ケンウッド「KNA-DR350」のレビュー、評価

KNA-DR350」は2015年9月に発売されたケンウッドの汎用型ドライブレコーダーで、「KNA-DR300」の後継機に当たります。

先代の「KNA-DR300」が2014年12月の発売ですので、発売からわずか9ヶ月しか経っていないにも関わらず、新しいモデルを市場に投入して来た事になりますが、「KNA-DR300」がバカみたいに売れた事、「KNA-DR300」が30fpsだった為、西日本のLED信号の消灯問題に対応しきれていなかった事などが理由で、早々とモデルチェンジをしてきたのでしょう。

西日本と東日本のLED信号機周波数の違い

LED信号は、電力の周波数の値に従って、超高速で点灯と消灯を繰り返しながら、人間の目には常時点灯しているように映ります。

西日本と東日本では、電力の周波数が異なり、西日本では60Hz、東日本では50Hzとなっているのですが、西日本の60Hzは1秒間に60回、点灯と消灯を繰り返しており、東日本はこれが50回になります。

60Hzの場合は1/120秒に1回点灯、1/120秒に1回消灯、つまり1/120秒(点灯時間)+1/120秒(消灯時間)=1/60秒で電源のオンオフが1セットになっている事になります。

ここで問題になるのが、ドライブレコーダー側のフレームレートです。

ほとんどのドライブレコーダーのフレームレートは、ビデオカメラの規格に合わせて30fpsになっていますが、これが西日本の60Hzにおける消灯タイミングである1/120秒に、たまたま重なってしまった場合、その信号機は手一定の周期で消灯した状態に見えてしまう事があります。(ドライブレコーダーの機種によって消え方は異なる)

この問題に対応すべく市場に送り出されたのが「KNA-DR350」であるという訳です。

 

「KNA-DR350」が人気No.1の理由

KNA-DR350」はAmazon楽天市場などの通販サイトや、オートバックスなどのカー用品量販店などでもバカみたいに売れていますが、なぜそこまで売れているのか?本当に最高のドライブレコーダーなのか?という部分に迫ってみたいと思います。

KNA-DR350」が一番人気の理由は、主に次の3点です。

  • ケンウッドの絶大なブランド力
  • アッパーミドルグレードのバランスの取れたスタンダードな機能
  • 高機能でありながら価格に割安感がある

ケンウッドの絶大なブランド力

ケンウッドと言えば、言わずと知れたカーナビ、オーディオの有名ブランドです。

市販カーナビ業界での人気で考えれば、パイオニア、パナソニックに次いで第3位ではないかと思います。

因みにカーナビ最大手のパイオニアやパナソニックもドライブレコーダーを販売しているのですが、パイオニアは自社カーナビ連動モデルのみ、パナソニックについては2015年の11月にようやくカーナビ連動型ではないスタンダードなドライブレコーダーを発売したばかりです。

パイオニアとパナソニックの2社があくまでも自社カーナビユーザーの取り込みを中心に考え、ドライブレコーダー市場への参入に対して消極的だったのに対して、ケンウッドは「KNA-DR300」というモデルで、積極的に汎用モデルの販売を2014年12月から始めました。

それまでのドライブレコーダー市場の情勢は、ユピテルなどのレーダー探知機メーカーや、トランセンド、パパゴ、COWONなどの海外製品が人気となっていました。

あまりピンと来ないかも知れませんが、日本は諸外国に比べて極めて治安が良い国の為、国民の防犯意識が低く、ドライブレコーダーの普及率やバリエーションを考えるとまだまだドライブレコーダー後進国と言えます。

そのような背景の中で、カーナビ界の有名ブランド、ケンウッドが市場に本気で参入してきたものですから、絶大な知名度で市場を席捲しているという状況です。

ハイレベルにまとまったスタンダード機能

KNA-DR350」の機能はスタンダードと言えますが、画質の面では「1920×1080」のフルハイビジョンの解像度とHDRによる逆光補正機能、フレームレートは西日本LED信号対応の27.5fpsとハイレベルにまとまっています。

他社のハイエンドドライブレコーダーでは、フルハイビジョンを超える「2304×1296」の解像度、fpsでは西日本LED信号対応の45fpsのモデルも発売されていますので、「KNA-DR350」の画質は最高レベルではないのですが、グレード的にはドライブレコーダー業界で上から2番目くらいのクラスに入ります。

