ここ2~3年で高齢ドライバーが起こす事故のニュースが増加しているように感じます。

ただし、これは私はそう感じているだけで、同じ情報を得た人が同じように感じるとは限りません。

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大手の新聞社でウェブ版の新聞を発行していないところはほぼないと思いますが、私は数年前から紙媒体の新聞を購読しておらず、ニュースはもっぱらネットで閲覧しています。

また、私がスマホを使用してニュースを見ることが多く、ニュースをチェックする回数が増えた事がそのように感じる要因の一つかも知れません。

マスコミも高齢者ドライバーが起こす事故に対して、以前よりも積極的に大きなスペースを割いているように感じます。(これも感覚ですが)

いずれにしても客観的な事実としては「高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議」の開催などが挙げられますので「高齢ドライバーが起こす重大事故」は社会問題として政府・国民に認知されてきたと言えるのは間違いないでしょう。

私の祖父は90歳くらいまで車を運転していた

このような高齢ドライバーが起こす事故に対して「一定の年齢で一律免許を失効させた方が良い」などの意見も見られますが、地方在住の高齢者は自分で車を運転しなければならない事情も存在する訳で、この問題を根本的に解決するには自動運転技術の飛躍的な進化を待たなければならないと思います。

因みに92歳で一昨年他界した私の祖父は、田舎で叔父夫婦と同居していましたが、認知症ではなく逆に頭がしっかりし過ぎていて家族の忠告に耳を傾けない頑固な人でした。

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元軍人でプライドが高かった祖父に、叔父が運転は危ないからそろそろ免許を返納してはどうか?という話をしたところ、『高齢者講習を受けて更新の際にも問題がない人間に対して「免許を返納せよ!」とは人権侵害である』と激怒したそうです。

確かに祖父の言い分はある意味では正しい部分もあるのですが、90歳を過ぎても自分で車を運転する高齢ドライバーのいる家庭は、いつ事故を起こして他人を巻き込むやも知れないと不安で仕方がないと言うのも事実かと思います。

高齢ドライバーが起こす死亡事故は本当に増加している?

「重大事故」については、発生件数の増減に関わらず常に社会・個人の努力で常に減少させる必要がある、と言うのが一般的な考え方であると思いますが、ここ数年間の「重大事故(死亡事故)」の発生件数はどのように推移し、高齢者ドライバーはそれにどのように関わっているのでしょうか?

過去10年間では死亡事故件数は70%以下に減少

警察庁の統計データによると、2007年~2016年の10年間で死亡事故件数は5,639件から3,790件に減少、死亡者数も5,796件から3,904件に減少しており、いずれの件数も10年前の67%の程度となっています。

■ 警察庁「交通死亡事故について」

これは車の安全基準の見直しや、法令や取締りの運用、ドライバーの安全運転の意識向上、道路や信号などのインフラ設備の改善など、ハード・ソフトの部分で様々な変化がありますので、一概にどの要因によって死亡事故件数が減少しているのかは不明です。

高齢ドライバーは何歳から?

高齢ドライバーの年齢の線引きをどこに設定するかについてですが、道路交通法における高齢運転者は70歳以上と75歳以上の2つの括りとなっています。

■ 警視庁「高齢運転者に関する交通安全対策の規定の整備について」

一方で医療関連などに関する法令では65歳以上を高齢者として括っていますので、ここでは65歳以上~70歳未満、70歳以上~74歳、75歳以上の3つの括りでデータを分析していきます。

年齢別の死亡事故発生件数の増減

日本全体が超高齢化社会に突入していますので、10年前に比べると65歳以上~70歳未満の人口は1.5倍、70歳以上~75歳未満は1.6倍、75歳以上は2.2倍に増加しています。

一方でこの年齢帯ドライバーによる死亡事故の発生件数の増減は以下の通りとなります。

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※複数のドライバーが絡む事故では最も過失が重かった者のみを計上しています。(第一当事者)

このグラフを見る限り、65歳以上~70歳未満は増加傾向にありますが、70歳以上~75歳未満は減少、75歳以上だとまた増加傾向に戻ります。

これはおそらく、10年前と比べて65歳以上~70歳未満の人が車を運転する機会が増えているのが原因であると推察されます。

一方で70歳以上になると、一定数の人が車を運転しない、もしくは免許を返納している事が考えられるので、前述したハード・ソフトの変化の影響で減少に転じているものと考えられます。

70歳の時点で免許を返納しなかった人は、そのまま75歳以上になっても返納しない人が多いと思いますので、それが事故の増加に繋がっていると言えるでしょう。

75歳以上の死亡事故は10年間で107.5%に増加しています。(件数では+32件)

