こんにちは!LaBoon!!編集長の鈴木朝臣です。
パイオニアのスマートフォン向けカーナビアプリ「COCCHi(コッチ)」が、2026年11月30日をもってサービスを終了することが発表されました。
COCCHiは2023年9月にサービスを開始し、累計150万ダウンロードを突破しています。
カロッツェリアのカーナビで培ったノウハウをスマホアプリに落とし込んだサービスでしたが、約3年で終了することになります。
今回はCOCCHiの機能を振り返るというよりも、「そもそも今のユーザーは、高精度なカーナビをどこまで必要としているのか?」という視点から考えてみます。
COCCHiの方向性自体は間違っていなかった
COCCHiの特徴の一つは、長年カーナビを作ってきたパイオニアのノウハウを活用している点です。
Googleマップなどの一般的な地図アプリと比較すると、クルマで走りやすい道路を優先する、狭い道路をできるだけ避ける、交差点や分岐を分かりやすく案内するといった、いわゆる「カーナビらしい」部分を重視していました。
これは従来のカロッツェリアユーザーからすると、非常に分かりやすいメリットです。
私自身も長年さまざまなカーナビを使ってきましたので、Googleマップを使っていて、「なんでこの道を通すんだ?」と思うことはあります。
特に知らない土地で妙に狭い生活道路へ案内されると、「こういうところは昔のカーナビの方が上手かったな」と感じることもあります。
それでも現在、私が普段使っているナビはほぼGoogleマップです。
なぜ結局Googleマップを使うのか?
理由は非常に単純です。
目的地にたどり着くまでの操作が少ないからです。
たとえばツーリング先で飲食店へ向かう場合。
Googleマップで店名を検索すれば、店舗の位置だけでなく、営業時間、写真、口コミなども確認できます。
行く店を決めたら、そのまま「経路」を押してナビを開始。
これで終わりです。
私にとって現在のカーナビで最も重要なのは、「どれだけ優れたルートを引いてくれるか」よりも、「どれだけ少ない操作で目的地まで案内してくれるか」になっています。
Googleマップで探して、別のナビに入れるのが面倒
ここがスマホナビにとって非常に難しいところだと思います。
現在は目的地そのものをGoogleマップで探すケースが非常に多いでしょう。
店名を検索して、場所を確認する。
ここまでGoogleマップを使ったのであれば、そのままナビを開始するのが最も簡単です。
仮に別のカーナビアプリのルート探索能力が優れていたとしても、
Googleマップで目的地を探す
↓
別のナビへ目的地を渡す
↓
ナビ開始
という操作が必要になれば、それだけで面倒になります。
この「ちょっとした面倒」が、日常的に使う道具ではかなり大きいのです。
従来型カーナビの良さを知っているのは中高年?
ここには世代の問題もあるように感じます。
私のような世代は、スマートフォンが普及する以前からカーナビを使ってきました。
そのため、
- 「このメーカーはルートの引き方が上手い」
- 「このナビは狭い道へ入りたがる」
- 「交差点の案内はこちらの方が分かりやすい」
といった違いを知っています。
一方、若いドライバーでは、免許を取った頃からGoogleマップなどのスマホナビを使っている人も多いでしょう。
その場合、従来型カーナビと比較する機会そのものがありません。
多少変なルートを案内されても、「ナビってこんなものでしょ」となってしまう可能性があります。
つまり皮肉なことに、
従来型カーナビの高いルート探索能力を知っている世代ほど既存カーナビを持っていて、スマホナビを積極的に使う若い世代ほど、その品質差を知らない。
COCCHiのようなサービスは、この間に挟まれてしまったようにも見えます。
そもそも「そこまで高い精度」が必要だったのか?
さらに根本的な問題があります。
Googleマップのルート案内に多少不満があったとしても、普通は目的地には到着できます。
これが重要です。
Googleマップを使って、「このルートはイマイチだったな」と思うことはあっても、
「もう二度とGoogleマップは使わない」とはなかなかなりません。
次に出掛けるときには、またGoogleマップを開いています。
つまり現在のスマホナビは、すでに多くのユーザーにとって「十分な水準」に達しているのでしょう。
仮にGoogleマップのカーナビとしての完成度が80点、専用カーナビが95点だったとしても、80点で普通に目的地へ到着できるのであれば、その15点差にどれだけのユーザーがお金や操作の手間を払うでしょうか。
ここが非常に難しいところです。
カーナビの価値は「精度」から「手軽さ」へ
以前のカーナビでは、
目的地を入力する
↓
最適なルートを探索する
↓
分かりやすく案内する
ことが重要でした。
現在は、
行きたい場所を検索する
↓
そのまま案内を開始する
ところまでが一つの機能になっています。
Googleマップの場合、さらに店舗情報、営業時間、口コミ、写真、検索履歴、保存地点などまで一体化しています。
もはやカーナビ単体の性能だけを比較しても、サービス全体としての使いやすさを評価できません。
COCCHi終了=Googleマップに負けた、とは言えない
もちろん、パイオニアが発表しているCOCCHiのサービス終了理由は「事業およびサービス提供体制の見直し」です。
したがって、「Googleマップに負けたからCOCCHiが終了した」と断定することはできません。
ただし、スマートフォン向けカーナビという市場そのものを考えると、Googleマップという存在が非常に大きな壁であることは間違いないでしょう。
しかもGoogleマップの強さは、必ずしもカーナビとしてのルート探索能力ではありません。
目的地を探すところから、実際にそこへ到着するところまでが全部つながっている。
ここが最大の強みだと私は考えています。
パイオニアは今後どこで勝負するのか?
そして個人的に気になるのが、今後のパイオニア、特にカロッツェリアがどこに軸足を置くのかという点です。
カーナビではGoogleやAppleと競合する一方、カーオーディオにはパイオニアが長年蓄積してきた技術があります。
スピーカー、アンプ、DSP、車種ごとの音響チューニングなどです。
最近は純正ディスプレイオーディオが増え、昔のように2DINナビやヘッドユニットを丸ごと交換するケースも減っています。
そうなると、純正ディスプレイオーディオやCarPlay、Android Autoはそのまま使い、音響部分をアップグレードするという方向は、パイオニアにとって一つの生き残り方になるのかもしれません。
ただし、カーオーディオに積極的にお金を使うユーザーも中高年層が中心になりつつあります。
こちらも決して簡単な市場ではないでしょう。
高性能だから売れるとは限らない
COCCHiの終了を見て改めて感じるのは、製品として優れていることと、市場から必要とされることは別ということです。
カーナビメーカーは長年、
- 「より正確に」
- 「より良いルートを」
- 「より分かりやすく」
という方向で技術を磨いてきました。
ところがユーザーが最終的に求めていたものは、「なるべく何も考えず、少ない操作で目的地まで連れて行ってほしい」だったのかもしれません。
私自身、Googleマップに変な道へ連れて行かれて文句を言うことがあります。
それでも次の日には、またGoogleマップを使っています。
結局、それが答えなのだと思います。


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