です

今回の件で痛感しました。

microSDカード市場は、想像以上に偽装カードが氾濫する沼地です。

  • 見た目では判別困難
  • 容量偽装
  • 速度不足
  • 耐久性ゼロ
  • エラーを出さずに壊れる

そして最終的な被害者はユーザーです。

カード沼地獄は、まだ続きます。しかし、必ず出口を見つけます。

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