また、GPSによる測位と、パソコンを利用しての専用ソフトによる再生も可能です。

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更に、内蔵バッテリーを搭載しており、モーションセンサー(動体検知)によって25分間程度の駐車監視モードの稼働が可能です。

2014年までに発売されている他社モデルの比較的実用的で先進的な部分を取り入れたのが「KNA-DR300」で、更に西日本信号消灯問題に対応すべく、フレームレートを27.5fpsに調整したのが「KNA-DR350」ですので、機能的にはかなりバランスが良くまとまっていると言えます。

「KNA-DR350」の悪い点

内蔵バッテリーによる駐車監視は便利でお手軽ではありますが、25分間の駐車監視自体は、本来の「防犯」という観点から考えればオマケ程度の機能だと思った方が良いと思います。

外出で25分以内の駐車をするケースは、スーパーで買い物をするなどのシチュエーションが考えられますが、内蔵バッテリーの充電には1時間40分掛かりますし、25分間というのはあくまでも録画の待機をモーションセンサーによって行うという事であり、連続録画時間は僅か8分間に過ぎません。

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また、モーションセンサーというのは、動く物を検知して録画を始めるシステムですので、人や車の通りが多い施設の場合、事故が起きなくても稼働しっ放しになる可能性が大きく、駐車から8分間しか機能しないというケースが発生します。

理論上はシガーソケットからの内蔵バッテリーの充電には1時間40分掛かりますので、片道50分の道のりを往復しないと8分間の駐車監視すら出来ないという事です。

また、レンズの視野角についても弱点があります。

メーカーサイトでは「広角レンズ搭載で視野も広い」と謳われていますが、これは「看板に偽りあり!」と指摘されてもおかしくない表現の仕方だと思います。

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広い狭いは主観の問題であり、比較する対象の基準を設定しなければ意味を成さない言葉ではありますが、それを上手く使っていると言えます。

KNA-DR350」の視野角は水平100°ですが、これは現状のドライブレコーダー業界では狭い方の部類です。

視野角が広いモデルは水平視野角130~140°程度を誇っており、100°は最低の部類に入ります。

「KNA-DR350」の機能面のまとめ

以上の良い点、悪い点をまとめると以下の通りです。

良い点は、フルハイビジョン画質でHDRによる逆光対策済み、西日本のLED信号消灯問題もクリア、GPSユニットも内蔵している。

悪い点は視野角が最低レベル、駐車監視モードは実用性がない。

それでも機能的には必要最小限+αでまとまっており、非常にバランスが取れた構成になっていると言えます。

価格の割安感

KNA-DR350」は売れ筋モデルの為、通販や一般の小売店を含めて数を捌きたい商品ですので、それなりに値引きに力が入っている傾向にあります。

スペック面を考えるとアホみたいに安いというところまでは来ていませんが、他社製品の同一グレードと比較すると1,000円くらいは割安になっている感じです。

メーカーケンウッド
メーカーサイトKNA-DR350
参考価格
16.01.31
17,800円
最新価格Amazon
楽天市場
Yahoo!

「KNA-DR350」が人気No.1の理由のまとめ

以上のように「KNA-DR350」が売れている理由は以下の3点になります。

  • ケンウッドの絶大なブランド力
  • アッパーミドルグレードのバランスの取れたスタンダードな機能
  • 高機能でありながら価格に割安感がある

小売店や通販サイトとしても、売り易い物を売る方が楽ですので「KNA-DR350」の販売に最も力を注ぐ訳ですが、量販店などの店員の立場で考えても、ドライブレコーダーについて何も知らない人に説明する際に、このモデルは説明が最小限度で済みます。

「ケンウッド製」である事は見れば分かりますし、ケンウッドの知名度を考えれば信頼性については何の説明もいりません。
機能面にしても「スタンダードなモデルに搭載されている機能は全てあります…というよりもこのモデルがドライブレコーダー業界のスタンダードです」と説明するだけです。

価格の面でも他のモデルと比べてみれば若干割安感があります。

これらの条件が揃っており、最も売り易いドライブレコーダーなので、店舗側は一番目立つ位置に陳列します。

更に細かい説明がいらないので、売る方も楽なのです。

ドライブレコーダーを何も知らない人に、3分間の説明でドライブレコーダーのおすすめモデルを紹介しろと言われれば、誰でも「KNA-DR350」を紹介する事でしょう。

■「KNA-DR350」の取り付けレポート プリウスα編

(ドライブレコーダー専門家 鈴木朝臣

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