 

高齢者を年代別で括った場合の増加率は以下の通りです。

  • 65歳以上を一括りで見ると10年前と比べると発生件数は102%
  • 70歳以上を一括りで見ると96.4%(-25件)
  • 75歳以上を一括りで見ると107.5%(+32件)

高齢者の定義を何歳に設定するかで大きく数字が変化しますので、一概に「高齢ドライバーが起こす死亡事故が増えている」と表現するのは高齢ドライバーに対する誤解を招く恐れがある為、不適切だと思われます。

一方で75歳以上の場合には他の年代層と比べて著しい増加傾向があると認められますので、「75歳以上の高齢ドライバーが起こす死亡事故が増えている」であれば正しい表現となります。

年齢別の死亡事故の発生確率

年齢別の発生件数については、その階層の人口が増えれば増加して当然です。

40代の人口が増えれば40代の起こす死亡事故も増えるのは確率から考えれば自然な流れです。

 

これに「高齢者」という言葉が絡む事で、様々なフィルターが掛かり、実態以上に周囲が過敏に反応している事も考えられますので、次に年齢別の死亡事故を起こす確率を見ていきます。

内閣府の資料によると、2016年における「免許を持っている人10万人あたりの死亡事故発生件数」は以下の表の通りとなっています。(元のソースは先ほどの警察庁のものですが、グラフを作るのが面倒なので内閣府資料を転載します)

このグラフによると、1年間に死亡事故を起こす確率(厳密には確率とは言えないが)は25歳~74歳までの範囲では大きな差はないと言えます。

むしろ24歳以下の若者による死亡事故の発生件数が目立ちますね。(私も10代の頃に無謀運転で死にかけた事があります)

ところが75歳以上になると件数が急上昇し、75歳未満の3.8人に対して2.3倍の8.9人にまで跳ね上がります。

従って「75歳以上の高齢ドライバーが起こす死亡事故の可能性は、統計的に見ると非常に高く、発生件数は増加している」と言えます。

高齢ドライバーによる事故の原因

ここからは特に注釈がない限り、高齢ドライバー=75歳以上と定義します。

前述の内閣府の分析では、高齢ドライバーが事故を起こしやすくなる間接的な要因として以下の4つのポイントを挙げています。

①視力等が弱まることで周囲の状況に関する情報を得にくくなり、判断に適切さを欠くようになること

②反射神経が鈍くなること等によって、とっさの対応が遅れること

③体力の全体的な衰え等から、運転操作が不的確になったり、長時間にわたる運転継続が難しくなったりすること

④運転が自分本位になり、交通環境を客観的に把握することが難しくなること

 

実際に死亡事故に至ったケースでは次のような人的要因の内訳は以下の表の通りとなっています。

他の年齢層と比べると判断の誤りや、脇見などの外在的不注意が少なく、漫然運転や安全不確認は同程度です。

どちらかと言うと高齢ドライバーの方が安全運転を心がけていると言えます。

このことから、おそらく私の祖父の言い分も「お前らよりは安全運転じゃゴルァ!」であったと想像できますね。

圧倒的多いのが操作ミス、特にブレーキとアクセルの踏み間違い!

高齢ドライバーの死亡事故の原因で最も多いのがハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作ミスです。

ブレーキとアクセルの踏み間違いが27件、ハンドル操作ミスが69件となっていますが、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」は全体の5.9%程度です。

全体の構成から見るとそこまで多くはありませんが、ニュースなどを見た際に印象に残り易い為、高齢ドライバーによる死亡事故と聞くと「ブレーキとアクセルの踏み間違い」をまず最初に連想してしまうのではないでしょうか?

ただし、この「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が要因となり場合、安全装備が充実した対車両ではなく、無防備な歩行者や建物に突っ込んでいく事になりますし、さらにブレーキを掛けようとアクセルを全開にしてしまうので他の要因のケースよりも第三者に与える被害が甚大になる可能性が高くなります。

従って「悲惨な死亡事故を減らす」という観点から考えると、マスコミがこの部分について特にクローズアップしてとり上げるのはプラスの効果はあってもマイナス効果はないと言えるでしょう。

また、ハンドル操作や漫然運転の防止は機械でのサポートが難しい部分がありますが、アクセルとブレーキの踏み間違いへの対策は比較的容易な部類に入るようですので、後付けパーツでの実施が可能です。

75歳以上の高齢ドライバーはもちろんですが、自分の運転操作が怪しくなってきたと感じている人、高齢ドライバーの家族の方は、後付けパーツの装着を検討してみてはいかがでしょう?

■ AUTOBACS ペダルの見張り番

(編集長 Omi)

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