事故現状車の査定で高値がつくのはどんなケース?

みなさんはこれまでに自動車事故を起こしたり、もらい事故に遭ったことはありませんか?

ゴールド免許を所有している優良ドライバーさんであっても、自動車事故に無縁な人はきっとごくわずかだと思います。

ではもしも自動車事故に遭ってしまった場合、その後の事故車はどのように処分されていくか、ご存知ですか?

「廃車に決まっている」と思う人も多いと思いますが、事故車にも価値があるのです。

では、今回はそんな「事故現状車」について紹介いたします。

事故現状車とはどんな車?

みなさんは「事故現状車」という言葉は知っていますか?

あまり聞きなれない言葉だと思います。

事故現状車とは、文字通り事故をしてそのままの状態の自動車のことです。

修理する前の自動車のことですね。

百聞は一見に如かず!

事故現状車

痛々しいですが、まさにこれが「事故現状車」です。

ちなみに私の愛車です。

このコラムを書いているちょうど10日ほど前に、信号無視した路線バスが突っ込んできました(汗)。

幸い身体に大きな怪我はありませんが、この愛車の様子を見ると胸が痛みます。

事故現状車とは、このように事故をしてその後修理に出すのか、廃車にするのか、検討している状態の自動車のことなのです。

また、特殊なケースでは、水害などで冠水している車や内装が燃えている車、盗難に遭った車などさまざまな背景の事故現状車があります。

事故現状車でも売れるケースとは?

こうした事故現状車でも、売れることがあります。

「え?このまま売れるの?直してからではなくて?」と思った人もいるのではないでしょうか?

そうなのです、このアルファードで言えば、こうしてフロント大破のまま売却することができるのです。

オートオークションでも「事故現状車」だけを集めたコーナーがあるほど、需要があります。

事故現状車でも売れる車種

ではどのような車種が売れていくのでしょうか?

  • 人気の車種
  • 高年式の車種
  • 輸出に向いている車種

などが主に成約率の高い車種です。

修理再販目的で売れるケース

軽自動車から高級車まで、事故現状車コーナーにはさまざまな車種が毎週出品されています。

その中でもどんな状態の事故現状車が売れていくかというと…

修理をして再販を目的とする業者さんが購入するのは

  • 事故の度合いが軽いもの
  • 修復が可能なもの
  • 冠水車
  • エアバックの生きているもの
  • 一か所がひどい事故をしていても、部品取り車として価値のある物
  • 盗難車

です。

輸出目的で売れるケース

この他、輸出を目的とする業者さんが購入するのは

  • 事故をしていても自走が可能なもの(これは、船積みするときに自走ができないと不便なため、できることなら足回りの生きているものが人気なのだとか)
  • 人気の車種で大破、炎上していても書類があるもの

などが挙げられます。

これと言ったくくりはありませんが、その後の目的によって買い手が変わってくるということです。

たとえば、冠水車でエンジン不動の現状車であれば、外装部品がほぼすべて使用できるため、鈑金修理業者が部品取り用車として購入していくことも珍しくありません。

盗難車と書きましたが、車両保険に加入していて、愛車が盗難に遭った場合、1ヶ月間発見されなければ保険金が支払われます。

保険金が支払われたのちに発見された場合、保険会社名義の物件となり、保険会社の元へ引き上げられます。

保険会社は引き上げたのち、書類をつけてオートオークションや自社オークションなどで売却することもあるのです。

高く売れた事故現状車の実例

私は事故現状車の買い取りを得意としていましたが、その中でも印象的だった事故現状車があります。

川に落ちてエンジン不動のセルシオが60万

まず1台目は、川に落ちてしまったという30系セルシオです。

外装はブラック、内装もベージュ革のよく見かけるセルシオですね。

このセルシオはエンジンが始動しませんでした。

ですが、動かないのに60万円という金額が付き、すぐに売却されていきました。

きっと輸出目的で売れていったのだと思います。

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フロント大破で自走できないGT-Rが450万円

2台目は、フロント大破のGT-Rです。

鈑金修理工場を経営している知人に頼まれて査定に出向きましたが、左前の足回りは大破、ストラットも抜けて到底自走ができるような状態ではありませんでした。

ですが、落札価格は450万円。

事故現状車に500万円近い値段も付くのです。

ボディ全体が歪んだフーガが70万円

3台目は、当時現行モデルだったニッサン フーガです。

お客様から直接依頼をいただき、査定に行きました。

ボディカラーもブラックで、GTグレード、サンルーフもついていてフル装備のフーガでした。

パッと見あまりひどいようには見えないのですが、サンルーフまでひずみのあるような現状車でした。

サンルーフあたりにひずみがあるということはそこまで車体が縮んでいるほど衝撃を受けた事故だったということです。

ここまで衝撃を受けていると、修理も容易ではありません。

その時のフーガの中古車相場は170万円。

私はこの事故現状車に70万円をつけました。

お客様は喜んで売却してくださいました。輸出に出したところ、なんと現状のまま170万円で買いたいという人が現れ、販売したことを覚えています。

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事故現状車でも売れないケース

事故現状車でも再販できるものが多い中、どうしても買い手の見つからない事故現状車もあります。

それはどのような事故現状車かというと…

  • 修理しても再販が見込めない車種
  • 低年式の車種
  • 廃盤になっているような不人気車種
  • 書類のない車種
  • 横転でエンジン不動など、使える部品が残っていないほどあまりにひどい状態

といったところでしょうか。

こうした事故現状車は、廃車処分に回されます。

書類のない車種、と書きましたが、自動車の価値は車検証があってこその値段です。

車検証のない自動車は鉄の塊でしかありません。

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事故で自走不能になったら、車の保管はどうする?

事故と言っても、状態はさまざまです。

エンジンも始動し、動かすことができるのか。

エンジンは始動するが、足回りが破損しているために自走ができず業者に頼まなければならない場合も多くあります。

では、そんな自走ができない場合はどのように対処するのがいいのでしょうか。

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購入先の販売店に運び込んでも損はない

私の経験上、購入先の販売店に運び込むお客様が8割ではないかと思います。

任意保険には、事故や故障時のレッカー費用が不要で引き上げしてもらえる特典がついていることが多く、そちらに連絡して購入先に運んでもらうケースと、購入先である販売店が自ら引き上げに出向いてくださるケースがあります。

堤防から転落した、とか特殊な場所での事故でない限り自社の積載車で引き上げにきてくれます。

これはディーラーさんでもしかり、です。

また、民間のレッカー業者に依頼をしても、保険を利用すればレッカー費用は保険会社でまかなわれることがほとんどで、実費の持ち出しはほぼないでしょう。

知り合いに鈑金修理工場の人がいない限り、事故→鈑金工場とはならないのではないでしょうか?

販売店に運び込まれた事故車の取扱い

① 事故→販売店に連絡→販売店で保管→鈑金工場で修理または現状車として売却

② 事故→保険会社に連絡→販売店へ入庫→販売店で保管→鈑金工場で修理または現状車として売却

③ 事故→保険会社に連絡→保険会社の契約している鈑金工場に入庫→鈑金工場で修理または現状車として売却

または
④ 事故→保険会社に連絡→自宅へ入庫→検討→鈑金工場で修理または現状車として売却

という4つのケースが、ほとんどのユーザー様にあてはまると思います。

何といっても、事故をすると次の車を購入する検討材料になるため、ディーラー、中古車販売店ともに良心的に対応してくださると思います。

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万が一修理になっても、自社で販売した車の事故ですから、雑に扱われることはないでしょう。

素人が見ても軽い事故であれば実費での修理になることもありますが、ある程度破損している事故だと保険を利用して修理しますよね。

もし、車両保険金額より修理費用のほうが高額になると、全損扱いになり、保険金が支払われる代わりに事故車は保険会社での処分になります。

最近の事故ではこうしたケースが多く、私たち買い取り業者の手出しができないことが増えています。

価値ある事故現状車を次の車の購入に生かす

事故に遭った直後は次の車のことなんて考えられないと思います。

「あぁ事故してしまった…どうしよう」と心の中はショックでいっぱいなはずです。

しかし、1日、2日と時間が経つにつれて現実的な問題に直面します。

  • 事故した車は直すのか
  • 保険は使うのか

交通機関が自動車であるような地方に住んでいる場合、移動には車が必要になります。

代車を借りなければならないという人もいますよね。

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ですが、心配は必要ありません。

もしも事故現状車をディーラーや中古車販売店に入庫した場合、その後どうするか順を追って導いてくれます。

保険と下取りの合わせ技で次の車を買うという選択肢も

まず販売店がすることは、修理見積もりの作成です。

そして、事故現状車としての下取りの価値を算出してくれます。

例えば、2年落ちのタントカスタムに乗っていました。

事故に遭い、購入先だった中古車販売店に入庫しました。

修理見積もりは80万円、このままの事故現状では20万円という下取り金額が出る場合、80万円の保険金と20万円の下取り金額を頭金に、次の車を検討することになります。

100万円の頭金が手元にあるのなら、事故し、修復した車に乗り続けるよりも、違う車に乗りたいと思うのが人の心理ではないでしょうか?

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これは、ローンで購入している場合でも同じです。

この100万円でローンが完済できるのなら、また新しくオートローンで自動車の購入も可能です。

こうした流れで事故現状車を次の車の下取りにするユーザー様はとても多いです。

高年式の車ほど事故現状車でも高く売れる

昔は「事故車=廃車」が当たり前でしたが、現在は事故現状車にも値段のつく時代です。

その反面、自動車の性能が格段に良くなっていることから、経年劣化での故障が少なくなり、買い替えをするユーザー様が減っているのも現実です。

壊れないのだから、買い替える必要がないのです。

言い方は悪いのですが、事故はこうしたユーザー様にとって最大の買い替えのきっかけとも言えるのです。

高年式の車に乗ることは贅沢だと考える人もいるかもしれません。

ですが、新しいからこそ事故をしても事故現状での売却は可能ですし、性能も高いため命を守ってくれる装備もついています。

いかがでしたでしょうか?事故現状車について知っていただくことはできましたか?

今後のあなたのカーライフの参考になれば幸いです。

■ 廃車が高く売れる?/カーネクスト

(ライター:中古車査定士ryo)

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